ほのぼのです。
(前回からの続きです。)
街中の祭りを満喫していた一行の目に、『肝試し。勇気ある者よ集え』と書かれた看板を持った巫女達とそれに興味を示して列になって並ぶ人々の姿が目と映っているのを見ながらも一行は、はてなマークを頭の上に浮かばせて首を傾げていた。
「『肝試し』?ですか?」
「う〜ん?………よく分からないけど、なんとなくワクワクするわね。並んでみようかしら?」
「そうね影狼。試しに並んでみましょうか。」
「面白そううさね。皆で言ってみるうさ。因幡達はどううさか?」
「「いくいく〜!」」
「では、並びにいきましょう。はたて様、文様。いい加減お互いの頬を引っ張り合うのはおやめください。お互い頬が赤くなってきておりますよ?」
「はいはい。」「わ、分かった椛。」
そうして、列に並んで幾星霜ならぬ数十分間を買い溜めした祭りの食べ物片手におしゃべりしながら待っていると、以外と回転率が早いようですいすいと列は前に進んでいく。
始めは楽しそうにしていた一行も、近づくにつれ森から帰ってくる肝試しの怯えきった表情をしたまま森から出てきた帰還者達の姿に少しずつ顔を引きつらせていく。
「ねぇ……椛…………。これ、結構本格的に怖いやつなんじゃ…………。」
「…………ええ。今私も後悔してきた所ですよ。文様。」
「私も怖くなってきたわ。」
「まあ…………なんとかなるうさよ。相変わらず、影狼はビビリうさね〜」
「う、うるさいわね!老骨兎!あんたは経験豊富だから余裕なのよ!このロリババ兎!!あんたもホントは怖がってるくせに!!」
「はいはい。だったらそんなに私の腕に引っ付かないで欲しいうさ。ひっつくから飛燕にして欲しいうさ………。」ブルブル
「ほらっやっぱり震えてるじゃない!皆怖いのよ!」
「ん?そうかな〜?でも凄く楽しそうだよ?肝試し〜。フ〜フフ〜ン♪」
「「「「………ん?」」」」
皆が顔を白くさせて声を震わせているのに対して、一人だけ余裕そうな声をしていることに気がついて皆がはたてを振り返る。
すると、当人のはたてが鼻歌混じりに楽しそうに歩いて、緊張と恐怖で固まっている因幡達を、抱きしめながら歩いていているのが分かる。
そして、彼女は急に見つめてくる皆の視線に気が付いて、キョトンとした顔で見つめ返してくる。
「なに?どうしたの?皆〜?」
「いや……以外とこういうのは余裕そうなのね。はたて…………。」
「ん?そこまで怖がる必要はないじゃない?だって今の所、入って行った人間は皆帰って来てるからね〜。
命が危なくないなら別に大丈夫かな〜て思ったらそこまで怖くなくなったな〜。」
「いや、確かにそううさけど。それ以前にその『皆』の全員が強張らせて恐怖に染まった顔をしているのが問題うさよ?」
「そうよ。てゐの言う通りよ。本当に。本当に。はたては怖くないのかしら?」
「全然怖くないよ〜?影狼。まあ〜それよりも、皆と遊べるのが楽しくてね〜。
皆でワイワイできる友達も沢山増えたしそれが嬉しくて嬉しくてね〜。うへへ〜。」
そう言って、皆に笑顔を向けるはたて。その能天気で純粋な好意を向けられた一行は、その気恥ずかしさが伝染してしまい、全員が顔を赤らめてしまった。
「どこかの鴉の神様が聞けば『天使だよ〜!はたて〜!(スリスリ)』っていう反応が帰ってきそううさね……。」
「それって絶対に特定してないかしら?老骨兎。」
なんだか肩の力が抜けて、緊張が少しだけ薄まってしまった気がするのは全員の気の所為ではないだろう。
「それなら、はたて様。何かあったときは頼らせて貰いますね?」
そう言って、椛がはたての身体を背後から抱きしめると、はたては嬉しそうな笑顔をしながら椛に答える。
「うん!沢山頼ってね?にしても、やっと椛が頼ってくれたんだ〜!凄く嬉しい!」ニコニコ
「ふふ…ええ。そうですね………はたて様も大きくなって………。」ホロリ
そんな、二人のイチャイチャを見せ付けられた文はふくれっ面でのまま、はたてを抱きしめていた椛の尻をペチペチと叩き始める。
「椛。あんたは従者なんだから頼られなさいよ!」
― ペチペチ ―
「キャン!?文達!急にお尻をペチペチ叩かないでください。地味に痛いです!」
「犬みたいに鳴きおって〜!この生意気犬!」
「生意気狼です!キャン!?」
それを迷いの竹林の動物組は微笑ましそうにそんな仲良しな三人の仲良し天狗の姿をニヤニヤと見つめていた。
「文ったら、幼なじみを従者に取られそうになってやきもちしてるのね?」ニヤニヤ
「可愛らしいやきもちうさね〜。」ニヤニヤ
「う、うるさい!!前の列が進んだんだから、さっさと前にいきましょ!街や神社にも飛燕や椿が居なかったんだから多分この『肝試し』の運営やらなんやらを椿と飛燕がやってるらしいかろ、さっさと会いに行きましょう?」
「「はいはい。」」ニマニマ
そうして、ワチャワチャしている内に最前列についた一行は、甲高く鳴り響く悲鳴を背後に、松明であたりを照らしながら森から出てきた大巫女率いる複数の巫女達に説明を受けていた。
尚、普段の巫女達ならば、彼女ら一行の正体に一瞬で気がつくのだが、幸運の白兎による豪運とお天狗の少女達による念動力で正体を隠していたお陰で気が付いていない様子だった。
そして、ソワソワしだした一行に大巫女が先頭に佇んで説明をし始めた。
「これから貴方達は挑戦者として纏って動いていきます。途中の竹林までは護衛致しますが、その先は貴方達自信の足だけでお進み下さい。では、私と巫女達に囲まれながら共にご同行下さい。『飛燕様と椿様のご友人方でしょうか』?」
但し、姿形や種族名、性格やら癖など、楽しそうに彼女等の事を話す椿から話を聞かされている大巫女には一目対面してからバレバレだったようだが…………。
驚く一行に、大巫女は茶目っ気たっぷりにウイングしてから森の方へと向き直って、何事もないように一行を囲んでいる巫女達に合図を送る。
「それでは出発します。『ご安心ください。貴方達を祓うつもりは御座いません。これは脳内に直接語りかけているのでおきになさらず。』皆様もついてきてください。」
霊力による力で脳内に聞こえてくる言葉に疑問符を浮かべて進んでいくそれぞれの一行に対して、大巫女は背を向けたまま話を続けてきた。
『椿様から貴方達とのお話をよくお話されておりました。いつも椿様がお世話になっております。』
その言葉に、文達は納得した。そして、同時にこう思った。『『『あの緑髪の現人神、普通に人間に対して安安と話してんじゃないわよ!!』』』と。
そう、頭の中で全員が突っ込んでいると、その念が届いてしまったのか、大巫女は一人クスクスと笑ってから続きを話す。
『何かしら騒ぎを起こすつもりはないのでしょう?見た所、街で行われている夜祭を楽しんでいるだけなので、『貴方達なら大丈夫だ』と、私が個人的に判断いたしました。』
そう言って、大巫女は一瞬だけ振り向いてこちらに訳ありげに微笑んで、
『皆様は見た所、随分と夜祭を楽しんでいたみたいですね?』
と、語りかけながら、からかうような目線を文達の姿を見てくる。
今の文達には全員がタコのお面や風車や、袋に入ったお菓子類や甘水やら何やらと。『絶賛お祭り満喫中です』と言っているようなものだった。
その自らの服装や状態に気がついた一行は気恥ずかしそうに顔を赤らめてしまう。そんな一行の様子に、一人納得した大巫女はクスクスと笑いながら頷いて、再び松明の先には暗闇が続く森の風景へと向きなおった。
『ああ。そうです。因みにこの結界は私と諏訪子様、神奈子様のいずれかに許可が出ないと妖怪は出入り出来ませんのでご注意を……………。』
すると、大巫女の雰囲気が一変した。彼女はわざとらしいまでに酷く慌ただしくさせて、迫真の演技を始めた。それに合わせて巫女達も酷く動揺させてあたりを見回してお札やお祓い棒を取り出して構える。
その急変ぶりに、まだまだおこちゃまな文やはたては騙されてあたりをキョロキョロする一方、根が単純な影狼や椛の二人は毛を逆立てて警戒しだし、そしててゐは『きゃあ〜』と叫び声をあげて抱きついてくる因幡達を『お〜よしよし〜♪』と鼻の下を伸ばして撫でて可愛がる。
まさに事態はカオスだ。
………1羽だけなんか反応が可笑しなヒトがいた気がするが気にしてはいけない。
そして、更にカオスは続く。今度は戦闘に立っていた大巫女が踵を返して森の奥へと走って言ってしまった。
「なっ!?………撤退します!巫女達!撤収!」
そんな大巫女に巫女達も迫真の真剣な表情を作り出して、未だに混乱しているてゐ以外の4人を更に動揺させたまま大巫女が消えていった方向に走り出してしまい、そのままポカーンとしていたてゐ以外の一行を置いて消えていったのだった。
そして、辺りには静寂が流れてしまう。
一行は何が起きたか分からず混乱や恐怖感に支配されてしまい、脳内ではパニック状態だ。そんな4人に因幡達をよしよしと撫でている因幡のボス兎が森の入り口の方向を見て、ボソッと隣で警戒している様子の影狼に聞こえるくらいの声量で一言いう。
「どうやら随分と手がこんでるうさね……………洩矢神の奴。どれだけ凝らせてるんだい?」
「え?……それってどう言う…………。」
影狼がその言葉に反応しようとしたその瞬間。
その瞬間。森の入り口の方向からシュルルルと蛇の鳴き声が聞こえてきた。その音に全員の背中に電流が痺れ走り、全員が急いで振り返るとそこには、
「シャアァァァァァ!!!!」
口を4つに分裂させて開いた4つ目がある巨大な大蛇がこちらに威嚇しながら迫って来ているのが目に映った。
一応補足しておくが、これもまた諏訪子と神奈子が作った神力による幻影だ。そして、この幻影は皆が共通して恐怖する姿を現す。
そう。天狗のお転婆娘達と黒柳飛燕が始めて冒険に出た時に洞窟の中で遭遇したあの森の主の姿である。(*注意書き:「おまけ其の一『天狗の日常回』」の「お転婆天狗娘達と化け鴉のプチ冒険」を参照。)
そんな異形の大蛇が、天狗のお転婆娘達にとってのトラウマ級の存在が、見るも止まらぬ素早い動きで迫ってくれば、自ずと乙女達の反応は決まっているだろう?
「「「「キャぁぁぁ〜!!!!!」」」
そうして、一行は全員叫び声をあげて走り出したのだった。
* * *
哀れな乙女達が本当の肝試しによる恐怖の音色を結界に包まれている森に響かせている中。
数組前にいた青年と妹は手を繋ぎながら暗く静かな竹林の道を緊張した様子で歩いていた。
兄である青年は、5歳の妹と小さな歩幅に合わせながら妹が転ばないように何度も妹に視線を配る一方で、少しの変化も見逃さないように辺りの竹藪と竹林しかない静かな一本道のあたりを警戒し続けている。
そんな兄の忙しない様子に妹は呆れ笑顔になるしかなかった。
「お兄。私は本当に大丈夫。今朝のお腹の傷は女の人達に痛くなくしてもらったんだし、本当に平気だよ?」
「それはそうだけどよ。兄ちゃんはお前の容態が悪くなるかどうかが本当に不安なんだよ。」
兄は辺りをオドオドしながらキョロキョロと見渡してこのヤケに静かな竹林の道を見渡している。
心を鬼にした大巫女達に森で置いてきぼりにされてから、死んだ筈の七年前に追いかけられた妖怪の群れと今朝の早朝に追いかけ回されたあの中妖怪の幻影に追いかけ回されてから、青年はずっとこの調子なのである。
確かに先程まで追いかけられていた化け物達は凄く怖かったが、この兄の妹である少女は気の強い母様に似たらしく5歳児にも関わらず肝が据わっていたので、自分がさっき追いかけられているのがただのまやかしだと冷静に判断することができた。
いや、本物を直でそして、命の危機に晒されながらも見たことのある妹だから幻影か本物の妖かしなのかが判別出来たのだろうが、早熟な娘なのは誰に似たのか。
そんな妹は手汗ににじせる兄の、この手で守ってくれる兄の手をギュウと、今度は安心させるために握り返した。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんは洩矢神様と八坂神様に認められてもらったんでしょ?なら大丈夫だよ。」
そう言って、妹が兄に笑いかけると兄は少しだけ落ち着きたようで、少しだけ目が据わっていった。
「そうだよな。二柱様から『よくぞ、幼き妹を背負って、ここまで辿り着くことが出来た』と。褒められたもんな。」
少し緊張が解けてきた兄に早熟な妹は気を利かせて兄が喜ぶ話をきり出す。
「そういえば、お兄がずっと会いたかったお姉さんにも会えたんでしょう?」
「まあな。だけど、まさかあの『お姉ちゃん』が風祝様だとは思わなかったなぁ……それに前よりも、七年前よりも大人っぽかったし、雰囲気も明るかったから神輿に乗ってた姿を見た時はその変わり様に驚いたよ。」
途端に、兄の口数が増えて緊張なんて消えていく。そんな様子を眺めながら、妹は内心『世話のかかる兄』だと思っていたがが、この兄と妹はある意味お互い様である。
「でも、お兄。そんなに風祝様に夢中になってると、お兄といい雰囲気の街の茶屋の女の子に振られちゃうよ?」
「なっ!?、お前!なぜ知って!?」
途端に静かな竹林の道に声が裏返った兄の声が響き渡るが妹の口撃は続く。
「私、知ってるもん。お兄がその女の子とよく楽しそうに話してるの。今日だって、御柱が立てられてから、神輿が来るまでの少しの間だって、私をその茶屋の女の子と一緒にいた友達に預けさせて2人だけで仲良くお話してたじゃん。」
「ギクッ!……な、なぁ?辞めてくれよ?な?」
「ふんっ。私を放置した罰だよ。折角だし、お兄が風祝様に夢中だってあの子にチクってあげるよ。」
「わっ!?わっー!?それだけはご勘弁を!お代官様ぁ〜!!」
「ふっふ〜ん。なら、帰りに甘い物買って。」
「ちぇっ。ずる賢い妹だな。兄ちゃんの弱みを握って脅すとは。貯めてたお金がこの調子じゃあ、ほとんどなくなっちまっちゃうよ。」
この妹も妹で、中々のお兄ちゃんっ子なのは仕方がないことなのかもしれない。そうでもなければ、こうして兄の恋路に小さな嫉妬を拗らせることもないのだから。
故にお互い様である。しかし、早熟な妹はすかさずフォローを忘れない。早熟故に、妹はそこら辺は兄とは違った。
「なら、七年後まで、2人でまた沢山お金ためて、そのお兄が好きっていうその茶屋の娘と私とお兄の三人で一緒に祭りに行こ?お兄?」
そんな笑顔で言う妹のその発言にに青年は別の意味で緊張してしまう。なぜならば、妹の発言は『さっさと告っちゃいなよお兄。』と、遠回しに言っているようなものだった。
「なっ!?……はぁ〜……もう……お前には敵わないな。本当に。………いいぜ、仕方ねえな〜。祭りの後日に親にでも相談して縁起を結んで貰うかな?」
因みに、この時代、交際=祝言の前段階なのは常識である。そして、親同士の交流も婚姻に影響するため、青年はそう言ったのだ。現代人の皆様は『こいつ自分の恋愛を親に頼るとかダサ〜。プゲラ〜。』とか思わないで欲しい。
というか、ついこの前の平成初期までは自由恋愛よりも縁談で結婚する方が当時は当たり前だったんだから……うゔん。辞めよう。メタすぎる。
「ふっふ〜ん。これでお兄をあの娘に占領されないですむね。」ボソリ
「………ん?なんか言ったか?」
「何でもないよ〜?お兄〜?」ニコ
ちゃっかりと妹もそのデートに混ざることで兄を占領されないように言質をとっている分、青年よりも、妹の方が上手であったようだ。
(次回に続く。)
しゃ、尺的に次回以降じゃないと一万とかいきそうだから終わらない………。
ですので、もう少し伸びます。
読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!
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可愛い! ここに皆入れてね!
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格好いい! そう?まあそれもありだね?
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美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
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変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
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人情姉さん! 私についてきな!君達!
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大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
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乙女だよ! 分かってるねー!
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人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
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未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
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もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
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ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?