化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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 情報量が多い!!の回です。ごめんなさい(_ _;)


42羽:「『八大天狗異変』③」〜序〜

 

 

 〜前回までのあらすじ〜

 

 

 紫さんに中国の奥地へと飛ばされた私は、美鈴さんや青雅さん、そして芳香ちゃんと共に日ノ本へと帰るための半年間の旅の後に、美鈴さんとは日ノ本への航海する前に別れたのだった。

 その後は村紗水蜜と名乗る舟幽霊を撃退したり、道中ではルーミアちゃんと再開(笑)したり、奈良で御子さん達と出会ったり、聖域で友達に会いに行ったり迷いの竹林で初めての冬ごもりなどをした。

 なんだか字面だけ見ると凄く濃いなこれ。

 そんなこんなで長い1年間の旅が終わって妖怪の山の文達のところへ戻る途中で、妖怪の山にある異変が…………。

 

 そして、私は文から天狗の里に何があったことを文との交信を通じて知り、無我夢中で一人勝手に飛び去ってしまった。 そうして私は独断で青雅さん達を置いて一人戦場へと侵入してしまい、そこで現れた追っ手を制圧した。

 

 で、そこで私が情報を貰おうと隊長格のひとに話しかけている所を駆けつけてきた椛さん達に目撃されたってところだね。

 

 ………なんだか気まずい雰囲気の中。私は椛さんとの再会を果たしたのだった。

 

 

 なんだこれ。カオスだな…………。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

そして、今の場面に移る。

 

 

 

 

 今は、あの謎に気まずい空間のまま、仲のよい三ノ巡回隊と合流して貰い。無力化した鴉天狗達を運んでいく貰いながら椛さん千堂優月と名乗った狼天狗と並んで天狗の里の中心街へと撤退している場面だ。

 

 

「えっと……」

 

「ヒャアっ!?」

 

「そんなにビビらないでよ優月ちゃん………椛さん久しぶりだね?どうして三ノ巡回隊に?」

 

「お久しぶりです。飛燕様。実は私はこの部隊が原隊なんです。今は文様やはたて様の従者として働いているので一次的に原隊復帰というわけです。」

 

「うん。久しぶりだね。なるほどね。いやぁ〜〜〜こんな再会の仕方するとは夢にも思わなかったけどね〜〜。」

 

「はい。私もまさか飛燕様が敵方の鴉天狗達を一方的に制圧した後の場面で出会うとは思いもよりませんでしたが………あの場面は………いえ。一旦忘れておきます。」

 

「うん。忘れてね。」

 

「何故飛燕様はこの戦場にいらしたのでしょうか?」

 

「それがさ………」

 

 私は文と通信している途中で文に何かがあったことを知って、ここまで急いで駆けつけてきたことを話した。

 

 

「あ……文様が?しかし………文様からは『今は来ない様にただ連絡して伝える』と私はお聞きしましたが?………いえ。取り敢えず合流してみるしかありませんね。はたて様と共にいる筈なので、文様の所へ駆けつけましょう。」

 

「………そうだね。椛さんの能力では文達の場所は分からないの?」

 

「?……今は本隊にて大天狗様と共に居る筈ですし、大天狗様達の念動力によって詳しい場所は秘匿されてしまして、唯一知る者は限られてきますね。私も居場所はお伝えされていますが、不特定多数がいるこの場所では話しませんよ。故に、今この場では申しあげることは出来ません。」

 

 

 ……なんか変だ。椛さんと交信中の文の襲撃についての会話が微妙に噛み合ってない。どういうこと?

 

 

 私が疑問に感じた瞬間、さっきまでひと言も喋ることがなかった優月ちゃんが急に緊張している様子で私達の会話に割り込んできた。

 

 

「わ、わひゃし………えっと……黒柳さんに憧れて入ってきたんです。え、えっと……わ、私と友達になってくだしゃい!!」

 

 

 す、凄い噛んだね。優月ちゃん………この若々しさがなんだか瑞々しさを感じて私が入社した時を思い出すな……うゔ……あれは緊張したな………

 

 なんだか親近感が湧くよ。それに、天狗なのにこんなに初対面で友好的とは、らしくないけど中々良いね。無知な感じも教え甲斐がありそうだ。

 

 お姉さんが色々なことを教えてあげるね?ぐふふふふ。

 

 

「うん。よろしくね。でも今は非常自体だからゆっくり話は出来ないかな〜。でも、本隊に着くまでは話そうか?」

 

 

 三ノ巡回隊が助けた優月ちゃんの家族や村の天狗達の護送や私が無力化した鴉天狗達がいるから多少スピードは落ちるので、九十九中心街にたどり着くまで速くても三十分はかかるだろう。これくらいなら多少は喋れるだろうし、三ノ巡回隊のヒト達とは沢山交流してきたからまた今度でいいよね。

 

 

「………所で優月ちゃん?いつ三ノ巡回隊に入ったの?」

 

「はいっ!私は今年から元々二十ノ巡回隊に属していましたが……隊が今回の襲撃で派遣された先程の村で全滅してしまいまして…………」

 

 

 元気そうに返事をしてくれる優月ちゃんだが、暗い顔で悲しそうに顔を下に向いて涙ぐむ。そうなんだ………二十ノ巡回隊の皆が………。

 

 

「……………無理して話さなくていいよ。優月ちゃん。」

 

 

 あの隊には何度か話したことがある知り合いがいた。元々人数は少なかった隊だ。仲が良くなってからは、良く会うたびにいい笑顔で私を迎えてお茶を出してくれた。のんびりしている人が多くてさ。偶に相談に乗ってもらってたなぁ………。

 

 けど……もう皆いないのか……。

 

 

 椛さんもその話を聞いて少しだけ暗い顔をする。何かしら思い出したんだろうか?

 

 何故、天狗達がお互いに心の距離をとるように話す理由が分かった気がする。仲が良くなったヒトが死ぬときが辛いんだ。特に狼天狗は任務で死ぬことが多いと聞いたことがある。

 

 

「……………凄く優しくて…勇敢なヒト達っした。本当にカッコよくて……グスッ……」

 

「そうだね……のんびり屋なヒトが多くてさ。人付き合いは悪かったけど面倒見がよくて。」

 

「……やっぱり知ってたんッスか?」

 

「うん。知り合いだったからね………。」

 

 

 私達の空気が暗くなるが、それでも優月ちゃんは涙を拭いながら前を向いて笑顔で向き直る。

 

 

「けど、あの人達は私に沢山のことを教えてくれたッス。だからそのことをこれから生かして頑張って見ると思いますッス。」

 

 優月ちゃんは強い子だ。椛さんもそんな優月ちゃんの姿になんだかホッとしているようだった。

 

 

「兎に角、今は生き残ることを考えよう。」

 

「はい!」「そうですね。」

 

 

 

 ―ゴホン―

 

 

 

 その時、私達の後ろから咳払いが聞こえてきて、私達は振り返る。そこには、真面目な隊長さんがこちらを見てきて、

 

 

「部隊の移動中は出来るだけ私語は控えてください。」

 

 

 と至極真っ当な注意を受けたのだった。

 

 

「「「………ハイ、すみません。」」」

 

 

 

 ― クスクス ―

 

 

 

 三ノ巡回隊の皆の控えめなクスクス笑いに私達三人は顔が赤くなったのだった。

 

 

 

 そうだ。焦ってここまで来ちゃったけど、置いていっちゃった青雅さん達はどうしてるだろうか?やっぱりあの人達とも合流しておいたほうがいいよね。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 敵の攻勢の第二波が始まって、再び戦場が騒がしくなってきた頃、私達はやっと天狗の里の中心街にたどり着くことが出来た。

 

 

 因みに捕虜となっていた敵方の鴉天狗は門番の隊のヒト達に預けておいた。

 

 今は前線を支えているのは編成を終えた本隊達で、一次的に三ノ巡回隊は解散して休憩をとっている。

 

 なので、私と椛さん。そして優月ちゃんは『千里を見通す程度の能力』をしている椛さんの案内で文達がいるだろう場所へと向かっている最中だ。

 

 

 

 椛さん。結構龍さんから信頼されているようで重要人物である文やはたての現在位置を唯一知っている従者らしいのだ。

 

 

「良かった………ここはまだ戦火に包まれてないんだ。」

 

 

 周りで忙しなく戦の準備を心配そうにしている避難してきた者や非戦闘員が跋扈している、起伏のある山道沿いに幾つもの鴉天狗用の木造空中建築の住居や白狼天狗用の幾つにも掘られた数十メートルはある大きな洞窟の中にある木造の平小屋が立ち並んでいる中心街を見渡しながら、私は一安心するように口を開らいた。

 

 でも、いつもはのどかな風景はなく、そこには緊張感のある天狗達の表情ばかりで落ち着かない。それが非日常感を感じさせてきて今が戦火であるということを実感させた。

 

 私のその不安感を感じとったのか椛ちゃんは私を安心させるように軽く説明してくれる。本当に気遣いのできるヒトだ。

 

 

「ここは私達にとっての最後の砦です。だからこそ、大天狗様達が強力な念動力で敵の遠距離からの攻撃を食い止めているんです。そのおかげで今でもここは無傷なんです。」

 

「成る程ね………だから大天狗達は前線に出てこないのか…。」

 

 

 大天狗。彼らは一人一人が大妖怪と言われる程の力を持ち、強力な種族だと言われている天狗の中の一騎当千と言われている存在。

 

 噂では鴉天狗が長年生き残って、その上で修練を積んだ者にしか慣れないという狭き門を潜った者たちだ。龍さんはそこで天魔の補佐をしているんだから本当に凄いヒトなんよね。

 

 そんな存在と、なんで私は友達みたいに接してるのかは謎だ。なんとなく気が合ったのかもしれない。お互い管理職として働いている経験があるからね。まあ、私は前世だけど。

 

 

「やっぱり凄いな。龍さん達大天狗は。」

 

「いえいえ!敵の鴉天狗を無傷で制圧出来る黒柳さんも凄いっすよ!!訓練で鴉天狗のヒト達と対戦してきたので凄さが分かりますッス。」

 

「アハハハハッ、照れちゃうなぁ。そうでもないよ。私なんて卑怯な手なんか普通に使うしね〜。」

 

 

 事実、さっきの戦闘だって冷静に見れば卑怯な手ばかりだ。騙し討ちの不意打ちに目眩ましと始まって罠で一網打尽だ。てゐや影狼ちゃんの教えだから卑下するつもりはないけど、自分の力を過信したこともないからね。

 

 

 特に、守谷の神々とか、紫さんを先頭に大妖怪と沢山対峙してきたけど本当に生き残れた事自体が奇跡みたいなものだ。どれもが明らかな格上で誰かの助けや手加減無しでは太刀打ちすら出来ないんだろう。そもそも私の手足柄元々弱小妖怪の化け鴉だ。今回は相手の油断を突いた制圧戦闘だったから勝てただけでまともにぶつかればやられてたのはこっちだったんだ。

 

 

 と、まあネガティブな考えはそこまでにして、こんな可愛い後輩色溢れる狼天狗の少女に褒められるのはやぶさかじゃないなぁ〜。グヘヘヘへへ。

 

 

「そんなことありませんよ!どんな手を使っても勝とうとする心意気とそれを実行する為の手腕。まるで私達小妖怪の狼天狗にとっての見本。正直かっこいいッスよ!!」

 

「エヘヘへへ〜♪そう言ってもらえると私としても嬉しいなぁ。」

 

 

 なんだか照れくさいなぁ。結局どれも私だけの力じゃないから、私に色々と教えてくれた龍さんや影狼ちゃん、今ここにいる椛さん。そしててゐ達の力を褒められてるみたいで凄く嬉しい。

 

 

「飛燕様…………鼻の下が伸びてますよ?」

 

 

 椛ちゃんがジト目で私を見てくるが、それでも優月ちゃんが可愛いのは変わらないので緩んだ頬は締まらなかった。

 

 

「ごめんね〜。椛さん。私さ。結構、褒められ慣れてなくてね。エへへへへへ。」

 

「なら、私が皆の代わりに沢山褒めてあげますよ!!黒柳さん!!」

 

 

 そう言って、私の腕を組んできて笑いかけてくる優月ちゃん。その可愛らしい胸を当てているのがわざとなら今夜でも襲っちゃうぞぅ?

 

 

 …………うゔう。ごめんて椛さん。ちゃんと椛さんのことも可愛がるからさ。 

 

 なんで今度はため息をするのさ。おかしいことを言ってないじゃん。いや、今度は肩を落とさないでよ。それに耳や尻尾まで…………。いや、本当にごめんって!!

 

 

「ゴホンッ。椛さんや龍さん達の力添えあってだよ。私の努力は否定しないけど教えてくれるヒト達あってだから私だけの力しゃないよ。」

 

「そうなんですか〜?なんだか謙虚なんてすね?」

 

「まあねぇ〜。私は元々弱い種族だから。誰かに頼らないと生きていけないからなぁ〜。」

 

「えっ?黒柳さんって昔は弱かったんですか?椛先輩?」

 

「そうです。昔は本当にどこにでもいるただの化け鴉で……本当に弱いヒトでした。しかし、そんな弱さを持ちながらも強くあろうとする強い心の芯を持った強い御方ですよ。飛燕様は。」

 

「う〜〜ん?黒柳さんは弱くて強いんですか?う〜ん?私達よりも強い鴉天狗の部隊を制圧していた黒柳さんを見ているので、なんだか変な気分ですね〜?」

 

 

 まあね……私が生れてから直ぐの頃は本当に弱かったんだって思う。少しでも成長できたからこそ。そして、沢山の優しい妖怪や神様とかと対峙してこなかったら自覚すらできずに野垂れ死んでたかもしれない。

 

「ふふっそうですね。でも弱かったのは本当です。でも、………その飛燕様の芯の強さが文様のことを………いえ、これ以上は文様本人にお聞きしてください。」

 

「えっ!?そこで辞めるんですか?文様の秘密も聞きたいっスよ〜!!」

 

「ふふふ。私からこれはお話することではありませんよ。

 ただ、誰しも弱さはあります。最初は誰だって弱いものです。だから貴方も、亡くなってしまった二十ノ巡回隊の皆さんの分も強く成るんです。」

 

「ッ!……ハイっ!!」

 

 

 なんか椛さん。凄く先輩風を吹かせるな………。やっぱり自分を慕ってくれる後輩ができたからなのかな?

 

 

 

 そんなことを話している内に、どうやら文達の所についているようで、椛さんが能力を解いて立ち止まった。

 

 

 そして、いつの間にか現れた明らかに高尚な服装をした白装飾の天狗達が私達の首筋にいつの間にか短刀を当てていた。

 

 天魔の屋敷を中心に警備しており、天魔の護衛を行なっている一ノ守備隊である。

 

 

 彼らは最精鋭と言われており、複数人いれば大天狗の一角を落とせると言われている程の屈強な天狗達である。この部隊は数多ある天狗の隊の中では異色の部隊で本来上下関係の厳しい鴉天狗と狼天狗関係なく、強き者が選抜されて入隊できる近衛のような存在だ。それに白装束。これは返り血すらも浴びないほどの自身の現れを示しているようで、『白色の死神隊』という二つ名を得ているほどだ。

 

 故に、この隊あるところに近くに天魔ありと言われている。天魔様には私は一度くらいしか会ったこともないけどまあ、うん。凄く親バカなヒトだったけど。兎に角、天狗社会のトップの彼女を守る彼等彼女等である。それほどの精鋭が私の探索に殆ど引っかからないでここまで接近してきたんだ。

 

 

 それだけで実力は分かる。強い。この人達。

 

 

 そして、隊長格と思われる私達の目の前に立っていた白装飾の天狗が声をかけてきた。

 

 

「これより先は天魔様や大天狗様、そしてその家族や親族がお褪せられる。念の為に所属と目的を言え。さもなければお前達の命はない。」

 

 

 私の隣で優月ちゃんが震えているのを横目に椛ちゃんが努めて冷静に答えた。

 

 

「護衛の任務の遂行の含まれる、文様とはたて様の安全確認の為。そして、ご帰還なされた隣いらっしゃります黒柳飛燕様と大天狗であられる飯綱丸様との謁見です。」

 

「……………そうか。今しがた、飯綱丸様との事実確認が終わった。陣内の入室を許可する。」

 

 

 ふぅ………。相変わらず緊張するなこの人達の周りは。

 

 

 

 いつもの雰囲気が重いけど、今日は更に増して重い………。

 

 

 

 兎に角、文達の無事を確かめないと。

 

 

 

 この時、文の無事のことばかりを考えていて余裕のなかった私は気が付かなかった。あの交信の中の文の正体が誰なのかなんて。

 

 

 

 






 ふぅ……は、話が進まない!!
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