のじゃロリってなんか良いよね。
目を開けると、そこには袴のようなモノを着ているロリっ娘が砂浜の上で倒れている私の顔を覗いていた。イヤッフゥー!!銀髪ロリっ娘とは結構かわいいね〜!!
「で?お主はなんという?」
「………黒柳飛燕デス。」
「ふむ?何処かで聞いたことがある名前じゃな?う〜〜〜ん?
今一思い出せんの。後で太子様に聞いてみるかの。まあ良い。見た所砂まみれじゃが、どうしたのじゃ?一昨日の嵐で遭難でもしたのかお主?」
「その通りだよ。妖怪に船が襲われちゃってね。何とかその妖怪を追い払えて、沈没は免れたけど、私だけ海に落ちちゃって。」
「それは災難じゃったの?………もしかして飛燕殿は、異国から来た者なのか?その服装、この国のものではなかろう?」
「あ、アハハハ………まあ、生まれはこの国だけどね。ただ異国から来たのは本当だよ。」
「……………もしや、お主、遣隋使の船から来たのか?」
鋭い目線でそう問い詰めてくる布都ちゃん。意外にも勘は鋭いらしい。それとも遣隋使に関係のある子なのかな?
「そうだよ。よく分かったね?遣隋使の関係者なの?」
「フッフッフッ……それはの。このわしは太子様から大事な任を請け負ったのじゃ。何をするのか正直あまり知らんが、太子様は迎えに行けと仰せられた。これ程重要な任は中々ないとな。これは屠自古も悔しがるじゃろう。」
その時の布都ちゃんはもの凄いドヤ顔でニヤニヤと笑っていた。
ふむふむ。『太子様』ってのは聖徳太子のことかな?別名では『厩戸王(うまやとおう)』とも言うけど。やっぱり物部の名字から重大な人物らしい。だけど、私は物部布都って人物にはあまり知らないな?それに屠自古か………知らない子だ。
布都ちゃんも女の子だろうし、古代から近世までの文献では女性の名前は記されないから、私が知らないのは仕方がないのかもしれない。
「へぇ〜いいことじゃん。…………所で布都さん。手を貸してくれない?私さ。疲れてて身体が動かないんだよね。」
「つまり………その船は近くの海で漂流しているかも知れんということか…これは、屠自古にも協力させなければいかんな。」
ブツブツ
「お〜い?聞いてる?布都さん?」
「面倒じゃの。だが、太子様の手を煩わせる訳にもいかないしの〜…背に腹は代えられん。屠自古と協力して貰って救助の船を出して貰うしかあるまい。あの者とは反りが合わぬから帰ったら色々言われるのか…………嫌じゃのう。」
「…………なんか、私。忘れられてない?」
なんだか、不思議な子供だな。布都ちゃんって。
* * *
不思議な子供な布都ちゃんに連いて行くことになった私は、凄く豪華な押し車に乗せてもらって、九州地方の方面へと進んでいた。
案外私は遠くまで流されてたらしく、本来、遣隋使の船は九州付近にたどり着く筈の予定が、村紗水蜜との戦闘で力尽きて海に落ちてしまった私は壇ノ浦付近の砂浜まで流されてしまっていたらしい。
そこで、遣隋使の物資の補給をするために迎えに行っていた布都ちゃんの集団が通りかかって、興味を持った布都ちゃんが私のことを拾ったって感じらしい。
今は、集団を2つ分けて行動していた。
片方は全体の三分の一の人数で奈良へと報告をしに行って、もう片方の残りの三分の二は、今私と布都ちゃんを乗せている押し車は九州へと進んでいる組というわけだ。
と、いう訳で道中暇だから時々雑談を挟みながら進んでいるって訳なのさ。いや〜!それにしても布都ちゃんかわいいね。少し不思議な感じがするけどそれもまたいい!
でも、この人霊力とか持ってるから妖怪だとバレたらヤバいね。『あ!我が何とかしなきゃ』とか言って、絶対に滅っせられそう。
今は妖力も神力も空っぽだから良いけど、回復しきったら隠しきれるか不安だ。妖怪の中でも妖力をうまく隠せる方の私でも流石にゼロまで妖力を隠せる訳じゃない。限りなくゼロにすることは出来るが、少なくとも妖力は僅かに出ているのだ。
話を聞く限り布都ちゃんは妖怪絶対滅するマンらしいから、気をつけないと。くわばらくわばら。
「ふむ?それでお主の持つその面妖な装備はなんじゃ?変な形じゃな?」
「あ〜……これはね?物を飛ばす為の武器だよ。例えば石で作った玉とかね。オ〜ヨシヨシ。かわいいね。布都さんは。」
「………ほう?それはどうやって動いておる?」
「えっと………結構特殊だからな〜。上手く説明は出来ないけど、私が使わなきゃ動かないよ?布都さんの銀髪からはいい匂いがするな〜?す〜は〜。」
「ふ〜ん?わしには動かせんということか。つまらんのう。使えれば実に楽しそうじゃのに。」
いや〜落ち込んでいる様子の布都ちゃんも可愛いね!それに肩を落として身体を丸めてくれるから抱き心地が素晴らしいね?思わずギュ〜!ってしちゃうわ。
……あれ?私ってこんなにグイグイ行ってたっけ?……いや因幡ちゃん達にはこれくらい普通にしてたわ。
「まあね〜。それに企業秘密だから詳しいことは布都さんには教えられないな〜。」
「ふむ……そうか。……………なあ?お主、なんか距離感が近くないか?わしを膝に乗せて後ろからぴったりとくっつくのはおかしかろう?まだ合ってから数日だろうに………。」
「う〜ん?ダメかな?布都さんが嫌なら、辞めるけど………。」
「い、嫌ではない…………別に嫌ではないが……色々と柔らかい感触がのう?わしは豪族の出じゃから、普段から誰かに引っ付かれることはないのじゃ。それに………少し色々と当たるのじゃ。」
顔を赤らめながら、ほそぼそと言う布都ちゃん。ふふふ………なんだこの可愛い生き物は。弄りがいがありそうですなー。グフフフ。
それに、椿ちゃんが死んでから人間とは直接接触はしなくなってたから、久しぶりに人間の女の子に触れていて新鮮な気持ちだ。こんな感じだったっけ?人間の温もりって?
特に、今は冬も訪れてきて寒い時期だから子供の身体は温かく、歩く湯たんぽだから布都ちゃんの身体はめちゃくちゃ温かいのである。まる。
「布都さん。友情に日数や時間は関係ないんだよ?」
「しかし……もうよいわ。ふんっ!!」
「あ〜!機嫌を悪くしないでよ〜布都さ〜ん!もっとギュウと抱き締めてあげるから〜!!」
「この!?………分からず屋め!わしは知らぬ!!」
プンプンとしてそっぽを向いてしまった布都ちゃんだけど、実際には満更でもなく思っているようで、暴れたり、抵抗したりはしてこないんだからこれまた可愛いよね〜。
………なんかまだ小さい頃の文やはたてを思い出すな〜。
よく、こうやって偶に膝の上に乗せて髪の毛を櫛で解いてあげてたんだよな〜。
はたては素直に乗って嬉しそうに喜んでくれるんだけど、文は恥ずかしがって、暴れ出したりしてたから大変で大変で。椛ちゃんは顔を赤らめながらもおねだりしてくるから可愛くて可愛くて仕方がなかったな〜。
………………。
帰りたくなってきた。これがホームシックって奴なんだね。
文達………今頃どうしてるかな?
私は、あのお転婆娘との思い出のことを思い出しながら少し揺れが激しい押し車に乗って九州の北部の海岸沿いの道を進んで行ったのだった。
* * *
特に何も起こることもなく布都ちゃんを抱き締める生活が数日間過ぎた頃。九州北部の海岸に漂着していた遣隋使の船の近くで滞在でしていた青雅さん達と合流することが出来た。
なんと、布都ちゃんは道教の信者だったらしく、自称仙人の青雅さんと会った時は興奮してたよ。
そんなに青雅さんってすごいのかな?中国大陸で芳香ちゃんを愛でる代償に私の身体を色々と触られまくったという変態仙人属性のせいで、何とも言えなくなったけど。
青雅さんや妹子さん達と合流を済ました私達は、都までの帰り道を歩んで備中、備前まで進んでいたとき、近畿まであともう少しと行った所で、日が暮れたので野営をすることになった。
― パチ パチ ―
もう何度も聞いた焚き火の音を聞きながら、布都ちゃんの護衛や従者、妹子さん率いる遣隋使の一団の皆さんが夕飯の準備をしている頃。
私を含めて、青雅さんと芳香ちゃん、妹子さんと布都ちゃんを含めた私達は、夕飯が出来上がるまで待つしかなく、暇を持て余していた。
「暇だな〜!!青雅さ〜ん。なんか面白い話してくれない?」
私は、芳香ちゃんを肘枕にしてゆったりと鼻歌を歌いながら座っていた青雅さんにそんな子供みたいな無茶振りをしながら向き直った。
「雑な話の振り方ですわね………?まあいいですわ。では………大陸に住んでいた名家の女性のお話をしましょうか?少し、長くなりますわ。よろしいですの?」
「ん?………良いよ。暇を潰せるなら。何でもいいや。」
青雅さんは、一拍置いて、私達が移動していた参道沿いにある山々の頂上を見ながら、ゆっくりと話し始めた。
「では…話しますわ。
『ある裕福な家で生まれた女性がいた。その女性には幼い時に仙人になると言い残して家を出た父がいた。
娘には、母や兄弟、祖父母や召使いなど。多くの者に育てられていたが、父に会えないのを酷く寂しがっていた。
娘は父が出ていって暫くした後、その後を追うように父が残していった本を読むと、その本には道士や仙人についての逸話が多くあった。娘はその本の中の仙人に父が憧れた理由を理解し、同時に自らも憧れを抱くようになった。そしていつか自分も仙人になって父と再会するという夢を持つのだった。
しかし、娘にとって幸か不幸か、成長した彼女は名家であるある家に嫁ぐことになった。所帯を持つこと。それは身近な幸せを持つ代わりに父の夢であると同時に娘の夢である仙人への道を諦めるのと同義だった。
それでも、娘は仙人になる夢を諦めきれず、結婚後も家族に秘密にこっそりと仕入れた道教の本から仙術を独学で勉強し始める。表で、仲良のよい家族でありながら、皆が寝静まる夜になれば勉学に励んだ。可愛い娘を育て、夫との仲睦まじい生活を送りながら影で夢を追いかけ続けていった。
しかし、彼女は思い悩んでいた。『身近な幸せ』と『諦めきれない夢』。そのどちらだけしか選べないことに。可愛い娘。愛する夫。親愛なる兄弟や、父がいなくとも一生懸命自分を育ててくれた母。仲の良い召使い達。
娘は、彼女、彼等を置いていくこともできず、悩み続けてながらも勉学を止めなかったが、5年後。遂に娘は精神を病んでしまう。
家族はそんな娘を皆が心配し、世話をしてくれた。娘はその温かさに触れていき少しずつ心を癒していく。そして、娘は決心した。『自分の夢を追いかける』と。
娘の選択は家族を悲しみに突き落とすような決心をした。何故なら娘はこんなにも愛されていたから。だからこそ、自分の道を往くことを決めた。
自分には心の故郷があると知ったから。彼女は再び道術の勉学に励みだした。
そして3年後。勉学に励み始めてから8年後になったとき、学んだ仙術で自身は死んだと家族をも欺き、憧れの仙人の世界へと旅立ったのだった。
例え置いていかれてしまっても、いつまでも彼女の心の中に家族がいることを信じて。自ら手放した『幸せ』の代わりに自由になること、精一杯楽しむことを胸に。彼女は笑顔で笑った。
偽造した自分の死に、悲しんでくれている家族達には届かない声で元気に最後の挨拶をした。
『今まで愛してくれてありがとうございました♪』
そう言って、娘は頭を下げた。楽しそうに、嬉しそうに、ニコニコと。
少しして、下げていた頭をあげた彼女の笑顔の細めていたそんな彼女の目には一筋の涙があった。
そして、長い年月をかけて仙人の修行を積んだ彼女は、晴れて父の憧れた仙人になることが出来ましたとさ。これから仙人となった娘と、行方も知らぬ父と出会うことが出来るだろうか?
娘の旅路は続く。楽しそうに。毎日の幸せを噛みしめるように。
めでたしめでたし。』………ですわ♪」
「「「…………………。」」」「いい話だだったぞ〜せいがぁ〜!」
「うふふふ♪ありがとう芳香ちゃん♪…………でも、芳香ちゃんには何度か話したことがあるのよ?」
「そうだったのか〜?ごめんなせいがぁ〜?私は覚えていなかったぞ〜?」
「いいのよ。だって…………芳香ちゃんの『生前』にお話したんだから。覚えてなくてもしょうがないわ。でも謝れて偉いわ〜!!芳香ちゃ〜ん♪」
「わぁ〜!せいがぁ〜!ありがとうだぞ〜!!」
楽しそうに抱き合ってワチャワチャとしだす2人。それだけで2人の仲の良さが伺えた。
それにしても…………さっきの話。一体、誰のお話だったんだろう?沢山の警句が込められたお話。私と椿ちゃんとの別れにも当てはまるような、悲しくも明るいお別れのお話。
そして!まるで…自分を現わしているかのような……。
「さて♪…………お話は済みましたわ飛燕さん。皆様もお気に召しましたかしら?」
「うん。なんだか色々と共感できる所が多かったな〜。」
「………うむ。中々考えさせられる物語じゃったの?妹子殿。」
「そうですな…………よく大陸の噂で聞く道教。この国では広まっていませんから新鮮なお話でありました。「ご夕飯の準備が出来ました!!」おっと。どうやら晩御飯が出来たようですな。」
「やったぞ〜!!故郷のご〜は〜ん〜だ〜!!!」
このあと皆で食べた夕飯は簡易的だったが、とても美味しく感じられた。
* * *
ゆっくりと都への歩みを進めていく旅の一行。そろそろ1週間は立つだろうか?
それくらい時間が経てば、妖力や神力や能力を使うのに必要な体力が戻っていたので布都ちゃんにいつ見破られるのか不安だったが、なんとかバレないようで良かったよ。
さて、そこから布都ちゃんが都に送っていた遣隋使のお迎えの増援隊の船に乗って瀬戸内海を通って、今は奈良の都までの道を皆でワイワイキャッキャと進んで行く道の途中だった。
「のう?お主…………その強大だったあの闇の妖がどういう原理でそうなったのじゃ?」
「えっと……………なんとなく顔の前で指を振ってみたら食いついてきて………そしたら…こうなった。」
「あまぁ〜〜い!!!美味しいのだ〜〜!!半年ぶりのお姉さんの味はやっぱり格別だな〜!!」
ひ、久しぶりだね。ルーミアちゃん。
まぁ読者の皆の想像通りだけど………一応説明しておこうか。うん。
(次話に続く)
最近はうまく尺をぴったりに出来ないんですよね〜。まあいいスッけど。