ふぅ〜。やっと話が進みそうですね。マンネリはこれ以上は防ぎたいので。
(前回からの続きです)
「ふむ…………やはりこの『蘇(そ)』という名の甘味は美味しいのう。乳の香りが引き立っておる。」
「まあな。これは私ら豪族や皇族しか食べられないからな。味わえよ?私達はこれを献上してくれる民の上に立たせて貰ってるんだ。」
「お〜?甘いぞ〜?」
「美味しいですわね。」
「なあ?…………所で、誰が太子様の甘味を食べたんだ?明らかに太子様の甘味の量が少ないんだが?」
「「ギク」」
「おい………さっき反応した2人…………後でこっちへ来い。」
「わ、分かったのじ。」「分かったぞ〜鬼嫁ぇ〜。」
甘味類も頂いて、ほんわか?した所で『太子様』と呼ばれている人物の準備も終わったようで、豪華な部屋の中にいた声の主が応接間の部屋の外から聞こえてきた。
「入りますよ。」
― スゥ ―
扉が開かれる瞬間、団欒(?)としていた各々が背筋を正しだした。していないのは客である青雅と、芳香だけである。
そこには、絶世の凛美人が立っていた。その瞳は凛々しくも美しくもありながら雄々しい。全身にカリスマ性を帯びたかのような神々しさを感じる。極めつけにその獣の耳のようなお茶目な髪型。
これは布都ちゃんのの別荘で今頃、常闇の妖怪やらなんやらと一緒にいちゃついている化けガラスのあのおっとり女にはたまらないだろう。
ふふふ………これが可愛い者には目がないあの女性によってその尊顔がどう変化するのか楽しみですわね。うふふふ♪
「どうも、私は豊聡耳神子。貴方が屠自古の言っていた霍青娥ですね?」
………どうやら随分と耳がよろしいようで。まあ話が早いので手っ取り早くて楽でいいわ。
「ええ。そうですわ。今回は貴方達にとってお眼鏡に叶う筈の
青雅は道教と道術について説明すると、豊聡耳神子の穏やかな顔の目がキラリと光った。
「それはそれは……中々素晴らしい教えのようですね。」
「ふふ♪……お気に召して頂いたようで光栄ですわ。太子様。」
穏やかな会合はドロドロとした政を覆い隠すかのように、和やかに進んだ。それが、彼女らの未来を変える選択だと信じて。
「…………所で、私の甘味だけ半分程減っているのはどういうことでしょうか?」
「全て布都とこの娘がやりました。太子様。」
「は!?辞めんか屠自古!!しかしですな、この娘が全て食べようとしていたので、ならばわしが食べたほうがよろしいかと思いましてな?」
「済まなかったぞ〜!!美味しくて夢中になっていつの間にか間違っていたんだ〜!!」
「…………布都。貴方は謝る前に、先ずは言い訳からですか。これでは動く死体よりも酷い有様ですね。
はぁ…まあ良いです。これから修行もありますし、その第一歩として私自身の甘味の摂取は控えましょう。今度から私の分は少し分けて上げますから、ちゃんと申しなさい。
人の食べ物は勝手に取らないことをお勧めしますよ布都。食べ物の恨みは怖いんですから。いつか酷い目に遭いますからね。」
「は、申し訳ございません。以後気をつけます。」
どうやら、多くのことに寛容なお人のようだ。これなら私の道術も問題なくモノにするでしょうね。
「では……これからよろしくお願いします。師匠。」
「ええ。こちらこそこれからお願いしますわ♪豊聡耳様。」
未来へと繋がるターニングポイントが近づこうとしていた。
* * *
布都ちゃん達が奈良の都へと出発してから3日が経った日の朝。すっかり暇を弄んでいた私達は、紫さんに将棋のことを教えた後、雑談をしながら暇つぶしをしていた。
「紫さんってさ。なんだかこの時代のヒトって感じがしないよね?どうしてだろう?」
― パチ ―
「あら?どうしてそう思ったのかしら?」
「それは秘密………と言いたいところだけど。勘かな?」
「ふふ……ならば私も秘密よ?けど、もしこの勝負に勝てたら教えてあげても良いわよ?」
― パチ ―
「そうは言っても、私。今10連続で連敗中だよ?将棋。今回の盤面も勝つ見込みがなさそうなんだけど?」
「それは飛燕ちゃんが弱いのが悪いわね。弱すぎて手加減すら出来ないわね。」
「あの〜?………一応これ。私の得意分野なんだけど?なんでこんなに圧倒されてるんだろう。美人で頭良いとかハイスペック過ぎない?」
― パチ ―
「まあね♪伊達に『最強の妖怪』ではないわ。だって、私は永遠の十八歳だから。スペックは高いほうなの。」
― パチ ―
「クッ………椛さんとの数百回での激戦で将棋の腕を鍛え抜いた私がこんな将棋を覚えたての初心者当然の者に負け続けるなんて………本当に悔しいなこれ。」
― パチ ―
「はい。王手。また私の勝ちね。」
「あっ!?ちょっとタンマ!!」
「タンマは3回まででしょう?これで4回目よ?」
くぅ!?もうそんなにタンマを使ってたのか私?それになんだそのしたり顔は?
楽しそうにニヤニヤしおって。本当に腹が立つなこの美魔性めっ!!一体この美女をどうしてくれようか?
「ぐへぇ〜…………マーケーター!!ぐ〜や〜じぃ〜!!」
「オ〜ホッホッホッホ〜!!弱者は這いつくばりなさいな。」
「こ、これが強者の余裕なのか?心まで屈しそうだ。」
本当に紫さん強すぎない?本当に将棋初心者?完全にプロの棋士くらいは上手なんだけど?
「所で、貴方の身体……結構柔らかいわね。」
私は、グテンと正座の姿勢から背中を地面に付けて両手を伸ばすという驚異的な身体の柔らかさを無意識に発揮していた。
あれ?こんなに柔らかかったっけ?美鈴さんが何か身体をイジってたのかな?
「確かにそうかも………結構柔らかいね。私の身体。」
本当は足も伸ばしたいところだけど、ひざ元でスースーと寝ているルーミアちゃんがいるので起こさない為に悔しさを体現するとこんな訳の分からない姿勢になるという訳。
ぬぅ……悔しいぃ〜。絶対に一勝してやるからな〜!!
「よし!!もう一回だ紫さん!!」
私が、身体をスクリと起こして紫さんに再戦の申し込みをしようと盤上の向こう側を見ると。そこには誰もいなかった。
「あれ?紫さん?………いなくなっちゃたのかな?」
ふむ………どうしていなくなったのかな?考えられることは?え〜〜とぉ〜〜〜〜〜?
「…………………。」
「あ〜〜!?勝ち逃げしやがったな〜!?あのヒトぉぉ〜〜〜!!!?」
「んぁ!……一体なんなのだ〜!?お姉さん?急に大声をだして〜?」「キュ〜!!キュ〜!!」
「がおぉぉ〜〜!次会ったときは覚えてろぉこんちきしょぉ〜〜〜!!次将棋をしたときらケチョンケチョンにしてやるからなぁ〜〜!!!!」
「一体何をしているのじゃお主は………。」
ルーミアちゃんと庭でぐっすりと眠っていた狸が驚いて起きて抗議の声を上げてくるがが私は気にせずに私は縁側に向かって立ち上がって唸り声を出している。
帰ってきて玄関に入ろうとしていた布都ちゃんが呆れ顔をしながら私を見ていた。
その布都ちゃんの背後には、クスクスと笑っている青雅さんと芳香ちゃんが佇んでいた。
「あ、布都ちゃん達じゃん?お帰り。どうだった青雅さん?道教の布教は成功した?」
「ええ………無事成功しましたわ。うふふふ♪一人で庭で大騒ぎをするとは、相変わらず飛燕さんは面白いお人ですわね。」
「ただいまだぞ〜!!飛燕〜!!!る〜みあ〜!!」
「おぉ〜!帰って来たのか〜?皆お帰りなのだ〜!!」
「げぇ……常闇の妖怪め。まだおったのか?」ボソ
「それは良かったねぇ!私は暇で暇で仕方なかったんだよ。
ほら、一応暇だったから塩とか使って漬物とか作っておいたから準備できてたから、朝食でも食べよう。」
「あら?それは丁度良いわね。豊聡耳様達を饗す準備が出来ているようで悩まなくても良かったわね?」
「ん?………豊聡耳様って誰のこと?」
* * *
「ふ〜ん?その豊聡耳神子っていうお偉いさんがここに来るって訳?」
私は膝の上に座ってキャァキャアと楽しそうに私のたわわを揉んでいるルーミアちゃんの髪の毛を弄りながら布都ちゃんの話を聞いていた。
「そうじゃ。太子様は皇族の出であり、天皇様のお次にお偉いと言われる程のお方じゃ。国の政治を担い、豪族をまとめ上げ国中の民をより良い方向に先導出来る素晴らしいお方なのじゃ。」
「へぇ?そうなんだ〜。」「そ〜なのか〜?」
ん?………なんか話を聞く限り、聖徳太子じゃない?けど、名前が違うな?別人なのかな?
もし、本当に聖徳太子なら会ってみたいな。煬帝に向けてあんな手紙を送った程の豪胆な人物。気にはなるね。まあ、私達の助けがなければこの国と隋が敵対してたかもしれないのはヒヤヒヤしたけど。
「まあ。豊聡耳様は人当たりの良いお人でしたので多少の粗相は大丈夫ですわ。それに、飛燕さんなら豊聡耳様のことを気に入る筈ですわ。」
「へぇ〜…………。」
私って別に男が好きとかないからな〜。いや、別に恋愛感情は全くのゼロとかじゃないけどさ、男相手だとなんか変態パワーが漲ってこないんだよね〜。だから、あまり興味がわかないな〜。
まぁ…本当に聖徳太子だったなら少しは興味が湧くけどな…。別人の可能性が高そうだよね。
「…………興味がなさそうですわね?」
「まあねぇ………有名な人だから会ってみたいのはあるけど気におるのかな?」
「さぁ……まあ、会ってみなければわかりませんわ。」
またいいか。まずは会ってみないとね。それに恋愛とかじゃなくても別の意味で気に入るかもしれないからね。
「……あ。そうじゃった。今晩の宴会用の酒を買い忘れておった。」
「あら?布都さん。一番大事な物忘れてしまったのかしら?」
「なら私が買い出しに行くよ?」
「ふむ………しかしな………お主に"憑いて"いくだろう常闇の妖怪が何を仕出かすか分からんのじゃ。元々飛燕殿が留守番になったのもそれが理由じゃろう?」
「まあ。そこら辺は大丈夫だよ。さっきまで私の栄養?みたいのを補給させておいたから、直ぐに帰ってくればルーミアさんに戻らないと思う。
それに、二人は朝帰りだから疲れてると思うし、直ぐに終わる朝食の準備を終わらせておいてあとはゆっくり休んでおけば良いじゃん。
それに、ルーミアちゃんには狸や芳香ちゃんが遊び相手になってくれるから大丈夫だよ。」
実は飛鳥時代の朝食は10時過ぎと16時くらいである。結構食べ始めが遅いので意外とのんびり用意することが出来る。けど、いくら1日2食が基本だと行っても夕飯が16時頃って早くない?
とにかく、今から私が布都ちゃんの別荘屋敷から都へと買い出しに出かけて行っても余裕なのである。特に、私は鴉に変化したり、行きだけ『飛ばせば』きっと夕飯までには早く帰ってこれる筈だ。
「って、訳だから行ってくる〜!!!」
私は引き留められないように、素早く鴉型に変化して飛び立った。
「って、ちょっ!?飛燕殿。待たれよ〜!!朝飯は要らんのか〜!?」
「都で食べるぅ〜!!!」
へへ〜んだ。流石に3日間は閉じこもり過ぎだからね。私だって奈良の飛鳥の都について興味があって色々巡りたかったんだから少しくらいは遊んでも―ゲフンゲフン。息抜きに遊んでも良いじゃん。
それに紫さんの妨害もないだろうから安心して皆にお土産を持って行けるからね。隋では急いでたからあまりそういう物を買う暇はなかったから買わないと。それくらいしないと心配かけた償いは出来ないだろうし。
久しぶりの単独行動だ。楽しみだな〜。飛鳥時代の都。
どうせなら少し化かしてみますか?キヒヒヒヒ。誰を騙そうかな〜?難しいかも知れないけど何処かのお偉いさんでも誑かしてみようかな?
「うわぁ〜〜!!芳香ちゃんは力持ちだな〜!!」
「そうか〜?ルーミア殿も凄い力だぞ〜?」
「「ぐぬぬぬぬぬ」」
「…………一体何をしておるんじゃ。」
「さあ?力比べらしいですわ。芳香ちゃん負けちゃダメよ〜!!」
「分かったぞ〜!!せいがぁ〜!!」
「きゅー!!」
「ありがとうなのだ〜!!狸さん!!」
「「ぐぬぬぬぬ〜〜!!!」」
「はあ………なんとかなりそうならよいか。作者も焼きが回ったのう。ちゃんとツッコミ役はおらんといかんのに。よりによってわしがツッコミ役になるとは。はあ〜。」
普段は突っ込まれる側だった筈なのに、何故かツッコミ側に回っていることにあきれる布都。しかし、その顔はあれほど敵対していた筈の妖の前にいるとは思えないほどの間が抜けた顔だった。
取り敢えずら飛燕殿をうまく都へ誘導することは出来たことは一安心じゃな。後は太子様。頼みましたぞ。
「キューキュー!!」
「ぐぬぬぬ〜〜!!中々勝負がつかないぞ〜?青雅ぁ〜!!」
「なら、私が力添えをしてあげますわ。」
「ずるいのだ〜!!青雅〜!!………あっ!?」
― バキ ―
布都は太子様から承った任務を果たしたことで、ほうっと安堵の息を吐いていると、常闇の妖怪と芳香殿が力比べをしているだろう音から聞いてはいけない木材が陥没する音が聞こえた。
「…………あら?」
「ちょっと待つのじゃー!!今凄い音が鳴ったぞ!?」
「わーーー!布都ちゃんが怒ったぞ〜!!!」
「怖いのだ〜!!逃げるのだ〜!!!」
「我の別荘がぁ〜〜〜!!!?!?これだから妖は嫌いなのじゃ〜〜!!許さぬぞ〜〜!!まとめて払ってやるわ〜!!!」
― ワー キャー ―
画して、逃げる妖怪と死体を追いかける道士による追いかけっこが始まった。それは遊びなのかそれとも本気の対峙なのか?それは本人のみぞ知ることだろう。
「あらあら♪楽しそうですわね?では…、私もこっそりと逃げるとしましょうか。」
青雅はそっと、自分に怒れる霊能力者の矛先が被害が出ないように台所へと移動することにした。半分自分も加担していることを気取られないように。そして、疲れてこの別荘に帰って来るだろう子供たちに朝食をだしてあげる為に。
ずる賢く、そして母性に溢れた邪仙だった。
* * *
素早く奈良の都へと侵入した私は、妖術で作った私の腕から生えた翼を隠すための丈の長い一般の薄手の薄茶色の布一枚で出来たスカート風の服装で都の中を探検していた。
おお〜!?………ここが明日香の宮かぁ〜〜!!賑わってるね。
東日本にはあまりない寺やらなんやらが沢山あって面白いな。順調に仏教が浸透していってるのが顕著に分かるよね。こうやって、日本の原風景は作られていってるんだろうな〜。
現代人の視点から見ると、こうやって歴史の流れや転換点を直接見ることが出来るのはとても面白い。今では廃れてしまった文化や一族など、回ってみれば何のその。この今見ている風景だって、今では見られないものだ。
こうやって観光気分であっちへふらふらこっちらふらふらするのはとても楽しい。この270年間で文明が発展してきたお陰で見るものが増えたから、諏訪の国意外にも観る所が沢山出来て旅も捗るってもんですよ。
これからもっと色々と発展して広い地域で街や寺、神社ができてくるだろうから楽しみだ。
「おっ?………見つけた見つけた。これは随分と偉そうな服装のだね?面白そうだ。」
見かけた所、随分と偉そうな服装だ。皇族かな?にしては一人行動をしているね?変だな?付き人もいないようだし。これは妖力を増やす絶好のチャンスじゃないかな?
この人に私の妖怪としての名前を広めて貰えば妖力の増加を見込めるんじゃないかな?いいね。発言力のある人なら直ぐに都で私への恐怖が広まるだろうしね。まあ、イタズラするだけだけど。
クックックッ。ターゲット発見。これから化かしを開始する。オーバー。
ミミズク「フッフッフッ……やっと私の出番ですね。私のカリスマをご覧になってもらいましょう。」
作者「まあ……原作スタートしたらカリスマなんて絶対的にヒビが入るんですすけどね。…………ご愁傷様です。」
ミミズク「な、何ぃ〜!?そんなの認めませんから!!私は国を背負ってきた者だったんですよ!?そんなの認められる訳がありませんね!!」
作者「希望のお面」ボソッ
ミミズク「ぐはっ」
作者「パパ」
ミミズク「がぁっ!?」
ロリコウモリ亭主「フッ………まだまだね。カリスマは一度砕けてからが本番なのよ。」
作者「貴方はまだまだ出番は先でしょうに。生まれる前なんですから後方先輩面してないで出番まではスタンバっておいてください。」
ロリコウモリ亭主「…………………え?私の扱い酷くない?」