この姫様、中国史で結構有名人らしいですよ。
気になった人は詳しくは『煬帝の正妃』で調べると良いです。
(前話からの続きです。)
「妾はな………」
蕭ちゃんはポツポツと自分の出生を語りだした。
「妾は2月に生まれたらしいのだ。
ここら一帯の地域でさ2月に生まれた子は取り上げないと言われていて、妾はその2月に生まれたために、当時の実家では育てられず叔父の『蕭岌の家』に養われたんじゃ。
しかし、そこで再び問題が起きた。妾が1歳の時に蕭岌夫妻がともに亡くなったのじゃ。そして、最後に残っていた母方の叔父の『張軻の家』で妾は最終的に養われた。
皇族に含まれていた家だったが『張軻の家』は寒貧だったのう。ひもじい思いをしたことは何度もあるが、『張軻の家』の者は皆優しくて思いやりのある家族でな。沢山愛情をもらったわ。
当時の妾はまだ子供で働き手となるだろうに、妾が将来困らないように農耕の手伝いの合間に物書きや勉学だけは教えてもらったものだ。
お陰で良識を学びしっかりと学びながら育つことが出来た。今でも『張軻の家』には感謝しておる。」
川の水流を眺めながら、蕭ちゃんはゆっくりと息を吐いた。
穏やかで懐かしそうに、過去を振り返るように整備された用水路の川の川底を眺めていた。
「叔父上からはよく言われておった。『お前は器量がよく顔立ちも良い。そして血筋も正統なモノだ。然るべき時に学んでおけ』とな。
日頃よく言われていたが貧しい家での生活が大変でな。正直妾が皇族である実感などなかったわ。日々を生きるのに必死だった妾には知らんことだったことだからな。
だが、実際にその『然るべき時』が来たとは驚いた。
隋の先代皇帝でいらした文帝楊堅は死ぬ前に次男の晋王楊広、まあ後の煬帝じゃ。私の夫という訳だが、彼のために後梁から妃を選ぼうとしたが、占ったところ後梁の公主の妃の候補者達を妃にすることは不吉と出た。
そこで蕭巋が妾を張軻家のもとから迎えて占わせてみれば、ようやく吉と出たので、妾を晋王妃としてとつがせたというわけじゃ。
今となっては助けられたものよ。
勉学の基礎があるだけで、覚えることなど作法や嗜むべき芸だけだったからのう。
お陰で、宮廷暮らしは順風満帆であった。『あの頃の夫』は誠実で優しく、常に私を気にかけてくれた。手紙はよく貰えたし、よく詩や歌について話し合ったものだ。
本当に真面目で素晴らしい好青年だった。あの頃の夫ならば私は喜んで夫を皇帝にするための協力をこなせていたのだがな。」
「…………しかし、煬帝は豹変した。」
私の言葉に蕭ちゃんは少し痛しげな顔を含ませながら恥ずかしそうにはにかんだ。
「本当によく知っておるな?ああそうだ………恥ずかしいことにな。夫は『皇帝』に即位した瞬間、人が変わったかのようになった。
いつもくれた手紙は無くなり、『私だけを愛している』という理由で作らなかった側室をつくって多くの女を侍らすようになった。
妾を遠ざけ、常に他の女を侍るせ、妾に顔も見せない。会えるとしても月に一度会えるかないか…………妾は何故こんな扱いを受けるのかも分からない。
挙句の果てに、無駄に戦を仕掛け、兵を浪費して私腹の為に民を働かせて必要もない大河の建設をし始める始末。これでは民の不満は溜まっていき民の心は少しずつ離れていくばかりだ。
私が送った嗜めの詩の文もそもそも呼んでいなかったのか無視されて返りの句も無かった。まるで私のことを忘れているのかのようにな……………。」
「それは……酷い話ですね。」
美鈴さんの同情の声に、蕭ちゃんは少しだけ顔をあげて私達を見やる。
「どうじゃ?今の妾はどう見える。」
正直、悲しそうな顔はしているがそれ以外は凛としていて真っ直ぐと私達を見据えている。
そこに落ちぶれた様子はなく、未来を観やって心配しているだけの一人の女性だと思った。
そして、生きるための信念があるように見えた。
「蕭ちゃんはちゃんと綺麗に見えるよ。ここにいる皆に負けないくらい。」
「…………ふふ……そうか。なら良かった。」
「グゴォ゙〜!せいがぁ〜!まだ少しくらいは食べれるぞ〜?」
屋台の食べ物を全て食べ尽くした芳香ちゃんが青雅さんの膝枕の上で寝息を立てている音が聞こえる。
その音を聞いた私達はその芳香ちゃんの姿を見てクスリと笑い合う。そうだ。芳香ちゃんみたいにこんなふうにマイナスなことばかりを考えずに生きるのがいいよね。
………そういえば死体って寝るんだ?いや?永遠の眠りについてるから元々寝てるのかな?
「よし!辛気臭い話は終わり!!今夜は皆で楽しもう!!」
「ええ。そうですね飛燕さん。もう食べ物は無くなったので丁度良いですね。蕭さんも今度は夜の祭りを楽しみましょうか?」
「ほう〜祭りとは夜まであるのか?案内して貰おうかの?」
「なら、宿をとった時に私がいい酒場の店を見つけたのでそこにいってみるのはどうかしら?」
「良いですね。」
「よし行ってみよ―」
「皇后様〜〜!!どちらにおられますか〜〜!!!」
「皇后様〜!何処かに行っては困ります!!いつも怒られているのは私なんですからね〜!!!」
私達が食べ物をゴミを拾って芳香ちゃんの『何でも食べる程度の能力』で処理させてもらっていると、路道の何処かから蕭ちゃんの従者らしき女性の声が聞こえてきた。
「おっと、珠世か………逃げるぞ?」
「あの女の人は従者?」
「そうじゃ。今日は妾を匿ってくれんかのう?もう少し遊びたい。お主らもこの場面を見つかってしまうのはまずかろう。」
「それはマズイ。」
「では私の『能力』で突き放しましょうか?」
「お願い青雅さん!」
「私は従者達の『気』を反らしておきます。」
「美鈴さんありがとう!!じゃあ私は能力で探索するよ。」
「………ん?なんじゃお主ら?普通の人間ではないのか?」
おっと、どうやら私達の正体に感づいたようだ。まあ普通の人からしたら摩訶不思議な力を使おうとしているんだ。気がつくのは仕方がないんだろう。しかし、気がつくのが遅かったね。
「あら?あの行進を見ていたなら少し考えてみれば簡単に分かる筈よ?」
「…………妾はとんでもない連中に絡んでしまったのか?」
「正解♪………ほら、行きますわ。」
「わっ!?ちょっ!?―」
顔を青ざめた蕭さんの手をとった青雅さんは壁を通り抜けていった。私達もそれに続いていく。
「飛燕さん?大丈夫なんですか?あんな高貴な人を連れ出して。」
従者達の気を逸らしてきて戻ってきた美鈴さんが心配そうにしているが、何を言ってるんだろう?
「ふふ…忘れてない?私達は妖怪だよ?……まあ邪仙とキョンシーはどの部類かは知らないけど。妖怪は人を誑かしてなんぼだよ?」
「むぅ……確かにそうですね。」
「別にとって食おうって訳じゃないしね。本人の希望通り一緒に逃げるだけだよ?」
「なら……良いですね。私としても人間に手をかけることは避けたいので。」
「それについては私も同意だね。『あの感覚』はあんまり良くない。」
「………飛燕さんは人間を殺した経験が御ありなんですか?」
「まあね。270年前で『ある神々の戦』に巻き込まれてね。色々と酷い目に遭ったよ。」
たかが数百年で忘れる訳がない。諏訪大戦での初めて人を殺したあの感覚を。人を殺したこに何も感じなかったあの違和感を。
別に不殺の契りを交わした訳じゃないけど、人間なんて殺してもいい気分にはならないからね。
美鈴さんは真剣な表情で黙って私を見つめた。何か思うようなことがありそうだ。
「どうしたの?美鈴さん?私のことを黙って見つめて。」
「…………飛燕さんって……一体、何者なんですか?」
美鈴さんは普通に疑問に思って言ったんだろう。警戒している訳でなく、私のことを測りかねてるんだろう。まあ、冷静に考えれば化けガラスで石道神だからね。私もぶっちゃけ訳が分からないから美鈴さんが私のことを本当に分からなくてもしょうがないのかもしれない。
けど、ここで言うべきことは1つだ。
「私はただの化けガラスだよ。神力があるだけのね。」
「ぷっ………もうそんなキメ顔で言わないでくださいよ〜!アハハハッ!!飛燕さんの顔が胡散臭すぎます!!」
「ちょっ!?美鈴さん!!そこは感心するところだよ!!笑うことはないじゃん!!
ふん!さっさと行くよ美鈴さん!青雅さん達が待ってるから!」
美鈴さんの暗闇でも分かるような明るい笑顔に思わず顔が赤くなりがらも私はそれを隠すように能力がかけられた壁へと入っていく。
「あ〜!そんなに怒らないでくださいよ〜!!」
「私のキャラに合わないことをしたのは自覚してるよ!ふんっ!!」
「わかりましたから、許してくださいよー!今夜は私を好きにして良いですからーー!!!」
「許しましょう。私は寛大な神様ですから。」(食い気味)
「ちょ!?飛燕さん!?変わり身が速いですよ!!」
「ハ〜ハッハッハッ!!これくらいはしてもらわないと許さないからね!!今夜は寝かせないよ?」
「もう分かりましたよ!!」
私達の喧嘩にもならない痴話の声は夜の祭りの騒がしい音に消えていった。
* * *
『麻婆4つ!!』
『はいよー!!』
『お注をおかわりだ!!』
『今行くよ!!』
― ジュ〜 ―
心地のよい油の焼かれる音を背景に中華特有の小腹をすかせてくるいい匂いが漂ってきて、店の前を通りかかれば誰もが店に足を運んでいく。
店は活気に溢れ、客はその喧騒を肴に酒や中華料理を食べて楽しんでいる。
そんな中、従者達を撒いた私達は青雅さんが良さそうだと言っていたそんなお店でお酒を飲んでいた。
「ぷは〜!!やっぱり祭りの後はお酒だよね〜!!」
旅の疲れには酒だ。祭りで流した汗は酒!!これに限るね!
「こんなに美味しい酒は久しぶりだね!!てか2ヶ月半くらいはのでないから余計美味しく感じるね!!ヒクッ!」
「せいがぁ〜。なんであんなに飛燕は酔ってるんだ〜?」
「芳香ちゃん。あれはダメな大人よ。余り見ちゃだめ。」
「分かったぞ〜。せいがぁ〜。」
「飛燕さん。少し飛ばし過ぎじゃないですか?」
「あらら♪いい飲みっぷりね。飛燕さん?それじゃあお持ち帰りされちゃいますわよ?主に私に。」
「ん?いいのいいの。楽しむときは楽しんどかなきゃいけないの。美鈴さんこそ飲まないの?」
「私は酔ってしまうと『気』が練れないので、辞めときますよ。程々に飲みます。所で何か見落としてませんか?周りがうるさくて何を言っているのか分かりませんでしたけど。」
ヒャッハァ〜〜。祭りの日は酒だ〜!!私は神様でもあるから酒を飲まなきゃ損なのだ〜!!
「これは……相当飲んでますね。ペロリ。」
ん〜?青雅さん?どうして私をそんな目で見てるの〜?まあ?いいか?アハハハッ!
「おお……これが酒場というものなのか?よい雰囲気じゃな。宮廷とはまた違ううるささがよい。食べ物の味は宮廷と比べれば、比べものにならないくらいには庶民の味だが、どこか安心するのう。張軻の家を思い出す。」
「うふふふ♪夜遊びも知らないとは随分とお嬢様ですこと……昔の私みたいですわね?」
「ん?青雅も高貴な生まれだったのかのう?」
「ふふ………ええ。昔のことですわ。」
「私もだぞ〜?せいが〜!!!」
「ええ。そうね。芳香ちゃん。あなたもね。」
「所で、さっきから芳香という者は何者じゃ?動きが妙にぎこちないが?」
「芳香ちゃんはキョンシーですわよ。」
「きょ、キョンシー!?な、なぜそんな穢れた存在が??」
「教えてなかったかしら?……怖がらなくても大丈夫よ?
貴方のことは襲わないわ。………貴方が周りに言いふらすようなことをしなければね♪」
「わ、分かっておるわ。」
怖がる蕭ちゃんの顎先を摘みながら脅迫する青雅さん。少し怪しい雰囲気なので私と美鈴さんがすかさずフォローに入る。酒に飲まれても冷静で居られるなんて私はやるじゃん。ヒック。
「まあまあ、種族なんて関係ないからね?妖怪でも神様でも仙人でも人間でも。酒の席なら皆で飲んで酔うんだよぅ〜〜!!」
「あんまりフォローになってませんよ?飛燕さん?あと私達が秘密にしなきゃいけないことの一斉掃射は辞めましょう。秘密のお漏らしみたいになってますから。」
「なっ!?よ、妖かし!?」
蕭ちゃんの元々綺麗な白い肌が更に白くなる。ん?私、妖怪って自分からバラしてない?
「2人とも、余計に怖がらせてどうするのよ。はぁ……私がツッコミに回るってどういう了解ですの?」
「大丈夫だぞ〜?小娘〜?私達は小娘を食べないぞ〜!!」
「そうよね〜♪芳香ちゃ〜ん。私の言いつけを守れて偉いわね〜!!」
「食べる!?」
「あの………、蕭さんを一番怖がらせてるのは青雅さんと芳香さんじゃないですか?」
「ふふふ♪」
「美鈴さん。あれはワザとだよぅ。芳香ちゃんはともかく。ヒック。ほらぁ〜!一緒に飲もうよ!蕭ちゃん!」
「………。」
「まぁまぁ……そんなに怖がらないで良いんですよ?ここには誰も貴方を傷つけるようなヒトはいませんから。ね?」
「お酒ぇ…飲もうよぉ〜〜!蕭ちゃ〜ん!!」
私達の能天気な姿に毒されたのか、恐怖で強張っていた顔が落ち着きを取り戻して、蕭ちゃんから感じる恐怖が薄まっていったのがわかる。
「はぁ〜分かった。これくらいの安酒なら酔わぬがな。そろそろ一杯頂くとしよう。酒が少しでも入ればそんなこと気にしなくなるからのう。」
うんうん。そうだよ。やっぱり宴は全てを解決するんだ。やっぱり原作の流れは完璧である。はっ!?電波!?ヒック。
「………それにしても、ふざけた奴等じゃのう、お主ら……。まるで妖かしには見えない。特に飛燕と美鈴。お主らは誰よりも人間見たいじゃ。よく考えてみればそんなに恐れる者達でもなかったわ。」
「あ、あははは…………。」(その私達が丁度妖怪だとは言えないなぁ〜)
「ふむ。まあ良い酒ではあるな。」
「ふふふ♪私がお酌をしますわ。先ほど貴方を脅した謝礼です。」
「まあ……良い。それについては妾も騒ぎ過ぎた。それ程お主にとって大事な者なのだろう?死体になっても連れ回すなど、余程でもない限りはしないだろうに………」
― コプコプ ―
青雅さんが蕭ちゃんの持つ器にお酒を注いでいる音が喧騒の中、僅かに響き渡る。
確かに……どうしてそんなことをしているんだろうか?動く死体なんて、目立つだけで悪いイメージしかないし、人と関わるなら持つことへタブーだろう。
妖怪である私達ならいざ知らず、人次第では嫌悪感を抱くものも多い筈だ。青雅さんはいつも楽しそうに物事を観ているが、決して私のように能天気ではなく頭は良い。それくらいは直ぐにわかることだ。
なのに、青雅さんは芳香ちゃんと一緒に行動している。とても親しげで愛するかのように。
「…………そうですわね。」
「死人も当然の者に対して、我が子のように猫可愛がり世話をするとはお主は不思議な者だ。
自然と目についてしまう。何かしら訳があるのを察してしまうのは仕方あるまい。ほら、もうよいぞ。」
「…………あら?そうですわね。」
考え事をしていたのか青雅さんは、蕭ちゃんから注いでいた器から酒が溢れそうになることに気がついて、傾けていたいでお酌を急いで元に戻す。
う〜ん?…………青雅さんの今まで見たことがない反応から、やっぱり生前の生きていた芳香ちゃんと何かあったのだろうか?
やっぱり青雅さんは謎が多い人だ。ミステリアスな女性は美しいとは言うけど、青雅さんも中々の美しさだね。
………偶に、不意打ちで私の胸とか局部を触ってくるのは辞めて欲しいけど。
「…………蕭さんは、よく周りを見ておりますわね。」
「これでも王妃じゃ。それくらいの鑑識眼でもなければ今頃煬帝の怒りを買って死んでおる。それくらい恐ろしい場所でもあるのじゃ。」
ヒエ〜。そりゃあ嫌だな〜。
だって聞いたことあるけど、皇帝に臣下が意見や嗜めの言葉をかけるときは命懸けだって聞いたことがあるからさ。その進言が少しでも不快に思われたら、処刑コースに真っしぐららしいから、やだよね。
得に、煬帝は暴君だ。それは顕著だろう。これがあの取引をしたお婆さんの言ってたことなのかもしれない。
「う〜ん?やっぱり宮廷は居心地が悪そうだね?」
「そうですね。私も出来るだけ近づきたくはないですね。」
「それについては賛成ですわ。飛燕さん。あんな所なんて毒虫も近づきませんわ。」
「ん?お主?宮廷に入ったことがあるのか?」
「ええ………好奇心で侵入したこともありましたわ。因みに貴方の世話もしたこともありました。貴方の湯浴みの時に。」
「ん……?あの時の変わった侍女か?私の身体を妙に弄ってくる青髪の侍女がいたと思っていたが……お主だったのか。」
「ええ。そうですわ。貴方の顕になったお姿を拝見させて頂きました。いい目の保養になりましたわよ?」
クスクスと楽しそうに笑う青雅さんに全員の呆れの目線が注ぐが、注がれている本人はまるで全然気にしていない。寧ろ楽しんでいる節がああった。
いや、普通に何してんだろうこの人。
「………何してんの?青雅さんは。」
「えぇ…………。青雅さん……ぶっ飛びすぎでは?」
「全く何をしておるんじゃ。青雅。だが……あのときは妾の悩みを聞いてくれて感謝するぞ。」
「感謝されることではありませんわ。月明かりの光の中で可哀想な顔をしている可愛いお人がいたなら笑顔にしたくはありませんか?そちらのほうが楽しいでしょう?だから楽しみたかった私の勝手な独尊ですわ。」
「ふふ……そのとおりだ。どうじゃ?明日は宮廷に立ち寄ってはみんか?」
「え?いいの?けど……宮廷は危ないんじゃ?それにどうやって入るの?」
「そうですよ。それに余り長居はできませんからね。今は休暇とはいえ、飛燕さんは倭国に出来だけ早く行かなきゃいけないんですから。」
「まあ大丈夫ですわよ。数日くらい長居しても変わりませんわ。それに、実は心に訪れた倭国の帰りの船に乗って倭国に訪れていたのでそこに乗るならば、まだまだ時間はありますわ。」
「そういうことなんだ。でも客人としては目立ちすぎるしな〜?」
「なに、私がお試しでお抱えした侍女だと言い張れば大丈夫じゃ。珠世も納得はしないだろうが、無理やり納得させる。」
蕭ちゃんの言葉に私と美鈴さんは顔を見合わせる。美鈴さんの能力を使って会話をするために。
『どう思いますか?』
『う〜ん?罠とかはそうな感じじゃないんでしょ?』
『はい。そのような『気』は蕭さんからは感じませんでした。』
『なら、大丈夫じゃないかな?日程は少し調整しなきゃいけないけど。』
『大丈夫だと思います。』
私と美鈴さんは頷きあって会議を終わらせて蕭ちゃんと青雅さんに向き直った。
「じゃあ、そうしようかな?」
「私も意義はありません。」
「良かった。青雅の侵入方法があるだろうから、その時場所を指定する。そこで落ち合おう。妾は明日の朝、珠世と合流してから宮廷に戻る。」
「なんだか楽しくなってきた。」
「私もです。折角なら、宮廷を離れる時に宮廷の皆さんに何かサプライズでもしましょうか?」
「クックック………それはいいね。私にいい考えがあるよ?青雅さんと美鈴さん協力してくれるよね?」
「ふふふ♪やっぱり貴方達は面白いわ。あの時川で拾いあげて良かったわ。」
「いや……お主等。普通に辞めんか。」
「無駄だぞ〜?小娘〜?せいがぁ〜達は〜こうなったら止まらないぞ〜?」
「はぁ…自分でこの提案をしたのが馬鹿だったのかのう?」
今日も乙女達は笑顔で悪巧みをする。楽しい最高のイタズラを成功させるためにも。
今日の大興城の街も騒がしく人々の営みを繰り返していく。人外な乙女達のたちの小さなイタズラをしようとしていることに気が付かず。
楽しくなってきたぞ〜!