化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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22羽:「キャラの密度が渋滞しすぎ!一旦解散しろ!!の回」

 

 

 

 

「ん〜〜?」

 

 

 なんか布団の中が温かいな?それになんかいるし………。

 

 

 ― モゾモゾ ―

 

 

 

 

「ん〜〜〜?」

 

 

 

 ― ゴソゴソ ガバ ―

 

 

 

 私が掛け布団を軽くあげてみると、そこには急な光でピクと身体を動かしてショボショボな瞳を軽く指で擦っているルーミアちゃんが私のお腹の上で引っ付いて眠っている姿が目に映った。

 

 

……可愛いなおい。絶対に目に入れても痛くないなこれは。

 

 

「おはようルーミアちゃん。」

 

 

「…………ん?むにゃむにゃ………グゥ………。」

 

 

 

 ルーミアちゃんは眠そうな目を僅かに開けて眠そうに瞼を軽く擦った後、再び眠りについた。ルーミアちゃん2度目のご就寝である。 

 

 

「ルーミアちゃん。また寝ちゃったか………。」

 

 

「スースー。グヘヘヘ。お姉さんは私のものだ〜……グゥ……。」

 

 

 ふむ……ルーミアちゃん。そのお姉さんと同じ寝具に潜り込んで引っ付いて寝るのはダメだよ。何処かのお姉さんに食べられちゃうんだから。

 それに何なのかな?そのセリフ。やっぱりうちの娘になる?ルーミアちゃん。グフフフフ。かわヨす。

 

 

 

「……………。」

 

 

 

 あ〜可愛いなぁ。ルーミアちゃん。それに髪の毛からいい匂いがする。布団の中が凄くいい匂いがする。朝から幸せだな〜〜。

 今日はこれでいいや。スヤァ。

 

 

 

 ― パタ パタ ―

 

 

 ―ガタ―

 

 

 

 

「はよ起きぬか。飛燕殿。もう朝食が出来そうじゃぞ。」

 

 

 私達が寝ている寝室の縁側の廊下から声が聞こえた瞬間、襖が急に開かれて、太陽の光が私の目に差し込んでしまい、私にクリティカルダメージを与えた。

 

 

 うわぁ〜!?め、目があぁぁぁぁ〜!!?!

 

 

 

「………うゔう〜…もう少し待ってよ〜。布都ちゃんん〜。」

 

 

 まだ待っててよ〜布都ちゃ〜ん。ルーミアちゃんのなんでだか熱吸収率が高いお陰で寒い季節には丁度湯たんぽ代わりになるんだ。これが異様に温かくてさぁ。寒い冬には心地いいんだよ。

 

 

「布都『ちゃん』て…………寝ぼけすぎじゃ。早く起きぬか。ってうわ!?」

 

 

 私は呆れて私を揺り起こそうとしてくる布都ちゃんをグイッと引っ張って布団の中に巻き込んでまだ寝ぼけているルーミアちゃんと一緒に抱きしめる。

 

 

 

「やっぱり、布都ちゃんもあったかぁ〜〜いなぁ。子供体型だからかな?温いな。グフフフ。」

 

 

「や、辞めぬか。我はこれでも成人しているのだぞ?子供扱いをするでないわ。それに、我が飛燕殿を起こさぬと、屠自古が拳骨から食らうのじゃ。ヒャン。」

 

「私ぃ〜〜布都ちゃんと結婚する…………。」

 

 

「寝言は寝て言うとは言うが本当にする奴がいるか!辞めぬか飛燕殿!首筋に息を吹きかけるでない。擽ったいじゃろうが!!」

 

 

 

 

 

「…………どうせならそのままこいつを預かってくれてもいいんだぞ?うちでは蛇じゃ馬娘は扱いきれないからな。」

 

 

 

 

 

 

「なら本当に貰っちゃおうかな〜なんて。でへへへへ……………ん?」

 

 

「今は辞めておくのじゃ。我には太子様の補佐があるからのう…………ん?」

 

 

 

 

「おう。おはようさん寝坊助共、………私が他の従者達と朝早くから二日酔いを耐えながら朝食を準備しているってのに寝起きにイチャコラするとは随分と呑気な起床だな?オイ?」

 

 

 急に寝室に差した謎の影の声に私と布都ちゃんが、縁側の廊下の方を見ると、そこには目元に影が指している屠自古さんが腕を組んで笑っていた。いや……、これは笑っているようで笑ってない爆発前の笑顔だ。

 

 

 「さて…………私に朝からレスリング技を食らいたくないなら早く最低限の支度をしな。かと言って寝起きでいきなりは辛いだろうから猶予をやるよ。

 今から5つ数えてやる。それまでに布団から出なければ分かるよな?なぁ?特に布都。」

 

 

「「い、急いで支度しまぁ〜〜〜す!!!」のじゃ〜!!」

 

 

 

 この一家の掟1条。『朝食は家にいる皆で食べるべし』守らないと怖い鬼嫁にお仕置き☆されるぞ(?)

 

 

 私と布都ちゃんは、眠気瞼のルーミアちゃんを抱えて顔を洗うために急いで井戸へと向かった。

 

 

 に、逃げるだよ〜〜〜!!!!……あっ、また訛りがでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………まるで子供のようだな。本当に。」

 

 

 バタバタと井戸に向かって走り出す一同を見送りながら、屠自古は朝から呆れのため息をだしながら、次の目的地へと向かおうとすると、庭から聞き慣れてきた2人の声が聞こえてきた。

 

 

 

「あら?いいじゃありませんか?屠自古さん。全員とても可愛らしくて。」

 

「おはようだぞ〜!屠自古〜!!」

 

 

 

 青雅と芳香だ。元気そうな声と裏腹に、二人がその身に纏っていた服がやつれていた。いや、ボロボロといったほうが正しいのかもしれない。朝の散歩をしている少しの間に何があったんだよ。

 

 

 

「いや、朝っぱらから何があったんだ?お前ら。」

 

 

「ふふふ…………偶には早朝から散歩でもしようかと思い、早朝の都を巡っていましたら、この国でお坊さん達からの待ち伏せと地獄からお迎えしてきた死神の襲来が同時に起きましてね。夜明け前から逃げ回ってきた所でしたわ。まあ余裕で撒いたんですがね。」

 

 

「はぁ………仙人様ってのは大変だな。毎日の修行に定期的に現れるあの世からの『お迎え』か?……毎日が大変そうだな。」

 

「ふふ……貴方達もこれから私達仙人とは少し違う形で似たような存在に成るんですから。他人事みたいに言わないほうがよいですわ。それに案外仙人とは楽しいものですもの。」

 

「まあいい。とにかくお前らも井戸で身体を洗ってこい。丁度あいつらも顔を洗いに行った頃だし、お前も身体を綺麗にするついでにあいつらの身体も道術で浄化してこい。汗臭い食卓は嫌だからな。」

 

「ふふふ♪元よりそのつもりでしたわ。どうせなら飛燕さんも食べちゃいますか。丁度良いですわね?そろそろ飛燕さんの身体を頂きたいと思っていたんですの。」

 

 

 この自称仙人の邪仙は本当に節操がない。もう少し身を固くするべきじゃないのか?お前は一応私達の師匠に当たるんだから、このままその考え方が太子様に移ったらどうするんだ。いや、もう太子様は手遅れだったな。

 

 昨日の飛燕殿の対応といい、軟派な口説き文句といい色々と言いたいことがある姿を見ればそれは言うまでもなく時すでに遅しなのは周知の事実として扱われていた。

 

 

 ハニートラップだけは勘弁してくださいよ太子様。

 

 

 

「お前も物好きだな。その狙ってる相手はあれでも妖怪で神なんだぞ?祟られても知らねぇからな?自分で何を言ってるのか分からなくなるけどな。」

 

 

 そもそも妖怪で神様って何なんだ?分からねえな。どちらにせよ大事があってはならない相手だろうにこいつは命知らずと言えばいいのか分からんな。不老を志す仙人の身でありながら生き急ぐように行動する。尚更訳が分からん。仮にも仙人なんだから自分の命くらい大事にしろよな。

 

 

 

「あら?私にそれを言うんですか?」

 

 

 確かにそうだった。こいつは動く死体を夜中近くにとは言え平気で都の中で連れ回すような奴だ。倫理観なんか説いても無駄だったな。

 

 

「それに、飛燕さんならそんなことはしませんわ。彼女は優しいですもの。例え夜這いで襲われても一度は怒っても直ぐに笑顔で流してしまうほど優しいオヒトですからねぇ♪彼女のことは一緒に旅をしている間、観察していたから分かりきっていることですわ♪」

 

 

 はぁ……そう言うことを普段からしてるから周りから影で邪仙だの邪悪な仙人だの言われてるんじゃねえのか?こいつも懲りねえ奴だ。まあ実害はないから皆こいつのことをほっとくんだろうけど。

 

 

 

「はいはい。私の負けだ。さっさと行ってこい行ってこい。ちゃんと朝飯前には切り上げてこいよ?」

 

「分かりましたわ♪」

 

「では言って来るぞ〜!!屠自古ぉ〜〜!!!」

 

「はいはい。行け行け。」

 

 

 

 

 

 なんだか騒がしくなったなぁ。うちの一家は。あれもこれもこの青いフリフリを揺らしながら芳香を連れて井戸へと向かったあの自称仙人の邪仙とその標的である今頃井戸で顔を洗っているだろう化け鴉が来てからだ。嬉しいことやら面倒くさいことやら。

 

 

 その時の蘇我屠自古の顔は穏やかな笑みを零していたことを自覚していなかった。

 

 

「はぁ…………後は…太子様だな。」

 

 

 

 うちの太子様は寝起きの機嫌が悪い。特に酒を飲んだ後は二日酔いもあってかなり機嫌が悪いだろう。

 

 

「朝から夜伽でもすれば機嫌は治るかな?いや?夜じゃないから朝伽なのか?」

 

 

 兎に角、起こさなければならない。正妻の朝は忙しいのだ。それに、青雅達の様子から子供達以外は遅れて井戸から来そうだからな。時間はあるだろう。必要ならば自分の身体で気分を直して貰うべきだ。いや………少しだけ自分の欲があるかもしれないな。アッチの方は忙しくて久しぶりだから。

 

 

 少しだけ顔を赤らめながら、屠自古は今でも寝ているだろう一番の寝坊助な太子様を起こしに気合を入れて腕まくりをしたのだった。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

「いやはははは………すみませんね。少し遅れてしまって。朝が弱いもので。」

 

 

 皆で少し遅い朝ご飯を召し上がろうとした時に、遅れて服がズレた御子さんと屠自古が顔を軽く高揚させながら居間へと入ってきた。

 

 朝からお盛んなことだけど夫婦だからそんなもんだろう。昔は子供を産むためによくしてたって前世で学んだからね。けど、人間の女性同士で産めるのかな?妖怪とか神様なら話は別だろうけど。うん。ここらへんはファンタジー要素と言うことにしておこう。メタいな。

 

 

「大丈夫だよ。今から食べようとしてた所だから。ご飯も冷めてないから丁度良かったよ。寧ろこっちの方が危うく遅れる所だったからね。……………何処ぞの仙人様のせいで。」

 

「うふふふふふ♪美味しかったですわね。飛燕さんの美しい心体は………いえ、朝ご飯前の前菜は。」

 

「いや、隠そうよ。何自分から告発してるの。私一応まだ怒ってるんだからね?」

 

 

 ヒトを勝手に朝飯前の前菜気分で頂かないでよ。青雅さん。本当にビックリしたんだからね?寝ぼけてるのに急に責められたらそりゃあビックリするわ。

 

 青雅さんの犯行は、日時は先に洗い終えた芳香ちゃんとルーミアちゃんと布都ちゃんは芳香ちゃんに連れ去られたあとの二人きりの空間で行われた。

 

 

 私は一緒に残っていた青雅といつも通りの楽しいおしゃべりをしながら身体や顔を洗っていたら、後ろから急に青雅さんに抱きつかれて色々と触られた。

 ここまではいつもやってくることだからまだ良かったんだ。『またいつもの『触れ合い』が始まったのかな?』ってと思って気軽に振り向いて触り返そうかと振り向いたら全裸で頬を赤らめて目をハートにしている青雅がいてさ。驚いたよあの時は。

 『なんか今までの何かと違うぞ?』と思って直ぐに逃げようかと思ったけど青雅さんは用意周到でさ。私に触れた瞬間に媚薬と道術の掛け合わせで盛っていたらしく、私は足腰が震えて立てなくなっちゃったんだ。

 

 そして、そのまま美味しく頂かれたんだよ。

 

 

 

 遂に軽く一線を越えてきやがったよこの邪仙。やばいよこの人。

 

 

「ん?なんの話じゃ?」「なんの話なのだ〜?」

 

「布都さんとルーミアちゃんにはまだ早いよ。」

 

「そうか?」「そ〜なのか〜?」

 

 

「………すまん飛燕。軽く流したつもりだったが、やはりそうなる前に私がとめるべきだった。」

 

「いいよ。屠自古さん。私、色々と妖怪とか神様に襲われ慣れてるから。もう気にしなくなってきたからさ。ハハハ。」

 

「え…………色々と災難すぎないか?飛燕。厄除けをしたほうがいいんじゃねえか?良い寺を色々と知ってるからそのうち一緒に行くか?なんせうちらが建てた寺ばかりだからな。幾らでも知ってる。」

 

「私神様だから他の神様にそう言う願掛けとかは頼めないんだよね………ハァ。朝から結構、体力使わされたんだけど〜〜。」

 

 

 

 なんだか凄く…………もういいや。考えるのが億劫になってきた。私の関係図が複雑過ぎて訳が分からなくなってきたわ。六角形どころの騒ぎじゃないなこれ。文にどうやって申し開きをすれば良いんだろうか?いっぺん1日奴隷の権利を文に渡せば何とかなるかな?

 

 

 

 

 

 

「それで師匠。飛燕殿の身体はどうでしたか?」

 

「最高でしたわ♪つゆやかな健康的な肌に旅路で鍛えられた程よい肉付きのよい身体。そして、本人の可愛らしい恍惚な緩みきった顔。とても官能的でしたわね。よかったら豊聡耳様もどうですか?今度味見でも?」

 

 

「いえ。私は良いですよ。私には朝から求めて来るほど情熱的な正妻がいますから。ねぇ?屠自古?」

 

「そ、それは/////もうっ〜〜!!太子様ったら〜!!」

 

 

 

 

「そこ!!朝っぱらから本人の前で最低な会話をしない。というか屠自古さん。あんたもそっち側に行かないでよ。ブレーキ役が居なくなったらこれ以上収拾がつかなくなるからさ。

 

 ハァ。もういいや。皆食べようか?ご飯が覚めちゃう。」

 

 

 

「うむ。飛燕殿の言うとおりじゃ。みなよく分からないことを話しておったが、それよりも飯を食べるべきじゃ。」

 

「キュー!!」

 

 

「わぁ〜!!美味しそうなのだ〜!!」

 

「飯を食べるぞ〜!!せいがぁ〜!!」

 

 

 

 あぁ゙〜〜………君たちを見てるだけで癒されるよ〜〜。汚い大人たちの生臭い会話の後だと特に。

 

 

 というか、狸さん。さっきまで居なかったのに、急に何処から現れたの?それも普通に箸を使って食卓を囲んでるし。私以外はバレてないだろうけどさもう少し自分の正体を隠す努力をしようよ。

 

 

 ねぇ『化け狸』さん?

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

「それで…………いつまで姿を偽ってるの?化け狸さん?」

 

 

 

 朝食を食べ終わって、それぞれが動き出すようになって解散していってしまい暇となった時間帯。

 

 私と夜更かしをしていたようでまた寝始めたルーミアちゃんと狸さんが居間に残って、ゆっくりと食後の休憩をしていた頃に。

 

 私は、膝の上で丸くなっていた狸さんを撫でながらそう話かけていた。

 

 

 ― ドロン ―

 

 

「いやはやいやはや。やはりバレておったのか?うまく化かせたと思ったがのう。流石にお主にはバレてしまっていたか。」

 

 

 狸が変化の術を解くと、そこには身体の大きさと同じ大きさの尻尾を生やしている赤茶色の女性の姿をした化け狸が現れた。あれ?どっちが本当の姿なのかな?

 …………それとも、どっちも本当の姿なのかな?あれ?混乱させて来てるのかな?流石化け狸。化けてなくても化かしてくるとは。

 

 

 

 

 

「そりゃあバレるよ。だって私はこれでも神様でもあるんだから。化けガラスだけど。知覚出来ない訳がないじゃん。」

 

 

 神は他の神が近くにいる時は必ずその存在を感じることが出来る。そもそも神力はかなり特殊な力なんだ。普通にいるだけでも神からすれば目立って見える。

 だから、ルーミアちゃんが草むらから狸さんを持ってきて、初めてご対面した時から私にとってこの狸の正体はバレバレだったって訳だ。

 

 ほら、わかりやすい例で例えると神社とか人が全く立ち寄らない秘境の奥地とかの神聖な場所にいると人間でも空気が変わるのをなんとなく分かるようになるのと同じ。

 人間がそう感じる感覚の、神様バージョンだとすれば分かりやすいでしょ?

 

 兎に角、神様からすれば他の神の周りに常時オーラのようなモノが見えているって訳だよ。

 後、私も妖怪の中では妖力を隠せるという数少ない部類だ。変化の術も出来るからなんとなく変化してる者を見てると判別がつける。

 

 

「しかし、ここで同族と言える者に出会えるとは思わなかったのう。それも神と妖の半端者には。」

 

「そうだね。初めて私もあえてうれしいよ。名前は?」

 

「『二ッ岩マミゾウ』じゃ。佐渡出身でのう。今は狸たちの頭領をしておるし、岩の神様でもある。

 神力はは佐渡の島民から少しずつ貰い受けておるが、文字通り飾り程度じゃ。神力は少ない。ほれ、妖力に隠れておるじゃろ?」

 

「だね。」

 

「一応聞いておこうかのう。なんというのじゃ」

 

 

「もう知ってると思うけど私は『黒柳飛燕』だよ。神の名は『飛燕鴉石道神』。一応神様をやってるよ。出身は多分北東の何処か。神格は『石道神』。天狗とマブダチの契約をしてる化けガラス。まぁ、神力の方が普通に多いんだけどね。あれ?マミゾウと属性が真逆な所が多いね?」

 

「そうじゃな。似て非形。これは中々面白い出会いじゃのう。」

 

「それで、このまま化け続けるの?」

 

「まあのう。ここは皆親切じゃから居心地もよい。暫くはお世話になろうと思っておる。まあとりあえずはバレるまでじゃな。」

 

「そう。まあ、バレないようにね。今日の夕飯が『狸鍋』だったら嫌だから。」

 

「怖いことを言うでないわ。安心せい。そんな下手な尻尾は出さん。これでも大妖怪じゃからな。」

 

 

「今はふかふかな尻尾が出てるけどね?うわぁ〜〜やっぱりマミゾウの尻尾は触り心地が最高だね?偶にお手入れでもしてるのかな?」

 

「辞めんか飛燕。一応畜生妖怪の中で尻尾の大きさは力の象徴じゃ。むやみに触るでない。…お手入れはしておるぞ。自前じゃ。」

 

「まあ良いじゃん。私、狸形態の時からマミゾウの尻尾をもふもふしてたからね。」

 

「……まあ今さら過ぎるがのう。今更『触るな』とは言えんのう。」

 

 

 フッフッフッ。だから私はマミゾウが、狸の正体だと知りながらも尻尾を触り続けていたのだ。まあ誘惑に負けただけの話だけど。

 

 目の前にもふもふがあれば触りたくなるのが人の努めである。これは必然的な流れであるのだ(使命感)。

 

 

「じゃあ……いいよね。マミゾウの尻尾に寝転んでも。」

 

「………図々しいのう。飛燕、お主は。仕方ない。同族のよしみじゃ。存分に味わえ。」

 

 

「ぁ゙あ〜……マミゾウ。これはヒトをダメにするやつだぁ゙〜。寝るね。マミゾウ。」

 

 

「…………儂を寝具代わりにするでないわ飛燕。」

 

 

 

 

 そんなことを言いながら私が寝やすくするためにさりげなく体勢を変えてくれるマミゾウ。それだけでマミゾウの親分な部分が分かって私はホッコリとしてしまう。

 

 

 

「マミゾウ。少しだけ眠るね。誰かしら来たら狸に戻っておおていいから。よろしく〜。」

 

「え?おいっ!?待て飛燕!?」

 

 

 ふぅ〜。そろそろ帰りの道に入ろうかな?そろそろ文達に顔を見せなきゃ心配するだろうし。来年には絶対に帰ろう。

 

 

 必死に呼びとめるマミゾウを尻目に、そんなことを思いながら私はマミゾウの尻尾の心地よさに身体を預けてゆっくりと朝の急な運動で疲れていたまぶたを閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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