オリキャラが出ます。まあ、キャラ事態はそこまで重要キャラではないので頭の片隅に置いといてくれれば良いです。
このパートは6月26.27.28日に投稿した後に、7月から2日に一度投稿していきます。
博麗神社から帰ってきた私達は、のんびりと飛びながら妖怪の山へと向かっていた。人里を挟んで向こう側にあってまあまあ遠かったから普通にのんびり飛べば半日くらいはかかるので少しだけ急いで飛ばす。
それはこの幻想郷と名付けられた土地にしては異常な空間が広がっていたからだ。
…………空が妙に静かだ。
いつもは感じる偏西風のジェッド気流や、揺れる草木の音意外は虫の鳴き声も動物や鳥の鳴き声がしない。
まるで本当にここには生き物が生息していなとでも暗に言っているかのような不気味な静寂が道中に広がっていて私達の本能を刺激する。
私の『飛ばす程度の能力』で探索してみても、全く動物が見つからなかった。まるで誰かから逃げているかのように姿を全く見せない。せいぜい道中見かけるのは妖怪くらいだった。
「変ですわね…………初めて訪れた時よりも辺りが静かすぎる。」
「ん?………そんなに静かなのか、せいがぁ〜?」
「ペロペロ。あっま〜〜い。お姉さんの太ももは甘くておいしのだ〜〜!」
「確かに静かだね。まるで嵐の前の静けさだ。私の探索で探してみても動物とかは全く見つからなかったし……………所でさ、ルーミアちゃん?なんで私の内股を舐めてるの?」
「ん?別に甘えてるだけだよ、お姉さん?」
「そ、そうなんだ…………………。」
ルーミアちゃん……いくら何でもマイペース過ぎない?
ルーミアちゃんが私の太ももの内側を舐め続けてるせいでシリアスな雰囲気がぶち壊しなんだけど…………。
擽ったいから辞めようよ。それ結構際どい所からさ。ほら、青雅そんと芳香ちゃんの視線が集まってるよ?空気読もう?
それともわざとかな?冬ごもりの間はてゐや影狼ちゃんに私を占領されてたせいであんまり甘えられなかったからなのかな?
そのせいか凄いアピールの仕方だね?けど、今は辞めようよ。作者さんがシリアスパート宣言してるんだから。作者を困らせちゃ駄目だよ。ルーミアちゃん。
「オホン。…………兎に角、もう少しだけペースをあげようか。なんだか嫌な予感がするんだ。」
「奇遇ですわね。私も丁度そう思っていましたわ。」
私達は飛んでいるスピードを挙げて天狗の里へと突き進んでいった。
暫く翔んでいると、芳香ちゃんが青雅さんの肩にちょんちょんと手を乗せながら話しかけた。
「なぁせいがぁ〜。」
「なにかしら芳香ちゃん?」
「なんかあそこに黒いモヤモヤがあるぞ?」
芳香ちゃんが不思議そうに指さしている方向に自ずと皆の目線がその集中する。
ん…?黒い煙?それも天狗の里がある方向だ。
「なんなのだ〜?あれは〜?」
「あれは…………黒煙ですの?」
遠くから黒い煙が天狗の里から僅かに立ち上っている姿が私の瞳に映っていた。
「……………え?」
悪い予感が的中して欲しくなかった私は、急いで文にテレパシーを繋ぐ。
ねえ?文?そっちで何があったの?黒煙が見えるんだけど?
― ズズ ―
すると、少しだけ聞いたことがないノイズが入った後、直ぐに緊迫とした様子で文から答えが帰ってきた。
(ハァハァ………他の地域から来た天狗の里からの襲来よ!!!それも全ての地域から……飛燕!!あんたは私のパートナーよね?だから早く来てちょうだい!!貴方の力が必要なの!!)
「………え?一体、ど、どうしたの!?文!?」
「何がありましたか、飛燕さん?」
「どうしたんだ〜?ひえん〜?」
「どうしたのだ〜?お姉さ〜〜ん?」
思わず急に立ち止まってしまった私に、皆が心配そうに振り向いて見つめてくるが、今の私には答えるようなそんな余裕は全くなかった。
他の天狗の里からの襲来?いったいどういうこと?
頭が一瞬真っ白になる。そして、この270年間の天狗の里の警備体制の強化をしていたその姿や、今まで見聞きしり、直接関わって想像出来る今までの八雲紫の行動。てゐ達『迷いの竹林』などの妖怪の勢力の幻想郷の参入。
そして、龍さんの言動から分かる八雲紫の天狗の里への介入の示唆や私を足止めしようとしたこと………。
次々と点と点が繋がっていっていく。
「天狗は………誇り高い種族。それが……形式上だとしても天狗の里が誰かの下についたということは……?」
そして、私はある結論にたどり着いた。
「八雲紫は………天狗同士で潰し合わせて勢力をまとめ上げようとしている?」
「どういうことですの?いったい何がどうなっていますの?」
「わからんぞ〜?」
「何の話をしているのだ〜?」
詳細は分からない。少なくとも八雲紫と妖怪の山での天狗の里が手を組んだ結果、他の天狗の里の天狗達を刺激してのこうなったのは確かだ。天狗は地域によれば人間から神様と扱われる程誇り高い妖怪だ。
その天狗の中で中心となるような妖怪の山の天狗の里が八雲紫に下ったとするなら、少なくとも他の天狗の里は天狗の誇りを守るためにも妖怪の山を制圧するために動くだろう。
けど………幾ら日本にある天狗の里の中でも最高峰の戦力を誇る妖怪の山だけじゃ、他の地域から襲来した全ての天狗の里の勢力から守り切れるのかは怪しい。
なら?どうして………勢力を減らす?そんなこと天魔を中心とした大天狗達には幻想郷に参入したっていう時に元々分かりきっていたことの筈だ。
でも、よくよく考えてみればそれを了承した大きな理由が分からない。何度も言うが天狗は誇り高い。直接の力で打ち負かされない限りは従わない筈だ。その天狗が……、何故?
私が考えていると、再び文からテレパシーが飛んできた。
(兎に角!飛燕!!妖怪の山の近くにいるなら早く合流して!!結構切羽詰まってて貴方の力が必要なの!!兎に角、早く来なさい!!―ブブブ―キャアッ!?)
「文!?文!?ねぇ!?」
―ブブブ ブブブ―
それっきり文との交信は途切れたままだ。私は焦りから気がついたら身体が前に動いていた
「このままじゃ文達が危ない!!」
「あっ!?待つのだー!!お姉さ〜〜ん!!」
「飛燕さん!?」
「勝手に進むのはダメだぞ〜!飛燕〜〜!!!」
鴉型になった私は、私の急変ぶりに声をあげる青雅さん達の声を背後にして、引き離すように無我夢中になって最高スピードで私は天狗の里へと向かっていったのだった。
* * *
― アオーーーーン ―
『コチラ!四ノ巡回隊!!敵の攻勢ガ激シイ!モウ足止メハ無理ダ!!援軍ヲ求厶!!援軍ヲ求厶!!』
― アオーーーーン ―
『コチラ、本隊司令本部。撤退ヲ許可スル。タダシ、向ワセル迎撃隊ノ編成ガマダダ。ソレマデ撤退戦ニテ徐々ニ後退サレタシ。』
― アオーーーーン ―
『………了解。サレド早メノ援軍ヲ期待スル。』
― アオーーーーン ―
『善処スル。幸運ヲ祈ル。』
― アオーーーーン ―
『コチラ、二十ノ守備隊。スデニ二十ノ二十ノ巡回隊は壊滅シタ。最後に自ラガ残リ最後ノ足止メヲ試ミル。』
― アオーーーーン ―
『コチラ本隊司令本部………撤退スルベキダト進言スル。』
― アオーーーーン ―
『拒否スル。我、身命ヲトシテワガ村ノ家族ト生存者ノ逃走ヲ助成スル。故ニ最後ノ報告デアル。』
― アオーーーーン ―
『…………奮闘。感謝サレタシ。』
― アオーーーーン ―
『コチラ、三ノ巡回隊。二十ノ巡回隊の防衛箇所に現着。タダ今残存隊員ノ救助ト共ニ、防衛箇所ニ存在スル敵対者ヲ排除スル。』
妖怪の山の森の深くから天狗の里の町の近くまで狼天狗達の報告の鳴き声が響き渡り、上空では多くの人影が荒ぶる風を吹き荒らしながら激しく争っていた。
撃墜された鴉天狗達の死体が落ちていき、地面に激突して元の姿形が分からない程の肉塊に変化して、敵の勢力によって集められたて暴れている畜生妖怪や小妖怪の群れのエサとなって骨一つ残らなかった。
その捕食には敵味方の区別など最早ない。
彼らの頭の中にあるのは蹂躙か捕食のどちらかだ。
そんな彼らを切り刻み、殲滅せんとしようとする者達がいた。狼天狗主体の三ノ巡回隊だ。彼らは黒柳飛燕が270年前に妖怪の山の麓で接触し、天狗の里までの妖怪の山の道のりに同行していた者たちだ。(詳しくは第一章のエピローグにて)
あの時以来、黒柳飛燕との交流は度々行われている。何故なら、非常時故の臨時的に原隊復帰している犬走椛の母隊でもあったため度々だが、共に任務を行動することも多かった。その化け鴉で神様は趣味でハイキングをしている認識だったが、三ノ巡回隊にとっては任務に勝手についてくるような半分邪魔者扱いなのは気がついていない。
しかし、彼らは黒柳飛燕曰く、『ギャルゲー』対象の天狗という種族である。建前は皆そう言って隊員内では愚痴を零しているがいるが、実のところは、あの無自覚人タラシの鴉にこの270年の間に絆されているのは公然の秘密だった。
そして、最近増えてきた休日にてゆっくりしている様子の椛の所にやってきて、愚痴のような惚気をうずうずした様子で交代交代に現れては満足して楽しそうに帰っていくのだ。
今の椛は、従者という違う役についており、階級も一番下の睦月(むつき)ので、命令すれば黙っていてくれる。それもその人タラシの鴉の神様と個人的な交友が深いと噂されているので尚更彼等彼女等は来るのである。
最初は各々の隊員が、ぎこちなく会いに来るものだったが、あの鴉の話題の共通点があるお陰なのか、段々と椛と息が合うかのように仲が良くなっていった。
今となって、気がつけば将棋を指しながらあの鴉との"交遊の惚気と言う名の『愚痴』"をこぼし合うほどに気安く関わるようになっていたのだった。
そして、話が弾む内に、時々龍と二人っきりのみだった早朝の稽古の存在を知った三ノ巡回隊のメンバーは示しを合わせたかのように全員が参加するようになった。実際は普通に椛の話から興味を持ってそれぞれが来るようになっただけだが直接早朝の時に顔を見合わせても全員がたまたま来たのだろうと、知らない振りをして接しているのである。
そうしてこの二百年近くの間、次第に各々が鍛えられていった結果、今では『飯綱丸龍の直属の精鋭部隊』とまで言われるようになる程の精鋭部隊となっていた。
一見矛盾しているようで一貫している、そんなツンデレを極めたかのような親しみ溢れる原隊の行動力に椛は呆れていた。
が、同時に大天狗の龍様に目をつけられて文様とはたて様のお世話係になる前までは、少しだけ居心地が悪かったこの三ノ巡回隊の隊員達に謎の親近感を湧くようになっていった。そして、三ノ巡回隊の隊員達も、それはみな同じだった。
椛は無愛想だが内側は優しく趣のある性格で、一方の三ノ巡回隊のメンバーは普段の態度がキツイだけのツンデレなだけだったと、お互いに隠されていた基質をあの化け鴉に間接的によって明らかにさせられたという訳だ。
不思議なモノである。あれほどヒトを惹かせ、そしてヒト同士を自然と繋ぐ者はいないと言えよう。
椛は困るべきなのか原隊の者達と親交を深めれるようになれたことに喜ぶべきなのか、イマイチ分からなかった。
(このヒト達は……"友"と言うよりは"飛燕様ファン仲間"なのでしょうか?
ふふっ……変ですね。飛燕さんをそんなアイドルみたいに言って。)
しかし、あの化け鴉と関わってきた三ノ巡回隊以外の男女年齢、鴉天狗、狼天狗を問わず、多くの天狗達からの人気ぶりから親しみの深い神様と言えるのは確かだ。
それに、自らを飾らない飛燕様相手には誰もが自分を容易く吐き出すことが出来る。
そして彼女は天魔様の娘と言われている文様や未来の天才児と言われているはたて様との共通の友人だ。
格差社会が酷い天狗達にとっては、未来の天魔の跡継ぎの娘や将来有望な大天狗の娘による伝手によって階級を上げる為の唯一の救いどころなのである。
腹黒い天狗という種族特有の打算さはあるとは言え、本人の魅力もあいまって自然と天狗達にとって魅力的に見えてしまうのは仕方がなかったと言える。
ただ、今言えることはそんな彼ら彼女らは私にとって今何処かで里もとい家族を守るために、普段いがみ合っている天狗達が協力して敵対者と戦っている"戦友"と言えるような存在だと言えた。
私は、村の住人を逃がして一人奮闘していた二十ノ巡回隊の生き残りを保護し、隊員が妖怪の群れを殲滅している様子を横目に傷の手当てをしながらそんな呑気なことを考えていた。
「今直ぐ怪我の手当てを完了させます。大事はありませんでしたか?」
私が軽く怪我をしている若々しい雰囲気のある狼天狗に声をかけると、その狼天狗は元気一杯に返事をしてきた。
「助かりました!!『黒柳様を知り隊の会会長』椛先輩!!」
先輩ですか?確かに私はこの方よりは長く役目についているとはいえ、尊敬の名称をつけられるのは慣れませんね?
いや、それよりも聞き捨てならない言葉が椛には聞こえた気がした。
「…………それ、他の天狗の皆さんも私をそう読んでおられるのですか?」
「はい。大天狗でおられる飯綱丸様や、射命丸様や姫海棠様を除いて、貴方程黒柳様のよい所をお知りになられる天狗はおりませんから。」
「……………それは『全員』でしょうか?」
「はい?そうですよ?」
……………なんだか嫌な予感がする。何故なら急に三ノ巡回隊の面々から変な緊張の匂いを発っせられていたからだ。
「因みにその名を広めている者とかはいらっしゃいましたか?」
「ここの三ノ巡回隊の皆さんは特にそこの名誉会員なので、その会員の名義で裏でそう椛さんを呼ぶようにと触れ回っていたのを私はお聞きしましたよ?先輩達に習って私、千堂優月(せんどう ゆずき)もそう呼んでいるっス。」
私は、千堂優月と名乗った治療を直ぐさま終わらせた私は今頃殲滅しきって辺りを警戒しているだろう三ノ巡回隊の面々に目線を向けると、生真面目な隊長以外の私達の会話を聞いていただろうその全員がそっぽを向いていた。
おい。そこの者共。さては………私をその『黒柳様を知り隊の会』とやらの会長に勝手に祭り上げていたな?
「ん?何か変なことでも申してしまいましたか?椛先輩。なんか……怒りの匂いが…………?」
「いえ、なんでもありませんよ?まあ、怒っているのは確かですが。貴方に咎は何もありませんから。大丈夫です。」
私は、ギロリと今となっては顔見知りとなった隊長以外の面々を睨みつけると、ギクリとたじろいだ。
今ので確定ですね。後で話がありますから。皆さん?
シリアスと言うには何とも言えない雰囲気が流れていると、本隊司令本隊からの狼天狗の鳴き声が聞こえてきた。
― アオーーーーン ―
『各地ニテ防衛シテイル全隊に対シ告グ。敵ガ一次撤退シタ。撤退サレタシ。繰リ返ス。直チニ、撤退サレタシ。』
ふぅ……取り敢えずは第一波は凌げたようですね。
一安心をしたい所だが、まだこの襲撃は終わっていない。まだまだ序盤だ。
椛はより一層自らの心の帯を締めるのだった。
― ボンッ ―
その時、近くの森から強い光と共に爆発が聞こえてきた。三ノ巡回隊の全員がその音に反応してそれぞれの曲刀の柄を握りしめて身構えるが、困惑しながら曲刀を下げた。
何故ならば、その中心人物であり、1年近く顔を見合わせていなかった本人の匂いが僅かに香ってきていたからだ。勿論椛も優月も困惑していた。
「兎に角、部隊を2つに分ける。先程の謎の光源を調査と村の生存者の捜索と護送だ。睦月の上。如月の下。お前等は森の調査だ。如月の下。お前は一次的に三ノ巡回隊に編成する。以降私の指揮下に入れ。」
隊長が私達に任務を指名してくる。勿論私はは睦月の上で、優月は如月の下だ。
私達は顔を見合わせてから返事を返した。
「「了解!!」」
飛燕様がどうしてこんな戦場に近づいてきたのだろうか?いや、飛燕様がならば、
なんだか終始脱力しそうになった椛だった。
ふぅ……頑張れ私。前話まで沢山ほのぼの回を描いたからエネルギーは充分溜まっているはずだ。頑張れ。てゐパワーを貰ってるから大丈夫だ。多分。