ウサ耳少女の登場回です。もう好きだこの兎。
夕食を済ました後、馴子さんと少しおしゃべりした私達は聖域を夜中の内にこっそりと脱出した。まあ、そもそも聖域って所はあんまり長居する場所じゃないからね。元々排他的な所だから、こっそりと侵入してこっそりと去るのが丁度いいのだ。
という訳で、私達は竹林にやってきていた。いやぁ〜。妖怪の山が実家とするならここはよく遊びに行く近所の家って感じがするんだよね。それに可愛いがいっぱいあるから最高なのだ。
と、言いたい所だけどなんか変だ。いつもよりも仕掛けている罠の密度が大きいな。そして、その罠の数が圧倒的に多い。殺意がいつも100パーセントなら、今回は200パーセントって感じだった。
「ひやぁ〜〜!?この罠の数は!!ここは一体どんな場所なのだ〜!!?」
その背小ささのお陰で間一髪で罠を避けることが出来たルーミアちゃんが悲鳴の声をあげていた。他の皆も忙しそうである。
一方、道術で水色透明なバリヤを自分と芳香ちゃんに張って、跳んでくる石やら槍やら矢を防ぐ青雅さん。おお〜やっぱり凄いな仙術。使い勝手が良さそうだ。
「おお〜!?凄いぞせいがぁ〜!!」
「ふふ♪ありがとうね芳香ちゃん♪それにしてもなんて数の罠と妖怪の死骸…………ここはかなり恐ろしい場所なんですわね。飛燕さん?」
「う、うん……まあ危険な所なのは確かだけど、今日はいつもよりも危険が増してる気がする。というか増してるね。倍以上。」
「………余裕そうに空をとんでる飛燕を見ると説得力が皆無ですわね?」
「え?……これでも集中してるし、体力も結構消費してるよ?ただ慣れてるだけだよ。来るたびに罠なんか飛んでくるからね。それも度々私向けに罠を仕掛けてくるから油断できないったらありゃしないよ?」
私は集中すれば能力で跳んできた罠の方向を違う向きに『飛ばせ』ることが出来るので避けなくても済むがみんなはそうもいかないのでその物量を避けたり防いだりするのに必死だ。
遂に、体力の限界を迎えたルーミアちゃんが私に泣きついてきた。流石にきついよね。これ。私一人なら速さで罠が当たらないようにして上回るんでけど今回は集団で来たのは間違いだったかもしれない。
「た、助けてほしいのだ〜!!お姉さぁ〜〜ん!!」
― ヒュ 〜―
「ぐえっ!?急に顔に引っ付かないで!ルーミアちゃん。いい匂いだな〜。でへへへへ………って前が見えない見えない!?」
「………飛燕さんの『飛ばす程度の能力』を使えばよろしくて?」
「あっ!その手があった!?」
兎に角、この危険地帯から抜けててゐ達に合流しなきゃ。これじゃあいつまで経っても話も出来ないや。
私はそんなこんなでルーミアちゃんが顔に引っ付いていて前が見えないこともあって私は久しぶりに能力で探索を行った。
けど、その能力によって帰ってくる微弱電波の反応はいつもよりも変な形で現れていた。
「なっ!?囲まれてる!?なんで?」
私の能力で数十匹の因幡達の反応から、私達の周りを囲いながら等間隔に円形の陣を維持して移動しているのが分かる。
ホントになんで!?
「囲まれているんでしょうか飛燕さん?」
「う、うん?」
な、なんて潜伏力だ!!まるで気配がない。私が能力を使わなかったら、絶対に気が付かなかった。
「皆!一旦止まって!!」
もう会えているなら、なんで接触してこないのか分からないけど移動する手間が省けた。これで罠がそこら中にある中皆を連れて歩く必要がなくなったけど、なんだか様子がいつもよりもおかしい気がする。やけに組織的な動きだ。ここまで統率取れてなかったよね?因幡ちゃん達?
「飛燕はいきなり止まってどうしたのだ〜?」
「さあ?恐らく何かを見つけ出しんでしょう。それよりもルーミアさん。そろそろ飛燕さんから離れてあげましょう。」
「う〜分かったのだ〜〜〜。」
う〜ん?どうして因幡達は近寄って来ないんだろう?
その時、急に因幡達が異常にも統率のとれた動きで一斉に近づいてきた。
やっぱり何かがおかしい。警戒しないと!!
「皆!来るよ!警戒して!!」
そして、因幡達が一斉に飛び出してきて私達を囲い出す。皆無言で。
「久しぶりだね因幡ちゃん達。少し……いな、だいぶ雰囲気が変わったのかな?」
いやでもさ……これは流石に変わりすぎじゃない?
因幡ちゃん達はいつもの可愛いフリルの服装は着ていない。それだけなら偶にてゐの気まぐれで衣装交換くらいは何度か集めたのは覚えてる。けど、その因幡ちゃん達の一番の問題は因幡達の今着ている服装……いや、装着している装備がおかしいことだ。
いつもは可愛いピンクのスカートを履いている因幡達が完全な迷彩服と頭にはベトナム戦争の時のベトナム兵の傘帽子を被っている。そして、手には私がノリでてゐに教えてた竹筒を加工して作られたクロスボウを手に持って私達を囲んでいた。
………………え?本当になんで?
「あら?飛燕さん。一体ここは何処のゲリラ地帯なんでしょう?というかなんでこの時代にその概念が存在を?」
「…いや、知らないよ。半年前まではこんなこと無かったけど。てかいつの間にか竹製のクロスボウがこんなに量産してあるの!?私知らないよこれ?因幡ちゃん達の軍拡反対!!」
確かにここ半年前から、因幡達がつくるDIYでの武器の生産率がやけに多いな〜って思ってたけど、こんなにも数が多いなんて………。
純粋な因幡達を使ってこんなに完璧な軍隊教育を施すなんて………なんて恐ろしい子なのてゐ。
「お〜?なんか飛燕と似たような飛び道具を持っているぞ〜?せいがぁ〜?」
「おぉ〜?戦争映画みたいだね〜!お姉さん!!」
冷や汗をかいている大人組の一方、芳香ちゃんとルーミアちゃんはそのカッコいい姿に無邪気にはしゃぎ回っていた。
「というかルーミアちゃん!あんたは『こっち』側に来ちゃ駄目だよ!!」
緊迫している状況がぶち壊しである。酷いなこれ。どうして迷いの竹林にいるとみんなギャグ化するんだよ!!
そして、ガサガサと音が聞こえた瞬間、現場隊長の因幡が声を張り上げた。
「そういん。しきかんのげんちゃくである。けいれ〜い!!」
「「「けいれ〜い!」」」
竹筒製のクロスボウを構えていた因幡達がクロスボウにつけられたロープでクロスボウを肩に下げて、茂みの揺れの方向に一斉に敬礼をした。
その姿は完璧な訓練を施された軍人の姿である。なんか逆に可愛く思ってきた。抱きしめていいかな?ハァハァ。
そして、その茂みから現れたのは複数人の紋章をつけた因幡を連れた………可愛いピンク色に軍服に竹の葉っぱを咥えてサングラスをカチャリと鳴らしているてゐだった。
「ふむ………ユー達の訓練の成果は、ファンタスティックな結果になっているうさ。そうそう。敬礼はもうよいうさ。」
「かまえをとけぇ〜!!」
「「「いえすっまむ!!」」」
因幡ちゃん達が可愛い掛け声をあげて敬礼をやめるのと同時に、私がいることに気がついたてゐはペチンと謎に鬼教官をイメージしたのか黒いムチを可愛らしい手に当てて音を鳴らしながら歓声をあげた。
「Oh〜!そこにいるのは飛燕じゃないうさか〜!?ロングノーシーユーうさね〜!!ニーハオ!」
「それハングル語だから英語じゃないよ。…………いや、真冬の昼間っから何してんの?てゐ。」
「おやぁ〜?久しぶりなのに随分と冷たいうさねぇ〜!飛燕〜〜!!真冬だけにぃ〜!!HAHAHAHA〜!!」
― ヒュ〜 ―
「「「「…………………。」」」」(((随分とホットなウサギが来た)))
「やっぱりあれかな?再登場が久しぶりだから、読者に印象を残そうと必死にしてるのかな?」
分かるよその気持ち。でも、皆てゐのことは大好きだからそんなことしなくても良いんだよ。(温かい視線)
「別に違ううさ!?最近は『妖怪の全盛期』に入ったからこちらも厳戒態勢にしなきゃいけなかったからこうしてるだけうさ!!読者人気を取ろうとかは一切考えたないうさ!!」
「いや、本音をぶち撒けちゃうの?でもよりによってそれで私が昔聞かせた軍隊式?それにしてもやりすぎじゃない?少しぐらい脇を締めてもいいんだよ?てゐ?」
「フッフッフ〜!これくらい締め上げた方がが丁度いいうさ。それに飽きたら皆辞めていくうさからそのうちやらなくなるし、大丈夫うさ。」
「いや。これ本当にノリでやってたのか………。」
「けど半分ノット冗談うさよ〜?気持ちを引き締めるためにはこれくらいの訓練は必要うさね!
そこでチミ達には軍事訓練の練習台になってしまううさ!!レッツパリーうさ!!侵入者達に兎の団結力を叩き込んでやるゼ!!因幡達ぃ〜ファイヤー!!」
「はなて〜!!」
指揮官の因幡が合図を上げると同時に因幡達が展開して、姿が見えなくなった途端四方八方から矢が跳んでくる。
― ヒュウ ヒュウ ―
「皆!!隠れて!!」
皆、急いで足を動かして物陰に隠れ始める。流石に私も焦りだす。
『あんたは能力であんたは当たらないから大丈夫でしょ?』って?
チッチッチッ。今までなんで私がてゐの罠に掛かったと思ってんの?
てゐが近くにいると、てゐの『運を操る程度の能力』のせいでどんなに飛ばしても『運悪く』当たっちゃうことがあるから基本的に避けなけばいけないのだ。
本当に厄介な能力だ。
「わぁ〜!!!」
「うぉ〜!?」
私達は急いで近くにあった岩陰に隠れるがそれはてゐにとってお見通しだった。
恐らく先程話していた間にウサギ型の因幡達がこっそりと仕掛けていただろう竹の罠が罠が発動した。
ギギギと竹がしなる音が聞こえて、竹を地面に縛りつけられていた縄が切られて元に戻る反動によって岩陰に描くるていた私達に向かって叩きつけるように迫ってくる。
「芳香ちゃん!!飛燕さん!!」
「分かったぞ〜!!せいがぁ〜!!!」
「オッケー!任された」
青娥さんの声かけに応じた芳香ちゃんが阿吽の呼吸で前に飛び出したその怪力で止めて私がそれを能力で弾き『飛ばし』た。竹は元の方向に戻っていった。
「随分と息が合ってるうさね!!こちらと同等と見た。中々いい仲間を持ったうさね飛燕?」
「そりゃあ遥か遠い大陸からここまでの間、こっちも色々と経験してきたからね。息だけならぴったりだよ!!」
この半年以上の間、伊達に妖怪蔓延る中国を一緒に旅をしてきたわけじゃないんだ。これくらい出来て当たり前だ。今では青雅さん掛け声で大体のことは分かる。
「ならばそれ以上の数と弾幕で押しつぶすのみうさ!!ユーたち。やっておしまい!!これ一度は行ってみたい悪役のセリフうさね?」
「「「いえすっまむ!!」」」
可愛らしい返事と共により弾幕を強めてくる多数の因幡軍。これは手強いぞ。幸い本当に私達を襲うつもりは無いようで飛んでくる矢は刃がない贋作だ。けど、これは当たったら打撲は後でなるのは確定だ。
「で?いつまでこの『軍事演習ごっこ』を続けるの?因幡てゐ指揮官殿?」
「そんなの言わずとも分かるだろううさランボー・飛燕一等軍曹。指揮官であるミーを倒すまたは捕まえるのSA!!」
「それも私が教えた映画の知識じゃん!まだ私達の戦争は終わってないんだ!!」
くっ!最初から最後までふざけ倒しおってこの老骨兎!!影狼ちゃんの姿がないからツッコミが大変だよ!!
だけど、そのつもりなら、
よろしい!!ならば戦争だ!!徹底的にサーチアンドデストロイだ!!
「私はどうすれば良いのだ〜?」
「ルーミアちゃんは闇を拡散しながら因幡達の周りを動いて!!そしたら相手は撹乱するはず。私はその隙を狙って一人ずつ落とす!!青雅さん達は適当に動いて!!」
私は白幻と黒妖を取り出して当たれば気が『飛ぶ』当たっても痛くない弾丸を神力と妖力、能力で作り出して無力する弾丸を作り出して探索し、因幡達の一人一人の位置を割り当てる。
あのアメリカンもどきの兎に、私に銃撃戦で挑もうなんて百年早いことを思い知らせてあげよう。
「なら、私は援護を致しますわ!!芳香ちゃんは皆の盾になってちょうだい!!」
「分かったぞ〜!!」
「行くよ皆!」
それぞれに振り当てられた役割をそれぞれが瞬時に動き出した。
ルーミアちゃんが闇を超え範囲に解放しながら飛び回り射線を分散させた瞬間、私が飛び上がって因幡達を一人一人落としていく。
けど、それでも反撃能力は残っているので報復の矢が扇状に沢山跳んでくる。
一つのことに能力を使っている間は他方に能力を及ぼせられない私の弱点を突いているいい攻撃だそれも避けにくい扇状だ。。沢山一緒に過ごしてきたんだ。頭の良い因幡達なら直ぐに判断がつくだろう。
でも、ある存在を忘れてもらっちゃは困るね。こちらには万能な自称仙人とタンカーのキョンシーが控えているのだ。
芳香ちゃんが私にくる攻撃をその硬い体で矢を弾くことで庇い、青雅さんが道術を使って跳んでくる矢を反転させて因幡達へと牽制させた。
よし、これでやりやすくなった!!
私は一斉に黒妖と白幻の引き金を狙いを済ませて引きまくった。
「わぁ〜!やられた〜!!」
「きゅうごはんをよべ〜!」
「わかった〜!ふるいにんじんをもってくる〜!!」
若干能天気な漫才をかましている因幡達がいるが、鼻血が出るほど可愛いいし楽しそうなので取り敢えず無視することにして、私達の連携によって因幡達の防衛線の前線は崩壊しそうだ。
「ボス……し、しきかん!!あいてはてだれです!!つぎつぎとやられてます!!」
「か、構わん!!そのまま弾幕を食らわせろ!!エネミー達に動く為の隙を与えてはいかんのだ!!………あ、うさ。」
「なら、ついかのほうしゅうはありますか?しきかん!!」
「冬の間の人参の配給を追加で5個ずつ支給する。
ただし、貴官ら隊長級の因幡はここで死守だ。私は最終防衛線に撤退する。それまで持ち堪えるうさ。」
「いえすっまむ!!」
「あ!?兎のボスが逃げたよ〜!!お姉さん!!」
ルーミアちゃんが指を指した方向を見ると、てゐ指揮官が文字通り脱兎の如く逃げ出している場面が見えた。くっ!ここで逃がせば泥沼になる。ここは素早く仕留めたほうが帰って早い。
「私が追うよ!!後ろの足止めは任せたよ!!」
「了解ですわ。でも、寧ろ早くここを殲滅して追い付いてしまってもいいんですわよ?」
「アハハッ、頼もしい口ぶりだね青雅さん。それじゃああの兎を捕まえに行ってくる!!」
あれ?そういえざほのぼのと影狼ちゃんは何処へ行ったの?今の所ランボーと軍隊と最後の大隊ごっこしかしてないんだけど?
* * *
逃げるてゐを迎撃してくる罠や因幡達の攻撃を避けながら突き進んでいると、そこには自身ありげに仁王立ちで立っているてゐと、なんだかメカメカしい露出度の高いメカ水着装備を着て赤面している影狼ちゃんが立っていた。
でも少し世代が古いよてゐ。それケ〇ロ軍曹とかの世代の奴だから。それにしてもそのメカ水着、劇場版のメカ水着の夏美ちゃんかな?私は好きだよそのコスチューム。グヘヘヘ。
というかなにそれ滅茶苦茶可愛いね!!影狼ちゃん♪けど、寒くない?今真冬だよ?雪とか夜中は振ってるよ?風引くからやめてよ。
「フッフッフッ……彼女は対飛燕決戦兵器『色仕掛けしろ!影狼』うさね!!」
「なに!?それは………凄くいいシチュエーションじゃん……分かってる〜!」
「やっぱり飛燕はこれが分かるうさね〜。因みにこれは読者へのサービスうさ。まぁ、世代は高いウサけど。」
「ちょっと!?飛燕!!てゐ!!なんで私はこんな装備着せられてるのよ!?というか文字列じゃ分からないじゃない!?」
わ、私………今から影狼ちゃんからエッチな攻撃をされちゃうの?めっちゃいいじゃん。
「でも、お高いんでしょう?」
「これだけじゃないうさよ奥さん。このメカ水着。「無視するな!!この老骨兎とエロガラス!!」色々と機能をつけてるうさ。ミサイルが発射されるようになってるとか。ジェット昨日があるとか。水空どちらも使えたり。謎の羽がついてたり。」
「ほうほう。完全にケ〇ロ軍曹のパクリだね。」
「そして、これがおすすめ。例えばダメージを肩代わりする代わりに、少しずつボロボロになっていく仕様があるうさ。」
「…………ほう………それはお得だね。グフフフ。」
「ってことだから行くうさ!影狼!!」
「行かないわよ!?」
どうも影狼ちゃんは理由もわからずこんな格好させられているらしい。それにしもエッチィな。ぐふふふふ。
「あ〜そうそう。飛燕はまた浮気していたうさよ。それも2人に襲われてうさ。」
「あ?」
ゲッ!?なんで知ってんのてゐ!?てか今影狼ちゃんから闇のオーラががががが。(震え)
「影狼ちゃん!弁明させて!!そう!!あれは本当に不可抗力というかなんというか半分襲われたもんだから。
………って、なんでてゐが知って!?…………あっ!?」
「ふふ……ついに白状したわねこのエロカラス………もう、言い訳も弁明も出来ないわよ?」
や、やばい………影狼ちゃんがデストロイモードだ。これは捕まったら本当に食べられちゃうぞ………(?)
流石老骨兎。何で私の旅路の一部が筒抜けなのかは分からないが、影狼ちゃんを乗り気にさせるのがうまい。
「いや、これには訳がありましてね?影狼ちゃん。」
「問答無用。何度言えば分かるかしら飛燕?『あんたはヒトに好かれやすいから普段から見を固くしないといつか襲われるわよ』って。………ねえ?何で逃げようとするの?飛燕?」
「ゔっ!逃げ―わぁ!?」
図星を突かれた私は、嫌な予感がして急いで逃げようとするが、影狼ちゃんは今まで見たこともない俊敏な動き私を押し倒してきた。
その私を見る彼女の目は黒い感情と好欲で埋まっていた。特に半年以上会ってないから欲も溜まっている筈。今の影狼ちゃんは久方ぶりの凄く危ない雰囲気を醸し出していた。
あ…これは終わったな。
― アォ〜〜〜〜ン ―
「絶対に逃さない。今度こそとっちめて『私のモノ』だって本当のマーキングをしてあげるわ。」
「待って影狼ちゃ―ヒャア!?」
影狼ちゃんが私の首筋をベロリと舐めてその濡れた肌に犬歯を立てる。少しだけ出てきた血と痛みと共に深い快感が私を襲った。
『ア……ン…』
いつもより激しい求愛行動により一層力が抜けて行く。
「か…げろ…う………ちゃん。」
「ハァハァ。あんたが悪いのよ!!私の心配も知らずに長期間所在不明?ふざけないで!!私がどれだけあんたを心配したか!!その本人は呑気に現れてこんにちは?腹が立つ!!腹が立つ!!」
「ごめんね。私―」
私が弁明を続けようとしたが影狼ちゃん私の唇を舌で塞がれてしまい、少しだけ成長した私の胸を乱暴だけど何処か慎重に掴んでくる影狼ちゃん。
そんな影狼ちゃんのその目には涙が浮かんでいた。
「ぷはぁ!!あんたなんか何処かでくたばるんだわ!!そして、私や文を悲しませて………グスッ。本当にあんたなんか大っきらいよ!!」
「ごめ―ン…………。」
私の口をまた直ぐにその繊細な唇で防いでくる影狼ちゃん。涙が私の頬にポタリと落ちてくる。
「うるさい。うるさい。本当に心配させて…………。」
「キヒヒヒヒ。どうやら仲直りのチューは出来たみたいうさね?」ニヤニヤ
― 『『ハッ!』』 ―
ボロボロの服でもつれ合っていた私と影狼ちゃんは、急いで声をした方向を見ると、そこにはもう軍服姿を脱いでいたいつものてゐが腹が立つゲスなニヨニヨ笑顔で私達の前でしゃがんで覗き込むようにして私達を見ていた。
「何よ!!その目は!!」
「そうだそうだ!そもそも、こんなややこしくなったのはてゐが―」
「フッフッフ………随分と息の合ったご様子で………相変わらず2人はラブラブうさねぇ〜〜。
影狼。ちゃんと思いは伝えられたうさか?飛燕。ちゃんと謝れたうさか?」
「「……………ッ!?」」
まさか……てゐ……!?これを見越してこんな大掛かりなことを……………?
私達はふと少し冷静になって自分達の状況を顔を見合わせながら考えた。影狼ちゃんの着ているアーマードニキビみたいな服は崩れて見えそうだし、私の服に関してはボロボロで際どい服装になっていて、お互いがそんな状態で唾液まみれになってくっついている。
そして、それをマジマジとてゐに見られていているという状況。そして、影狼ちゃんとてゐは2人は共、畜生妖怪故に鼻がいいから私のえっと……発情によるそのお股のそのぅ………。
私達の顔から蒸気がボンッと一斉に吹き出てきた。
「ワハハハハハッ!!2人とも見事な赤顔うさ!!」
笑い転げるてゐのことを私と影狼ちゃんは真っ赤な顔で睨まつけることしか出来なかった。
「アハハハッ〜!!ヒッ〜〜!?アハハハ〜〜!!」
(続く)
やっぱり実家に帰ってきたかのような安心感がありますよね。この三人の絡みは。