段々と幻想郷の要素が現れてきましたね。初期の幻想郷の謎の多さが凄く好きなんですよ。それで私の妄想と二次創作が捗りますしね。
稗田阿礼と名乗った当主に案内されるように連れられた私達は、道行くすれ違う人々に好奇な目を向けられながら人里で一番広いと言われている広場へと向かっていた。
そこなら博麗神社について何かしらの情報を知っている者もいるかもしれないと当主さんに言われたからだ。
それにしても、不思議な人だなぁ。見るからに怪しい格好をしている私達に、初対面でこんなに気安く対応するのかね?
普通なら警戒なりなんなりするだろうに。そうすれば私達の正体を隠す隠れ蓑にはぴったりな雰囲気になるのに………。
宛が外れたなぁ。はぁ。
これではただの怪しい集団と変わり者の当主様である。。
「で?その仮面には妖力が込められているのかい?やっぱり自衛用?」
「ええ……そうです。自衛用です。これで力の弱い妖怪の襲撃を防げますからね。」
「成る程ね。特に最近は妖怪の力が強く、そして凶暴になってきているからね。良い心がけだよ。で、その衣服は………何かしらの不思議な力があるきがするが………。神社に参拝した時のような雰囲気をまとっているね………?」
「………『飛燕ノ鴉ノ石道神』の神力が込められているんですよ。」
さりげなく、私の神名を広めておく。へへへッ。こういうのは大事だからね。名前が広まればその分、私の神様としての格が上がって神力が多くなるからね。でも、まさか誰も神様の正体が化け鴉だとは思うまい。
どっちかと言うと、この数百年間私が人々に恐れられようとして行動したのに逆に信仰が広まっちゃっただけなんだけど……。
酷いよね。私、ちゃんと悪いことしようとしてるのに逆にここら一帯で幾つか祠まで建つようになってさ。旅人からの捧げ物が多い多い。お陰で色々と食料に困りませんでした。ありがとう御座います。だから私は化けガラスだよ!?
「ほほう。もしかして、君たちは『飛燕ノ鴉ノ石道神』の信奉者か?………ここらだけでなく、私が天皇様に仕えていたときに都でもよく話を聞いていたよ。
なんでも旅と幸運の神様や境界の神様だとかなんとか。特に諏訪の地での伝説は有名だったな。諏訪での神々の戦にもいたとかなんとか。
色々と伝承があって古事記を書く時、飛燕ノ鴉ノ石道神の項目を書く時は各地を奔走させられていたよ。その時はその旅の途中で石碑とかをよく見かけてお祈りしたものだ。
ここらでは特によく信仰されてるようだし、徳の高い神様なのかな?」
あ、アハハハ…………ごめんね。私が色々と旅してるし、旅人とは偶に交流してたからね。それのせいかも。あと、信仰されてるのは知りません。勝手に信仰されてそうなってるんです。
貰っちゃったもんは頂くけど、捧げた人にはちゃんと見返りに『道』を示してあげるんだけどね。これについては人それぞれだ。具体的な目的地までの道のりを教えてあげるとか、人生の目標の為に役立つ道標となるヒントをあげたりとかね。
どれも、これも私が前世で親友と一緒に鴉の伝承のある土地を巡っている時に聞いた鴉の伝承を元に真似てるだけどね。本人が居たら謝ろう。なにせ私が信仰を掠め取る形になっちゃってるからね。
というか『稗田阿礼って何処かで聞いたことのあるな〜』って思ってたら、天皇に命令されて古事記を書いた人!?
はい!この人!!高確率で高校入試に出ます!!画面の向こう側の生徒の皆さんはちゃんと覚えておくように。ついでに言うと、中高の歴史なんて入試の得点源なんだからちゃんと楽しんで覚えといたほうがいいよ。まぁ、理系の人については知らないや。
それにしても地味に凄い人と出会ったな………。そういう伝承についてなら大好物な私とは凄く馬が合いそうだ。
「神格に関してだけ言えば、そうではないでしょうがここらでは此処数百年前から人々に親しまれている親交ある神様ですからね。
それに旅人は貴方達のように少しずつ増えていってますからね。これから益々増えていくのでその分、石道神様の力はより強くなるでしょう。」(自画自賛)
「そうだな。それに、ここ人里では私が来る前から境界の神様や豊穣の神様として信仰があると人々から聞いた。秋の2人の神に並ぶ農業の神でもあると。」
え?秋の神様?そんなのいたっけ?私は秋になると、急いで旅から妖怪の山へと帰って行く時期だからあんまり人の前には姿を現さないからなぁ。もしかしたらすれ違って今まで会わなかったのかも。
「秋の神?はて?ここらにいたんですかね?」
「知らないのも無理があるか。ここ幻想郷、そして秋の間しか公では活動していない野良神だからな。 私は去年の秋に農村の調査で一度、御見えさせていただいたことがあったが、中々に気前の良い姉妹の神々であったぞ? 君たちも秋になったら探してみるといい。おっと。そろそろ着くころだな。ここが人里で一番人が集まる場所だ。」
稗田阿礼に促されて私達は前を注視してみると、いつの間にか人がごった返していることに気がついた。
「ようこそ。諸君。ここは人里の中心、そう『商店通り』だ。」
― ガヤガヤ ガヤガヤ ―
『安いよやすいよーー!!』『ほら!退治屋が狩った妖怪の爪の装飾品だ!妖怪避けにはもってこいだ!!』『そこの退治屋さん?昼食はどうだい?』『いい、退治の武器が仕入れたんですが1つ見ていくかい?旦那ぁ〜?』
旅人や退治屋を中心に商店街をあるいており、その客たちを取り合うように屋台や店を開きた飲食のお店や、退治屋が仕留めたという妖怪の戦利品、そして妖怪を倒すために必要な者が売っている武器屋や道具屋が声を出して競い合っている。
何度か人に化けて来てたけど、やっぱりここは賑やかな所だ。ここ東北の中では結構人の数は多いと思う。周りは自然だらけなのに、人の出入りは多い。これもここが妖怪の多い土地でそれを退治する者達が移り住んできたからなのかもしれない。
実はここで降ろされた妖怪の戦利品は都にも流れていてそれを妖刀や呪術、そして少しずつ流行ってきた陰陽道や仏教に使われるのでそれで取引されることが多いらしい。
お陰で、初めて来た時の廃れた村だった時なんか比じゃなく、街として言えるような規模になり、前に来た時よりも更に賑わいが盛んになってきているのでこれからが楽しみな所である。
「さて、案内出来たようだし、早速私は『私の仕事』をしなければね。じゃあ。私は稗田家の屋敷にいるから暇なときに訪ねてくるといい。きっと君とは長い付き合いになりそうだからね。」
そう言って、稗田阿礼は護衛を連れて、街中へと消えていった。それと同時に、今まで静かにしていた青雅さん達が騒ぎ出した。
「凄いですわね………賑わいだけなら大興城よりもありますわ。」
「凄いぞ〜!なんだここは〜?せいがぁ〜!!」
「う〜〜。ドコモオイシソウナ人間ガイルナ〜〜。」
「こら!ルーミアちゃん。我慢だよ。後で好きな所舐めさせてあげるから。」
「お〜!やったのだ〜〜!!それは楽しみなのだ〜!!!グヘヘヘへ〜〜!!」
「おお〜〜ルーミアちゃ〜〜ん。良い子良い子〜〜!!」
「キャハハハハ〜!擽ったいのだ〜〜!!」
私がルーミアちゃんの頭を優しく撫でて上げると、ルーミアちゃんは嬉しそうにはにかんだ。 キャワイイーー!! ルーミアちゃんが今何を考えているのかは知らないけど、こういうのは心から褒めてあげるのが大事だってけーねが言ってた。はっ!?電波!?
「さて、飛燕さん?どういたしますの?この前の遣隋使の時は美鈴さんがいましたので即興で大芸能者が出来ましたが今はいません。ルーミアさんに即興でやらせても出来るとは思いませんが?」
急にうちのルーミアちゃんを出来ない子の用に語り出す青雅さんの声に、私がキラリとしながら振り向くと、私の目に映った青雅さんのその表情は明らかな挑発顔だった。
な、何を〜〜!!
「フッフッフッ〜!青雅さん。うちのルーミアちゃんを舐めちゃいけませんよ?そちらの芳香ちゃんよりかは少なくとも幾らかは多才ですもの。」 私の思わぬ反撃にうろたえる青雅さん。こちらも武器の引き出しなどいくらでもあるのだ。
「!?…………フフ♪多才?それはただの器用貧乏ではなくて?内はキョンシー娘一筋で闘ってきたんですもの。」
「ならそっちは馬鹿の1つ覚えかな?世の中は多種多様な武器がある方が生き残れるんだよ。
それに関してはルーミアちゃんは頭一つ抜き出ているねぇ?唯でさえ印象深い『そーなのかー』っていう名言があるし、他にもまだまだ隠し武器は沢山あるんだから。因みにそちらは?」
「くっ!?…………1面ボス風情ですのに生意気な。うちの芳香ちゃんだって名台詞はありますわよ。『とーまーれ〜〜〜!!』と。」
「ほら、やっぱり。馬鹿の一つ覚えじゃないか。」
「………そちらも対して変わらないのでは?」
私の反撃の言葉に一瞬だが同様した青雅さんだったが、やはり青雅さん。彼女は立ち回りは早いようで、すぐに立ち直ってきて先ほどの挑発顔に顔を戻してすかさず反撃してくる。私と青雅さんは仮面越しに〜キラリとした目を合わせて、黙りこけて再び見つめ合った。
「あら?……うちの芳香ちゃんは完璧しいんですが?他に比べられないほどの高性能ですわよ?」
「フッ……うちのルーミアちゃんは更にその上をいきますから。かわいさは認めるけど。」
「口で何を言ってもしょうがなさそうですわね?丁度いいですわ。これなら、証明させることでさせますわ。」
「?」「?」
「「なら見せ物で勝負だね?」ですわ♪」
私と青雅さんは丁度空いていた空き地に肩を組んだまま向かっていった。話についていけていないまま疑問符を浮かべる二人共をそれぞれの間片手で抱き上げながら。
フッフッフッ。常々思っていたのだよ。うちのルーミアちゃんと青雅さんの芳香ちゃん。どっちが可愛いのかを。
* * *
芳香ちゃんとルーミアちゃんそれぞれが青雅さんと私に教えられたを踊りを私と青雅さんが奏でる1つの音楽に乗せていくという内容を旨とした見せ物を始めた瞬間。
始まって一分も経たずに、人々が集まりだしてあっという間に熱狂しだした。
―ズンズン♪ダンダン♪―
―ピュウルリ〜ルリリリ〜♪―
「ヒュ〜ヒュ〜〜〜!」
私と青雅さんは曲を演奏すると同時に、曲芸を披露して小さな体躯で踊るルーミアちゃんと芳香ちゃんを援護していく。
「「「ワァ〜〜〜〜〜〜!!!」」」
私達の盛り上がりに乗せられた人々の歓声と熱狂が商店通りに響き渡る。特にこの時代、娯楽は少ないからこういう楽しいことや祭りには人々の反応は敏感だ。
既に私たちが見世物をしている空き地の周辺の商店通りの空間には、溢れんばかりの人がいた。
店の手伝いをしていた看板娘が、退治道具を物色しに来ていた退治屋達が、通りかかった旅人が、商人が。そして、何故かいる数名の妖精が、楽しそうに私たちの見世物に夢中になって参加していた。 そういえば妖精がここらへんで増えてるけどどうしてだろうな?人の手が入ってない完全な僻地なら居るけど人里に出てくるとはね?変な感じだ。 でも、可愛いから許しちゃう。私は器が広い方なのだ。
「お〜!やるのだ〜!!芳香ちゃんは〜!!!」
「そっちも凄いな〜?こちらも負けられないぞ〜!せいがぁ〜!!」
「そうね。最もキレキレのゾンビダンスを踊りなさい!!芳香ちゃん!!」
「ルーミアちゃんもいけ!!相手は身体を上手く動かせないんだ!!その柔らかい身体を生かして圧倒するんだ!!」
―ヒュ〜ヒュ〜〜ルルリ〜♪―
「「「「ワァ〜〜〜〜〜〜〜!!!」」」」
観客の熱狂が周りの通り過ぎた人々に伝来していって、魅了されていく。怪しい姿の私たちなんか気にせずに。今を楽しむように。
どちらが勝ったのかって?そんなの引き分けだったよ。結局どちらも可愛かっただけだった。
* * *
夕方頃になって、見世物も終わらせた私たちは、熱の余韻でその場で飲み会を開き始めた人々に、博麗神社について聞きまわった後は、スルリと人里からおさらばした。
へへへッ。妖怪は気がついたらいなくなってるものなんだよ。そっちの方が後腐れなくて良いだろうしね。
そうして、居場所を突き止めた私たちが博麗神社へとたどり着いた時には、既に日が沈みかかっていた。
「おぉ〜?これが博麗神社なんだ?…………意外とちっちゃいね。」
「おぉ〜?なんか廃れてるのだ〜〜!!」
普段から凄く大きい守矢神社や春宮を見てるから、なんかこういう普通の神社が小さく見えちゃうな……。
それに、ルーミアちゃんの言う通り、周りには村とかがないから参拝客もいないし。唯でさえ人が少ない辺境なのに、こんな外れに神社を建てたってしょうがないってのに。
「ふふふ♪時々立ち寄った飛燕さんの祠よりも断然立派ですわよ?」
「私のはいいんだよ。小さくても簡易的なモノでも。その分数があるからね。その分皆にお祈りしてもらえるし。これについては道祖神の役得だし、それに諏訪の国に一つだけ立派な神社を建ててもらってるもん。この神社よりもあるもん!」
「あら?飛燕さんは化けガラスではなくて?」
「………それは、どっちもだよ。好きな時に切り替えることにしてるんだ。」
「まぁ調子のいいことを言うのね?道祖神。それにしてもお客にしては随分と要素が多すぎるんじゃない?」
「「「!?」」」
― シュバババ ―
いつの間にか背後を取られていることに気がついた私達は、急いで散開し、戦闘態勢についた。
私は白幻と黒妖を腰のホルダーから取り出して引き金に手をおいて。ルーミアちゃんは闇を纏って私の後ろに隠れて。青雅さんは『霍青娥を守る』と、いつの間にかおでこに貼られていたお札をつけた芳香ちゃんを盾にいつでも応戦出来るように仙力を両手に纏って。
な、何!?全然気配が分からなかった!!
緊張しながら声をした方向を見ると、そこにいたのは……
「妖怪やら仙人やら神様だろうか知ったこっちゃないけど、ここに来るなら賽銭とお祈りはしていってね。この神社の神様はまだまだ弱い神様だから。神社も建てたばかりだし。」
薪の山を背負った目つきの悪い紅白の巫女が佇んでいた。
初代博麗の巫女の登場ですね。博麗神社はいつ建てられたのかは不明ですが、恐らく飛鳥時代の中期には建てられていたんじゃないんでしょうか?
古墳時代は流石になさそうですよね。