(前回からの続きです。)
「で?それで、どうして一人で物陰に隠れてたのよ?」
妹紅と名乗った娘がやっと落ち着いてきたので、早速事情を聞くことにしたかぐやと清太の二人は、まだビクビクしている妹紅に優しく話しかける始める。
対して、妹紅はおずおずとしながら応え始める。
「う、うん………その…私、実は迷子になっちゃってて。」
「「うん。それは知ってる。」」
……と、いえども、やはりこの二人。
どちらもかなりのドライな性格である為、面倒くさい言い回しは嫌いな傾向がある。だからこんな反応になってしまうのは仕方が無いと言えた。
そんなの反応に、妹紅は鉄砲玉を食らったハトのような顔を目を点にさせてしまった。
「………え?」
「いや、私達は何処でどうやって逸れたのか聞いてるのよ?」
「一人で女の子が泣いてたら迷子ちったくらいしか思いつかないだろ?逆に他にも理由がなくないか?」
「え?……それって……き、聞き方が悪くないの?」
「「…………確かに。」」
「………私の聞き方が悪かったわね。」
「まあ、かぐちゃん頭はぱぁ〜としたお花畑だから仕方ないな。」「やかましい!あんたよりも頭はいいわよ!!」
「…………………。」
妹紅と言う娘は、ポカーンとしたまま二人の言い合いを見つめることしかできなかった。
「………っとごめんなさい。妹紅?……それで?言い方を変えるわね?何処で親とは逸れたの?」
「……あの大きな神社の近くで…だけど…。」
「あ〜ねえ〜?……あそこね清太兄?」「ん?俺もわかるぞ。確かにあそこだな?かぐちゃん?」
「えっ!何処か知ってるの?」
「「いや、全然分からん。」」
「むぅ〜!!さっきからふざけてないで!真面目に取り合ってよぉ〜!!………ふふっ…。」
おちゃらける二人の息の合った漫才に、不満顔を表しながらも思わず吹き出してしまった妹紅に、二人は更に畳み掛け始まる。
「ごめんな〜?妹紅?でも、仕方ないんだよ。かぐちゃんが脳内で笑わせろって。やれやれ」
「ごめんね〜?清太兄が笑わせろって。やれやれ」
「アハハハハッ〜!も、もう辞めて〜!アハハッ!わざとマヌケ顔をしてくるの!」
先程の涙ぐんだ顔から変わって大笑いをし始める妹紅に二人は内心、安堵して一瞬悪戯な顔を合わせた後、あえてお互いの頬を引っ張りながら妹紅に話しかけ始める。
「よし?元気になったかな?妹紅ちゃんら?ひょしたら、かぐちゃんは役に立たないけれど、安心して俺にまかれろ?」
「大丈夫らろ?妹紅!この馬鹿な清太兄はポンコツらから、代わりに私に任せらさい!」
「アハハッ!二人の顔っ!!も、もう駄目ッアハハッ!」
「「うん?なんのことら?」」
「アハハッ!!」
見事に元気を取り戻しえ笑顔になった妹紅に二人も笑顔になってお互いのことを紹介しあい、お互いに馴染んできた所で移動し始める。
そんな三人はまるで兄弟のようにも見えるだろう。
清太は末の可愛い妹分のように、かぐやは下の妹分をゲットだぜと言いたそうに、そして、まだ黒髪の妹紅は今まで笑うことが少なかった自分を一生懸命笑わせてくれる初めての年上の友達を獲れたような笑顔を浮かべていた。
そんな三人は時々笑いをはさみながら、すっかり打ち解けてそれぞれの世間話をしはじめた。
「所で、妹紅は何処に住んでるんだ?ここの村出身って感じではないんだろ?」
「えっと……その……私は………都の方に住んでるの。」
「へぇ〜。それじゃあ、妹紅?私も今度そっちに移り住むからその時にまた会えるかもね?」
「………本当?なら、これからも会えるの?」
「ま、まあ?会えるかもね?………でも清太兄の方はどうなのよ?そういえば、私が都に行った後の清太兄の話しは聞いてなかったわよね?」
「俺の今後の話か?………う〜ん?分からないな?……俺は末の息子だし、……多分、どっかとかに奉公とかさせられるかもな?この近江の豪族様とかに対してとかかもしれねぇなぁ〜?」
「清太兄はもう一人前になるんだもんね〜?本当に、時は早いわ〜。」ニヤニヤ
「そうなの?」
「まだガキのお前がそれをいうなよな?阿保なかぐちゃんよ?」コツン
「痛っ……。」
「まあでも行き先は決めてないし、村長にも相談しないといけないかもな。………………お?そろそろつくぞ?」
そんなことを話していたら、気がつけば神社の近くの市場にたどり着いた三人はいつもより賑わっている人混みの中をキョロキョロとしながら妹紅の母らしき人物を探していく。
― ガヤガヤ ワイワイ ―
「う〜ん?いるかしら?」
「見当たらないな?妹紅?お前の母ちゃんは見当たらいないのか?」
「う…ゔん……お、お母さん見づがらな゙い゙。…グスッ。」
「あ〜あ〜!、分かった。分かったから〜?な、泣くなよ〜?妹紅ちゃん。俺が何か買ってやるからさ?」
「ほら、あそこの屋台で売ってる漬け茄子の焼き物はどうかしら?きっと上手いわよ〜?」
そうして再びグズりだした妹紅の手を優しく引く宥める清太に、続けてかぐやがすぐ近くにあった屋台に指を向ける。
「…グスッ…いいの?清太?」
「ああ、いいぜ。俺とかぐちゃんは月女姉さん軍資金を貰ったからな。多少なら奢れるぜ?」
「あ、ありがとう……グスッ……。」
「おう。どういたしまして。」
すると、どうやら妹紅は涙を止めてその屋台の方へと少しだけ興味が逸れたらしい。
泣きやんだくれたことに対して2人は安堵の息を吐きながら顔を見合わせてコクリと頷いた後、その指さした焼き茄子の屋台に、妹紅を中心に三人仲良く手を繋ぎながら人混みを掻き分けながら向っていくことにした。
「おっちゃん。漬け茄子一つくれ。」
「ハイよ清太。ちょっと今から焼くから待ちな。にしても、また新しい女をひっかけてきたのか清太?
月女さんとかぐちゃんの次は、今度は年端もいかねえ子供すらも引っかけてきたのか?おい?………いやぁ〜?将来が、楽しみだな〜?」
「ちょっとやめてくれよ。おっちゃん。俺はそんなつもりはねえよ!」
「はいはい。そう怒んなって。少しくらいまけてやるから許せよ清太?」
― ジュ〜 ―
ジュ〜と漬け茄子の果肉のとたれの汁が網目に垂れて蒸発する音がして、いい匂いを漂わせててきて三人のお腹をグ〜空かせてくる。いつの世も、美味しそうな食べ物の匂いは人の食欲をそそらせてくる。
そんな三人の腹の虫の匂いを聞いた屋台ほおじさんは楽しそうに笑いかけてくる。
「アッハッハッハッ!そこまで良い反応を返してくれるなんて、茄子を育てた甲斐があるなぁ〜?…………にしても、着物姿が綺麗な別嬪さんだな〜?その着物は月女さんから貰ったって言う奴だったかい?」
そんな気さくなおじさんのおべっかきにかぐやはその場でクルクルと小さく回りながら自慢しだした。
「そうよ、月女から貰ったの。……ふふ〜?いいでしょう?………やっぱり綺麗よね〜?この着物?………褒めてくれてありがと。おっちゃん。」
「そうかそうか。なら折角だ、そんな美人さんに相手になら本当におまけしてもいいぜ?
どうせなら3本にしたらもっと料金をまけるとかはどうだい?」
「…………う〜ん?にしも、焼き茄子ね?……どうせなら、私も貰おうかしら……ねぇ?清太兄?私にも奢ってちょうだ〜い?」
青年が屋台のおじさんに注文のついでにやり取りをしていると、話を振られたかぐやは急な猫撫で声で青年に纏わりつく。かぐやはご飯が絡むと色々とがめつくなるのであった。
だが、そんな彼女に清太の答えは決まっている。
「お前は月女姉さんからふんだくったっていう自分の小遣いで買え。」
「なんでよ!?私にも奢りなさいよ!清太兄!!」
「嫌だねぇー!」
流石、兄貴分である。厳しい時は厳しかった。
だが、そこら辺がしっかりしているからこそ、かぐやに気に入られたのかもしれない。
「アハハ……仲がいいんだ……二人共……。」ボソり
そんな二人がいつも通りギャーギャー騒ぎ始めるのを見ていた黒髪の少女は、楽しそうに二人を見つめてポツリと小さく口に出すと、茄子を焼いていたおじさんは聞こえていたようで仲良く喧嘩している二人を横目にしながら、妹紅へとコソコソと話しかけてきた。
「お嬢さん。この二人は小さい頃からずっとこんな感じだぜ?
清太は末息子だし妹はいなしな。かぐちゃんは拾われた一人娘だからな。まあ、要はお互い異性の兄弟がいないから嬉しくてこうやって仲良くしてるのさ。」コソコソ
「そ、そうなんだ………。」コソコソ
「おう。だから、清太には甘えるだけ甘えとけ。奴は妹分になら甘くなるからな。ほらっ今だって結局はかぐちゃんに奢らせられてるからな。」コソコソ
茄子屋のおっちゃんがクイクイと未だに口喧嘩している二人を親指で指すとそれに反応した青年が不満口で銭を差し出してきた。背後には勝ち誇った様子のかぐやがいた。
「おい!おっちゃん?あんまり妹紅に変な入れ知恵すんなよ?………はぁ……仕方ねぇなぁ〜?……茄子追加で2つやいてくれ?」
「はいはい。だと思ってお前らが喧嘩してる間に追加で焼いておいたからな?」
「気前が良いのかせっかちなのか………」
「気が利くわね〜?おっちゃん。」
「だろだろ〜?俺の嫁もそう言ってくるからな。いい男だろ?………お?ほら、焼けたぞ?火傷するからすぐ食うなよ?」
それぞれに火の通った漬け茄子を渡された三人は熱々の茄子を火傷しないように慎重に食べながら妹紅という娘の親を探すことにした。
その間、祭りの雰囲気に財布の紐が緩んでしまっている三人は何度も屋台に立ち寄って買っていくので、やっと貴族様が引っ込んだことで万灯の方へと流れていった人混みに流されてついた頃には、気がつけば三人の姿にはひょっとこのお面や風車から祭りの道具に包まれてしまっていた。
今の三人共は祭りに夢中になってしまっていて当初の親を探すという目的は忘れてしまっている。それくらい三人はこの祭りを楽しんでいるということだった。
「わぁ〜。綺麗〜!」
そして、万灯祭の光をみた妹紅が純粋な驚き声をあげる。対して二人共誇らしげにこう答えた。自分達の努力が褒められるのは誰でも嬉しいことなんだろう。
「だろう?この村の住民がこの沢山の提灯を皆で作ったんだよ。コツコツとな。」
「私は今年は20個は作ったわ。因みに清太兄は18個。私のほうが今年は数も上よ?」
「やかましい。お前はまだ暇だから良いだろうがな?俺は一人前になる準備で、今年からは結構色々大変だったんだからな?
去年みたいには行かねえんだよ。だから、初めて数で勝ったからって調子乗るなよ?かぐちゃん?」
「へっへぇ〜んだ。お腹の肉を鍛えてるだけの負け犬の遠吠えなんえ聞こえないもんねぇ〜?」
「ああ?喧嘩売ってるなおい?それに、この筋肉を舐めるなよ!このヒョロガリ!」
「あぁ〜!?私が気にしてること言ったわね!!?いや…フンッ!こういうのはスレンダーっていうんですぅ〜!!
そっちこそ!いっちょ前に他の女から目線を受けてから気にするようになっちゃって!清太兄の癖に生意気ね!!」
「俺の妹分の癖に!口だけは達者だなぁ〜?焼き茄子を奢ってもらった兄貴分に言う口ぶりとは思えないんだけどなぁ〜?それともヒョロガリだからがめついのかなぁ〜?」
「それはそれ!これはこれ!それに私はヒョロガリじゃないから!訂正しろぉ〜!この筋肉馬鹿!」
― ギャーギャー ―
もう見飽きただろう二人のプロレスを無視するようになった彼女はキョロキョロとあたりを見渡す。
今頃ではあるが、妹紅本人は本来の目的を思い出しようである。
そして、祭りの参加者の全員が集まっていたおかげなのか、彼女はやっと念願の親を見つけることが出来て声をあげて駆け出した。
「あっ!!母様だ!」
「あっ!?おい!急に走り出したら危ないぞ?妹紅!」
「妹紅?何処行くの?」
二人が急いで、走り出した妹紅の後に追いかけていく。
そして、やっと2人が人混みを掻き分けて妹紅に追いつくころには、妹紅は大人の女性に笑顔で抱きついて女性を驚かしていた所だった。
「キャッ……妹紅?今まで何処に行ってたのよ?ずっと探してたのよ?」
「えへへ〜。ごめんなさい母様。でも、新しい友達が出来てその子達と巡ってたんだ〜!」
「………そう、新しいお友達が出来て凄いわね〜?妹紅。」
「………あれ?……そういえば、動き回ってるけど、母様は病気の身体は大丈夫なの?」
「あ〜?それはね?妹紅?お母さんの体調は今日は頗るいいみたいだから今日は心配しないで大丈夫なのよ?
でも、貴方が無事でよかったわ〜!貴方と逸れた時から兎に角人が多い所を探してたんだけど見つからなくて…。」
「あれが?妹紅の母親か?」
「少し肌が白すぎるわね…?」
抱きついてきた妹紅を抱き返しながら、笑顔で会話をしていた病弱な女性は、駆けつけてきていた二人の存在に気がついたらしい。
妹紅の黒髪の短髪を撫でながらこちらに頬笑かけてきた。
その姿は病弱で大人しい雰囲気がありながらもながらも何処か溌剌さを醸し出している。
「あら?……あなたたちが妹紅を気にかけてくれていた新しいお友達さん?」
「あ、はい。そうです。清太と申します。ほらっ?かぐや?」
「は、はい。……私はかぐやと申します。」
「かぐやちゃんと清太くんね。……本当にありがとう。迷子になってた娘を預かっててくれて?
それに、……妹紅の姿から見ると…どうやら娘をかなり楽しませてくれたようよね?それも感謝するわ。ありがとう。」
「い、いえいえ。こちらも楽しめたのでお互い様ですよ?妹紅のお母さん?」
「ふふ。そういうことにしておくわ。………それで、妹紅は二人とお祭りを巡れて楽しかった?」
「うん!…最初、母様と逸れて、一人っきりになっちゃった時は怖かったけど、その後直ぐに駆けつけてくれたかぐちゃんと清太のお陰で楽しかったの!」
「ふふ………そうなの。なら良かったわ…妹紅。………ゴホッゴホッ。」
「母様?……お身体、大丈夫?」
「ふふ……まだ大丈夫よ。妹紅。」
心配してくる娘を安心させるように、朗らかに笑いかける彼女。
そんな彼女は、咳をしだして少し顔を顰めだすと、恐らく隠れて彼女の周りに張り付いていた護衛らしい一人が近づいてきて、体調が少し悪くなりそうな女性に耳打ちをする。
「奥方様?………旅の疲れもあります。帰りの旅を凌ぐ体力のことも考慮いたしますと、そろそろ…ゆっくりと休める場所に行くほうがよろしいかと?」
「そうね………ここで倒れたら藤原様にご迷惑をおかけしますからね。」
「では…私めは手車の準備を…………。」
「ええ。よろしくお願いします。それでは、二人共。私は体調がよくなくなったからここでこの祭りの席を外させて貰います。
では、また機会があったらなら会いましょう?清太くん。かぐやちゃん?……ほら?妹紅。二人に挨拶してちょうだい?」
「うん!……じゃあね〜!!清太〜!かぐちゃ〜ん!今日は一緒に遊んでくれてありがとね〜!!」
「おう!またな〜!妹紅?」
「次会った時は、いい加減、泣き虫は治しときなさいよ〜?も妹紅〜?」
そうして、親心はかぐやと清太の二人に手を振られながら遠巻きに護衛している一人の女性と共に周りで光り輝いている万灯籠を背後に立ち去って行ったのだった。
そして、残された2人は肩の力を抜いて安堵の息を漏らす。
「ふぅ〜。なんだか今日は色々あったな?」
「そうね。もうクタクタよ。でもまあ、悪くない一日だったわね。新しい友達も出来たし、都での楽しみも一つ増えたしね。」
「………………そうだな。かぐちゃん」
やっと一息ついた二人は、少し高い丘まで昇っていって、毎年万灯祭も終わりに近づいてきたら、座りに行っているいつもの岩での階段の上に腰を据えることにした。
「………月女姉さんと、かぐちゃんの三人でこの最後の祭りの景色を楽しみたかったなぁ〜?」
「……そうね。今年で最後だものね。私がこの村にいられる時間は………。」
そして、少しの間黙っていた二人は、遠くで祭りの参加者達が万灯籠の間に作られた幾つもの分かれ道に分かれてそれぞれ楽しんでいるのを眺める。
そして、そのまま続いていた沈黙の後に、穏やかに万灯籠を眺めていたかぐやの横顔をチラリと見ていた清太が再びかぐやに話しかける。
「なぁ……かぐちゃん。」
「な〜に?清太兄?」
「…………いや、なんでもないわ。」
「………?………なによ?清太兄にしては歯切れが悪いわね?言いたいことがあるなら言えばいいのに?」
「いやな?……ただ、お前とのここでの生活ももう後少しで、最後なのかな〜って、本当に思ってさ………。」
そういう青年の言葉に思わずかぐやは彼の顔を凝視した後、少し気恥かしくなったのか、顔を赤らめてそっぽを向いてしまう。
「………ふ、ふん。何を今さら。もう、ずっと前から決まってたんじゃない?だから、そんな賢まらなくても―」
「―俺は、俺が小さいガキの頃からずっと一緒にこの村で生活出来るのかなって思っててさ?
かぐちゃんが都に行くまでの時期はまだ先だまだ先だって思ってたんだよ。」
「………………。」
かぐやの言葉を敢えてさえぎった清太は、万灯籠をじっと見つめて、こちらを眺めてくるかぐやに向き直らず話を続ける。
「でも……いざ、年数が経って、かぐちゃんが大きくなる度に、美しくも成長していく度にさ。………段々実感してくるんだよな。」
「………何を?」
「いやな……ただの勘だぜ?なんだか、『かぐちゃんは俺達とは違う絵本のような存在何だな』って思ってな?………『俺達とは違う生き物なのかな』って。
遠く離れた生き物というか違う存在になりそうで。正直、寂しくなってったんだよ。オレたちは兄妹分の間柄でもあるのにさ?まるで、家族じゃなくなっちゃうのかなってさ………。」
「………………。」
そう、独りごちる青年。彼は勘がいいのか何なのかは分からなかった。
ただ、直感にてそう感じたかのように言う彼の背中は少し寂しそうだった。
「……そう。馬鹿馬鹿しい話ね。………こうして一緒に話してるのに。違う生き物な訳ないじゃない?清太兄?」
そういう彼女は、丁度満月だった空を見あげながら呆れた様子でそう語る。
「かぐちゃん………。」
そんな彼女に、青年はそう口を開こうとしたが、彼女の名前を呼ぶだけで、後は口を閉ざすことしか出来なかった。
そんな彼を置いていくように、大将的に彼女は独白のように口をゆっくりと動かし語り続ける。
星を、月を暗闇と明るい光を、交互に見比べるようにしながら。
「この世界は、明るみに満ちてるわ。『穢』ばかりでとか言ってる変な人達もいるだろうけれど、こんなに世界は美しい。
なのに、そんな世界に生きてる清太兄がこの美しい私と違う生き物?そうは思わない。」
この時代の支配層以外の人間は、生きるためのモノ以外は学が基本ない。そんな世界でたった一人の村の住民でしかない青年は、かぐやの言っていることが殆ど分からなかった。
彼の頭の中には『"せかい"ってなんだ?』『"けがれ"?なんじゃそれりゃ?』など、一つの言葉を切り取っても全く分からない。だってそれがこの世界のこの時代の人々の"当たり前"だったんだから。
けど、それでも彼女は話を続ける。青年には理解して欲しくなかったから。理解しないで、ただ、彼女の兄貴分として友達として家族として隣で変わらず口喋るだけでも十分だったから。
「こんなにも世界は空は地面は生き物達は美しいのに、それを知らずにただ穢らわしいとかいう奴等がいるのに……そんな世界で私は"生きている"の。………ねえ?清太兄もそう思うんでしょ?」
だが、青年にとって一つだけ分かっていたことはかぐやと自分は同じ場所で『生きている』ということだった。
「そうか……そうだな。…………なんだか、わからねえけど、俺のことを安心させてくれてありがとな、"かぐや"。」
「……ええ。どういたしまして。"清太"。」
二人はその後、お互い赤くなってしまった顔を合わせられずに目の前の万灯籠の景色を見続ける。
まるで、万灯籠の明かりで赤くなってしまったんだと言わんばかりに。
暫くした後に、やがてかぐやが今度は青年に話し掛ける。
「ねぇ………清太兄。」
「何だ?かぐちゃん?」
「………私が都に行ってもさ。ずっと私のことを覚えておいてくれる?」
「ん………?何だそりゃあ?俺がかぐちゃんのことを忘れる訳ないだろ?死んでも嫌でもお前の顔は忘れられねえよ?」
「……なら?あんたに子供が出来たら、私のことを末代まで語り継いでね?そう……孫にも曾孫にもそのその曾孫にも。」
「おいおい。どこまで語り継がせる気だ?そこまで俺は長生きできねぇぞ?」
「ふふ。そこまで無理難題なことは言ってないわよ?清太兄の遠い遠い子孫にも、私の"物語"を、この私の美貌を覚えてもらえるなら、私はそれだけで満足なの。それが………私にとっての何よりも、他の何物よりも代えがたい大事で特別な"宝"になるんだから。」
「……………………。」
青年にはこの生意気な妹分のその意図は分からなかった。
もしかしたら、かぐやの下らない自己満かもしれない。つまらない欺瞞な目的があるのかもしれない。
ただ、青年はかぐやの、そう自分の妹分のお願いに応えてやることにした。
何故ならば、青年は彼女の兄貴分だから。そして、彼女は青年にとって、何よりも頼ってくれる妹分だから。
「…………はっ、臭いことを吐くなぁ〜?かぐちゃんも…………でも、良いぜ?語り継いでやるよ?兄貴分として、家族としてよ?」
「…………ありがとね。清太兄。」
「ああ。どういたしまして。かぐちゃん。」
珍しく、肩を寄せ合った二人は、そうして、万灯籠の光が消えるまでの間、ずっと綺麗に光輝く大地の上に広がる更に美しい景色を眺め続けたのだった。
今回で前編は最後で、次回からは中編になります!
いやぁ〜!本当に楽しくて仕方が無いなぁ〜!
読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!
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可愛い! ここに皆入れてね!
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格好いい! そう?まあそれもありだね?
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美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
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変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
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人情姉さん! 私についてきな!君達!
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大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
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乙女だよ! 分かってるねー!
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人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
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未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
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もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
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ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?