ふう〜海に行けそうです。やっとですね〜。
私は数日間を共にしたわかさぎ姫ちゃんを背負いながら、皆に出発の出迎えをしてもらっていた。
「それでは一度海まで行ったら直ぐに帰ってきてくださいね。飛燕さん。」
「行きで二三日くらいだから大丈夫だよ。椿ちゃん。」
「まあ、飛燕なら何とかなるだろうが、一応気をつけるんだよ?護衛なんて初めてだろうし、慣れないことをやるのが一番危険なんだからね。」
「まだ物いじりが途中なんだ。ちゃんと諏訪の地の技術革新のためにも生きて帰ってこいよ?飛燕。」
「何かあればまたこちらにいらしてくださいね。飛燕様」
「分かったよ。諏訪子さん、神奈子さん、大巫女さん。気をつけるね。すぐ戻るから。」
「数日間おじゃました!本当にこんな弱弱な私をわざわざ匿ってくれて色々とありがとう御座いました。皆さんがくれたこの一生の恩を忘れません。」
育ちが良いらしいわかさぎ姫ちゃんはそういって、皆に一礼をするが、皆はそんなの気にしないかのようにわかさぎ姫ちゃんに温かい言葉をくれる。
「礼には及ばないよ?、人魚を久し振りに見れたから別にいいさ。わかさぎ姫。時々でいいから会えればうれしいね。」
「そうださ。人魚なんか海沿いにでも行かないと会えないんだから、いい経験をしたんだ。それだけで、お互いに利があった。それだけさ。またその綺麗な鱗を触らせてくれり」
「あっ!私はですね!食欲をそそられて沢山食べるようになりましたよ?」
「…………それは食べる前提で話してませんか椿様?…でも、素敵な体験をありがとう御座います。
それと、わかさぎ姫。あまり畏まらなくても大丈夫ですよ。ここはそうやって皆で親切にし合うようにして回るようにしているので。だから一生の恩とは言わず、また、機会があったらこちらのいらしてくださいね?」
「皆さん……………。」
そんな心優しい皆の言葉にわかさぎ姫ちゃんはとても嬉しそうにしていた。よかったね。わかさぎ姫ちゃん。
「さて、出発しますか。準備はいい?わかさぎ姫ちゃん?」
「ええ。大丈夫よ。」
「「それじゃあ行ってきま〜す!」」
「いってらっしゃ〜い。飛燕さぁ〜ん!わかさぎ姫ちゃ〜ん!」
「行ってきな。」
「行ってこい。」
「いってらしゃいませ〜。お二人方〜!」
こうして、いつもの私の出発の仕方とは違う、川沿いの道へと私達はてくてくと歩いて進んでいったのだった。
* * *
のんびりと出発してから、半日が過ぎた頃河原についた私達はそこで楽しくおしゃべりをしたり、夕飯を食べたりしながら一晩を過ごし、夜が更けてきたら抱き合いながら寝て、そんなことをしている内に気がつけば翌朝になっていた。
そして、その後は軽い朝食を済ました私とわかさぎ姫ちゃんは昨日の夜と今朝の朝ごはんに使っていた焚き火の後片付けを済まして海までの旅を再開していく。
けど、穏やかな旅路の始まりはやはり嵐の前の静けさでしかなかったようだった。
本当に、わかさぎ姫ちゃんの言っていた通り、結構わかさぎ姫ちゃんは狙われてしまうようで、さまざまな妖怪に狙われまくっていた。お陰で私の護衛としての仕事は増えるばかりである。まる
「シャア〜!!」
「きゃ〜!!イタチの妖怪〜〜!」
「任せな!」
「キャアァァ〜!!魚の妖怪〜!!!」
「今日の夕飯だ〜!!」
「ギャアス!ギャアス!」
「キャアァァァァァァァ〜〜!!怪鳥妖怪〜〜〜〜!!!」
「よし!明日は唐揚げにしようか!」
山ばかりの諏訪の地から南進するばするほど、海の方向へと進めば進むほど、わかさぎ姫ちゃんは妖怪達に次々と狙われて襲われていってしまうので、休む暇もない。
流石わかさぎの人魚。生態系のカーストの下位層にいる魚の人魚のせいなだけあっていろんな妖怪や動物や爬虫類、鳥類などにに大人気である。
にしても数時間に1回に襲われるのはさすがに頻度として多すぎじゃないかな?
「わかさぎ姫ちゃん!手が回しきれないかも。せめて自衛してちょうだい!!」
「無理です〜〜!!生き物とか傷つけるとか怖くて出来ないんですー!逃げるしかないの〜!!」
「いや!弱肉強食な世界で虫も潰せないのは駄目だよ!今までどうやって生きてきたのさ!?」
「仲間とか知り合いにお恵みしてもらってたのよ!」
「随分と姫様だなー!」
「わかさぎ『姫』ですから〜!」(ドヤァ〜!)
「やかましいよ!随分と余裕があるんだね!…………あっ!?しまった。」
「グォ〜〜〜!!」
「きゃぁ〜!今度はクマの親子〜〜!?助けて〜飛燕〜〜!!」
* * *
「ハァ…ハァ………つ、疲れたぁ………。」
「………………なんかごめんなさいね。色々と………。」
「ほ、ホントだよ。というか護衛の私まで命を狙われるなんて聞いてないよ…………。」
「というか、途中から貴方のほうばかりが狙われてなかったかしら……?」
「…………アハハ……そんなの旅のいつも日常だし、慣れてるから問題ないよ。」
「……え?あれがいつもの日常なの?それじゃあ、護衛の意味がないじゃない?」
「もう、この七年でなれたよ………。」ホロリ
「ヒトって非日常に慣れるとこうなるのね………。凄いわ。全然平気そうね。流石に面構えが違うのね。」
そんなことを会話していると、やっと長野の妖怪ばかりいるヤマを抜けることが出来て、平原の近くまで辿り着くことが出来た私達。
そろそろ襲ってくるだろう妖怪の数も減ってきたので、少しの休憩も兼ねて、広くなってきた川の川辺で少しの間休憩するために2人ならんで腰を落とすことにした。
山ばかりだと妖怪も多いが、一度平原に出れば妖怪はあんまり出てこなくなるので、やっと一息つけるという感じだね。ふぅ〜。
………………。
………いやは?ずっと敢えて知らないふりしてたんだけどさ?なんで文達がずっとついてきてるんだろ?
私の能力を知ってる文達ならバレバレなのは知ってるのに、いい加減出てきてもいいだろうに、それでも意地でも出てこないしさ。
時々妖怪の注意を引いてくれてたから、妖怪が集まってきてたの助かってたけど、もう殆ど危険もないのなら、それなら顔をあわせればいいのに。
「まあ、山場は越えたから大丈夫だってのに?まあいいか?」
「何の話なの?飛燕?」
「なんでもないよ。わかさぎ姫ちゃん……ふぅ…………お腹すいたなぁ……。丁度いいや。一緒にきゅうり食べよ?わかさぎ姫ちゃんはきゅうり食べる?」
「まあ、食べますけど。というか"きゅうり"ってなにかしら?あんまり見たことないわよ?最近名前だけは聞くけど?」
実はきゅうりは古墳末期から飛鳥時代にかけて平安期までの間までに大陸から伝わってきた野菜で日本ではまぁまぁの中堅的な古株な野菜なのである。まあ私達からしたら今の話のことだからどうでも良いことなんだけど。
「いやね?大陸から最近渡ってきたらしくて、わかさぎ姫ちゃんが売られてた市場の野菜売り場にあってね。
新しいものなら気になって食べたくなるじゃん?なんと珍しくいものは手に取りたくなるし?。だから、旅の準備の間に一人買い物しに行って、沢山買っておいたんだ〜。ほらっ?わかさぎ姫ちゃん?、沢山あるから取って取って〜。」
「うっ……市場………嫌な記憶が………というか数十本って……そんなに要らないじゃないの?…………まぁ、美味しそうだから有り難く頂くわ。ありがと。飛燕。」ヒョイ
「どうぞ、どうぞ。味噌とか塩もあるけど?」
「ありがと。じゃあ味噌をお願い。」
「はいよ。―カプ―…ん…んぐ。いいね。子供の頃を思い出すよ。味噌以外には味はないけどキュウリらしく美味しいね。ハイ味噌だよ。どうぞ。」
「ありがと。―カプ―……へぇ〜?…こんな味がするのね?味は薄いけど新鮮で中々美味しいわ。」
「そうだね…………懐かしいなぁ…。」
「懐かしいの?最近、ここ等に広まってきた食べ物じゃなかったのかしら?」
「ふっ……秘密だよ〜?」
「教えてくれないなんて、ケチねぇ……―カプ―…ん〜!意外とクセになるわねこの噛み応え。ゴクン……ふぅ〜。ごちそうさま。」
「お粗末様。」
きゅうりか………懐かしいな〜。夏祭りに行くと必ず屋台で売ってる冷やしきゅうり。値段も子供には優しくて食べると暑さが吹っ飛ぶから、毎年何本も前世の親友と並んで食べてたんだっけな〜?
はぁ…本当に、懐かしいなぁ〜。
私がきゅうり片手にそんなことを私が昔のことを思い出していると、一本目のきゅうりを食べ終わて、二本めに取り掛かろうとしていた、わかさぎ姫ちゃんが私の肩をトントンと叩いてきた。
「―カプ―…―コリコリ ゴクン―……ねぇ。飛燕?」
「ん?どしたの?わかさぎ姫ちゃん?」
「……………なんか見てくるんだけど?知り合いかしら?」
「ん?」
「ほらっ。今気づいたんだけど、なんか向こう岸に緑の生き物二匹ががこっちを見てないかしら?」
わかさぎ姫ちゃんの言う通り、川の向こう岸を見てみるとそこには一匹の山童が私達が食べている姿をよだれを垂らしながらジーと見つめていた。
「あ〜ね。あれはと河童と山童って言うんだよ。河童は水陸両生の生き物で、もう片方陸に上がるようになった山童っていんだよ。
山童は普段は山の中にいて見かけるってのに、仲の悪い河童と川辺にいるのってのは珍しいね?」
「いや、それもそうだけど、飛燕が説明してる内に川の水面か河童が出てきてるんだけど?」
「まだまだ沢山あるしまだ食べ足りないでしょ?だから続き食べよ?はい。今度は塩で食べてみようか。」
「ありがとう。あら?こっちのほうがおいしいわね。」
「そうなんだ?珍しいね。普通は味噌派が多いのに。」
「―カプ―…あら?……けっこう故郷の海の味に近いのかしら?私は淡水でもいられるけど、冬以外は海にいるし…え?…普通に無視なの?ほらっ、2匹とも段々と近づいてるわよ?飛燕?本当に無視でいいの?」
私がきゅうり片手に水面の方を覗いてみると、本当に口に手を加えてヨダレを垂らしている河童が水面から私達を見つめながら段々と近づいてきていた。
「あっ、ほんとだ………。近づいてきてるや。―カプ―ん〜♪おいひぃ〜♪」
そして、私が呑気にきゅうりを食べていると、二人組の山童と河童の少女はもうすぐそこまで来ているのが分かる。
「「ジトー」」
「「………………。」」
どうしてほしいのか分からない。ヨダレを垂らしながら、少しずつこっちに寄ってくる2体の河童と山童だったが、ある地点でおっらこっちらと近づくのを辞めてしまった。
そして、二人は『にとり!君が行きなよ!』『そっちがあの二人に先に話しかけなよ!たかね!普段の河童は臆病なんだからさ!』『それは山童もだろ!』『嘘つけ!たかね達山童は商売上手なんだろ?』『あれでも怖いんだよ!』『臆病者の猿!』『そっちこそが臆病者の両声類だろ!』などと、こちらにも聞こえる声でコソコソと喧嘩をしてしまう始末だ。
そんなお間抜けな二人組に私とわかさぎ姫ちゃんが顔を見合わせていると、彼女等はお互いに喧嘩口を聞きながらも、きゅうりの魅惑に負けて少しずつ近づいてくる、という器用なことをしながらお互いに押し合いながら川を横断して近づいてくる。
流石にこちらから話しかけないのは気が悪く感じてしまったので、折角なら私たちから話しかけることにした。
「どうしたのさ?そこの二人組は。私達に用があるなら話くらいは聞くけど?」
「い、いや?ねぇ?そ、そのぅ〜………その緑の食べ物はなんて言うんだい?凄くおいしそうじゃないか。鴉くん。」
「す、少しだけでもいいからさ。さ、先っぽだけでいいからさ。ね?本当に先っぽだけでいいからさ。
河童のお姉さんにだけでもいいからくれないかな?鴉くん?こっちに一、二本くらいいやその鞄ごと投げるだけでもいいからさ?」
「いやいや。鴉くん。こんな両声類にあげるのは勿体ないだろう?この山童のお姉さんにだけでもいいからね?河童如きになんかには猫に小判だ。だからこっちだけに投げてくれないか?」
「何を〜!!河童のほうが元の種族なんだぞ〜!!陸に上がった猿のくせに、そっちこそいらないだろ!偉い河童に譲れ!!」
「川岸でしか殆ど住めなくなるほうがいやだろ!寧ろ、新しい環境に飛び出すこともできなかった臆病者のくせに!」
そう言って、最初は少しどもりながらも2人の河童と山童の少女は押し合いひしあいして。お互いの足を引っ張り合いながら元の喧嘩腰に態度に戻っていく。
あのさ?…………そんなに欲しいならさ、なんでこっちにまっと近づいてこないんだろうね?
…………河童と山童って、かなりの臆病者な性格だから、近づいてこないのはそう言う理由なのかな?
「…………取り敢えず、こっちに来れば良いんじゃないの?ほら、少しくらいならあげるから、丁度沢山あるし。来なさいよ。」
「「えっ!?……良いの!ヒャッホー!!」」
「きゃっ!?」
私がわかさぎ姫ちゃんの前にきゅうりを2本置いた瞬間、二人の河童と山童は勢いよく飛びついてくる。
そして、わかさぎ姫ちゃんを大声で騒がせ驚かせた後、お互いに押し合いへし合いながらも、一番近かったほうのそれぞれの左右にあった二本のきゅうりを一斉に一口食べた。
あれ?このシングル率……さては仲がいいな?チミたちは?
私がそんなことを呑気に考えていると、きゅうりを一口食べた二人は、その瞬間に両膝をついて、恍惚たした表情で偶像崇拝をするかのようにして、きゅうりを仲良く空に掲げ始める。
「「お、美味しぃ〜〜〜!!!なんだこの食べ物は!?これに出会えるなんて!!生きててよかったぁ〜〜!!」」
「な、なんなのよ…この二人組…………。急変が怖すぎるわね………。」
「ま、まあ。無害そうだしさ?良いんじゃないかな……?」
ま、まぁ。いいかな?それにしても二人共。冷静に観察しあら、凄く可愛らしい見た目だね?
きゅうりに夢中な今なら抱き上げて、愛で手を繰り出しても許してくれそうだね?グフフフ
* * *
「いやぁ〜!美味しいねぇ〜!!この世にこんなに美味しい完璧な食材があったなんてね。感激だよ〜!」キラキラ
「河童如きと同じ意見なのは気に入らないけど、そうだね。にとり!これは革命的、いや!私達河童や山童が信仰すべき品物だよ!!」キラキラ
「そうだね!たかね!」キラキラ
私が差し出したそれぞれのきゅうりを食べ終わったてから、さっきまでいがみ合っていた筈の2人は、私が『仲良くしたらもう1本ずつあげる』と言えば、2人して仲良りしだしてから、今のこのざまである。
詳しく言えば、二本目もあっという間に食べ終わらしてしまって、再び私にきゅうりをせがみながらお互いにいがみ合いをしだしたのでため息を吐きながら私が再びきゅうりを上げれば、今度は、二人共私が私達二本目のきゅうりを食べずに、きゅうりの大袈裟ともいえる感想会をしながら私達の後ろを川沿いにテクテク歩き、これ見よがしに聞こえるようについてくるようになってしまったのである。
どうやら、見た感じ、二人共きゅうりのことを随分とお気に召したらしいけどさぁ〜。仲良くしなよ?
でも、それでもきゅうりが好きになったのが、二人は時々喧嘩腰になりながらも、2人仲良くまだまだ私が背負っている袋の仲にある沢山のきゅうりのお裾分けの追加を揃って狙っているようにも見える。ワザと喧嘩するのはやめなさい。
今なんて、チラリと私が後ろを向くと、頬をつねあっていた手をどかして途端に肩を組んで私に『仲良くしてますよアピール』をしてくる。どんだけきゅうりを食べたいんだよ。執念が凄いな。河童のきゅうり好き魂を舐めてたよ。
それにしてもつねってる所の頬が赤くなってますよ。二人共。
「なんだか変な道連れが出来たね…………。」
「………そうね。まあ人数が増えたから襲ってくる妖怪も近づかなくなったから私としては良いんだけど…………?」
「それについては賛成だけど、仲良く出来ないのかなぁ〜?」
逆に仲が良いのかもしれない。喧嘩するほど仲が良いんだろうね。多分。
私とわかさぎ姫ちゃんは『そのきゅうりをよこせ!あんた等河童には勿体ない代物だよ?』『なんだい!たかね!そっちこそ山童には要らないだろ!せっかくならそのきゅうりを私にくれないか!!』と、もつれ合って喧嘩している2人を呆れた目線を向けながら海までの道を進んでいくのだった。
* * *
そうして、時々後ろから聞こえてくる2人の喧嘩のギャーギャー音や、偶にきゅうりについて一気投合して結論し合っている仲の良いのか悪いのか分からない声を交互に聞きとりながら、それを背景音にして、私とわかさぎ姫ちゃんは川辺をゆっくりと歩いていく。
そんな再び別の意味で騒がしくなった旅路も、そろそろ数日目の夜に入って、辺りが暗くなった頃だった。
― パチ パチ ―
結局は焚き火を囲っている輪に加わってきた二人共だけど、そんな二人は追加のきゅうりと魚をちゃっかりといただきながらも、お互いのいがみ合いは続いていた。
「このきゅうりは私が分析して量産化するんだぁ〜!!、たった1本あるだけで十分だから、私がにとりのきゅうりを食べてあげるって言ってるんだよ!!」
「何おう!その手には引っかからないよ!たかね!そんな案をだすなら、こっちの案のほうがいいとは思わないのかね?
その手に持つきゅうりを私に預けてくれれば量産化がしやすくなる。だからさ、たかね?そのきゅうりを私に渡してくれないかな?」
「はっ!嘘が下手だねぇ〜にとり〜?そう言うくせに、実は自分の住処に帰って1本食べた後に量産化して仲間の河童達と一緒に独占するつもりだろう?陸水別れたからって結局は袂が同じな種族なんだよ。
そんなチンケなあんたの陰謀なんか透けて見えるんだよ!」
「なにを偉そうに!お前こそ考えてたことは同じだろうに無駄に生意気だぞ!
勝手に水に上がって適応しただけの2番着が!!そっちこそ私のきゅうりから手を離そうとしないじゃないか!!たかね!だから私のきゅうりから手を、はぁ〜なぁ〜せぇー!!」
「嫌だ!!きゅうりから手を離すもんか!にとり!そっちこそ私のきゅうりから諦めて手を離せよー!!」
「「ぐぬぬぬ………!!」」
いや、これは犬猿の仲だね。うん。
「はぁ……そんなに仲良く出来ないのなら、追加のきゅうりをあげようかな〜とか元々思ってたんだけどなぁ〜?その様子じゃぁ。もう渡さないけどいいよね?二人共?」
「「何言ってんだい!盟友(鴉くん)!!こいつとは旧友の仲さ!!だからきゅうりだけは渡してくれ!!」」
「…結局息が合うんだから仲がいいのよね………。」
「そうだね。わかさぎ姫ちゃん。………あとさ、文達。覗いてるくらいなら出てきなよ。私の能力の前では隠れても無駄なのは知ってるでしょ?まあ、文との契約で心内が丸見えなんだけどさ。」
「「「………………え?誰かいるの?」」」
疑問の声をあげる水生妖怪組を横目に私が近くの草むらの方を向くと、その方向の草むらからガサガサ音がなり始めて、ギャイギャイとした騒がしい声がし始めた。
―ガサガサ―
「ほらー!だから普通に合流すればよかったじゃない!どうせ怒られるなら最後まで悪さするほうがマシだって言ったじゃない!はたて!!」
「け、けどー!あやぁ〜!だけど見つかるのも違うじゃん。流石にもう辞めて帰ろうよーいい加減お母さんが心配するよ〜?」
「ん〜!」
案の定、ギャーギャーと騒ぎながらも、文とはたてがなぜか縛られて喚きまくっている椛ちゃんを引きずりながら諦めたかのように出てくる。
「早く出てくればいいのに……。いったい何してんのさ?あと、なんで椛ちゃんは縛られてんの?」
「「口封じ。」」
「ん〜ん〜〜!?んん〜!!」
…………いや、椛ちゃんが縛られてるのは予想は出来なかったわ。
「きゅ、急になんだい!?」
「て、天狗!?なんでここに!?」
天狗の強大さを知っているらしいにとりとたかねは、揃ってお互いの身体を抱き合いながら震えだす。
そんな実は仲の良い2人の間関係のことを実は誰も気にしていないのは河童と山童の性格を、全員がこの半日間で元から知り尽くしているからだろう。
そんな2人の怖がる様子に、天狗としての誇りを持っていた文は調子に乗って開き直ったのか、ニヤリと自信満々に椛ちゃんを抱きしめるはたての手を引いて、ズケズケと私に近づいてくる。
そひて、わかさぎ姫ちゃんの反対側の隣に立って、フンスと鼻を鳴らして腕を組みながらはたての言葉に言い返し続けていく。
「ねぇ〜!早く帰ろうよ〜〜!」
「嫌よ!どうせ、怒られるのなら!最後まで悪さしたいのよ!」
ふむふむ。気持ちはわかるぞ文ちゃんや。どうせ怒られるのなら沢山悪さしたいよね〜?
「…………えっ?文ったら、滅茶苦茶居座る気満々じゃん?一旦でもいいから天狗の里に帰りなよ?文達の飛ぶ速さなら1日で帰れるでしょ?」
「ふんっ。良いのよ!まだまだ私は遊び足りないの。だから飛燕。あんたのその人魚の護衛ってやつを手助けしてあげるわ!」
「あやぁが聞かなくね?ごめんね〜?ひえん〜?」
「もう!だからさー!龍さんが心配してるって!」
急ににわかさぎ姫ちゃんがいる川の近くへと引っ張られる私はなす術なくわかさぎ姫ちゃんの近くに寄せられてしまう。
「わっ!?ちょっ!わかさぎ姫ちゃん!?急に引っ張らないでよ!」
「どうせなら道連れにしましょ?飛燕。海までの護衛が進んで増えてくれるのはうれしいことじゃない。だから飛燕。連れていきなさい。」コソコソ
………意外とわかさぎ姫ちゃんって腹黒いタイプなのかな?
私はわかさぎ姫ちゃんのずる賢い思考のこともあるが、こういう時の文の頑固さを曲げるのには骨が折れるので、諦めのため息を吐くことにした。
「……はぉ、分かったよ。文。はたて。ちゃんと護衛してくれるならついてきても良いよ。」
「やったー!!ふぅーー!!やっほ〜う!!」
「あ、あやぁ〜!急に暗闇に飛び出すと危ないよ〜!!」
「あの……二人共?いい加減椛ちゃんの紐を解いてあげなよ?」
「「あっ。」」
少し先の川辺を飛び回る2人だったが、私の指摘に思い出したかのように、椛ちゃんの前に降り立って申し訳なさそうに後ろ頭を擦るのだった。
「ん〜!」
椛ちゃん。………本当にお疲れさまです。
* * *
文とはたてによって猿轡と紐を解かれた椛ちゃんは立ち上がって早々に二人組に説教をし始めた。
まあ、今回は文が悪いから擁護出来ないのでこちらに助けの目線を送って来ないで諦めて椛ちゃんに怒られなよ?二人共?
「―もう!いつまで私のことを縛るつもりだったんですか?私が文様の暴走を止めるために大天狗様に報告しようとしたからといっても、いくら何でも2人して私を縛り上げて猿轡をつけさせるのはのは違うじゃないですか?」
「ご、ごめんって、椛。分かったから。そんなに怒らなくても良いじゃない?」
「でも、椛ぃ〜。あやぁが勝手にぃ〜……。」
「いえ。貴方達は分かっておりません。本当に分かっておりませんよ。だから一から説明して差し上げますからね?
お二人方は天魔様と大天狗様の御娘。それ即ち大事なお身柄でおられるのです。
それ以前にですが、もし、貴方達に何かあった事を知った時のお二人の親御様達の気持ちが分かりますか?」
「うっ…それは〜……、なにも言い返せないや………。多分、お母さんなら泡を吹いて倒れるかも……。」
遠い未来でそうなるらしいよ?はたて。恐らく260年以上先だけど当たってるのは凄いことだね。
………はっ!?電波!?
「ふんっ……私は母親の顔すら知らないもん。そんなの想像すら出来ないもん。」
「知る知らないではありません!!兎に角、今度こそ私が遠吠えで大天狗様に報告致しますから、今度こそはもう邪魔しないで下さいよ?
いい加減しないと大変です。これ以上報告を遅らせると私が大天狗様に怒られてしまいますからね。」プンプン
そんなことを言いながらプンプンと怒る椛ちゃん。そんな椛ちゃんの後ろにあらぬ筈の影が佇んでいた。
そのことに気がついた文とはたては顔を青白くガタガタと震えだす。ついでに、にとりやたかねやわかさぎ姫ちゃんや私もプルプルと震え出す。
「あの……椛。その………もう時すでに遅いかもしれないわね。」
「お、お母さんが………怒ってる…………。」
「はい?いったいなんですかまったく。二人共また時間稼ぎしようとしているなら、私は引っかかりませんからね?」
「違うって椛。ほら…後ろ…………。」
「…………ん?」
椛ちゃんが文とはたてに促されて後ろを振り返ると、そこには震えるにとりとたかねの隣にて、いつの間にか焚き火の輪に加わって龍さんが鎮座していた。
それも、無駄ににこやかに笑顔を椛に向けて鋭く濃厚な妖力をわずかに発して辺りに漂わせながら。
龍さんマジギレ寸前である。
「キャンッ!?大天狗様!?」
「……………椛。私は言った筈だ。『祭りが終われば翌日以内には2人を買えられせろ。それが祭り代を預ける条件だ』と。既に5日が過ぎているぞ?」
「キャイ〜ン!?」
焚き火の近くにあった石から腰をあがって椛の前に立つ龍さんの圧力に、椛ちゃんは思わず犬顔負けの鳴き声をあげながらシドモロモドロにもなりながら答える。
「いや、その………大天狗?わ、私は今すぐにも役目を。」
「そうだな。椛。確かにそなたの志は分かっている。だが、椛。私の娘と天魔様の御娘を預かる身として、二人に不意打ちで捕まり捕虜のような扱いを受けるとは………些か油断し過ぎではないのか?」
「そ、その………言い訳も御座いません………。」
「なら、文とはたての隣で説教の列に加わるんだな?………椛。」
「……………はい。」
「天狗って、やっぱり聞き史に勝る恐ろしい種族なんだね。にとり。」
「そうみたいだ。たかね。あの天狗を怒らさないように気をつけよう。」
「………龍さん…こぇ〜。」
「ヒュゥ………。」
文達を怖がらせ、ガチガチと歯を鳴らしながら泣き目にしてしまう程の、龍さんの静かな重圧のある恐ろしすぎる説教を見ながら、私たちは身体をガタガタ震えて焚き火の温度で身体を温めていくのだった。
(続く)
龍さんは怖いのです。海回は次回からです。
読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!
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可愛い! ここに皆入れてね!
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格好いい! そう?まあそれもありだね?
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美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
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変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
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人情姉さん! 私についてきな!君達!
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大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
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乙女だよ! 分かってるねー!
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人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
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未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
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もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
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ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?