①『祈年祭と化けガラス』
②『神奈子様と化けガラスの物づくり』
③『大巫女さんの1日』
④『文と椿ちゃんと影狼ちゃんの鴉による対面四者懇談会』
⑤『椿という花について』
の①と②です。
①『祈年祭と化けガラス』
天狗の里に帰って一ヶ月間程文達と一緒に過ごした後は、何度も天狗の里と守屋神社の間を往復しながら冬が来るまで過ごした。まぁこれは文と椿ちゃんとの交友目的の手紙の伝書鳩役も兼ねてたからね。恐ろしかったな。初めて対峙した時の2人のオーラが…………。その後数分目でお互いの意思表示をしてたらしく、和解してくれたようだ。本当に良かった〜〜〜〜!!!
そして、たまに相談や遊びに行く目的で迷いの竹林にいったりもしてた。それにしても、てゐが気を利かせてくれたのか遠慮した影狼ちゃんとの2人での朝の温泉に入って来た時、影狼ちゃんが急に襲ってきたのは驚いたな〜〜。
本当に脈略なく襲われたけど、その……激しかったです。とても。
やっぱり狼女だから本能的に仲がいい人に求愛行動とか取りたくなるのかもしれない。そんなハプニング?も結局は文と椿ちゃんに懲らしめられながらも和解(2度目)で解決したよ。
というか私ってそんなに襲われやすいの?おかしくない?前世ではそんなことあんまりなかった筈………あれ?少しだけ前世の記憶が………?まあいいか。大事なことはちゃんと覚えてるから。
そんな感じで気がついたら冬が来たので私は天狗の里で冬ごもりをしてました。
(なんか文と椿ちゃんとの条約で1年毎に天狗の里と守屋神社で私が冬ごもりすることになったらしい。今年は守屋神社で冬越しだね。)
無事、冬を越せた私は冬の終わりを告げるので新たに豊穣の年を祈って祈年祭が開かれるので、『折角なら石道神なんだから新年そうそうに来ないか』と椿ちゃんに誘われて来ています。まあ、多分これは建前だろうな〜。
冬ごもりで暫く会えなかったから少しでも速く会えるように誘ってきたんだろう。私も会えなかったからウィンウィンだね。椿ちゃん
「わぁ〜〜〜やっぱり何度見てもこの景色は素晴らしいですね〜!!」
「そうだね。椿ちゃん!!」
今、守屋神社関係者しか参加出来ない神社内の祈年祭の祭りの特等席に座ってます。そう。簡単に言えば、私と椿ちゃんは巫女さん達に祀られてます。境内で。
何というか、こういうの体験してみると、私って神様なんだな〜て実感しちゃうよね。
まあ、椿ちゃんの風祝は風や天気を鎮める権能を持つし、私の石道神は旅だけじゃなくて境界や『豊穣』を司るからね。
丁度お呼ばれされるにはうってつけらしいけど、私って妖怪なんだけど?いいのかな?
「なあ………諏訪子。今の2人の姿を見ると、ご祝言をあげてるみたいに見えないか?」
「ああ………本当に、椿は大きくなって…………。グスッ。」
「もう涙もろくなったのか?ほらっ、ちゃんと私たちも立会いしてるんだから涙拭け?な?」
「ッ!?……神奈子ぉ゙〜〜!凄ぐ愛じでるよ〜〜〜!!」
「ちょっ!?諏訪子!!今は儀式の最中だから!!ここでは抱きしめるなよ。後で時間はたっぷりとあるだろう?……なぁ?」
「ゔん………沢山神奈子の事、可愛がる。」
「そ、そうか//////」
「お二人方?」ギラン
「「はい。すみません。」」
儀式をしている巫女さん達を監督している大巫女さんに、キッと鶴の一声で睨まれたカエルとヘビは、直ぐ様姿勢をただして前に向き直った。洩矢大戦の時の2人の神の威厳はどこに行ったんだろうか?
洩矢大戦後から、ここ最近の守屋神社内のヒエラルキーは完全に大巫女さんに握られていた。
それはいいことなのか悪いことなのか…は分からないが少なくとも何処かズレている神奈子さんと諏訪子さんには必要なブレーキ役が必要なのは確かだ。
そうそう、2人の様付けをやめたのはこれからより親密な関係を築けたらいいなと思ってね。椿ちゃんを預かる身として両親とは連携はちゃんと取れるようにしなきゃね。
因みに私が2人を様付けからさん付けに変えたことについては2人とも嬉しそうだった。
「もう………母上達は………幾ら祭りだからと行って……。」
「まあまあ。2人が盛り上がってる分には今年も安定してるってことだよ。」
「まあそうですよね………。」
呆れの表情を見せる椿ちゃん。でも少しだけ幸せそうだった。実は私と椿ちゃんの2人とも神奈子さんと諏訪子さんの『祝言みたいだ』の発言を聞き取ってしまっていて小恥ずかしく思ってしまっていたのだ。
「ここにいる皆さんは、ご祝言のことは賛成してくれますけどね…………」
「そうだよね。やっぱりこの国の民は受け入れられないよね。」
古来より普段から妖怪に苦しめられてきた人間は妖怪に対して忌避感を持っており、多くの人から親しまれ信仰されている現人神である椿ちゃんが妖怪でもある私と祝言を結ぶことを知れば、椿ちゃんの信仰が崩れる可能性もある。
だから挙げられないことに少しだけ寂しく思うこともあるけど、結局祝言は形式上のものに近いし、挙げなければなくなるような私と椿ちゃんの絆ではないので、かえって祝言を結ばなくてもいいのかもしれない。
「しょうがありませんよね。けど、交際については民の皆さんは賛成なのは嬉しかったです。」
実は私と椿ちゃんの関係は諏訪大戦前の一回目のデートで守屋神社の周りの街の人にはバレバレだったようで、私が神様でも妖怪でもあるのに意外にも笑顔で許してくれていた。
そのこと知った私が焦ってを街の民に聞いてみたら、多くの街の民が『ツバキちゃんが幸せならいいじゃないか。』っていい笑顔で答えて私は安堵の息を吐いていた記憶がある。これも椿ちゃんの人望が成した奇跡なのかもそれない。
けど、少なからず反対意見は出ているので、やっぱり祝言は無理なんだろうな〜。まあ、今は街の人達に椿ちゃんとの関係を受け入られてることを喜ぼう。
「それについては私も驚いたよ。流石、椿ちゃん。街の人に愛されてるね?」
「いえいえ。私の飛燕さんの愛のほうが重いんですよ?」
「はいはい。分かったよ。……今夜にでもその愛。証明してね?」
「はい!!」
「椿様、飛燕様。」キラーン
「「はい。静かにしてます!!」」
「………どうしてここの神々はしっかり儀式をなさらないんでしょうか?、はあ………。」
これから大巫女さんの苦労も絶えないだろうけど、ため息は幸福を逃すから気をつけてね?まぁそのため息の理由は私達なんだけど……………。
私と椿ちゃんは大巫女さんの疲れ顔を見ながらお互い見つめ合って苦笑いをするのだった。
今年も穏やかに1年が始まった気がした。
②『神奈子様と化けガラスの物づくり』
「お〜〜〜い!!飛燕。これはどういうものなんだ?」
私と、神奈子さんがいつの間にか作り出していた『作業小屋』で私が竹の加工をしていると、神奈子さんが私が少し前に作っていたいくつかの図面の1枚を取り出しながら声をかけてきた。
江戸時代初期に石川丈山とっていう人が作った装置だけど、これについては速く作られても余り歴史とかには影響ないかな〜と思ってここに図面に残しておいたやつだ。
「あ〜〜。それは添水(そうず)というものですね〜〜!」
「『添水』?」
「別名『鹿威し』と言いますが、添水とはですね。噴き出るわき水を先端が尖った竹筒にある程度まで溜めるようにすることで定期的に甲高い音を鳴らす装置です。」
「ふむ………利用用途が分からないね……?」
う〜〜〜〜んと、唸っている神奈子様。まあ私も前世で初めて見たときは意味がわからなった。
竹を加工する作業を手伝った時についでにおじいちゃんから教わった物だけど、流石に今の現代っ子でほとんどの人は知らないんじゃないのかな〜?
「まあ、仕組みは後ほど説明しますが、簡単に言えば農業の害獣除けですね。」
「ほう、田畑を食い荒らす生き物を追い払う為のものか?成る程………それで定期的に音を鳴らすわけか………面白い。」
「他にも鳴る音が心地よいなどという理由で庭につける人もいるらしいです。」
「………ふむ。随分と文化的な理由だな?きっと余程裕福な民が作り出したものだったのだろう。
それにしても相変わらずどこから取り出したのか分からない知識と技能を持っているな?まるで飛燕は先の時間から来たみたいだ。」
ギクリ
アチャ〜〜〜〜。私が開発したことにすれば良かったな〜。まあ何とかなるか。
「アハハハ、まあ何処かで見かけたんですよ。場所は思い出せませんが。」
「そうか?まあいい。これから飛燕は専属技術開発者になってもらうからな。おずおず考えついてもらえばいい。」
「え?そうなんですか?」
「何のためにこの『工作小屋』を作ろうとしたと思っているんだい?飛燕の技術は国の発展に必須だ。まあ、暫くはほとんどが内密だろうがな。だからこれからよろしく頼むぞ?」
神奈子さんはそう言ってニコリと私の肩に手を置いてくる。
Oh……背景、ママンへ。私、勝手に就職先が決まったようです。
「…………旅はさせてもらえるんですよね?」
「ん?それはそうだろう?飛燕の物づくりの基礎となる知識集めになるだろうしな。私だって教えてもらえば一人で物づくりは出来る。それに、おいおい技術者を雇うつもりだから大丈夫だ。」
なら………いいかな?別に知識を広く広める訳じゃなくて、内密にするらしいし…………。
「なら良いですよ?ここに訪れた時に作るだけなんですから、今とたいして変わりませんから。」
「そういうことだ。完成するたびに、褒美をやろう。飛燕。」
「そこについて詳しくお願いします!」(食い気味)
「急に食いつくな?………いや、それは………まだ考えていないよ?だからまあ、飛燕がしたいことを叶えてやろうかなと?」
「ふむ………では、お二人の夜伽を椿ちゃんと一緒に見学させてもらうのは?私達の練習にもなりますし。丁度よろしいかと。」
「なっ!?……………」
私の急な冗談に驚き乙女の顔で視線を泳がせながらアタフタする神奈子様。ふふふ〜良いね。人妻の可愛らしい乙女の姿。行幸行幸ぅ〜〜!!
まあ別にこれについては本気じゃないし、神奈子さんのそういう顔が見たかったからもうご褒美は貰ったし満足したから良いや―
「そ、それは………諏訪子と話し合うから一旦待って………。」
……………えっ?良いの?
* * *
― チョロチョロチョロ ―
― コン ―
「ふぅ〜〜〜〜〜〜〜。良いね神奈子。これは落ち着くよ。」
「ああ……良いな。」
― コン ―
「ぷは〜〜。飛燕さん。これとお茶はいい組み合わせですよ?」
「そうなの?………ぷは〜。あ〜確かに良いなぁ〜。」
昨日の内に完成させておいた鹿威しを朝早い内に境内のわき水に繋げて設置し終えた私と神奈子さんは皆を集めて縁側でお茶を飲んでます。
良いなぁ〜。最高。特にこの時代は灌漑用の技術なんて対して発達してないからこういう文化的な贅沢はわき水が出てるここ諏訪大社だけだよねぇ〜〜〜。
「それにしても、飛燕さんはいいものを作りますね。」
「だろう?うちの技術開発者は凄いんだよ?」
「こういうものがあれば人々の生活が豊かになりますからね。こういうものが広がっていけば、自然と争いも減るでしょうし。」
「ああ……そうだな。もう戦争なんて懲り懲りだね。」
「ねえ、神奈子?軍神なのに、それを言っちゃだめじゃない?」
「まあ…………そうかも。けどねぇ。こんな『幸せ』を享受してたら、いざという時以外はのんびり過ごしたくなからな。」
「まあ……そうだよね。」
― コン ―
「さて、丁度昼時だね。ご飯を作りましょうか?」
「珍しいね?普段は昼にご飯は食べないのに?」
「偶にはいいさ。私が腕によりを作ってあげるよ。感謝しなよ?主神直々のおもてなしだ。」
「神奈子さんは料理は作れるんですか?」
「それは私も気になりました。義母上(ははうえ)。」
「フッフッフッ〜。神奈子の料理は美味しいんだよ?大巫女といい勝負だ。……まあ、少し大胆な料理だけどね。」
「母上は義母上の料理を食べたことあるんですか?」
「丁度、ツバキが飛燕の持ち主を訪問してた時にね。たまたま巫女達が忙しくて誰も作れなくてね。神奈子がその時作ってくれたんだよ。」
「コラッ諏訪子。勘違いするようなことを言うな。私が得意なのはねぎらい料理だ。」
労い料理とは、簡単に言えば大きな材料を丸ごと使ってその場できり分けるワイルドな料理だ。古代から地方の惣村を訪れた者をもてなすときに出された料理で、宴会でも出ることがある。
「美味しそうですね。神奈子さんの労い料理は。」
「楽しみにしてろ。」
そう言って、得意げに台所へと入っていった神奈子さん。その後は、私と諏訪子さんと椿ちゃんが残った。
「あ〜そうだ。……例の『夜伽の件』は……まあいいよ。」
「ん?なんのことですか?母上?」
「いや、ツバキと飛燕で私と神奈子の夜伽を見学するんだろ?女性同士だ。中々やりづらい時もあるからな。色々教えて上げるよ?」
「…………私は聞いてませんよ?飛燕さん?」
「ま、まあ……ね?私も最初は冗談で神奈子さんに言ったんだけど、神奈子さんが本気にしちゃってね。そのままなあなあで済ましてたら椿ちゃんに言い忘れちゃって…………」
「……………まあ、良いです。そのぅ………飛燕さんとの夜がより良くなるなら。」
顔を赤らめながらモジモジと言ってくれる椿ちゃん。その姿にドキッとしてしまう。
「う、うん………よろしくね………。」
「………はい…。」
「初々しいな2人とも。」
(終わり)
最近百合成分が濃いですね。まあ、物語と直接関係ないんで良いんですけど。
別に枠で書く例のR-18シーン集はまだ書かない予定です。書いても良いんですけど色々な意味で戻れなくなるので。