化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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ゆかりんは美しくて可愛いんです。

全話は結構カオス回でしたね。

 あ〜そうそう。ルーミアちゃんの大人バージョンはニコニコ動画で配信している『幼霊夢』という作品のルーミアちゃんをイメージすると凄く良いです。




2羽:「人が折角感傷に浸ってるのにあんた誰!?というかここどこ!?②」

 

 

 

 

 知らない場所だ。空気も薄い。どうやらこれまた随分と高い地形にいるようだ。森は少なく岩や砂利が目立つ高地。

 

 

 

 そんな場所で呆然として寝転んでいたいた私は薪を背負っている人間?妖怪?の女性と目を合わていた。

 

 

 

 

 

「「………………………。」」

 

 

 

 

 

「…あの〜?どうしてこんな道端で寝転んでいるんですか?」

 

 

「……………多分趣味です。」

 

 

 

「え?………しゅ、趣味?」

 

 

「はい。多分趣味です。」

 

 

 

「……………取り敢えず………立ち上がってくれませんか?」

 

 

 

「………あ、はい。」

 

 

 

 気がついたら全く知らない場所でチャイニーズ服の赤髪美人さんに顔を覗かれていました。可愛い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、同じことを聞きますがあの?どうしてこんな辺鄙な山奥で寝そべっていたんですか?」

 

「私にも分かんないんだよね〜。」

 

「分からない?」

 

「そう。私はここに飛ばされただけだから。」

 

「飛ばされた?」

 

「そうだよ。」

 

 

 私はこの赤髪チャイニーズ美人さんが中華拳法の修行に使っているという山小舎に連れてかれて、煎じ茶を飲みながら話をしていた。

 

この赤髪美人さん。名前は紅美鈴(ほんめいりん)らしい。なんとなく仲良くなったので、私は美鈴さんと呼んでいる。

 

 

 

「取り敢えず。経過を聞いても良いですか?」

 

 

 

 いや、私も今一、分かってないんだよ。美鈴さん。世界にはまだまだ知らないことが多いね。うん。

 

 取り敢えず説明してみよう。話の整理がつくからね。丁度、美鈴さんも混乱してて訳を聞きたいようだし。

 

 

「えっと………こんなことがありましてですね………。」

 

 

 

 本当になんだったんだろう。あの人達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (回想スイッチオン)これを使うのは久しぶりだよね。

 

 

 

 

 

 

――――

―――     ―(少女説明中)―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらあぁーーー!!!このクソアマーー!!また私のエサを横取りするつもりか〜!?」

 

 

「あら?よく分かったわね?」

 

 

「馬鹿にするな〜!!今度こそお前を殺す!!!」

 

 

 

 あの………なんなんだろう。急に世紀末みたいな戦闘を繰り広げないでほしいんだけど。2人が発してるオーラや圧が凄いんだけど。

 

 これが大妖怪同士の戦闘か〜〜。凄く怖いんだね。諏訪大戦での諏訪子さんと神奈子さんの決闘を思い出すよ。

 

 

 あれは凄かったな〜。

 

 

 私が現実逃避をしていると、道士服の女性は私をチラリと見てニコリと笑いかけてきた。その笑顔は妖艶でかつ少しだけ胡散臭かった。

 

 

「あ〜?貴方のことを忘れてたわ。ごめんなさいね〜。飛燕さん。」

 

 

「いえいえ。お構いなく。……………ん?そう言えばなんで私の事を知ってるの?」

 

「うふふふ……さあ〜?なんででしょう?」

 

 

そう言ってうふふふと妖艶な笑みで私をからかう女性。

 

 

 う〜ん。この揶揄われてる感。良いね。ゾクゾクしちゃうね。ってうわ〜あの人凄いわ。私の方によそ見しながらルーミアちゃんの攻撃を全て境界みたいの?を使って弾いてるや。

 

 

「『因幡てゐ』。これでお分かりかしら?」

 

「あ、あ〜〜!?八雲紫(やくも ゆかり)!?」

 

「うふふふ。正解。貴方のことはよく観察させてもらったわよ?じ〜〜〜くりと見させてもらったから。」

 

 

 

「え!?、も、もしかしてアンナことやコンナことまで!?」

 

「ええ、そうよ。あんなコトやこんなコトまで。」

 

 

 ま、マジっすか………今絶対赤いよ顔が。乙女として恥ずかしいよ!!

 

 

「そ、それって絶対犯罪だよ!?覗き魔反対!!」

 

「そんなものこの時代にはないわよ。それに『覗きは乙女の嗜み』でしょ?」

 

 

 

「むむむ………それは確かに。じゃあいいのか?………それにしても器用だね。紫さん。」

 

 

 

 

「え?…………そこで納得しちゃうの?………まあいいわ。私くらいの大妖怪になれば、常闇の妖怪を片手間で相手するなんてチョチョイのチョイですわ。」

 

 

「す、凄いですね。」

 

「うふふふ……ありがとう。」

 

 

 

 

「………そ、それで、何の用なんですか?」

 

 

「そうね。箸折って言ってしまえば貴方の事を『神隠し』しに来たの。あら?私ったら、うまいことを言うわね?『神』を隠すなんてこれが本当の『神隠し』〜〜♪」

 

 

「上手いけど、違う。違うから!!てか私は化けガラスだよ!!?」

 

 

「おい!!さっきから私を忘れているな!!」

 

 

「あら?忘れてないわよ?常闇の妖怪さん?」 

 

 

 怒り心頭の様子のルーミアちゃんが闇を放ちながら怒るが、紫さんは見事なとぼけ顔で更にルーミアちゃんを煽った。

 

 対してそれの紫さんのとぼけ顔を見たルーミアちゃんは一瞬ポカンとした後、今度は顔を怒りに赤らめて激昂した。マジギレである。

 

 

 

「ふ、ふはははははっ!!!この私を本当に怒らせたことを後悔するがいい。私のこの原始の闇の力を見せてやる。」

 

 

 元々ヤバかったオーラが更に集まっていく。

 

 

 

 うっ!?息が出来ない!

 

 

 周りから闇が集まることでルーミアちゃんの力を増幅させ、ルーミアちゃんの強まった力ごそに寄って更に集まってきた闇が広がり、辺り一帯を漆黒の闇に変えていく。

 

 

 

 私の息が止まりそうになったことに気がついた紫さんは、私に手を振りかざしながら、手を振って笑いかけてきた。

 

 

 

「これから私はこの子の相手で忙しくなるから。良い旅を楽しんでね〜。それじゃあねぇ〜♪」

 

 

 

 

  ― ブオーン ――

 

 

 

 

「ちょ!?わぁ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

そうして私は謎の空間に放り込まれてしまったとさ。

 

 

 

めでたしめでたし。

 

 

 

―――

――――

 

 

 

 

 

「―と、こういう感じだね。」

 

 

 

「………え?そんな感じだったんですか?」

 

「うん。」

 

 

「いや……何というか…………お疲れさまです。飛燕さん」

 

「ありがとう。その言葉が心に染みるよ。」ホロリ

 

 

「それにしても、飛燕さんは凄く運が悪いんですね。そんな恐ろしい大妖怪2人に同時に絡まれて、そしてこんな辺鄙な場所に飛ばされるなんて………」

 

 

「本当になんでだろう?私の運の悪さの理由について何か知らない美鈴さん?」

 

「私も知りませんよ。運勢が悪いと占いで出たんじゃないんですか?」

 

 

「あっ!それだ。2人からそう言われてたんだった。」

 

 

それだ。てゐと龍さんがそんなことを言ってたわ。

 

いや遅くない?効果が出るの。もう270年くらい経ってるよ?ほぼ頭から抜けてたよ?

 

 

「完全にそれですね………そう言えばこのあとはどうするんですか?」

 

 

「取り敢えずは、慣れるまでここに居させて欲しいな。ここに居させてください!!ここに居たいんです!!」

 

「え?良いで―」

 

「―ここで働きたいんです!!お願いします!!!」

 

「あの、ちょっ―」

 

「―ここに居させてください!!」

 

「……………。(なんでジ◯リネタを披露してるんだろう?この人)」

 

 

 チラ

 

 

 

 ワクワク ワクワク

 

 

 

「……………あの?ツッコミ待ちですか?」

 

「うん。」

 

 

「では失礼します。ジ◯リやないかい!!

 

 

 

 ―ドゴッ―

 

 

 

「どあーーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 ― キラーン ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(このくだり………もう読者は見飽きたのでは?)」

 

 

 

 飛燕さんが空へと吹き飛んで行くのを見ながら美鈴はそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分とこれはまた変人で。はぁ…………まあいいです。そう言うと思いましたよ。良いですよ。そろそろ修行相手が欲しかったので。」

 

 

「ありがとう美鈴さん!!」

 

「……ん?、なんか私サンドバックにされるのでは?」

 

「キノセイです。」

 

「ソウデスカ。」

 

 

 なんだかんだ言って、呆れながらもここにおいてくれる美鈴さんは凄く優しいね。

 

 

 というか?ここって中国だけど、何で私の話が通じてるんだろう?

 

 

 

 

「あ〜それはですね。私の『気を操る程度の能力』で考えてることや感じてることでなんとなく分かるんです。ほら、今の貴方の考えだって分かるんですよ?」

 

「お〜〜!確かに、私、言葉にしてなかったもんね。それじゃあ、何で私達同士の会話は通じるの?」

 

 

「そうですね………難しい話になりますが、貴方の『言葉の気』と私の『言葉の気』の波長を合わせて話しているからです。ですから、赤の他人がこの会話を聞けば、殆どの人が理解することは難しいでしょう。」

 

 

「へぇ〜。じゃあ、私の言葉だけの『気』を使って話してみてよ。」

 

「いいですよ?『どうもこんにちは。私は紅美鈴です。』」

 

 

 美鈴さんは見事な日本語の標準語で挨拶してきた。こ、これは凄く器用なことなのでは?なるほど……『気を操る程度の能力』。結構奥が深いな。この能力を究めれば、美鈴さんが器用になるのは当たり前なのかもしれない。

 

 

「おお〜〜〜!!美鈴さん!!それ絶対に役に立つよ!!」

 

「そ、そうですか?これほど…私の能力を褒めてくださる人は初めてで……少し照れますね。」

 

 

 おぉ、照れてる照れてる。可愛い。

 

 

 折角ならついでに色々学ばしてもらおう。もう、暫くはお世話になるんだし。

 

 

 

「うん。じゃあさ。私がここにいる間は中国語を教えて欲しいんだけど。大丈夫?」

 

 

丁度中国語を学びたいって思ってたからね。これはいいね。

 

 

「まあ、良いですよ?」

 

「あと、修行ついでに少し組手をしてみたいな〜。私接近戦がそこまでなんだよ。」

 

「良いですけど…………丁度私も考えてましたし。」

 

「あとさ〜色々巡りたいからさ。ここら辺の山とか地形とか教えて欲しいな〜〜〜。」

 

「え?……ああ、はい……………飛燕さん…なんか要求が段々多くなってないですか?」

 

 

「………キノセイアルヨ。」

 

 

「………まあ、良いんですけどね。」

 

「ほんと〜?ありがとう。美鈴さん!!」

 

 

 

 

 (なんか私より中国人らしいな飛燕さん。)

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 そんなこんなで、美鈴さんと1週間を山の中で過していった。本当に美鈴さんは親切で温和な人で、沢山の事を教えてもらった。お陰で片言だけど中国語も喋れるようになったし、地形も分かるようになった。ここって中国の西側にある山脈らしいわ。ようは内陸側だね。遠くない?私何処まで遠くに飛ばされてるの?

 

 そして、ついでに水浴びのときに私の胸を揉んでもいい代わりに、美鈴さんの胸を揉ませてもらえた。デヘヘへ。

 

 

 そして、美鈴さんは珍しく完全に人型で太極拳を使うんだけど、の太極拳は凄まじく、修行を見学させて貰ったとき、なんと素手で高さ数メートルはあるだろう大岩を砕いていた。

 

 

 うん………美鈴さんを本気で怒らせるないようにしよう。怒らせた者は骨も残らないだろうから。

 

 

 美鈴さんって妖力を纏ってるから妖怪みたいだけど、種族はなんなんだろう?後で聞いてみよう。

 

 

「さて、久しぶりに下山しませんか?修行の成果を試したいので。要は腕試しです。」

 

「良いね。私もそろそろ出発したかったからね。」

 

 

「では、下山の準備をしたら翌朝出発しましょう。」

 

「じゃあ、エネルギーをつけるために私が腕によりをかけて料理してあげるね。」

 

「ありがとうございます。飛燕さんの倭国のお料理は新鮮で美味しかったので楽しみなんですよね。」

 

「そう言ってもらえるとうれしいよ。」

 

 

 本当にこの人は『気』遣いの達人だ。こうやって私の気を乗せて、美味しい料理を作らせようと褒めてくる。

 この人が誰かと仲が悪くなるイメージが思いつかないな〜。私もこれは見習わないとね。

 

 

 夕食を終えた私と美鈴さんは、寝る準備を済ませて一緒の寝具に横たわる。美鈴さんの隣はとてもいい匂いがして落ち着くんだよね。なんだろう?この甘い匂い?不思議だ。

 

 

「それじゃあおやすみ。美鈴。」

 

「おやすみなさい。飛燕さん。」

 

 

 

 明日が楽しみだ。中国は前世含めて初めて行くからね。

 

 

 

 

 私は安心感に包まれながら、ゆっくりと目を閉じて意識を暗闇に預けた。

 

 

美鈴さんに信頼を預けるように。

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 彼女が寝静まる。それはもう無防備に。そして、私は静かに身体を起こし、その彼女の無防備にだらけきった顔を見下ろす。

 

 

「美鈴さ〜ん。ムニャムニャ………。」

 

 

 本当に純粋なお方だ。他の妖怪ですら私に近づかないのにこの人は私に平気で近づいてきて、まるで害意などこちらが持っていないことを信頼するように子供のような笑顔で近づいてくる。

 

 

「不思議なお方だ。まるで私を心から親しんでくれるように接してくれる。」

 

 

 

 

 私は物心つく頃から孤独だ。人々から妖力を持つだけで嫌われ、心は人に近いのに社会からは除け者にされた爪弾き者だ。だからこそ、こんな人なんて住まないような辺鄙な高山に小屋を建てて暮らしている。

 そして、基本的に妖怪は孤独でも耐えられる精神性から皆単独行動を好むし、群れを作ったとしてもそれは野生の動物のように弱肉強食の社会を作るだけで、信頼など微塵もなかった。

 

 そんな所に居ても、意味がない。孤独とは違う優越感に浸れても、結局はいつか私よりも強い力の者に殺され糧にされるだけ。

 

 

 故に彼女は孤独だった。しかし、寂しさに耐えられるからこそどうしょうもなく辛かった。

 

 

 

 この1週間、彼女との生活はとても楽しく快適だった。今までの苦しみなんて消えてしまうほど、ため込んでいた傷が癒やされていくかのように

 

 

 こんなにも他人に信頼され、頼られることは嬉しいことなのか、普段から会話する相手がいることがどれ程救いになるのか、ふざけたり、じゃれ合ったり出来るこの気安さに心がどれ程軽くなったのかを、この能天気な神様には分からないだろう。いや、本人は化けガラスと言っていたが。

 

 

 

 しかし、別れは必ず訪れる。彼女は話を聞く所人間で言うところの旅人だ。いつかはこの地を離れるだろうし、私が同行し続けるのは考えたこともあるが彼女の自由な翼の足枷になってしまうだろう。彼女と同じ程の速さでの移動が可能でない限りは無理に同行したくない。

 

 

「案外、私は貴方を気に入っているのかも知れませんね。飛燕さん。」

 

 

 

 私の都合で、彼女の旅に不都合を与えるのは忍びない。

 

 

 

「だから、今回の下山が終わればお別れですかね。」

 

 

 

 自分で言葉にするととても辛い。胸が締め付けられるような痛みがする。

 

 

 近い別れの予感を感じると、さっきまであった幸福感が途端に悲しみに変わる。

 

 

「いつか終わる幸せを知るとはつらく悲しい者なんですね。飛燕さん。」

 

 

 

 少しずつ、彼女の服装を脱がしていく。1枚1枚、丁寧に。

 

 

 それでも彼女は起きない。この1週間の間、何度も同じことをしても彼女は起きなかった。

 

 

そして、彼女は寝具以外は何も纏っていない姿になった。

 

 

 今度は私の番だ。私もゆっくりとその衣服を脱いで彼女と同じ姿になる。

 

 

 そんな赤子当然の姿でスースーと寝息をたてている彼女に、私は近づいていき、彼女の身体に布団越しに触れて身体の中の『気』を確かめ始めた。

 

 そして、目を瞑ってそこから感じる鼓動や熱、血流やその息遣いの動きまで全てを確認するようにじっと観察していく。

 

 

 二度と忘れないように。脳裏に焼き付けるように彼女の身体をゆっくりと撫でながらを隅々まで知り、覚えていく。

 そして、ゆっくりと触れながら彼女の普段から見えない神秘部まで布団越しで触れていき、その細部の『気』まで覚えていった。

 

 

 

 

 ずっと、一人で暮らしてきた私には分からないこの胸の奥での疼き。もうかれこれ1週間前から続けているこの行為からしか得られない安心感。

 

 これをすることで何か自分の身体から心の芯まで満たされるようなモノが私を満たされて、疼きが治まっていく。

 

 

 

 

 私は、ただ人の温かみを知りたかった。それ以外に何も知らないし思いつくことはなかっただけのこと。いろんなことを試した結果。この行為に至っただけだった。

 

 

 

 ただ私はこの時、人の温もりに飢えていたのかもしれない。

 

 

 

 

 私がそのまま『気』の確認に行為に勤しんでいると飛燕さんは再び寝言を発する。

 

 

 

 

 

「ん………椿ちゃん、文、影狼ちゃ…ん………。」

 

 

 

 …………知らない名前だ。恐らく彼女の夢に出るほど大切な人物達。

 

 

 これ程人当たりの良い方だ。きっと相手にとっても大事な人なんだろう。

 

 

 その姿に私はほっこりしていると、彼女はこの1週間で初めて言う寝言を発した。

 

 

 

「椿ちゃん………置いてかないで…………………。」

 

 

 

「…………………。」

 

 

 飛燕さんの寝言で私の過去の記憶が蘇る。ほとんど忘れていたかなり昔の記憶が。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ごめんなさい………美鈴。これしか私達が生き残ることは出来ないの。…………だから、私達を囮にして逃げて。』

 

 

『お、お母さん………。』

 

 

『紅家の血を絶やさないで………』

 

 

『おかあさ〜ん。置いてかないでよ〜〜!!』

 

 

 

 

『逃げなさい美鈴!必死に生きて!孤独でも生きて!いつか貴方の孤独を癒してくれる相手が現れるから!!それまで必死に生きなさい!!!

 

 

 

 

 

 僅かに残った温もりと記憶。当時の物心がつく前の私に、残された僅かなモノ。あの時、私は難しい言葉を理解できなかったからか、母は何を言っていたのかは分からない。

 

 

 

 

 

 必死で逃げた。母の言いつけどおり、必死で逃げ出した。そして、その時から私は孤独になった。

 

 

 

 

 

 

 物心がついたばかりの私。

 

 

 

『おかあさんに会いたいよ〜〜!!おとうさ〜〜ん!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しずつ情緒が育ってきた私。

 

 

 

 

   『おかあ……さん。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 成長してきた私。

 

 

 

 

      『寂しいよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何処だ!?あの妖かしは?あっちか?』

 

『見つけたら殺せ!!逃がすな!!妖怪を許すな!!!』

 

 

 

『ハァハァ………ハァハァ………!!!』

 

 

人からの恐怖と憎悪を味わった私。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もう。私は一人なんでしょうか。紅家一族の者は誰もいないんでしょうか?』

 

 

 すっかり背も肉体も育ちきり、僅かな記憶を辿って辿り着いた住む者も居なくなり廃墟となった故郷を見渡した私。

 

 

 

 

 

 

『どうやら本当にそうみたいですね。』

 

 

 孤独な私。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女も孤独に近いモノを知っているのかもしれない。いや、大事な者に置いて逝かれてしまう者の悲しみを。

 

 

 

 

 

「文…………会いたいよぅ〜…………。」

 

 

 

 

 彼女も今、孤独を感じているのだろう。とても悲しそうな顔をしている。まるで1週間前の彼女に会う以前の、池の反射で見かける寂しそうな私の表情のように。

 

 

 

 思わず私は密着するように彼女を抱きしめた。当時の私を思い出して、誰かに抱きしめられたかった私に対するかのように。

 

 

私はただギュウっと抱きしめた。

 

 

 

 

「飛燕さん………もう大丈夫ですよ。」

 

 

 

 

 私がそう耳元で呟くと、飛燕さんは安心したかのようにホッとして、再びだらけきった顔に戻る。

 

 

 

 それに安心した私は、ゆっくりと身体を起こそうとしたが、今度は飛燕さんが私を抱きしめてきた。まるで自分を抱き枕にするように。そして、決して離さない意思のような手放さない決意のようはモノを『気』から感じた。

 

 

 手放したくない相手とは、先ほど寝言に出ていた名前のそのどちらだったんでしょうか?それともどちらもですか?

 

 

 私は飛燕さんに心の中で問い詰めるが寝ている者には声にも出していない問なんて帰ってこないのは当たり前だ。

 帰ってきているのは彼女の温かい寝息と温もりだけ。

 

 

 けど、それが私には無性に心地よかった。

 

 

 

 

 

「ふふっ…………これでは朝方まではこのままですね。飛燕さんが起きたら……怒られて………し………ま……い………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は静かな、温かい空間の中の。深い眠りについたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






今回は結構ほのぼの成分とエッチな百合成分とが強かったですね。

 美鈴さんにはこれから幸せになって欲しいです。



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