化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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ルーミアちゃんって本当に純粋そうな子だよね。(白目)


 因みに折角のゴールデンヴィークなので連休中は連続投稿ですね。


16羽:「その耳触ってもいいかな?それって髪なの?それともニセ耳?②」

 

 

 

 

 (回想スイッチオン!!)ヤケクソ

 

 

 

――――

―――

 

 

 

 

 

 野営を片付けた私達が進む道中では、一年中乾燥している瀬戸内海側では珍しい霧が不気味に漂っていた。

 

 

「うむ…………おかしいのう?ここらでは霧など起こりようも無いはずじゃ?おかしいのう?」

 

「え?そうなの?布都ちゃん?」

 

「うむ。そうじゃ。おかしいのじゃ。偶に太子様と屠自古とここらを訪れることがあるが、こんなことは初めてじゃ。」

 

 

「あら?皆さんお気づきではなくて?もう私達は、妖の術中にはまっているわよ?」

 

 

「そ、それは真か!?」

 

「え!?本当!?…………本当だ。今いる道のりも何処かおかしい……まるで幻影みたいな………。」

 

 

 今の私の『飛ばす程度の能力』では、生き物が出す微電波だけでなく空間から私が発する放射を跳ね返って飛んでくるわずかな放射から地形を把握が出来るように成長したが、おかしい………今見てる空間の地形と、能力で把握できる地形が明らかに違う。

 

 

「総員!警戒せよ!!」

 

 

 布都ちゃんの号令に皆が構え始める。青雅さんだけは余裕そうにしていたが、他の皆はそれぞれが自らの武器を構える。

 布都ちゃんは霊力を込めた刀を。妹子さん達を先頭に護衛の人達は刀を、『私を守る』と書かれたお札を貼っていた芳香ちゃんは青雅さんの前に出て『がお〜』と間延びした声を上げながら見えない相手に両手を前に出して威嚇していた。(可愛い!!)

 

 そして、私は空中に浮遊して黒妖と白幻を取り出して引き金に手を加えて待機した。

 

 

 

 基本的に真正面からくる妖の中にはこのように絡め手でくる者もいた。こう言うやり口のもの程厄介な物は居ないだろう。

 

 何度もこう言うやり口の妖怪と出会ったことはあるが、これ程強力なものはいなかった。何せ、道術(タオイズム)を常に張っておなければいけなかった青雅さん意外は誰も気が付かないほどだ。

 

 反省しないと、油断している時が一番危ない。

 

 

 緊張感が辺りを漂う。

 

 

 

 その時、急に何か得体の知れないような力で出来た複数の物体が高速で近づいてきた。

 

 

 

「あっ!?危ない!!」

 

 

  

 急に飛び出てくる黒いぐつぐつとしたウネウネと動く触手のような物体が、ただ見るだけでは何も無いはずのまやかしの壁から現れて、私達を捕まえようと襲ってくる。

 

 

「な!?」

 

「せいがぁ〜!?」

 

 

「芳香ちゃん!?」

 

 

 

 能力で探索し続けていた私の声に皆は反応するが、いち早く気が付くことが出来た私と芳香ちゃんに庇われたお陰で道術で対応することができた青雅さんと霊力で自分を守っていた布都ちゃん以外は皆一瞬で捕まってしまった。

 

 

 この光景………半年前で見覚えがある。

 

 

「こ、これは………ヤバい。もし……『あの子』だったら……。」

 

 

 

 私が中国大陸に飛ばされる前、『ある妖怪』に油断して捕まった事がある。だとしたら…本当にヤバいかも。

 

 

「なぁ〜!せいがぁ〜!!抜け出せないぞ〜!!助けてくれ〜!!」

 

 

「鉄でも砕く芳香ちゃんの怪力でも抜け出せていない…………一体……どれほど強力かしら?」

 

「わからぬ………だが…ここにいる者でも太刀打ち出来ぬかも知れぬほど力の強い妖じゃろう………これはかなりの修羅場だぞ?」

 

「来るよ!!」

 

 

 私の声に皆が構えた後、私達を術中にはめた者が強烈な妖力を放って私達を威圧しながらふわふわと現れた。

 

 彼女から威圧感に、私達は蛇に睨まれたカエルのように動けなくなってしまい、何も出来なくなってしまった。

 

 

 彼女は、沢山の獲物の前で笑いだす。

 

 

「クックックッ………こんなに動けるやつが残ったのか?意外にやるなぁ?こう言う奴ほどうまいんだ。こんなに喰いでの良さそうな奴が多いとは、沢山の人間の集団もいる。今日はほ…うさ…く……だ………な?」

 

 

 やはり……ルーミアちゃんだった。いや、ルーミアさんと呼ぼうか。今は大人バージョンだから。

 ルーミアさんの目はギョロりと血に飢えたような目でゆっくりと私達を順に見るが、

 

 最後に私を見た瞬間、驚いた顔で私を凝視しだした。やっぱり私のことを覚えてたのかな?

 

 

「お、おい…!お前はこの前のっ!?」

 

 

「や、やあ?久しぶり?かな………ルーミアちゃ、さん?」

 

 

「お前は………あの時の妙な魅力的な獲物か!?くそっ!?またか?…………お、お前なんかに、私は屈しないからな!?」

 

 

 恍惚として表彰をしながら目を回して涎を垂らしながらヨタヨタとふらつきながらも抵抗しながら着々と私に歩いて近づいてくるルーミアさん。その雰囲気は別の意味で危ない雰囲気だった。

 

 

「あ………の?ル…………ーミア………さ……ん?」

 

「クソっ!?抗えねえ……!?どうしてだ?あの時と同じでぇ…………。」

 

「み、皆………た、助け………」

 

 

 私は急いでみんなに助けを求めるが、みんな硬直していて動き出せていないようだ。目だけを私のほうに動かしている。

 

ヤバい!!本当にっ!!

 

 

 そんな状況に私は焦っていると、ルーミアさんは段々と引きずられるように近づいてきた。

 私の粗至近距離で目の前でルーミアさんは止まってエサを前に我慢しているかのような顔で私を見つめてくる。威圧に硬直してしまっていた私の胸にルーミアさんのよだれが垂れてくる。

 

 

 このままだと、色んな意味で私の身が危ない!!くっ!どうすれば……………あっ!?半年前と同じことをすればー!!

 

 

「エ………イッ!!」

 

「んが!?」 

 

 

 ―パク―

 

 

 私は威圧感の身体の硬直を何とかを振り切って、唾液が溢れ出ているルーミアさんの口に噛まれるのを覚悟して手を突っ込んだ。

 

 

「モゴモゴ………もごぉ………。」

 

 

 それでもルーミアさんはルーミアちゃんにならない。気合で耐えているようだ。ルーミアさんは反撃に私の首を絞めようとしてくる。

 

 

ヤバい…!!この手に捕まったら………。

 

 

 

 唯でさえ大妖怪なのに、その上澄みのような格上に本気で首を捻られれば流石にヤバい!!私も一応妖怪だから直ぐには死なないけど、致命傷を負うのは確かだ。

 

 特に、私みたいな精神力の低いのは身体の痛みにも弱い。ダメージを負えば直ぐに弱体化する!!

 

 何か?ヒントは?解決策を捻り出せ!!てゐから学んだことを思い出せ!!相手の弱点を捻り出せ!!

 

 

『お姉さんの身体は甘くて美味しいのだ〜!!』

 

 

あった!!これだ!!私の指だけでああなるなら……唾液とかなら?…………行ける!!

 

 

 …………ならば………これなら………!!!

 

 

 

「ごめんね!文!!影狼ちゃん!!」

 

 

 私は、ルーミアさんの口に入れていた指を抜いて、代わりに私は身を乗り出して私の顔をルーミアさんの顔に近づた。

 

 

「なっ!?……ン。」

 

 

 

「まあ!!」「なんと!?」「うぉ〜?」

 

 

 

 私の行動に驚ろき慄くルーミアさん。

 

 

 ― チュク チュク ―

 

 

 

 そんなルーミアさんの唇と私の唇が重なりあい、私は初めて椿ちゃんにされた口づけのように、ルーミアさんの意外にも柔らかく温かい舌を蹂躙し一度も離さない。

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

 あまりにも濃厚なキスに皆が驚愕しているが、私は気にしない。

 

 

 構うもんか!!私の生死がかかってるんじゃいー!!この270年間で培った私のテクニック見せたるわー!!

 

 

 

「んー??ん〜!?ん〜〜!!!?…………ン………。」

 

 

 ― ドックン ―

 

 

 生娘のような反応を見せるルーミアさん。よし!!気が緩んでる!!このまま行ける!!

 

 

 ― ドックン ―

 

 

「ん〜!?ン……ん〜んー!!……ン……ん〜〜〜〜!!?」

 

 

 ― ドックン ドックン ―

 

 

 ルーミアさんは抵抗するかのように、私から逃れようとするが、いつの間にか解けていた身体の硬直を糧に、後ろに寄れかかって倒れそうになるルーミアさんの背中と腰を支えるように抱き締めて離さない。

 

 

 

「んん〜?!?ん〜〜〜ー!!!!んんんん〜!!!」

 

 

 ― ドックン ドックン ドックン ―

 

 

 

 ルーミアさんの舌の押し返そうとする抵抗に、私は力押しではなく、絡めるようにして舌を揉みほぐしていく。

 

 

 

 

「んんんんんん〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

 

 ―ドックン ドックン ドックン ドックン―

 

 

 

 唾液が混じり合ってお互いの体液がとろみを増していき、お互いの刺激的で甘い香りが私の脳内に直接届いて染み渡っていった。

 

 

「ンンンンンンンンン〜〜〜〜〜〜〜〜!!?!?!?」

 

 

 ―ドックンドックンドックンドックンドックン―

 

 

 

 

 

 

 

「プヘェ…………キュ〜〜!!」

 

 

 

 ― バタン ―

 

 

 

 17ヒットをくらい、気絶したルーミアさんはいつの間にか子供の姿になってルーミアちゃんとなっていた。

 

 

「ハァ…ハァ……。な、なんとかなった〜!!ハァ………ハァ………。皆〜〜!!無事ぃ〜?」

 

 

 

 

「「「「………………。」」」」

 

 

 

「あれ?どうしたの皆?…………………、あっ。」

 

 

 

―――

――――

 

 

 

 

 

「美味しいのだ〜!!お姉さんの身体が甘くて美味しすぎる〜!!ペロペロ。」

 

 

 

「う〜ん?どうしようかな?ルーミアちゃん。これじゃあ……都には入れないよね?布都さん?」

 

 

 私の肩に身体を乗っけて私の頬を舐め取ってくるルーミアちゃんの柔らかい金髪の生えた頭を撫でながら布都ちゃんに向き直ると答えてくれるが、布都ちゃんはジト目で私を見ていた。

 

 

 うぐ………その目はないじゃん。だって私の命の危機だったんだよ?余裕がなかった上で仕方なくしたんだよ!!

 

 

「無理じゃな…………少なくとも今ここで祓えば入れるぞ?

 

 

 霊力を練りながら少しばかりの殺気を出してくる布都ちゃん。その目はマジの時の目だ。ヒエッ。

 

 

あっ………そうだった。この人妖怪絶対滅するマンだった。

 

 

 

「う、うわぁ〜!この人怖いのだ〜!お姉さぁ〜ん!!!……ペロ。」

 

 

 その殺気に反応してルーミアちゃんは私の背中へと隠れるが、今度は私の首筋を舐め取ってくる。

 

 

 

「ヒャッ!?ルーミアちゃん。いきなりはやめてよ。擽ったくてビックリするんだから。変な声が出ちゃうじゃん。」

 

「やめられない止められない今度は甘さに香ばしさが出されてさらに美味しくなってるのだ〜!!」

 

「それはカッパえ◯せんの謳い文句じゃ―ひゃっ!?ルーミアちゃん!!」

 

 

 

「やはり………この娘………無害な内に祓うべきじゃな……。飛燕殿ごと。」

 

 

 更に殺気を強める布都ちゃん。今度は私にも殺気をばら撒いてくる。

 

 

「いや〜!!私は無実じゃんー!」

 

「ならば今直ぐその妖から離れるのじゃ〜!!!即刻払ってやるわー!!!」

 

 

 

「……………いやそれは無理そうじゃない!?こんな幼気な子供を……それに可愛いじゃん!!そうだ!!ペットにして持ってこよう!!ね?布都ちゃん?」

 

 

「いや、幼気って………それはないじゃろう。可愛い形をしていてもその娘は妖じゃぞ?」

 

「その通りですわ。舟幽霊の件とこの妖怪との遭遇時に力を持った妖怪の恐ろしさは痛感した筈ですわ。

 いつこの妖怪が力を取り戻すか分からない以上、賢明とは言えませんわね。」

 

「そうだぞ〜!!奴は妖怪の中でも危険な妖怪。確か……常闇の妖怪だったぞ〜!!私よりも大食いだった筈だ〜!!」

 

「よ、芳香ちゃん!?そんなことをどこで覚えて…………もしかして、生前の記憶かしら?やっぱり故郷に近づいているから思い出しているのかしら?」

 

「〜?」

 

「…………まあ、気の所為ね。」

 

 

「お〜!お姉さんのオヘソもいい味がするのだ〜!!」

 

「ヒャウ!?お、オヘソは………ルーミアちゃん!!だ、ダメェ〜〜〜!!!」

 

 

 

 

 

 

 ― キャーキャー わーわー ―

 

 

 

 

「私達は何を見せられているのかしら?ペッ。」

 

「チッ………あそこ……飛燕殿の膝の上ははわしの場所だったのに…………。後で覚えておれ。常闇の妖怪。ペッ。」

 

「なんで皆そんな目で見てくるのー!助けてよ〜〜!!」

 

 

「自業自得ですわ。」

 

「自業自得じゃな。まるで4人の妻に詰め寄られている太子様みたいじゃ。」

 

「浮気は反対だぞ〜!!!ひえん〜!!!」

 

 

「ちょっ!芳香ちゃ〜ん!!それらはないよ!!!」

 

 

 

「………………取り敢えず、飛燕さんは都の側の何処かでお留守番ですわね。」

 

 

「……………アッ、ハイ。ヒャンッ!?今度は何?ルーミアちゃん!!」

 

 

「お姉さんの反応が面白くて段々と楽しくなってきたのだ〜!!」

 

 

 

 ― 『『『『ジ〜』』』』 ―

 

 

 

 何でだろうか。芳香ちゃんまでの皆の目線がまた一段と痛々しくなったな………元々私は真剣に取り組んでただけなのに。どうしてこんなことに……………トホホホ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………騒がしい者たちですな。もう少し、おしとやかになってくださればいいのに。これでは太子様にも一団のみなにも格好が付きませんな。はぁ〜。」

 

 

 

 騒がしい乙女達を遠目で見て、周りに指示を出しながら、一人、何とも言えない心意気で嵐をただ待っている常識人の小野妹子であった。

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。天狗の里の外れにある天魔の屋敷の一室にて、飯綱丸龍の執務室では、

 

 

 八雲紫と飯綱丸龍との2度目の会合が開かれていた。

 

 

 今回は、部下の椛はいない。元気を取り戻した文の病み上がりの稽古に突き合わされていると龍は娘から聞いていた。

 

 

 

 そして、文の体調の急な悪化の原因の張本人が今度は用意しておいた茶を優雅に私の前で飲んでいる。私の大事な文を危篤の危機に晒しておきながら、それを自覚しながら私の目の前にその身を晒している最古の妖怪。

 そのことが腸が煮え繰り返りそうになると同時に、己の無力さを痛感させられる。自らの立場もあって怒りも表せないこの煮え切らない思いはどう処理すれば良いのだろうか?

 

 

 龍はせめてもの抵抗のように、中々話を切り出さない八雲紫を睨みつけることにした。

 

 

 

「ふぅ〜。美味しいわね?やっぱり組織のお偉いさんが用意するお茶は素晴らしいわね〜♪」

 

 

「………………ただここにお茶をしに来た訳では無いだろう。用件を話せ。」

 

「うふふふ……随分と気が立ってるわね?龍さん?少しくらい心の余裕を持つべきよ?」

 

 

 『どの口が』と喉元から出そうになるがギリギリで飲み込んで、代わりに八雲紫と同じく茶を口に含ませることで怒りを自然と誤魔化しておく。

 じんわりと少し熱めの茶が口の中に染み込んで少し苦い茶独特の香りが広がって自分の怒りが収まって行くのを感じた。

 

 同時に少しだけ冷静になることが出来た。

 

 私を怒らすのも此奴の狙い目だろう。この妖怪は初めてあったときから相手をからかうのが好きだからな。その狙いは相手を揺さぶり相手の本質を見極めること。八雲紫は相手を見極めている。相手が自分の交渉相手に相応しいかどうかを。

 

 

 随分と生意気だ。今でもその胡散臭い微笑みの奥で私を見定めようとしているのだろう。

 だが……同時に少し悲しくなってしまう。そうしなければこの妖怪は生きていけないような環境下にその身を晒していかなければいけなかったことに。

 

 

 哀れみはしないが…………先程の怒りなど思わず引っ込んでしまった。

 

 

 

「はあ………まあ良い。私から話を切り出そう。そなたがこの前要求した『要件』については、天魔様からの許可は出た。」

 

 

「…………日程は?」

 

 

「今年の終わり頃。1週間後だ。細かい日時はそちらに任せる。

また私の執務室で待ち合わせをしよう。

 まだ周りの大天狗には知らせて居ないからな。元々今そなたに教えた後に知らせるつもりだった。妨害などがあってはたまらないからな。」

 

 

 あの老害共には最新の注意が必要だからな。そうでもしなければ妨害工作に走られるだろう。1週間程度なら大したことも出来ないだろう。それも込めての1週間だ。

 

 

 

「そう…………それは賢明な判断ね。」

 

 

 

 「賢明か…………八雲紫。そなたは分かっているのか?天魔様の怒りに触れようとしているのを?」

 

 

「承知よ?それくらいしなければ『最古の妖怪』と名乗れませんわ。」

 

 

 龍は直ぐに胡散臭い微笑みに隠れてしまったが、一瞬だけ現れた八雲紫の凛とした目を、少しも見逃さなかった。

 

 

 やはり、此奴は何処か真っ直ぐしている。そして、何かしらの信念の元に動いている節がある。目的の為には手段を選ばないで動いていながら、その微笑みの裏に隠した真っ直ぐとした目だけは誠実だ。

 

 龍は、その長年大天狗として働いてきた経験からくるヒトを見極める人力眼が卓越していたからこそ気がついた。自分の管轄内の一人ひとりの部下達と向き合ってきたからこそ、人の本質を見極めることが出来たと言えよう。

 

 

 そうか…………底が見えない相手と思っていたが、存外私や天魔様と大して変わらぬお人なのかもしれないな。

 

 

「そうか………私からはもうすることは少ない。後はそなた自身で天魔様と交渉するのだな。」

 

「元より承知の上よ。では………お茶も楽しんだし、そろそろお暇しますわ。」

 

 

 そうして、スキマを開いて立ち去ろうとする紫殿。

 

 

 ―ブオン―

 

 

 私はなんとなく呼び止めてしまった。本来怒り狂うべき相手だが、何故かこの時は善意のような気遣いのような感情で。

 

 

「紫殿。」

 

 

 私の静止の声に、紫殿はピタリと歩みを止めた。何故かこちらを振り向かず。

 

 

 

「…………何かしら?龍さん?」

 

 

 

「そなたの目標や夢については知らないが、共に道を歩める者を探すといい。きっと紫殿の心強い者となるだろう。」

 

 

「………………気遣い感謝するわ。」

 

 

 何故かは分からないが、誠意のような感情が僅かに伝わってきた気がした。

 

 

 同時に、私は彼女の弱さになんとなく気がついた。

 

 

 

 

 

 

「今度こそ、行くわ。あ〜。そうそう。もう例の鴉には暫くの間ちょっかいとかはかけるつもりがないわ。まあ接触自体はすることもあるわね。

 それに、『例の2人の契約』の妨害も近い内解いて置くわ。天魔の娘に言って安心させておきなさい。あと、これだけは天魔と天魔の娘に伝えておいて。」

 

 

「なんだ?」

 

 

「『ごめんなさいね』と。」

 

 

 

 ― ブオン ―

 

 

 

 私は残った茶を啜って中身をからして応接間の机に置いた。

 

 

 

 

 ― コト ―

 

 

 

 

「…………不器用な人だ。もう少し素直になれば少しは生きやすかろうに。さて………そろそろ忙しさも成りを潜めてきた。まだまだ予断を許さないだろうが、娘達にも顔を出さないとな。」

 

 

 それに紫殿の言い口的に、化けガラス殿なら恐らく大丈夫だろう。これで債務に集中できそうだ。

 

 

 

 あれほどあった書類の山もあともう少しで終わる。丁度よかろう。さっさと片付けて今頃グータラしている娘とお茶でもしながら駄弁るとするか。

 

 

 

 娘達と久しぶりに会えることを楽しみに思いながら、龍は仕上げの事務作業へと取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





作者「ふぅ………これでなんとか命乞いは出来ましたよね。紫様?」

永遠の十八歳少女「ふふ………ええ。まあまあいい出来ね。けど、満足出来ないわね。」

作者「いえいえ。紫様。これから出番はありますからね。大丈夫ですよ?」

ウサ耳少女「ちょ、ちょっと!!待つうさーー!!!」

作者「今度はなんですか?騒がしいですね。」

ウサ耳少女「私の出番は?今のところ一場面しかないうさ!?」

狼少女「そうよそうよ!!私は名前しか出てないわよ!!おかしいじゃない!!一応1章では結構出てたのにおかしいわよ!!」

永遠の十八歳少女「ふふ♪………何故かしらね?ねえ?作者さん?」

横目の作者「…………記憶にございません。」

ウサ耳少女&狼少女「ま、まさか………………作者を誑かしたな〜!!?このBABAァ〜!!!?」


永遠の十八歳少女「うふふふ♪なんのことかしら?」



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