①「化け鴉と椛の名将棋」
②「お転婆天狗娘達と化け鴉のプチ冒険」
③「グ〜タラ娘とグ〜タラ鴉」
④「めぐむ様のお悩みと化け鴉」
⑤「稽古の日常」
⑥「生意気娘の夢の話と化け鴉」
今回はの③と④です。
補足として言って置きます。今回の『天狗の里での日常回』パートの時系列としてはオリ主が天狗の里に初めて訪れてから出発するまでです。
混乱した方はすみません。
③「グ〜タラ娘とグ〜タラ鴉」
今日はいい天気だ。昨日は大雨で夕方まで降っていたから風も気持ちが良く、涼しい。外に出ていくなら丁度いいだろう。しかし、1人の鴉天狗の少女と1羽の化け鴉はぐーたらしていた。
いつもは皆を引っ張っている元気はつらつ少女はお嬢様様教育で忙しいし、そっちに従者は手伝いに行っていていない。
故に、見事に1人と1羽が残ったというわけだ。
今2人は龍さんの屋敷の中にある一部屋、はたての少し広めの部屋の縁側に座って、お茶とお菓子を頂きながらボ〜としていた。
「暇ぁ〜〜〜ひえん〜〜〜。」
(まあ……仕方ないよ。文と椛さんのお稽古が終わるまで私達が遊び呆けるのは可哀想だし………。)
「……………ひえんは不思議なこと考えるよね〜?」
(どういうこと?)
「普通は、私達妖怪は自分本位に動くし、同族でも相手に不利が無ければ遠慮しないんだよ〜?正直ひえんは妖怪っぽくないなぁ。」
(そうかもね………だってついこの前、龍さんから教えて貰って初めて妖怪だって自覚したんだよ?)
「ふ〜ん?やっぱ、あたまが良いからなのかな?私の鴉達はひえんほどあたまが良くないからさ〜。人間みたい!!」
(アハハハ…………化けガラスだからかな?)
やっぱりはたて、勘が鋭いな………私は心は人間だからね。まさか、はたてに見破られるとは思わなかったな〜〜〜。まあ、本人は冗談で言ってるだけみたいだけど、ドキドキするから辞めて!!心臓に悪い。
「さあ?まあ、どうでもいいやぁ〜〜〜〜。」
いやっどうでもいいのかい!!
こんな能天気なはたてだが、実は結構凄い子なんだよね〜。
普通、鴉との契約は鴉天狗一人につき1羽だけど、はたては十数羽と契約している。はたては人見知りのようだけど、その分鴉達と仲が良くなりやすく、スルッと鴉達と契約をしてしまう。はたてにとって友達感覚だが、実際は下僕契約だ。
しかし、はたてと鴉達の絆は強く、はたては無理に命令もしないし、一羽一羽と会うたびに会話を重ねながら頼み事のように頼んでいる。いい子だよね。うちのパートナーもそうしてほしいよ。
複数の鴉と契約を結ぶことは鴉天狗の中では異常で、そしてもの凄く優秀な証でもあるらしい。本人は別にそんなことはなく、はたてにとって鴉達と仲良くしたほうが気が楽だからそうしているだけなのに。
「ひえん〜〜〜。何かあそぼ〜。部屋の中で出来ること〜。」
(いいけど、何かあるの?)
「う〜〜ん……確か、囲碁があるような〜〜〜。」
(へぇ〜〜。あるんだ。出来るの?囲碁?)
「五連ならできるよ〜〜?」
五連とは、囲碁の石を使って先に自分の色の石を5個連ねて並べた者が勝ちの、誰でも簡単に出来る遊びだ。
けど、マルバツゲームのように3×3の空欄に入れる訳ではなく、あの囲碁の広い盤の上で、5個揃えるように置かなければいけないので、相手が余程間抜けでない限り中々揃えるのは難しい。けど、それが楽しいんだよね。暇つぶしにはもってこいだ。
(あ〜ね。それなら私も出来そう。)
「うん。やろ〜〜!!」
(やろっか!!)
私とはたてはお菓子と飲みほして中身のないお茶を片付けて、囲碁の準備をする。と、言ってもはたてはお嬢様なので自分の部屋の中に遊び道具は色々あるのだ。だから、そこまで時間はかからない。
筈だが…………。
「ひえん〜、見つからないから一緒に探すの手伝って〜!」
はたてが遊び道具入れを取り出そうとして、物入れの襖ヲ開けると、ガラガラと玩具やガラクタ類が崩れ落ちてきてしまい、散乱した。
(散らかりすぎだよ!はたて!!)
「いいの!これが落ち着くんだから。」
私は、思わず呆れ顔が出てきてしまう。まぁ私の顔は鴉だから表情筋がないから実際には出来ないけどね。こういうのは雰囲気ってもんよ。
それにしても、はたて。散らかりすぎ。埃が待ってるよ?掃除しよ?
「コホッコホッ!?」
(ほらっ!埃が気管に入ってるから!!取り敢えず私が埃を『飛ばす』から、はたては退いて。)
「うん…コホッコホッ!?………少し掃除しようかな……。」
私はその場で、翼を大きく動かして飛び立った後、少しの間に空中に浮かんだ瞬間、翼で風を生み出した僅かな風をではたてのガラクタの山に向かって軽く『飛ばし』た。
するとその埃達は舞い上がる。それだけでは辺りに埃が舞ってしまうので、その後は同じく翼で僅かな風をつくった後、思いっきり縁側の外へと『飛ばし』た。
「おお〜〜!ひえんって結構器用だね?私達鴉天狗と同じことも出来るかも!」
(えっと………確か念動力って奴だっけ?)
「そうっ!私達鴉天狗はね。妖力を使って風だけじゃなくて大きな物を動かしたり、自分の飛ぶ速さを速くしたり、相手の動きを封じたり、結構いろんなことが出来るんだよ?」
(へぇ〜〜!それって凄いね!何でも出来ちゃうじゃん。)
「そうなの。特に長生きした天狗は大天狗っていう偉い人になって、もっと色々なことが出来るようになるの。私のお母さんも沢山のことが出来るんだよ?……だけど、何故か皆力を隠しちゃって、中々本気を出さないんだよね?なんでだろう?」
(う〜〜〜ん、それは〜多分種族的な特性なんだと思う。)
「種族的な特性?」
コテンと顔を斜めに傾かせてハテナマークを出すはたて。
グヘヘヘ〜これがあざと可愛いって奴なんだね?いいねぇ〜?この無知で純粋そうな表情。今度オネェさんがイロイロなコトを教えて上げるね?グフフフッ
(そうだよ。まぁ、これは龍さんに聞いたことだけど、天狗って種族は全体的に自尊心(プライド)が高いんだと思う。だから皆本気を出したくないんだよ。その本気を出してもし負けちゃったら、自分の自尊心が傷ついちゃうから。)
「ふ〜〜〜ん?なんかよく分からないけど、天狗の皆は心が弱くて負けたくないから本気出さないんだ〜?」
(………アハハハ、まぁそういうことなのかも。)
ウグッ……、はたてちゃんって実は結構物事をズケズケ言えるタイプなんだね。なんとなくだけど、はたてちゃん。将来いろんな意味で大物になるかもね。
「まあそんなことどうでもいいや。ねぇひえん〜〜!丁度いいからさ、片付けしよ?それが終わったら囲碁の五連をしよう。」
(うん。そうだね。『周りのことばかりを見るんじゃなくて、まずは目の前を見ろ』だね?………はたてちゃん。)
そんなに何処の誰かも知らない周りのことばかりを言ってもしょうがないし、時間の無駄だから目の前の楽しみを見つけた方が有意義だもんね。
それに、自分の道は他人の誰が言おうと、結局は自分しか見つけられないからね。他人の言葉ばかりを気にしちゃだめ。参考程度に聞くのが一番いい。
皆もそういう心意気がいいと思うよ?そうすればきっと悪口が少なくなっていく世の中になると思うから。
「ひえん。今の凄くいい〜〜!!」
(フフン〜〜〜♪、良いでしょ?さぁ、チャチャっと片付けちゃお?私は軽いものならくちばしで運べるから、大きめな物を運んでね。)
「うん…………やっぱりひえんは『変なヒト』だね?妖怪なら普通はこんな面倒なこと、手伝わないもん。」
(へへん。でも、その分早く片付けが終わるから沢山遊べるんだよ?これなら納得する理由でしょ?)
「フフッ……確かに。けどやっぱりひえんは変だよ。」
(言ってな言ってな。早く片づけよ。)
「うん!!」
片づけに少し時間はかかったけど、1時間くらいで終わったから、昼ごはんまで時間に余裕が出来た。その後はのんびりしながら見つけ出しておいた囲碁を使って五連を沢山した。
そうそう、どっちの方が勝った数が多かったのかは……………あれ?数えるの忘れちゃってた。テヘっ!
意外と私もはたてと同じくらいグータラなのかもしれない。
そんなことを考えながら、私ははたてと昼食を皆で一緒に食べる為に稽古から戻ってくる文と椛さんを迎えにいったのだった。
④「めぐむ様のお悩みと化け鴉」
お転婆娘達が昼食をペロリと平らげて、お昼寝をしている頃、龍は執務室で一人書類の処理を黙々と続けていた。
朝早くからしているこの作業、かれこれ7時間が過ぎていた。
この長時間労働しているならば悲鳴や欠伸の一つはしてもおかしくないが、龍はそんなことを気にせずに思考しながら作業を続けていく。
(何故、こんなに天狗の里での妖怪の侵入数が増えている?いや?これは我々の身内の誰かによる犯行の手引きだろう。)
年々増えている妖怪の侵入の発見数の増加。しかし、誰も気が付かない程の微々たる数の増え方。だが、年々少しずつだが、確実に増えている。それも私の管轄の部下以外の他の大天狗達の管轄の地域の部下からの発見ばかり。
(無意味な小細工の意図はなんだ?何故こんなことを?………そうか。くだらないな。)
よくよく考えてみれば簡単だ。ほとんどの大天狗は今の天魔様の地位をあわよくばと狙っている。だから、これもあの老害共の小細工の1つ。恐らくある程度手引きした妖怪の侵入数を伸ばしたら、『今代の天魔様がその地位についてから、妖怪達の侵入が増えています。これは異常なのでは?』とでも指摘して、少しでも口撃の材料にしようとしているのだろう。
勢力を少しでも増やしたいという魂胆が丸見えだ。相手をするのも馬鹿馬鹿しい。
………だか、自分達の欲望や野望の為に天魔様を陥れようとしていることは確かだ。もしかしたら他にも悪巧みしているかもしれない。あの老害共だ。それだけに飽き足らず更に工作を練るだろう。
(いっそのこと、滅ぼしてやろうか?)
…………いや、あれでも実績や影響力は十分にある。この里とは他の天狗の勢力の抑止力としての実力はある。中々動き出すことはないが………。
…………この里に貢献しているうちは消すのは良くないだろう。安易な行動はただの愚策だ。
それに、暫くは表舞台に出なかったあの『最古の妖怪』が動き出しているという情報もある。今は、迂闊に自陣営の勢力を減らすことは出来ない。
だが、このまま唯では済むとは思わないことだ。老害共め。せいぜい私の掌の上で遊んでいればいい。
「はぁ…………こうも面倒事が増えると、疲れる一方だ。」
―バタッ―
(失礼します………あれ?龍さん。どこかお疲れですね?)
思わずため息を吐いていると、執務室の襖が少し雑に開らく音が聞こえた。
この不慣れな開け方の音は………やはり化けガラス殿だったようだ。どうも2つのお茶と昼食を空中に『飛ばし』ながら運んできたらしい。疲れるだろうによくやる。
彼女の身体は鴉だが、私が存在を教えてから習得した能力を使いながら、同じく能力で器用に先程開けた襖をしめていた。
その異常な器用さは大芸能をやっている賜物か?たが、なぜわざわざ不器用に襖を開け閉めする。
…………なんだか私の考えていることに、矛盾が発生しているようだが長時間の仕事で疲れてしまっているのだろう。
「化けガラス殿…………一体どうかしたのか?」
(いやっ、別に大したことでもないよ?
ただ、忙しくなっちゃった椛さんの代わりに『まだ働いているかもしれない大天狗様を無理やり休ませてほしい』って椛さんに頼まれちゃってね。
丁度気分転換になるだろうし、どう?お茶にしない?遅い昼食でもつまみながらさ、軽く話そうよ。)
そう言いながら、化けガラス殿は持ってきた昼食を私の執務机の上に置いた後、私の隣の机の位置まで飛んできて着地し、私の横で茶を飲み始めた。
距離は近いが、この無神経で警戒心の無さが陰謀にまみれた私にとっては心地がよい。この鴉を気に入っておるのはこう言う理由なのかもしれない。
まさか、齢三桁を超える大天狗である私がこんなちっぽけな妖力の化けガラスに絆されるとはな………世界はまだまだ未知で出来ているらしい。
それにしても、……あの従者はよく私を見ている。
このような気の使い方をされては休むしかないではないか。真面目で誠実な従者の滅多にない久しぶりの『お願い』だ。やはり、これは遠慮などせずに願い通りにするべきだろう。
…………それに、
「化けガラス殿の意見が、少しは入っているように聞こえたが?気のせいかな?」
(あちゃ〜〜〜、バレちゃってたか〜〜〜。まぁ、私もそう思ってたからさ。ゆっくりしなよ。息抜きだからさ。)
「よいよい。私も丁度疲れていた所だ。昼食を食べるとしよう。」
さりげない気遣いが出来る者達に恵まれた自分を嬉しく思いながら、にこやかに、そしてのんびりしながら私は化けガラス殿と同じく茶を啜った。
天狗の里での日常は次話で終わりそうですね。
おまけの『天狗の里での日常回』パートの中で一番気に入った回を教えてください!!このパートを全部読んだ後にお答えしてくださると光栄です。
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①「化け鴉と椛の名将棋」
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全部好きだよバカヤロー!!