化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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わー


31羽:「帰ってきました妖怪の山!!(震え)①」

 

 

 寒く厳しい今年の冬も終わって、どこからか妖精のような可愛らしい声で『はるですよー』と聞こえてきそうな初春の時期がやってきた。

 

 

 あれだけ振り積もっていた雪も溶けてくるようになってきて、茶色い地面が顔を見せてくる頃。私達は天狗の里へと向かうことにした。作者が苦し紛れにしたほのぼの回での尺伸ばしはそろそろおしまいだ。

 

 

 

 さて、冬ごもりはおしまい。そしたら天狗の里へと、本当に帰らないといけない。1年くらいはずっといなかったんだ。

 流石に文達の顔が恋しくなってきた頃合い。それに、これ以上は天狗の里を居留守のままにはしたくなかったからね。

 

 

 そうそう。文との接続は完全に繋がるようになったようで、私の心は久しぶりの安心に満ち足りていて凄く気持ちが良くなっていた。やっぱり私には文がいないといけないことを再確認したよ。

 

 まあ、私が一人でいるときに紫さんがヌルって現れて文との契約の繋がりの配線を治してくれたお陰なんだけどね。あの時は不遜にも紫さんに凄く感謝したよ。

 

 でも、私と文を遠く引き離したその元凶が凄いドヤ顔で『私のお陰よ。感謝しなさいね♪』って言うのはどうなんだろう?まぁ、紫さんっぽいとは思ったけどさ。

 

 あと、ここ『迷いの竹林』が幻想郷の傘下に入ったって冬ごもりの間にてゐから聞いたけどなんだかびっくりしたよ。てゐって隠居人みたいな生活してるから何処かに属するとかしなさそうなのに、形だけだというけれど何処かの傘下に入るとはね………。

 

 というかここは元々幻想郷予定地に含まれている地域だったようで、てゐの了承は必要不可欠だったらしい。そう紫さんが言ってたけど、紫さんはいったい何を考えて妖怪とかを集めてるんだろうか?

 最近、紫さんが日本の各地にいる力の強い妖怪とかを集めているとかなんとか色々と噂聞くけどさ、なんだか理由が思いつかないな。

 

 まあ、紫さんは何か大掛かりなことをしようとしてるのは確かなんだろうな。

 今まで余り考えて来なかったけど、そろそろそこら辺の情報収集をしたほうがいいかもしれない。それに私自身や私の周りに紫さんの行動の影響が顕著に出てくるようになったから尚更だ。

 

 あと、てゐ。私が中国大陸でわちゃわちゃしてたのを紫さんとのんびりと見てたのは酷いじゃん。私は見せもんじゃないからさ。退屈凌ぎに観戦するのは違うじゃん?

 

 まあ、てゐにそれを問い詰めてみたら本人は悪びれる訳でもなく、『キヒヒヒヒ、私はこういう兎うさよ?忘れていたうさか?』って言ってた。流石てゐ。イタズラ関係にかけては紳士な態度の兎だ。逆に感心しちゃったよ。

 

 

 ハイ、難しい話しは終わりっ!!……難しかったのか?

 

 

 今は直ぐ近くまできた妖怪の山に帰ることに集中しよう。それにしっかりと旅の疲れが癒された訳だし、そろそろ文の所へ帰って旅で起きた出来事について色々聞かせたい。

 

 

 

 さて、せっかくだから着く前に文にテレパシーでも送ろうかね?

 

 

やっほ〜!文?今からそっちに帰るんだけど、元気だった〜?

 

 

(元気モリモリよ!このエロガラス!!いい加減早く帰って来なさい!!!)

 

 ― ドッカーーーン ―

 

 

 うわぁっ!?文さんが激怒丸だ。やっぱりもうバレてるよこれ。音が聞こえてるわけじゃないのになんだか耳がキンキン鳴ってる気がする。

 

 

 ごめんなさい。文。えっとぉ……そのぅ〜〜〜また二人くらい……………えっとぅ……デキちゃって………ごめん。

 

 

(はぁ………また新しい女を作った理由はだいたい分かったわよ。あんたが隙だらけなのは知ってるし、それでその隙に相手が甘んじて関係を作っちゃったっていう相手の気持ちも分かっているわ。

 飛燕、あんたがそれで本当に謝りたいのは今でも分かってくるけど、それはそれ。これはこれよ!!

 

 分別を知れ!!取り敢えず帰ったら説教ね。分かった?)

 

 

 うぐっ!?……凄い感情が伝わってきたんだけど?感情にしてはヤケに具体的だなこれ………やっぱり怖いなぁ……天狗の里に帰るの。

 

 

 くわばらくわばら…(震え)

 

 

 

 

 

「それじゃいってくるね〜!!てゐ〜〜、影狼ちゃ〜〜ん。」

 

「お邪魔しましたわ♪」「邪魔したぞ〜!!」「邪魔したのだ〜!!」

 

 

 

「言ってらっしゃ〜〜〜い。」

 

「行ってこいうさ。」

 

 

 

 

 やっぱりここはいいなぁ。出入り自由というかなんというか、無理に相手を縛らない感じがすごくいい。

 

 

 ……………………。

 

 

 

 やっぱり暫くここにいて良いかな!?天狗の里に帰るのが凄く怖くなってきたんだけど!!!

 

 

 えっ?お前は取り敢えずは怒られろって?

 

 

 いや、それはそうだけどヒトの感情は凄く複雑なんだよ。化けカラスだけど。美鈴さんとの関係は私の精神が弱かった時にああなっちゃったのは悪いし、青雅さんが襲ってきた件は…………多分私が隙を見せ過ぎたのが悪いし…………

 

 

 …………あれ?全部私のせいじゃん。

 

 ハイ………覚悟を決めて怒られにいきます。

 

 

 はぁ……結構文怒ってたなぁ。けど、一番怒ってた理由はそこじゃないと思う。

 

 紫さんのせいだけど、今回の思わぬ遠征について文には心配させすぎちゃったなぁ………。

 文の心配そうにしている感情が凄く今でも感じるから凄く申し訳なくなっちゃう。

 

 早く元気な姿を見せて安心させなきゃね。

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 『天狗の里、幻想郷の傘下に加入』

 

 

 これは天魔の名において下された八雲紫との合意的な契約であり、二度と破られることはないということを暗に示していた。

 

 

 それは天狗の羽団扇で発生させた風や鎌鼬を媒介に日ノ本の多くの妖怪に響き渡り、妖怪跋扈と言われている日ノ本を震撼させる出来事だった。

 

 

 同時に、妖怪の全盛期が本格的に動き出したことを意味している。

 

 

 

 魑魅魍魎が動き出し、人々の妖怪への憎しみや恐れが強まり、妖怪の百鬼夜行が始まりだす。

 

 

 

 さぁ、震えよ矮小なる存在よ。夜を畏れよ。闇に震えよ。戸の鍵をしめ、襲いかかる恐怖の権化から身を隠くせ。

 

 

 これよりは闇の時代だ。光に縋ることしか出来ない者共よ、光を飲み込むほどの深い漆黒の深淵にはまるがいい。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 迷いの竹林を出発してからこの3日間は、変な空気のせいか必要な時以外は皆喋らない無言な旅路だったけど、同時に何処かそれが心地よくもむずむずするような旅路だった。

 

 そして、今は私は青雅さん達を連れてのどかな春の空気を吸い込みながらスイスイと飛んでいた。まあ、怒られるのが確定していて内心気が気じゃない私以外だけど。

 そんな私のソワソワとしている様子が伝染したようで皆落ち着かない様子でワクワクソワソワと身体や顔をフルフルと揺らしたりしている。皆私に影響されすぎである。

 

 ふぅ………もうすぐ妖怪の山が見えてくる筈だ。本当に今回の旅路は無がかったなぁ…………。

 

 なんだか不思議な気分だ。最初は旅の始まりの中での1つの私の宿り木だと思ってた妖怪の山が、いつの間にか私の帰るための故郷みたいに感じるようになってさ。

 今では私が雛の時にママンに育てられた崖ばかりの場所よりもここのほうが馴染み深く感じるようになってきていることを自覚している自分がいた。

 

 それが凄く嬉しいような恥ずかしいような、そんな謎の帰属意識みたいのが私の心の中がジンワリと暖かみを与えてくれるような優しくて暖かい気持ちで私の心を包んでくれていた。

 

 

 そんなこんなで、私達はフラフラと寄り道しながら穏やかな天気だけど春風の少し強めの風に乗せられながらのんびりと進んでいくと、雲を押しのけるように空を飛んでいた私達の目に相変わらず巨大な妖怪の山の姿が映りだした。

 

 本当に背が高い山だ。富士山なんか目じゃない程の壮大さを私達に感じさせてくる。

 

 特に今は春だからか桜が咲き始めてきて妖怪の山の麓から中腹にかけて綺麗な桜が咲いていてその壮大さと厳美な美しさを際出させていた。

 

 

「わぁ〜〜〜!凄いのだ〜〜!!!」

 

「まぁ!」

 

「大きな山だぞ〜せいがぁ〜!!」

 

「そうね。……本当に綺麗ね。」

 

 

 誰もが驚くような綺麗な日本の原風景に、青雅さん達の感嘆の声を洩らす声が聞こえてくる。そのことに何故だが誇らしさを感じてしまうのは少しだけ気恥ずかしく感じた。

 

 なんだか妖怪の山の住民みたいになった気分だ。

 

 

「よし、そろそろ高度を下げるよ。これ以上先は鴉天狗達の順回路だから敵対行為だと思われたくなかったらちゃんとついてきてね。」

 

 

 そして、私はゆっくりと滑空しながら妖怪の山の麓へと下降し始める。景色に夢中になっていた皆も、興奮しながらも渋々私の後ろに続くように高度を下げてくれる。

 

 

 ふぅ。良かった。ちゃんと天狗達のルールには従わないと大変な目に遭うからね。郷に入っては郷に従え。これは私が旅を続けてきて分かった安全な旅路の基本的なルールだ。まぁ……それでも厄介事は幾らでも発生しちゃうんだけどね。

 

 

 私はいつも通りの進入路で、いつも通りの速さで進んでいく。ここは私のお気に入りの順回路なのだ。何故かって?見ていれば分かるさ。

 

 

「そこの者共!!止まれ!!!」

 

 

 ここ270年間で帰ってくる度に必ず聞く声に私はニヤリとしながら声をした方向に振り返る。そこにはいつも通りの姿の三ノ巡回隊の隊長が最近板についてきたいつも通りの呆れのジト目で私を睨みながらいつも通りの顔見知りしかいない隊員を引き連れながら巡回路である獣道から現れた。

 

 ふふっ皆、相変わらず無愛想な表情だ。尻尾や耳は軽く揺れてるくせに。椛ちゃんと沢山過ごしてきたお陰様で狼天狗の生態は身体の隅々まで知っているんだからね?素直になりなよ。皆。

 

 そうだ。読者の皆は覚えてるかな?三ノ巡回隊の狼天狗さん達のこと。

 

 ………まあ、忘れてる人も多いだろうから一応説明しておくよ。彼等彼女等は第一章のエピローグの序盤から中盤にかけて登場し、旅から始めて帰還した私を護送してくれたあの狼天狗の部隊の人達だよ。

 

 もし、思い出してくれている読者がいたなら私としては幸いだ。忘れてたなら覚えてあげてね。多分活躍してくれるから。知らないけど。

 

 はっ!久しぶりの電波!?

 

 

 まあ、いつも通りに久しぶりの挨拶を済ませよう。きっと、そっにのほうが皆喜んでくれるからね。

 

 

「やぁ!一年振りだね?皆。」

 

「………飛燕殿。また懲りずにここを通るおつもりですか?」

 

「うん。皆の顔を見に来たの。それで、皆は元気にしてた?」

 

 

「…………身体は資本です。各隊員、最善の身体の調子に整えるようにしています。…………はぁ、黒柳様?」

 

「アハハハハ…ごめんごめん。でも会いたかったのは本当だよ?ね?匂いで分かるでしょ?ね?嗅いでみて?」

 

「よく嗅がずともここ数百年で既に嫌でも嗅ぎ慣れていますよ。はぁ……、黒柳様。私達の仕事を増やさないでくださいよ……」

 

「後で皆にビーフジャーキーあげるから、許して?ねる」

 

「食料で隊員達を餌付けしようとしないでください。私達は犬ではないので。所で、お連れの方は何方達ですか?黒柳様のお連れなら信用できますが。」

 

「あ、そうだね。紹介するの忘れてり紹介しておくね私の知り合いだよ。」

 

「霍青娥ですわ。仙人を務めさせておりますわ♪」

 

「宮古芳香だぞ〜!私は青雅曰くキョンシーらしい〜!」

 

「ルーミアなのだ〜!妖怪なのだ〜!!」

 

 

 

「……これは面倒事の予感がしますね。黒柳様の報告書だけでも面倒なのに……更に三人も?………巡回の役を終えたら夜まで始末書ですね………はぁ。」

 

 

 これで何度目か分からない溜息をついて私をジト目で見つめてくれる三ノ巡回隊の隊長さん。うゔ…………仕事を増やしちゃってごめんて。

 

「もうよろしいです。始末書は直ぐに終えられるようになってきましたから。それに、門番長様からは『黒柳様が帰属してきた時は遠吠えでなく、口伝ても良い』と仰せ使っておりますのでこのまま護送致します。………はぁ。」

 

 

 こうしていつも凄く嫌そうな顔をしつつもなんだかんだ言ってこうして毎回ちゃんと護送もしてくれるんだ。

 

 特に近年は普通に話しかけても隊長さんは普通に話してくれるようになったし、他の隊員も同様に世間話を中心に沢山話してくれるようになってきていた。この様子では少しずつデレてきているのは確かなのだ。少しずつだけど、この人達と交友関係を結べるようになってきたのは良い進捗だろう。このまま仲良くなったら椛ちゃんのように女性隊員のそのモフモフの狼耳を……………グヘヘヘへへ。

 

 …………まあ、諦めの感情の方が強そうなことには目をつぶっておいてほしいかな〜……いいね?

 

 

 天狗の里へ道中に、知り合いの多くなってきた巡回隊の皆と挨拶をしながらも何事もなくすいすいと三ノ巡回隊の人達と雑談を挟みながら進んでいった私達は、天狗の里の入り口であり、門としてのの役割を持つ『九天の滝』へと辿り着いた。

 

 相変わらず、この滝は綺麗だな〜。

 

 

 青雅さん達はその壮大な自然の様子に圧倒されながら、私は見慣れた美しい風景に染み染みとしながら眺めておると、門番隊が滝の裏側から現れた。

 

 皆、もう私が三ノ巡回隊に護送されている光景には反応を示さない。逆にこっそりと手を振ってくる者が居たり、青雅さん達を不思議そうに見ている者達もいた。私はこっそり振ってくれた狼天狗の人達にルーミアちゃんの小さい手を掴みながら笑顔で手を振り返す。

 その任務中の部下達の私的な行動に気がついた門番隊の隊長は、その部下達を全員ひと睨みして『後できっちりとっちめてやる』と呟いて部下達を絶望させた後、三ノ巡回隊の隊長に向き直って、いつものせいなのか妙にカジュアルな態度で三ノ巡回隊の隊長を詰問をし始めた。

 

 

「また三ノ巡回隊か?いつもの説明は今日くらいは別に良い。変化だけを報告してくれ。卯月の上。」

 

「はっ、水無月の下。黒柳様と共にいる者は黒柳様のご友人のようです。二人ほど人間のようですが、人の俗世からは離れている存在のようです。」

 

「………死人と邪悪な仙人か…そして匂いを嗅ぐ限り闇の妖怪。ならば問題はなさそうだな。では通してよし。」

 

「……引き継がないのですか?」

 

「あぁ……三ノ巡回隊は飯綱丸様から大いに信用されている。故に必要が無くなった。一ノ門番隊!開門せよ!」

 

「ハッ、では失礼致します。」

 

 

 ― ギギギ ―

  

 

 高くも重い独特の音が聞こえた後、大きな木製でできた門が滝を左右に割るように開いた。

 

 

 その開いた門には、今にも飛びつきそうなほどキラキラな目で私と目を合わせてくるはたてと、ニコニコと朗らかな様子で私を見る椛ちゃん。 そして…………背後から鬼が見えるような気迫を出しながら目元に影をさして笑いかけてくる文がいた…………。

 

 

 うん………文の心から伝わってくる感情が恐ろしくて恐ろしくて…………。

 

  ……………………。

 

 

 帰ってきました妖怪の山!!(震え)

 

 

 え?パートのタイトル回収が速いって?いいんだよ。拾える内に拾って置かないと勿体ないでしょ?この小説のタイトル回収だって第2羽だってそうなんだから。それについては気にしない気にしない。いや、メタいな。辞めよう。

 

 

 

 ― スタ スタ ―

 

 

 

 それよりも文さん。どうして無言で私に近づいてくるですかね?

 

 

 ― スタ スタ ―

 

 

 

 え?分かるだろって?いやそうですけど。一旦ね。落ち着きましょう?ねぇ、文様?笑顔が凄く怖いよ?

 

 

 

 

 ― スタ ―

 

 

 

「ひ、久しぶり………文?元気そうだね?」

 

 

「ええ。本当に元気よ?…………誰かを殴り飛ばすくらいには?」

 

「う、うん?………一旦その振り上げた拳を降ろそ―」

 

 

「このアホカラス〜〜〜〜!!!」

 

 

 

「ギャァァァーーーーー!?」アァッ!?」アァッ!?」アァッ!?」

 

 

 

 

(じ、次回に……つ、続きます。………ハイ。)

 

 

 

 






 あ、文様が恐ろしすぎる………将来は恐妻家になりそうで将来が怖いなぁ〜〜(小並感)


 あぁ、そうそう。まだ第二章は続きますのでそのまま次にお進みください。


 
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