化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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 段々開き直ってたのしくなって来ました。戦記物もそれはそれで楽しいですね。作者は歴史好きなので実は内心ザッビースト化してたり………。


 けど、ほのぼの系はそろそろ欲しくなってきました。無いんですけどね。(ほのぼのジャンキー)





16羽:「洩矢大戦『破』②」〜絶望〜

 

 

 

 後方の部隊を何とか救出した飛燕が、大巫女を、中心に合流しようと移動していた時、一方の前方の部隊は八坂神のいる陣内の手前まで辿り着いていた。

 

しかし、やけに敵の圧が少ないのが不気味だった。椿はまるで誘い込まれているかのように感じていた。

 

 

 (何かが怪しい………。)

 

 

 しかし、その怪しさと敵の思惑は分からなかった。私達の分断の各個撃破を狙っているかと思えば、私達を容易く本陣まで届かせているのが分からない。まるで自分が直接私達と戦おうとしているように………。

 

 

だが、椿は止まらなかった。飛燕のことを信じて今は自分の役割を果たすべきだと考えて突き進んだ。

 

 そして、八阪神までの道に最後の陣だけが残った。

 

 

「八阪神様に近づけるな!!追い返せ!!」

 

 

 敵が騒いでいるが、そのまま霊力の術で振り祓い、残りの敵兵達には能力を使用した。

 

 

 私は飛燕さんとの戦いで学んだ、この能力をそのまま使うことはリスクが大きすぎる。今までは負ける可能性はなかったが、飛燕さんのような敵が現れれば使えなくなる。

 

 だから、私は能力の応用を神力の修行をしている時、飛燕さんと一緒に考えた技。

 

 

 もう同じ鉄は踏まない!!

 

 

「無駄です。私を止めることは出来ません。」

 

 

 ― 『罪の番兵』 ―

 

 

 この技は新しく考えついたもの。それは相手の罪を数え、測ること自体は変わらないが内容は異なる。

 

そう相手の罪の数はそのまま私の召喚する手駒を増やす数となり、罪の重さは私の手駒の強さに直結する。そして、私はその『罪の番兵』達を自由に操作できるが、自らの意思で判断し動いてくれるという余りにも番狂わせな技だ。

 

勿論、制限はある。それは相手を祓えばその罪も祓われてしまい、それと同時に『罪の番兵』達は消えてしまう。故に、其の場限りの使い切り。しかし、この戦場では最適だった。

 

 

私はこの力の媒体として立ち会い、見届けるだけ。だからリスクはない。動こうとすれば直ぐに動けるため、自衛にも使える。

 

 

 

 

 そして、その敵兵の罪の数だけの私の『罪の番兵』達が地面に発生して、そこから黒い影から漆黒の戦士となって現れた。

 姿はそれぞれだった。殆どが戦士の見た目だが、中には動物や畜生妖怪の姿をしている者もいた。

 

その数は200程。

 

 

 

 「ヒッ!!」

 

 

 十数人の敵兵達が、黒い姿の者達が佇みこちらの方向を見ているという異様な光景悲鳴を上げる。

 

 

 「行きなさい!!」

 

 

 

私の合図と共に、罪の番兵たちは悲鳴を上げる敵兵達を『祓い』そして消えていった。

 

 

(これで…やっと辿り着ける。)

 

 

 私が安堵の息を吐いたと同時に兵士達を伴って現れた母上が現れた。

 

「ツバキ、大丈夫?ケガはない?」

 

 

「どさくさに紛れて母親ボケをかまさないでください。」

 

 

「なに、緊張してるかと思って、空気を解かそうかなってね。」

 

 

「寝言は帰ったら沢山聞きますから早く行って下さい。私達が話している今でも後続が足止めをしています。

 

 

 …………母上…………ご武運を。」

 

 

「ああ……言ってくる。」

 

 

そう言って、椿は兵達を連れて言った。

 

 

 

後に残ったのは洩矢神だけだった。

 

 陣内では兵士達の大声で周りが騒がしい筈なのに、妙な沈黙が場を支配していた。そして、洩矢神は陣内に入っていった。

 

 

陣内に入ってみるとそこには1人の女性が座っていた。

 

 

彼女は八阪神であった。その顔は恍惚に染まり目は闘志に溢れている。その表情で全てが分かった。

 

 

「どうやらそっちも望んでいたことは同じな様子だね。少しやんちゃが過ぎるんじゃない?痛い目見るよ?」

 

「そうしてみて欲しい。中々ない機会だ。」

 

「確かにそうだね。お互い久しぶりの同格が相手だね。こっちは久しぶりに暴れられそうで楽しくなりそうだ。」

 

「なに、私は初めてさ。お手柔らかに頼む。」

 

 

「へぇ…そうなんだ。丁寧に捌いてあげる……………じゃあ始めようか?」

 

「ああ是非そうさせて貰いたいな。これ以上の言葉はいらないな?そなたの名は?」

 

 「洩矢諏訪子。君は?」

 

 「八坂神奈子だ。それじゃあ始めよう。」

 

 

 

  「「本物の神々の決闘を!」」

 

 

 今、この時。洩矢大戦における神々の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 「大巫女さん!!今から前方の部隊と合流するよ!!」

 

「はい!」

 

頑張って敵兵の戦列を突破した私達は、やっとこさ守りの陣を引いている椿ちゃん達の部隊に合流することが出来た。

 

 

 

「飛燕さん!!」

 

 

 声のする方を見ると、先頭で戦っていた椿ちゃんが兵士達に護衛されながら走り寄って勢いよく抱きついてきた。

 

 

「椿ちゃん!!こらっ!!戦の途中でしょ?大巫女さんが敵の攻撃を防いでくれなかったら危なかったんだよ?」

 

私がたしなめるように言うと、逆に椿ちゃんは戦場にいるとは思えない程の明るい笑顔で笑った。

 

 

「いいんです。今は私の『罪の番兵』で時間稼ぎしているのであとは兵士さん達に任せているんです。」

 

 

 私は椿ちゃんを抱きとめて、椿ちゃんの蔓延の笑みの顔を見あわせた。

 

 

「それで、そちらは平気でしたか?」

 

「こっちは平気だよ椿ちゃん。大巫女さんも巫女さん達も大丈夫。諏訪子様は?」

 

「丁度、母上を送り届け終わった後です。」

 

 

 

 その時、陣内が吹き飛んで2人の神が、ぶつかり合う姿が露わになった。

 

 

 片方は土着神の頂点にして呪詛の権能を司る神

 

 

  ― 『洩矢諏訪子』 ―

 

 

 

 もう片方は戦を司る軍神にして乾の権能を合わせ持つ神

 

 

 ― 『八坂神奈子』 ―

 

 

 

 二人分の影の力のぶつかり合いの余波がそのまま戦場を通り抜ける。

 

眩しいほどに輝く光が発生したあと、戦場にソニックブームという爆風が血で汚れた大地を丸ごと荒らしていった。

 

 

「ひょわ〜〜!!ありゃあヤバいな。マジで天変地異じゃん。絶景だね。出来れば二度と見たくないな。うん。」

 

 

「これ以上余所見している暇はありませんよ?近くに敵が迫っています。大巫女。巫女達を率いて救護班としてここに新たな陣を置いてください。怪我人もここに。」

 

 

「承知いたしました。風祝様。」

 

 

「私達も生きましょう。これ以上は兵士達に怒られてしまいますからね。」

 

「そうだね。行こうか。」

 

 

 私達は丁度『罪の番兵』の効果が切れたことで一斉に向かってくる敵達を見やり、兵士達を連れて飛び出した。

 

 

 ― アトマスティックバースト ―

 

 

 ― 禁断のヘイトスパイヤ ―

 

 

 空気の暴力と幾つもの漆黒の槍が振り注ぎ、敵兵を薙ぎ払う。

 

 

 「ここで耐えよう!!」

 

 「我慢強さなら誰にも負けませんよ!!」

 

 

 ここからが地獄となることをまだ私達の誰も予想する事が出来なかった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 戦が始まって、1時間が過ぎていた。決闘が始まって数十分と言った所だろうか。

 

 洩矢神の軍勢は徐々に劣勢に立たされていった。

 

 そう、無尽蔵のように現れる敵兵達を兵士達と共にあしらうように守りに徹っしているが、元々何の遮蔽物のない平原だ。守りには向いてないのは明確だ。しかし、その不利な位置で洩矢神の軍勢は陣を引いていたのだ。それもまるでそこに位置するのが決定的かのように悪い地形。

 

 

 そして、その状況は洩矢神の軍勢に強い負担を強いていた。四方八方から現れる敵兵、巫女達や椿や飛燕の支援があるとしても、休憩などロクにさせて貰えずに戦い続けていて疲労が溜まっている兵士達の守りは少しずつ、だんだんと弱まっていった。

 

 

 

 それは神の視点で見れる洩矢神だけが気づけた戦況だった。しかし、そこに意識を割いている暇はなく、不安ばかりが募ることしか出来ない。

 

 

「どうした?余所見とは随分と余裕があるようだ。」

 

 

 八阪神が殴りかかってくるのをミシャグジ様で防ぎながら洩矢神は内心激怒しながら高圧的な笑顔で答えた。

 

 

「白々しいね。君だろう?わざわざ私達があそこで捕まるようにしたのは?」

 

 

 そして、今度は大量の呪いを生み出して八阪神めがけて突っ込ませるが、八阪神はそれを生み出した幾つもの青銅の盾を使って防ぎながら顎をさすっていた。

 

 

「ああ、そうだ。私がこの状況に持っていった……だが、なぜそんなに自分の兵士達を気にする?」

 

 

 つくづく勘に障る奴だ。それもワザとこちらを激昂させて隙をつかせようとする魂胆などが見え隠れてしているので、相手の思い通りにさせるかと努めて冷静にこたえる。

 

 

「そんなの決まっている。あそこには家族が沢山いる。それ以外に理由はいるかな?」

 

「?……分からん。なんだ?そんなことで?」

 

 

 

 

 洩矢神は八阪神との会話は噛み合っているが、何処か認識のようなモノが噛み合っていないことに気が付いた。

 

そして、同時に昔の自分に似ていることに。

 

 

(そうか………こいつは『愛』を知らないのか………。)

 

 

 軍神は『愛』を知らなかった。だからこそ、ピンと来ていない。理解出来ない。その事実は華やかで壮厳な雰囲気の見た目のとは裏腹に何処か虚しさのような哀愁を感じさせているように洩矢神は感じた。

 

 

「…………まあいい。お前が気にしているのならば、その理由を潰すまでだ。そうすれば私との決闘に集中してくれるだろう?」

 

 

 だからこそ、このような無情なことを平気で言える。洩矢神はある種の同族嫌悪を味わっていた。同時に同情も……。

 

 

 (こいつは…………昔の頃の自分だ。愛を知る前の………。)

 

 

 

 味方達が危機に陥っていることだけでなく、今だに過去を引きずっている洩矢神にとって、この決闘はますます負けられはい戦いになっていた。

 

 

 

 そして、己の過去に立ち向かわなければいけない時が洩矢神に迫ってきていた。

 

 しかし、洩矢神は考えたくなかった。まるで逃げるかのように神力を放出して威圧の笑みを浮かべる。

 

 

 

 

「そんなことしなくてもいいさ。なんせ今直ぐに決着をつけさせてやるから。」

 

 

 洩矢神はミシャグジ様を神力で強化させて、口を開かせる。そして口を開いたミシャグジ様から莫大な神力のエネルギーを内包しさせた。

 

 対して、八阪神は空気を震わせて右腕の周りに莫大の量の電気を纏わせる。

 

 

「………やはりお前とは楽しくできそうだ。」

 

 

その時の八阪神の顔は嬉しさに顔を歪めて無邪気に微笑んでいた。

 

洩矢神は彼女に負けじと微笑返す。

 

 

「私はこんな戦なんてさっさと終わらしたいけどね?」

 

 

 

「ツれないな。だが、直ぐに終わらすつもりはないよ。」

 

 

「勘弁してくほしいね。この形だけど、実はいい年なんだ。」

 

 

 

呪いの塊と電撃の塊という膨大なエネルギーがぶつかり合う。

 

 

それでも、お互いの余力は無尽蔵にあった。勝負はまだまだ続く。

 

 

それは、洩矢神を段々と追い詰めながらも続いていった。

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 皆で守りに徹してから2時間が経っただろうか?そろそろ兵士達の限界が迫ってきている。

 

もうすでに400以上は死傷者が出ている。治療に専念する巫女さん達の負担も大きくなっている。

 

 それは、私と椿ちゃんも同じで疲労が溜まってきていた。それはそうだ。二人一組で動きながら交互に能力を使い、敵の攻撃に崩されそうな所を手当たり次第に遊撃し続けているんだから。

 

 それに、私の能力の限界が近くなってきた。神力を使って能力の為の精神力を節約していたのでまだ使える余裕は残っているが体力面がキツイ。

 

 椿ちゃんはやはり能力を使っていた期間が長い分体力も精神力も多かったし、諏訪子様程ではないがその身に宿る膨大な神力や霊力を使っていたので、余裕はある。

 けど、もう霊力は半分を切って、息切れしてきている。

 

 

「呑気な神々方だ。さっさと決着をつけて下されば良いのに。」

 

 

私は強がりを決め込みながら愚痴を吐いて迫りくる敵を白幻と黒妖で射撃して打ち倒した。

 

 

「ハアハア……それ程。母上と八阪神がそれ程に同格で力が拮抗しているんでしょう。だからこそ、ここまで決闘が長引いているんです。」

 

 

 代わる代わる前に出てきた椿ちゃんが神力と霊力を纏わせた御幣を振り上げて十数人の兵士を吹き飛ばした。

 

 

「そうだね………。けど、段々と諏訪子様が押され始めてるように見えるんだ。」

 

 

 私が即興で仕掛けた罠に引っ掛かった敵兵に触れることで意識を飛ばすと、椿ちゃんがその気絶した兵士達を使って数十の罪の番兵を生み出し、崩れかかっていた別の戦場に向かわせた。

 

 

「…………私達は私達の戦いがあります。今は目の前に集中しましょう。」 

 

 

「………分かった。けど、無理はさせないよ?辛かったら少しは休んで。椿ちゃんは私と違って人間の体なんだから。少しの油断が命取りだよ。」

 

 

「はい。もう1周したら5分程休ませて貰います。ハアハア。その間は……貴方1人になってしまいます。」

 

 

「良いって。私は化けガラスだよ?少し負担が増えたくらいで息切れなんてしないよ。妖怪はそんなことでへこたれないから。」

 

 

「……強いですね。飛燕さんは。」

 

 

「そう?椿ちゃんの方が私より強いじゃん。」

 

 

 実際、私は椿ちゃんとまともにぶつかり合えば勝てない。この戦いだって椿ちゃんの方が活躍している。私は持ち前の機動力で敵を撹乱できているだけで、火力は椿ちゃんと比較的に見ると弱い。敵だって、効率的に倒せているかどうかは微妙だった。

 

 

「いえ……、貴方はこの状況で一番冷静になって物事を観察しています。周りに気を取られているように見えて、実際は俯瞰して物事を観察しており、それが冷静な状況判断に繋がっています。目の前のことしか集中出来ない私とは違います。」

 

 

「…………。」

 

 

 椿ちゃんの言いたいことは分かった。けど、これは私の妖怪といあ種族的な特性だ。私の精神構造が人間のままだったら取り乱してあっさりと死んでいただろう。

 逆に人間の精神構造なのに、冷静にいられる椿ちゃんのほうが数十倍は強い。私なんて根本的に弱者だから。

 

 

「ハアハア………1周しました。それでは私は一次戦線を離脱します。」

 

 

 

 気が付けば、いつの間にか周回が終わっていたようだ。

 

 

「それでは……私は兵士達の回復に向かいます。」

 

 

「ちゃんと休みなよ。」

 

 

「大丈夫です。私に必要なのはジッとすることですから。動かなければ身体は休めます。それでは…ご武運を。」

 

 

「うん。頑張ってくるよ。」

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 一方、洩矢神は血まみれで膝をついて気絶していた。

 

 

 

「なんだ………こんなものなのか?これが同格?」

 

 

 

八阪神は失望の目でジッと倒れている洩矢神を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 






次回か更に次回で決着です。
 

暫く後の話になりますが、もしこの小説で登場する天魔様の性格はどうな風がいいですか?参考程度に教えてください。

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  • 怠惰で不器用影で色々してる父ただし親バカ
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