化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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今回は作中で出ていた竹林での盆踊り回です!!

この小説では、沢山ほのぼの回があったので少なめですね。

(盆踊りのBGMを流しながらお楽しみください。)


閑話:「おまけ其の三」〜迷いの竹林の日常回〜『因幡達の盆踊り』〜

 

 

 私とてゐを中心に人型の因幡達が手伝ってくれる朝ご飯の準備に採れたての人参を中心とした野菜と因幡達の罠に掛かっていた畜生妖怪の素材の肉を使っていつも通りのコンソメスープをかき混ぜているとき、ふとなんとなしに私は呟いた。

 

 

 (そうだ。祭りをしよう。)

 

 

「急にどうしたうさ。文言が完全に例の有名な海の広告みたいうさ。」

 

 

(いやねぇ〜!この1週間過ごしてみたけど、私達全員が参加出来るような活動が無いじゃん?因幡ちゃん達は数が多すぎて全員と一緒にいられないし。あの広い温泉や食事の時くらいじゃん。全員そろうの。)

 

 

「確かにそううさけど、因幡達には仕事があるからね〜。人型は罠の作成や設置や他の兎型の因幡達の現場指揮。兎型は竹藪とかにいれば目立たないから偵察任務とかがあるうさ。」

 

 

(まあ、そうなんだよね。ここを守る為には必要なことなんだろうけど、やっぱりたまには皆でドンちゃん騒ぎがしたい訳じゃん?)

 

 

「そううさか?飛燕が来てからずっと賑やかなだと思ううさ。」

 

 

(ちがーーーう!!確かに賑やかで十分楽しいけど、私の賑やかのイメージと違うの!!私はもっと宴のような皆で踊り合うような集まりをしたいの。だから祭りなんだよ。)

 

 

「ふ〜〜〜ん………まあ、別に良いうさよ?でも祭りって何やるうさか?」

 

 

(それはもう考えてるんだよね?盆踊り。)

 

「盆踊り?」

 

(そう。)

 

 

「なにそれ〜?」「おまつりやるの〜?」「たのしそ〜〜!」

 

 

 ぐつぐつと光り輝いている美味しそうなスープをクルクル回している、今日の料理当番の因幡達が歓声をあげた。

 

 ふふん。因幡達が私の味方に付けばこの兎は絶対折れることを知ってるからね。これは勝ったね。ねぇ?てゐさん。

 

 

 

「まったく……因幡達は………。仕方ないうさね。」

 

 

 案の上、因幡達の反応を一目確認したてゐは少し思案するだけしてから、乗り気で答えてくれた。やったね。

 

 

「………取り敢えず、どんな祭りか教えて欲しいね。初めて聞く踊りだから……あっうさ。」

 

 

 あっそうだった。確かこの盆踊りって平安時代中後期ぐらいからだった。ここだけ平安時代みたいだから抜けてたや。まあ、人間なんてこんな迷いやすい場所なんて、寄りつかないからどうでもいいけどね。

 

 

(簡単に言えばね。太鼓の音とか打楽器や管楽器に合わせて焚き火とか大きな木の塔の周りで皆で踊る祭りなんだ。)

 

 

 小さい頃は町中で夏の頃にやってた祭り。普通は関東とか近畿とか東北でも人が多い所でしかやらない祭りだけど、何故か田舎なのに私の故郷はやってた祭り。よくやってたな〜。

 

 

「へぇ………聞いた感じ良さそうだね。それなら直ぐにできそううさ。うちの屋敷に打楽器だけならあるだろうし、管楽器もたしか大国主様が置いていったものがあったうさ。」

 

 

(よしっ。朝食の時、他の因幡ちゃん達にも話してみよう!)

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 朝食の後、いつも因幡達は元気溌剌に解散して、いつものお仕事を始める流れだけど、私とてゐは因幡達を引き止めて盆踊りについて話した。

 すると、好奇心旺盛な因幡達はやっぱり皆興味津々だった。よし、これならいけそう。

 

 そうして、私達は祭りの準備を始めた。

 

 

「ぼす〜ひま〜〜!!」「おしごとてつだわせてぇ〜〜!」

 

 

「そううさね。そこの班は準備が終わるまで交代交代でお酒を川に行って冷やして置いて欲しいうさね。」

 

 

「「は〜〜〜い!!」」

 

 

 

(皆〜〜!!大きな焚き火を作るよ〜〜〜!!)

 

 

「わぁ〜〜〜!!」「やったぁ〜〜〜〜!!!」「がんばるぞ〜〜!!」

 

 

 今、私とてゐを中心として人型の因幡達に手伝って貰い、盆踊りの為の装置や建物の建築作業に取り掛かっています。

 

 

 普通は祭りの前日より前から工事をするんだけど、この因幡達、実は結構力持ちで大きな材木でも数人いれば運べるし、普段から全員が罠作りのDIYや他の物づくりに慣れているため、細かい作業も教えればすいすいと出来てしまうので、スイっと終わってしまう。

 

 だから、私とてゐは司令塔として、因幡達に朝食の時に教える前に作っておいた計画書や建物や装置の配置の図を片手に因幡達に指示を出してるだけに留めておいた。

 

 

『うんしょ!うんしょ!』と漫画のような汗を流しながら楽しそうに物を運ぶ因幡達を見るのは凄く目の保養になるね。これは視力が2.5ぐらいは上がったな。うん。

 

 

 

 さて、そんな感じで着々と出来上がっていく踊り場や祭り用のやぐらや、因幡達用の人参要素が必ず入っている様々な食べ物の屋台やミニゲーム用の屋台など。一つ一つが祭りを盛り上げる為に必要なそれら。

 

 全ての準備が完遂する頃には日が傾きだしていた。

 

 

 

 

 

「さいごのひとつだよ〜〜!!」

 

 

 ― カン カン コン ―

 

 

 「よし!!」

 

 

「「「「かんせいぃ〜〜〜〜!!!」」」」

 

 

 

 ― ワァーー キャーーー キャーーー ―

 

 

 

 

(はぁ〜〜〜/////可愛すぎるぅ〜〜〜〜!!?!1羽でも良いから、お持ち帰りしたい!!)

 

 

「それはだめうさ。因幡達は私の部下うさ。それよりも、次は踊り方を教えて欲しいうさね。」

 

 

 

(ちぃ〜〜〜ケチ〜〜〜。まあいいや。後でてゐを愛でればいいや。)

 

「そんなのしょっちゅうじゃないか。早く教えるうさ。」

 

 

(なんだ?楽しみにしてるんだ?盆踊り?)

 

 

「祭りなら、好きうさよ?昔はよくしていてうさ。」

 

 

(よっし。じゃあ、てゐから教えよう。簡単だから直ぐに覚えられるし、そしたら因幡ちゃん達に踊り方を教えよう。)

 

 

「そううさね。」

 

 

 

 

 

 

 

 無事、全ての因幡達に盆踊りの踊りを教えおいた後、丁度日も沈みかけてたので私達は盆踊りのお祭りを開始した。

 

 

 

 

「せ〜〜の!!!」

 

 

 ― ドンドコドン キューキュ〜キュキュキュ〜〜♪ ―

 

 

 

「「「「サカサッサー!!」」」」

 

 

― ドコドコドン キュー〜キョ〜キュキューキュ〜♪ ―

 

 

 

「「「「ソレッ!!」」」」

 

 

 ― ドンドンドン キユ〜キュキュ〜キュ〜♪ ―

 

 

 

「「「「ドコッコイナ〜〜!!!ヤッ!!」」」」

 

 

 

 

 焚き火の広場に集まった大勢の因幡達が踊る。祭り用のやぐらの満面の笑顔で隣で踊っている仲間達と息を合わせて声を張り上げ今を心の奥底から楽しむ。

 

 それを楽しそうに観戦しながら人参を食べている因幡もいれば、無料配布の屋台で働く因幡もいる。

 

 

皆それぞれの楽しみ方で、祭りの雰囲気を楽しんしでいる。

 

 

 

 私とてゐは?って?勿論、焚き火の一番近い所で一緒に踊ってるよ?てゐは慣れてきたのか、私の前でふざけて私と向き合いながら器用に後向きのまま踊っている。

 

 

「ハッハッハッ!!飛燕!!これは出来ないだろううさ?」

 

 

ドヤ顔で私を挑発してくるてゐ。中々煽りのスキルが豊富だね。

 

 

(本当に器用だね。ふふふ……残念だけど私も負けないよ!!はっ!見よっ!!伝説の空中逆さ盆踊り!!)

 

 

私は能力を使ってその場から軽く『飛んで』逆さの状態で盆踊りをする。

 

 

「なっ!?それはずるいうさ!!能力は反則うさ!!」

 

 

(ハハハハハッ!!私の器用さには適うまい。諦めるんだね。てゐよ!!)

 

 

「そちらがそう来るなら、こちらにも対抗策があるうさ!」

 

 

(フッフッフッ!!ならば、魅せてみよ!!てゐ!!!)

 

 

「あぶな〜〜〜〜い!!!」「ひえんよけて〜〜ーーー!!」

 

 

 その時、観戦していた因幡達の最前列がの何人かが突然壮大に転んでしまい、因幡達の人参やお祭り道具などの持ち物が私に向かって飛んできた。

 

 

(ん?……ぎゃぁ〜〜〜!!!!)

 

 

 そして、その飛び道具達は『運悪く』全てが曲芸盆踊りをしている私に命中し、私は落下した。

 

 

 ―ドサッ―

 

「おっと?飛燕は『運』が悪かったうさね。クヒヒヒヒッ。」

 

 

(ちょっ!?妨害工作はひきょーにも程があるでしょうが!?)

 

 

「真剣勝負に卑怯も何もないうさ。負け鴉の夕方のアホ声なんてうるさいだけうさね。」

 

(くっ!?ならば、生まれて育った純粋な踊りで魅せてやる!)

 

 

「そのリベンジ受けてあげるうさ。圧倒的強者はいつだって挑まれるうさからね?」

 

(ふんっその余裕そうな顔がどこまで続くか見物だね!!)

 

 

 

そして、丁度一番テンポが速くなるタイミングになる。

 

 

 

― ドドドン キュルキュルルキュ〜〜♪ ドドドドン ―

 

 

 

「「「「ソイヤサッサッ!!サササッ!ハイ」」」」

 

 

 

「うわぁ〜〜〜!!?」「すご〜〜〜いー!!!」

「ボス〜〜がんばれぇ〜〜〜!!」「ひえんもがんばれぇー!」

 

 

 

 観戦している因幡の兎達の歓声をエネルギーに私とてゐはどんどん速くなるテンポに合わせて切れよく盆踊りを踊る。

 

 

「やるうさね?」

 

(そっちこそ!私に張り合うなんて故郷にもいないよ!!)

 

 

 ― キュ〜ルル〜キュ〜〜ルルル〜♪ ―

 

 

 

 「「「ソイヤサッサッほれっ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 この盆踊りの勝負は踊っている因幡達も含めて、二人ともヘトヘトになるまで続いた。

 

 

 

 

 てゐと私の勝敗を決めるのは野暮だろう。祭りなんて結局は誰よりも楽しんだ者が勝ちなんだから。

 

 

 だから、私達全員が引き分けだよね。

 

 

 

       

 

 

      ねぇ?文?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

「ふぅ〜〜〜久しぶりに疲れたうさぁ〜〜〜!!!!」

 

 

(いやぁ〜〜〜楽しかったぁ〜〜〜!!!)

 

 

「たまには良い汗を書くのも悪くないうさね。」

 

(そうだね。良い汗かいた後はちゃんとお水で水分補給をしから〜〜〜〜!!)

 

 

 

「せ〜〜の!!!」

 

 

「「「かんぱーーーーーい!!!」」」(かんぱーーい!!)

 

 

やっぱり宴だ!!これに限る!!

 

 

 今私とてゐ、そして先程まで踊っていた因幡達は踊り終えた後、皆でお酒やご飯を食べている。因幡達もお酒を飲む個体がいるのでちゃんと飲んでいた。

 

 今は観戦していた因幡達を中心にまだ踊っていなかった因幡達が踊っているのをお酒を飲みながら観戦している所だ。

 

 

 ―ヒュ〜ヒュルルヒュ〜♪ ドドンドドンッ―

 

 

「「「ホ〜レソ〜レヤ〜〜〜!!!」」」

 

 

 

本当に楽しそうに踊るもんだ。まあ、私達のほうが楽しんだけどね?

 

 

 

(ん?………なんか一人だけシルエットが違うな?……誰あのプリティな女の子?)

 

 

 一人だけ背丈が違うが、他の因幡達と笑い合って見様見真似で踊っている少女。ぎこちない踊り方だが、誰も気にしない。そんなこと言うような野暮ったい者はここにいないから。

 

 

「あ〜〜。そいつはここら辺の近所に住んでる狼女うさ。」

 

 

(てゐの知り合いなんだ。なんでいるんだろ?)

 

 

「まあ……たまに飲みにくるから丁度この日だったうさね。」

 

 

 なるほどね。あの子がてゐに飲みに来る日がたまたまこの日が被っちゃって、何故か大掛かりな祭りをやってるところに出くわしてしまい、見ている内に楽しくなって参加しちゃったんだろうな〜〜。

 

 

(ふふふぅ〜〜。私のドストラクだね?仲良くなったら沢山愛でてあげよう!!)

 

 

「…………好きにするうさ。」

 

 

 

 * * *

 

 

 

 丁度、私が因幡達に教えた音頭曲の2週目が終わったころ、狼女は疲れてしまったようでこちらに歩いてきた。

 

 

 

「お〜〜〜〜い!!老骨兎ぃ〜〜〜!!!あれ?この化け鴉は、どちら様?」

 

 

 どうやら、私のことに気が付いたようで、少しだけ警戒の色を見せる狼女。

 

 

「ああ。この鴉はまあ、つい1週間前くらいにやってきた旅する鴉うさ。」

 

(よろしくね〜。私、黒柳飛燕って呼ぶんだ〜。好きに呼んで。)

 

 

「よろしく。私は今泉影狼。見ての通り、狼女よ。この直接聞こえてくる声は?飛燕の?」

 

 

(そうだよ。まあ、私の能力で思考を『飛ばして』るんだ。)

 

 

 

「へぇ〜〜。というか、なんなのこの大騒ぎ?老骨兎にしては似合わないわね?てゐ?」

 

 

「健康に気を使ってるだけうさ。たまには元気にならないと良くないからね。」

 

 

てゐとの問答を終えた影狼さんは私のことをじぃ〜と見てくる。

 

 

(な、何かな?影狼さん?)

 

 

「この大騒ぎ。貴方が考えついたんでしょ?飛燕?」

 

 

(そ、そうだけど?)

 

 

 顔を近づけて訝しげに私のことを見てくる影狼さん。少しだけ顔が近いよ。恋愛距離ってやつ?ドキドキするね?

 

 

「やるじゃない!こんなに楽しいことを考えるなんて!お陰でとても楽しめたわ!!」

 

 

 そう言って、私の背中をバンバンと叩きながら笑顔で私とてゐの隣を座る影狼さん。少し強引だけど、多分この人なりの接し方なんだろう。強引なタイプは良いね。グフフフ…………。

 

 

(…………ありがとう御座います?影狼さん。)

 

 

「堅っ苦しいわね?別に呼び捨てでもいいのに。いつもこんな感じなの?てゐ?」

 

 

「……いや?多分それはないうさ。内心影狼のことを淫らな目で見ているだけうさ。恐らくいきなり接近されてときめいてるだけうさ。」

 

 

「変態なのね?」

 

 

「そううさ。」

 

 

(えっ!?良いの!?じゃあ『影狼ちゃん』で。)

 

 

「おっと戻ってきたうさ。まあいいや。取り敢えず今日も飲みにきたうさね?」

 

「そうよ。なのにこんなにドンちゃん騒ぎして。思わぬ体力を使ったわよ?」

 

「確かに汗びっしょりだね。影狼。………あっうさ。」

 

(良い汗かいたね。影狼ちゃん。良ければその汗拭いてあげようか?)グヘヘヘ。

 

「絶対にいかがわしいこと考えてるでしょ?……………遠慮しておくわ。さてっ!!飲みますか!!」

 

「どうせこの後酒の熱で汗なんて沢山かくうさ。気にしたらだめうさ。」

 

 

(そうだねー!新しい出会いに!!!)

 

 

 

「「かんぱーーい!!!!」」

 

 

 

 

 

 この後、影狼ちゃんとはなんとなしにいつの間にか仲良くなった。

 

 

 

 

それにしてもなんでここはこんなにヌルって馴染めるんだろう?

 不思議だ。けど、なんか居酒屋にいる見知らぬ人と仲良くなったみたいで好きだな。

 

 

 

 いつもは静かで涼し気な竹林の夜は、今日だけは熱気に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 





次は守屋神社関連のパートです。
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