化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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 小野妹子さん。名前の割には結構男らしい見た目をしてるんですよ。女らしい名前なのに。


12羽:「チャイニーズ娘達とのチャイニーズ旅行(笑)⑥」

 

 

 

 歴史の資料とは少し違う遣隋使の式も無事終わった後、私達は蕭ちゃんと数日間一緒に遊んで過ごした。時々宮廷を抜け出して町中で珠世さんを連れて遊んだりした。

 

 結構ハチャメチャな数日間だけど凄く楽しかったな〜!!中華料理屋をハシゴしたり、古代の中国マフィアに大立ち回りしたり。中国マフィアの手下達を太陽拳で次々となぎ倒していったあの時の美鈴さんはカッコよかったな〜!

 

 

 沢山思い出をつくっていったが、時間は有限だ。そろそろ私達は出発しなきゃいけない。

 

 

 そして、私達は出発する日を迎えて妹子さんの使節団と一緒に帰国する流れになった。

 

 

「蕭ちゃん。珠世さん。この数日間凄く楽しかったよ。」

 

「楽しかったぞ〜?小娘〜!!」

 

 

「妾も楽しかったぞ。………だが、ちと暴れすぎだぞお主たち。幾ら治安を良くするためだとは言え、妾に手を出してきた悪党の組織を根絶やしにするのはちとやり過ぎであろう。」

 

「……………皇后様に手を出そうとしたことが間違いなのです。あのような下賤な輩は地獄に落ちるべきです。」

 

「ひえっ!?珠世さんが初めて怖い顔をしてるんだけど?」

 

 

 こ、怖い。一度ガチギレした時の大巫女さんを思い出すよ。優しくて温和な人が怒るのが一番怖いよね。そういえば大巫女さん。黄泉で元気にしてるかな?いや、天国かもしれない。あの人、間違ったことは絶対にしない人だから逆に天国でも神様に説教してそう。

 

 

 

「ふふ♪久しぶりに承認欲求に疼かされたお陰で中々楽しめましたわ。あの騒動のお陰で名を売れましたし。」

 

「まあ……大興城の街であれだけ暴れていれば………それはスッキリしますよね。はい。」

 

「あら?美鈴さん?貴方が一番活躍しておりましたわよ?まさか、美鈴さんの素の口調が『オラオラ系』だとは思いませんでしたわ。」

 

「そ、それは言わない約束ですよ!!それに違います!!飛燕さんの熱血ぶりに感化されただけですから!!」

 

「あ、アハハハ………まあ、熱くなりすぎた気がするな〜あれは………。」

 

 

 私、前世では親友が完全に不良だったから、自然と他の不良に喧嘩をふっかけられちゃって親友も不良だったからさ、よく一緒にいた私も喧嘩にも沢山巻き込まれちゃってね。お陰で時々熱くなると喧嘩口になっちゃうんだよ。 私は非暴力主義だったから全て親友に攻撃は任してたけど、どうしてもそうなっちゃうんだよ。

 

 うっ!?思い出すな私。大興城の大立ち回りの件は黒歴史だ。決して私はキザなセリフを吐いたりはしていない。忘れるんだ飛燕。

 

 

「そういえば、飛燕さんの『お前と背中を預けられるとは運命だね!!』と言われたときは正直ときめいちゃいましたね。」

 

「凄くカッコいいセリフだったぞ〜!!」

 

「ギャァァァアアア〜!!!辞めて〜!!?美鈴さん!!芳香ちゃん!!忘れて〜!!!!」

 

 

 ア〜!?折角人が黒歴史を闇に葬ろうとしてたのにぃ〜!!

 

 

「そうじゃのう。あれは舞台でしか聞いたことがないような言葉使いだったのう。妾も楽しめたわ。」

 

「なっ!?蕭ちゃんまで!?もう辞めて!!私のライフはもうゼロだよ!?ね?死体蹴りは良くないよ!!ゲームのマナー違反だよ〜!!!」

 

 

 私の避難虚しく、瀕死な私に追い打ちをかけて来るものがいた。青雅さんだ。

 

 

「ええそうです。……それでマフィアのボスの正体が妖怪だと判明した後の激闘の末、飛燕さんの大弾幕を張りながら『これで仕舞いだよ。このゴミ虫が!!』というセリフ。普段のギャップが堪りませんでしたわ。正直、惚れそうでしたわね。」

 

 

「ぐはっ!?キュ~~!!」

 

 

 ―バタン―

 

 

「あっ!飛燕が血を吐いて倒れたぞ〜?せいが〜?」

 

「大丈夫よ芳香ちゃん。ギャグ展開ではよくある出来事よ。どうせ、一コマ後には回復してるわ。」

 

「………そ、そんな扱いでいいんでしょうか?一応この小説では主人公ですよ?」

 

 

 

「いいのじゃ。」「いいのよ。」「いいんだぞ〜?」「いいんです。」

 

 

「え〜……………珠世さんまで……。」

 

 

 心配そうに、私を揺り起こそうとしてくれる美鈴さん。

 

 

 ………やっぱり、味方なのは美鈴さん。君だけだよ。

 

けど、死に体の私を揺らさないで。吐血がまた出そうなんだけど、ゲホッゲホッ!!

 

 

 

 

 

 (閑話休題)どうも。久しぶりに使いますね。

 

 

 

 

 

 そんなこんなしている内に、私達と倭国の使節団は大興城に入る明徳門へ辿り着いた。蕭ちゃんと珠世さんのお迎えはここまでだ。

 

 

 

 

「それじゃあ。行くよ。じゃあね。蕭ちゃん。珠世さん。」

 

「機会があれば、また会いましょう。」

 

「またここを寄った暁には宮廷内に侵入させて貰いますわ〜♪」

 

「また会おうぞ〜。小娘〜!!」

 

 

「またの〜!!皆〜〜!!!」

 

「皆様のまたの来賓をお待ちしております。」

 

 

 

 そうして、私達は手を振る蕭ちゃん達を背に大興城を出発したのだった。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 さて、私達が大興城を経ってから、楽浪へと立ち寄った後は朝鮮半島にある港への道を辿っていた。もうかれこれ一ヶ月が過ぎているので予定の半年まで、もうすぐになる。

 

 紆余曲折あったが、なんだかんだ言って私達は最短ルートを辿れたらしく、予定の半年よりも早く着きそうだった。

 

 しかし、幾ら早く行ったとしても私達には航海する為の術がない。だから、遣隋使の使節団の帰りの航路へと乗せて行って貰う代わりに、最近凶暴化してきている妖怪からの用心棒として妹子さんに雇われることになった。

 

 いや〜妹子さんと仲良くなっておいて良かったよ。お陰で倭国への航路を探す手間が省けたからね。これがコネって奴なんだね。

 

 けど、一つ問題がある。進みが遅いせいで退屈しがちになるのである。

 

 

 あ〜………暇だぁ〜〜〜〜〜。

 

 

 

 …………そうだ。妹子さんに話しかけよう。

 

 

 

 

「ねえねえ。妹子さん。妹子さんは妹子さんなのになんで妹子さんなの?」

 

 

 馬車の上で仰向けになって『飛燕に抱きしめられる』と書かれているお札を貼ってある芳香ちゃんを時々撫でたり匂いを嗅ぎながら抱きしめていた私は、馬車の馬に乗っている妹子さんになんとなく聞いてみた。

 

 それにしても、芳香ちゃん。いい匂いがするね。クンカクンカ。はぁ〜。癒される〜。

 

 

 

「……急に哲学的な質問をしてくるな………何か意図があるのか?飛燕殿?」

 

 

「いいえ、妹子さん。恐らくですが、あの飛燕さんの質問の真の目的は、ただのダル絡みかと。」

 

 

「妹子さんの名前って女性っぽいよね〜。こんなにがっちりした好青年なのに。ね〜?芳香ちゃ〜ん?」

 

「ん?そうだな〜!!」

 

 

「…………………。」

 

 

 勿論美鈴さんの言った通り、妹子さんへのダル絡みである。うゔ……妹子さん。そんなジト目で見ないでよ。

 

 

 

「はあ………用心棒として腕のよい術師かと思ったが……雇ったのが間違いだったのか?」

 

「だって〜!暇なんだよ〜!!やることが芳香ちゃんを愛でるくらいしか無いんだよ〜!あ〜芳香ちゃん可愛い〜!!うりうり。」

 

「うう〜!飛燕〜動きづらいぞ〜?」

 

 

「うふふふ♪そのことについては仕方ありませんわ。集団で動く以上、多少は移動が遅くなってしまう。そこに行きには無かった大量の『褒美』の荷物があれば尚更。どうしても暇な旅路になってしまう。

 寧ろ、今までが異常でしたわ。大量の妖かしに襲われたり、大百足に追い回されたり、蟻の妖怪の巣で一ヶ月間さまよう羽目になったり。

 お陰でこの4ヶ月間は退屈しませんでしたわ。」

 

「ん?そうなの?倭国でもあんな感じだったから『大陸のほうでもそうなのかな〜』って思ってたわ。」

 

 

「………波乱万丈過ぎないか?お主の人生。」

 

 

 

 む?確かに妹子さんの言う通りかも?

 

 てゐや龍さんに運の悪さを警告されてから、よく色んな妖怪やらなんやらに絡まれるようになったんだよね。ここ270年の間もそうだったな…………。

 

 

 道に迷ってたお婆さんを助けてお婆さんの家まで送ったら鬼婆の家で食べられそうになったり。

 例の鷹の妖怪にいつもよりしつこく追いかけられたり、どこぞのまだ生まれたばかりの変な服を着た市場の神様と酒を飲み交わしたり。

 絶対に日本には無いはずのピラミットみたいな祠を守ってたスフィンクスみたいな見た目の道祖神の同族の神様が出してくる変な問題に時々付き合ってあげたり……………エクストラエクストラ。

 

 

 うん。結構濃いな私の鴉生。お陰で全然退屈しなかったけど。

 

 

 

「ふっ………今は嵐の前の静けさだよ。妹子さん。」

 

「や、やめんか!?唯でさえ煬帝から授かったお返しの手紙を洛陽で盗まれたんだ!!これ以上はよしてくれ!!」

 

 

 妹子さん。若くして遣隋使の特使丁度に選ばれる程には優秀な人だけど、楽浪という都市で寝ている間に案内人に煬帝から貰った大事な手紙を盗まれてしまうくらいにはおっちょこちょいな人なのである。

 

 そんな妹子さんには奥さんが倭国にいるらしいけど、きっと妹子さんのこういう所が奥さんは好きなんだろう。まあ今の時代は家同士の決め事だから自由恋愛なんて保証されてないけどね。

 

 でも分かるよ。なんか面白い人だよね。真面目なのに少し抜けてる人って。

 

 

 

「………遊ばれてますね。妹子さん。」

 

「暇すぎて、なんとなく誰かを玩具にしたくなっているのよ。彼は真面目だから弄りがいがありますからね。」

 

 

 それにしても、暇だ。空は青いし、芳香ちゃんは可愛いし。妹子さんは弄りがいがあるし、青雅さんと美鈴さんは美しいし、旅が順調だし。

 

 

 なんというか、最近は色々ありすぎて日常感が薄れてきてるんだよね。ほのぼの成分が足りないっていうか、なんというか。

 

 

 なんか刺激が欲しいよね。

 

 

 あ〜そうそう。文とのテレパシー通信は少しずつ復旧して来てるっぽい。やっぱり近づいて来てるからなのかな?それとも妨害が薄まってるのかな?

 

 取り敢えずは一安心だ。だから急がなくても良くなったんだけど。

 

 

 そんな感じで港への道のりを使節団は進んで行った。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 1、2週間が過ぎたころだろうか?

 

 

 港へとついた私達は、妹子さん達遣隋使の使節団の荷物や煬帝から貰った褒美の荷物を積み込むのに為に1日かかると言われたので、その間は港町で休暇を挟むことになった。

 

 

 と、言っても港町には漁に出かける男たちのための宿場しかなく、あるのは酒場や魚屋くらいだ。それ以外は大して何もないので宿でボ〜としているだけだ。

 

 

「あ〜暇だ〜〜!!」

 

 

「ん?そうでしょうか?海風が涼しいですよ?新鮮でそれだけでも楽しいですけどね?」

 

 

 私と美鈴さんは同じ部屋をとっている。青雅さんと芳香ちゃんは違う部屋にいるが、用事があるらしく、何処かへ向かっていて宿周りにはいなかった。私の能力による探知にも引っかからなかったし、確実である。 

 

 

 故に、久しぶりの二人きりの時間が訪れていた。

 

 

 私と美鈴は窓辺で隣り合うように床に座って、寄りかかり合い、両手を繋いだまま絶え間なく吹くそよ風を感じながら黙っていた。

 

 

 朝早くから漁をしに行って獲物を獲って帰ってきた漁師の荒々しい声と、その獲物を横取りしようと空から覗いている海鳥の声遠くから聞こえてくる。

 

 

 この沈黙は気まずいこともなく、寧ろ心地が良かった。そして、美鈴さんの手の感触が温かく柔らかかった。

 

 

 

「……ねえ?知ってる美鈴さん?昼に吹いてる風は陸側から吹くから陸風なんだよ?海風が吹くときは夜なんだって。」

 

「へ〜。そうなんですね?じゃあ今は昼間ですから私達が感じている風は陸風ってことなんですね。」

 

「そうだよ。不思議だよね〜。」

 

「はい。不思議です。」

 

 

 

 

 

「「………………。」」

 

 

 

 

「飛燕さん。今は暇ですよね?」

 

 

「うん………。」

 

 

「なら、一旦、お話をしましょう。」

 

「……………うん。分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛燕さん。私は倭国への航路の船には乗りません。私はこの旅で私の弱さを知りました。」

 

「………うん。」

 

 

「…………勿論、飛燕さんとの半年間近くの旅はとても楽しかったですよ?」

 

「うん。私も凄く楽しかった。」

 

「はい。いい思い出になりました。お陰で新しい目標も出来ましたしね。」

 

「………どんな目標?」

 

「少し、『修行をしながら、自分探しの旅にでも言って見ようかな〜』と思ってます。

 具体的には、ず〜と西に進めばあるという西洋という地域を目指しながら修行の旅をしようかと思ってるんですよ。」

 

 

「………いいじゃん。美鈴さんらしいね。」

 

「飛燕さんはそう言ってくれると思いましたよ。だから、私は貴方の旅に最後まで付き合うことは出来ません。私にもやりたいことが出来たんですから。」

 

 

 

 

 

「「…………………。」」

 

 

 

 お互い。話す前から雰囲気でなんとなく察していたんだ。美鈴さんとはここで別れれば、離ればなれになって本当に長い間はあえなくなるということを。

 

 

 

 だから、私達は寄り添ってお互いの手の感触を確かめ合っているんだ。名残惜しいから。別れが辛いから。

 

 

 

 

「飛燕さん。明日でお別れになりますがこの半年間、本当に、本当に、ありがとう御座いました。」

 

 

 

「ううん。私こそありがとう。私が落ち込んでる時も沢山励ましてくれて、美鈴さんがいつも隣にいてくれて本当に心強かったよ。」

 

「いえ。私こそ。沢山飛燕さんの愛情と信頼を頂けて嬉しかったです。お陰で一人のなっても前を向いて歩いていけそうです。」

 

 

「こっちだって、沢山美鈴さんに甘えちゃって。申し訳なく感じちゃうけど………正直言って………凄く嬉しかった。」

 

 

「ふふ……お互い様でしたね。フフッ。」

 

「うん………お互い様だね。アハハ…………。」

 

 

「「…………………。」」

 

 

 

 

 私と美鈴さんは絡め合っている互いの指の力を少しギュウと強め合う。

 

 

 その握り合った手は少しだけ震えていた。そのどちらかが震えている筈だが、それはどちらかなのかは分からなかった。

 

 

 

「飛燕さん。これが今回の旅では最後になりますよ。」

 

「…………うん。」

 

 

 

 

 美鈴さんは私の顔に自分の顔を近づけてくる。

 

 そして、美鈴さんは私の右耳を甘噛しながら、そっと、私の身体を押し倒した。

 

 

 

 

 

「飛燕さん。……私の最後のお願いを聞いてくれますか?」

 

「分かったよ。美鈴さん。なんのお願い?」

 

 

 

 

 

 

「倭国に帰るまでは、私だけの美鈴で居させてください。」

 

 

「……………。」

 

 

 

 美鈴さんの顔が窓辺の光に照らされて美しさを増していた。その表情は当時に少しだけ悲しそうな、幸せそうなら笑顔で。

 

 

「分かった。"美鈴"。私は倭国に帰るまでは美鈴のモノだよ。」

 

 

 

 

 

「そう言ってもらえてとてもうれしいです。

 

 

 

     なら…………遠慮は要りませんよね?飛燕?」

 

 

 

 

 

 急に顔を近づけてきた美鈴さんの唇が私と重なる。乱暴に。私にその舌触りの感触や体温を身体に覚えさせるかのように。

 

 

 

 「飛燕。ひ…え……―ン………。」

 

 

 

 ― ジュル チュ ジュルル ―

 

 

 

 お互い甘い唾液が激しく混ざ合い一体化していく音が大きく響く中、美鈴さんは私の服なんか乱暴に脱がしていった。私も美鈴さんの服を脱がしていく。

 

 

 

 

 お互い止まらなかった。いや、止まれなかった。

 

 

 

 

 ― クチュ クチュ ―

 

 

 

「―ン………美……鈴。」

 

 

 

 

 だって、美鈴と私はまたいつ会えるか分からなかったから。1秒もこの時間を、無駄にしたくなかったから。

 

 だからこれが最後になってもいいように、後悔しないように、沢山お互いの体温を感じたかった。

 

 

 

 お互いに時間を忘れて愛し合った。昼間なのにあふれ出る声なんか気にせずに。

 

 

 

 お互いの肌を重ね合い。ゆっくりと情熱的に求めていく。二度と忘れないように。そして、いつかまた会える時に思い出せるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美鈴さんとの口づけは甘く、そして濃厚で刺激的な香りと味がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 あぁ〜!!美鈴さんが美しすぎる。百合は神ですね。
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