化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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 やっぱり戦闘回は話が進みにくいですよね〜。場面転換が、多いと特に。





47羽:「「『八大天狗異変』⑧」〜破〜

 

 

 

 

 文や飛燕達が、目標の敵へと突き進んでいる中、青雅達はいそいそと茂み移しであの大百足の所へと進んでいた。

 

 常闇の妖怪は闇に乗じて影伝いに進んで、その後ろを邪仙と動く死体がフワフワと道術で浮きながら茂みに穴を開け閉じしながら隙抜けるように進んでいく。

 

 

「せいがぁ〜?私達はいったい何処に向かっているんだ〜?」

 

「うふふふふ♪芳香ちゃん。それはね。冬眠明けでまだ寝ぼけている可愛い可愛い百足さんの目を覚ましに行くのよ。」

 

「へえ〜?それは楽しそうだぞ〜!!」

 

「私がするというよりも、ルーミアちゃんがやりますわね。ね?ルーミアさん?」

 

「任せるのだ〜!けど、こんな大妖怪をあんな戦場に誘導して大丈夫なのか〜?最初は賛成したけどなんだかお姉さんが困りそうな気がするなぁ〜?」

 

「大丈夫よ。ルーミアちゃん。上手く行けば飛燕さんもきっと喜びますわ。それよりも既にもうカオスなんだからこれくらいどうってことありませんわ。だって作者が苦労するだけですもの。私達はそんなことしったことではありませんもの。」

 

「そーなのか〜?」

 

「あら?今日のタスクが完了しましたわね。」

 

 

 ふざけた軽口?いや、第三の壁を通り抜けるような会話をしながら、小山を簀巻きにするように寝ぼけている大百足の胴元へとたどり着いた青雅達は、フワリと着地して、クスクスと笑い合った。

 

 

「さて、これからがショウタイムですわね。ルーミアさん。よろしくお願いしますわ。」

 

「分かったのだ〜!!」

 

 

 元気な声を上げたルーミアが目を閉じると、常闇の妖怪に潜んでいた闇が具現化していき広がっていく。また常闇の妖怪の周りの空気が少しずつ重苦しくそして暗くなっていき、それと同時に身体が大きくなり、成人女性くらいの大きさになる。

 

 青雅はその姿を見て、奈良の境で初めて対面した時を思い出して腕がゾワゾワと鳥肌になってしまい、無意識に宮古芳香の手を汗ばんだ手で握ってしまっていた。

 

 

「せいがぁ〜?怖いのか?」

 

 青雅が声の主に振り向くと、そこには心配そうな目で青雅を見つめる芳香。顔を相変わらず無表情だがそのブルートーンの目だけで青雅は芳香の感情が読み取れていた。

 

 

「いえ。大丈夫ですわよ芳香ちゃん。少しだけ緊張しているだけですわ。」

 

「ふっ安心しろ邪仙。今更お前等を食い殺そうとは思っていない。なんせ今の私は腹が満たされているからな。」

 

 

 青雅達の方を振り向かずに、身体中に溢れる闇を纏いながらいつもよりも成人した太めな声をだす常闇の妖怪。横顔は暗闇に包まれていてよく見えなかった。

 

 

「あら?私達は極上のデザートですわよ?」

 

「なんだ?意外と余裕があるな?…………ほう、確かにお前等の闇は深くねちっこい。本当にデザートならイケるかもしれないな。」

 

「辞めてくださいまし。食べられるのは良いですけど、ベットの上での方を所望しますわ。」

 

「アッハッハッハッ!!既に私の獲物を食らっているだろうに。捕食側のお前が言うか?面白い。…………どうやらいつの間にか緊張は解けたようだな?」

 

「………感謝しますわ。常闇の妖怪。」

 

「ふふふ………私もこの数カ月近くで丸くなったものだ………さて、この食いでがなさそうなデカブツの寝惚けた顔を覚まさしてやろう。協力してやる。だから感謝しろよ?『お姉さん』。」

 

 

 恐らくあの化け鴉へと向けられた独り言を零した常闇の妖怪はその両腕に溜め込んでいた闇をぐっすりと眠っている大百足へ放った。

 

 

「なあ、お前の闇はどんな味だ?」

 

 

    ―『闇喰い』―

 

 

 常闇の妖怪が放った闇の塊が鋭い牙のある大口を開いて、大百足の身体の胴体に喰らいついて引き千切った。

 

 

 ― バリバリ ―

 

 

「ギシャア〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 

 いきなり発生した激痛に大百足が巨体を蠢かせながら叫び散らかす。傷はあふれ出る妖力と魔力で直ぐに回復していくが傷が深いようで痛みが続く。

 

 そして、直ぐ様大百足は自分の睡眠を邪魔した不届き者を探したがその獲物は以外にも速く見つかった。何故なら鳴き叫ぶ大百足のすぐ目の前で3名の本人が宙に浮いていたからだ。

 

 子供の姿に戻っていた闇の妖怪に、邪悪な気配を感じる人間に、甘い香りで誤魔化された死臭のする人ではない何か。それもどれも非常に悪い起床をさせられた大百足を苛立たせる。

 

 そんな大百足をほっとくように、少女達は呑気に普段通りに話を続けていく。いつも捕食者である大百足の前にいる哀れで貧弱な獲物のようには見えない程の余裕を見せて。

 

 

「うふふ♪これは激怒ですわね〜?ねぇ〜?今〜どんな気持ちでしょうか〜?大百足さ〜〜ん?うふふふふ♪」

 

「味はどんな感じなんだ?ルーミア〜?」

 

「うぇ〜……この大百足の闇は美味しくないのだ〜。まるでネバネバとしたような色々な闇の味がする〜。………正直味は激物なのだ〜。」

 

「そんなに不味いのか?う〜ん?………やっぱり食べるのは辞めた方がいいんじゃないのかな、せいがぁ〜?」

 

「芳香ちゃん。好き嫌いはダメよ。」

 

「分かったぞ〜せいがぁ〜〜!」

 

 

 そんな舐め腐った態度を見せてくる彼女達に思わず反射的に怒りの炎を燃やすように叫びをあげる大百足。

 対して、その犯人達は小馬鹿にするように笑いながら逃げ出していく。

 

 

「ギシャア〜〜〜〜!!」

 

「アハハハハッ!久々の鬼ごっこですわ♪さて逃げましょうか?芳香ちゃん、ルーミアちゃん?」

 

「お〜〜!逃げるぞ〜!!」

 

「逃げるのだ〜!!」

 

 

「ギシャア〜〜〜!!」

 

 

 彼女達は後ろに続く災害のような悍ましい大妖怪を連れて、少し遠くにある妖怪の山へと宙に浮いて目指していった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 味方の増援が来たこともあって幾分か戦いやすくなった。お陰で敵の増援を蹴散らして、第2陣へと突き進むことが出来た私達は、敵の抵抗に遭いながらも少しずつ仲間の天狗と協力して敵の大将達の一人がいるだろう本陣へと向かってと突き進んでいた。

 けど、まだまだ先だ第2陣第3陣と敵の守りは硬い。けど、そんなことで弱音を吐く気はない。

 何故なら、私達疾風義勇隊の後方には追撃してくる敵勢を足止めするために本隊所属の天狗の皆が戦ってくれているのだ。

 数も戦力も敵より圧倒的に劣る劣勢の筈なのに、皆よく戦ってくれている。

 

 文の即興の演説だけでなく、遅れてやってきた味方の増援が来たことも士気が上昇したことも誘因なのかもしれない。

 

 

 そして、私達が進んでいる前方には私達を迎え討とう此方に向かっているのは私達『疾風義勇隊』の数の数倍以上はいるだろう敵の手勢。その手勢が私達との接敵に備えて、諏訪大戦の神奈子さん達の兵士のようにどっしりとした盾を構えていた。

 

 空からは空を飛ぶ妖怪の群を率いている鴉天狗達。陸からは畜生妖怪を引き連れながら進んでくる狼天狗。私達の前から来ている動いている存在は全て敵だった。

 

 

「鴉天狗は私と黒柳飛燕について来なさい。密集陣形を維持しなさいよ!!防御の神通力は怠らないように!!先頭の突破口は私と飛燕が引き受ける。忘れないで。私達の目的は敵陣を乱しながら兎に角進むことよ。最終目標は目指すは敵の大将の首!!」 

 

「「はっ!」」

 

「三ノ巡回隊の皆さん!位の低い私犬走椛が指揮を執ることをお許しください。白狼天狗は三ノ巡回隊を先頭に三人組の流動の型で陣形を組み直してください!!

 そして、相手の接敵を出来るだけ交わしてください。鴉天狗達の下で動けば空からの攻撃を最小限に減らせます!!決して三人組を解かずに進み続けるように!!」

 

「「了解!」」

 

 

 文と椛の指示に顔馴染みばかりの天狗達が一つになって陣形を組み直していく。一人一人が違う部隊のでばかりなのに誰一人ミスなく陣形を整えていった。

 そして、敵と接敵する十数秒前、文は扇に妖力を溜め込みながら口を開いた。

 

 

「飛燕!私に合わせなさい!」

 

「オッケー!!」

 

 

 それだけで私は反射的に動き出す。両手に能力で空気を圧縮して、敵陣へと向ける。初めて私が作った技の癖に使い勝手が一番良くて結局一番多用している懐かしい技。破壊力だけなら一番の最初の『私らしく力強くありたい』というイメージを込めて作った私の原初の技。

 

 多くの思いを込めて私は能力から圧縮していた空気を解放して『飛ばす』。文もコンマゼロ秒を違わず同時に初めて私と戦った時のようなあの綺麗だったあの圧倒的な弾幕を放った。

 

 

 ― 爆風『アストマティックバースト』 ―

 

 ― 風符『風神一扇』 ―

 

 

 私の大技に文の綺麗で隙間ない弾幕が絡まりあって広範囲の殲滅技となって正面の敵陣を焼き払い一瞬で蒸発させた。

 

 敵に動揺が走るがそれでも敵はうじゃうじゃといる。めげずに突撃をしてくる。それに合わせて陣を組んでいた疾風義勇隊がの鴉天狗と狼天狗達が交戦し始めた。流れるように敵を受け流しながら進むが敵の物量にあっという間に押し戻されてしまった。

 

 

「くっ!?やっぱり敵の数が多い!!それに敵の天狗の密度が段々高くなってるよ!!」

 

「逆に喜びなさい!!敵の本陣に段々近づいてきてるのよ!!」

 

 

「そのポジティブさは私も欲しいね!!誰に似たのかな?」

 

「さぁ?誰かしら?はたてかしら?」

 

 

 私達はお互いの背中を守りながら音速と言えるような攻防を鴉天狗の部隊と繰り広げていく。

 

 文は扇で作り出した敵を斬り刻むほどの激しい閃風を巻き起こしてその風よりも早いスピードで閃風の合間を縫って敵に接近し、一瞬で数名の鴉天狗を撃墜する。

 

 その傍らで私は黒妖と白幻で鴉天狗の羽を撃ち抜いて地面へと落とし、文に近づこうとする妖怪の群れの一匹一匹を眉間を撃ち抜いて撃退すし、文が前方の敵陣を突破するのに集中出来る為に露払いをこなしていく。

 

 

 私の腕に生えている紺色の翼と文の黒色の翼が交差して敵を次々と倒す。

 

 

 それはある意味文とサポートに回る私の無双状態だった。

 

 

 味方は私達の姿に士気を燃やし、敵方はその力に恐れをなした。その姿はまさに風神少女。まさに進む所敵無しだった。

 

 

 

「けど、一行に敵が減らないね?」

 

「あんたの援軍は?飛燕。」

 

「そろそろ来るはずだけど―」

 

 

 

 

 ― ギシャァァァァァ〜〜〜〜!!!! ―

 

 

 

 

 その時、中国で聞いたことのある嫌な思い出のある鳴き声が戦場に響き渡った。

 

 

 それと同時に、楽しそうに汗を流しながら共に旅をしてきた仲間達が乱入してくきた。

 

 

 

「あはーーー!!!」

 

「うふふふふふふ♪」

 

「うぉ〜〜〜〜!?」

 

 

 そう。青雅さん達だ。そして、その背後には見覚えのある大百足が青雅さん達を追って群れの畜生妖怪を次々と踏み潰しながらこちらに進んできていた。

 

 

 

(ってちょっとーーーー!!?なんであんなデカブツ持ち込んできてんのーー!?青雅さ〜〜〜ん!!!)

 

 

 私は急いで自分の思考を青雅さん達に飛ばすと、直ぐに楽しそうな青雅さん達の思考が帰ってくる。

 

 

(うふふふ♪取り敢えず連れてきましたの飛燕さん。これで敵の戦線を突破するのにいい囮になるでしょうし〜!!)

 

(アハハハ〜〜!!楽しいのだ〜〜〜〜!!!)

 

 

(それはないでしょ〜〜!というかこっちに来るな〜〜!!)

 

(え?なんて?キコエマセンワー。)

 

(キコエマナイノダー!)

 

(ん?ナンノコトナンダ?ひえん〜?)

 

 

(なんで都合が悪い時は聞こえないんだよ〜!!)

 

 

 

 ― ギシャァァァァァ〜〜〜 ―

 

 

 

 ほら見ろ。青雅さん達が大百足に何したか分からないけど激怒じゃん。凄い金切声をあげてるよ。これ絶対青雅さん達意外は目に入ってないよ!!

 

 

 

「何あれ?ムカデ?」

 

「えっとね、文。あれは多分中国で追いかけ回された大百足だよ。なんでここにいるんだろう?」

 

「さあ?ムカデの妖怪は恨みを忘れないんじゃないかしら?」

 

「だとしたら、私もヤバいじゃん。というかどんだけだよ。あの巨大じゃ海も渡れなそうだし、中国から日本海まで地面を掘ってきたってわけ?それ結構恨まれてない?襲われたから目も無いのに目潰しして逃げてきただけじゃん?恨まれすぎじゃない?」

 

 

(飛燕さ〜〜ん!!取り敢えずこの大百足、押し付けますわ〜〜!!!)

 

 

(イヤッ!今はマジで辞めてーー!!)

 

 

 三ノ巡回隊を中心とした疾風義勇隊が驚いてるじゃん。というかこのままあの大百足がきたらマジで部隊壊滅するじゃん。どうにかしないと!!

 

 

 今でも敵陣を食い荒らしながら青雅さん達を追いかけている。今のところ敵に甚大な被害を加えているけど、こっちにあの大百足が来たらこちらもそうなるのは目に見えてる。

 

 

 青雅さん達!!マジで何してんの!?

 

 

 

「はたて!」 

 

 

 ―シュタ―

 

 

「どうしたのあやぁ?」

 

 

 うわっ!?はたてどこから来たの?さっきから速すぎない?

 

 

 ビクリと飛び跳ねる私を横目にはたては文の隣に立って、向き直った。

 

 

「龍様は今どこに?」

 

「お母さんは、士気を天魔様に代わってもらって、今こっちに向かってる所。私の鴉が誘導してるから直ぐに来ると思うわ。」

 

「そう。分かった。はたて、三ノ巡回隊、椛、優月、はたて。あんたらは少しの間、露払いよろしく。」

 

「うん。」「「了」」「畏まりました。」「了解。」「は、ハイっす!」

 

 

 

「疾風義勇隊!静止ー!!」

 

 はたてや椛達を中心とした三ノ巡回隊が迫りくる敵を追い払っている間に、文は私の隣で空中で立ち止まり、文にの号令に続いて止まった義勇隊の方を振り向く。

 

 

「疾風義勇隊!!あんたらはあの大百足を無視しなさい。このまま敵の本陣へと突入するわ!!今は私達を信じなさい!!疾風義勇隊!!突撃ー!!」

 

 

「「ウォォォォォ〜!!!」」

 

 

 

 文の号令に合わせて疾風義勇隊全員が再び前進しだした。三ノ巡回隊やはたて達も文に続いて迫りくる敵を倒していく。

 

 

 えっ?文マジで?右前からこっちに来てんだよ?大百足?

 

 

 私が契約を通して驚愕の感情を飛ばすと敵の鴉天狗を蹴り飛ばしている文から返事が帰ってくる。

 

 

 飛燕!後ろの方を探索で探ってみなさい。

 

 

 え?

 

 

 私は文の言う通りに、微力電波を『飛ばして』探索する。すると、そこには………高速でこちらに向かってくる存在が一人。

 

 龍さんか。凄まじい量の妖力を纏いながらこちらに向かってきている。

 

 

 私は納得して文に並び立って、道を切り開きながら進むことにした。

 

 

 

 ― ギシャァァァァァ〜〜〜〜 ―

 

 

 

 そして、私達と大百足が激突する寸前。青雅さん達と顔を突き合わせた瞬間、

 

 

 

 高速のまま現れた龍さんがその協力な妖力を身に纏った爪を繰り出して大百足の進行方向の真逆へと吹き飛ばした。

 

 

 

― ダダーーーーーーーン ―

 

 

 

 私達の目の前で吹き飛ばされた大百足の巨体が地面を転がって、大きな土埃が立ち昇った。

 

 その土埃の中に浮いている黒い影のシルエットは私達に近づいてきて土埃をから出てくる。

 

 

「お前ら……本当に馬鹿者共め!!」

 

 

 そう言いながら、はたてや文、椛、そして私を抱き寄せてくる。そんな龍さんの身体は震えていた。

 

 

「迷惑ばかりかけるな。少しは私や天魔様の心配を分かってくれ。」

 

 

 そう言いながら私達を抱きしめていた腕を解いてくる龍さん。

 

 

「……………お母さん。」

 

 

 しかし、その龍さんの顔は怒っているのか悲しんでいるのか困惑しているのか、もしくはそれのすべてに該当しているような表情をしていた。

 

 

 

「…………それで、文。お前が主犯格なんだな?」

 

「そうです。龍様。私は止まりませんよ?喩え龍様が相手でも。私は前に進みます。」

 

 

「………………本当にそうなのか?今すぐ私はお前たちを反逆罪で殺してもいいんだぞ?今止まれば命令無視で処罰されるだけだ。それでもか?」

 

「…………はい。」

 

 

 その言葉を聞いて龍さんは文の覚悟を試すかのように文に向って妖力を解放して睨見つける。文もそれに倣って龍さんを睨み返した。

 

 双方は無言で睨み合う。文の方が妖力は少ないがそれでも膨大な力の妖力がぶつかり合って私達に圧をかけてくる。少なからず周りにいた敵の妖怪達もそれに動けていない程だった。

 

 

 頭のそこまで良くない私ではこの2人の少ない問答に込められた意味を推し量ることは出来ないがそれでもアイコンタクトのように神通力による念話で高速に会話が行われているようだった。

 

 

 ― ギシャァァァァァ ―

 

 

 その時、大百足が龍さんの山を砕くような一撃を食らったのに無尽蔵の魔力で身体を回復させて立ち上がって私達を睨見つけだす。その目は純粋な戦闘心。

 

 

 その大百足のせいなのか、根負けしたのは龍さんだった。龍さんは文を睨んでいた瞼を緩めて溜息を吐いて朗らかな笑顔で文を微笑んだ。

 

 

 

「はぁ〜〜。文。本当にそれでいいのか?天魔様との縁を切ることになるんだ。二度と母親と会えるかも分からない地位になるのだ。それでもいいのか?」

 

「龍様。私は『ただの鴉天狗』です。それ以上もそれ以下でもありません。」

 

「そうか…………相わかった。但し、この戦。ちゃんと手柄をあげてそして、生きて帰ってこい。そうでもしないと天魔様がまた駄々をこね始める。」

 

「はっ!」

 

 

 

 今の最後の言葉の問答で文が何を言いたいのか分かった気がした。文………もしかして、ただの鴉天狗になる気なの?

 

 

 それは、文が天魔様の娘という身分を捨てることを意味していた。

 

 

 

「はたて。お前は文と同じく頭は言い。この先のお前の立ち場がどうなるか分かってるだろう。お前も覚悟は出来てるのか?」

 

「うん。………龍様。私は文についていくよ。今、保身の為に友達を見捨てたくない。それが喩え愚かでも私にとっては大事なことだから。でも、お母さんはお母さんだよ。それは変わらない。」

 

「そうか。私ならお前が望むなら少なくともお前地位だけは守れたんだがな。………そうか、これが独り立ちか。なんだか寂しいな。」

 

 

 そんなことを言いながら龍さんの顔は晴れやかだった。娘の独り立ちがそれほど嬉しいのかもしれない。同時に少しだけ寂しそうだったが。

 

 

「椛。お前も必然的に従者の任は取り外され、原隊に戻させられることになる。」

 

「…………文様が望むなら。私はそれについていくまで。それが従者としての務めです。」

 

 

「そうか。早朝の稽古は引き続きこい。三ノ巡回隊もだ。」

 

「「「はっ!」」」

 

 

 最後に私を見て、龍さん相変わらず真っ直ぐとした誠実な態度で私を見据える。

 

 

 

「化けガラス殿。こんな困った娘達だが、私の代わりにブレーキ役。世話を任せたぞ?」

 

「うん。任されたよ。龍さん。」

 

 

「そうか。なら、行け。私はこのデカブツを片付けなければいけないからな。」(あと、化けガラス殿。忙しい時は文達の近況報告は任せたぞ?)

 

 

 

 そう言って、龍さんは向ってきていた大百足へと飛び出していった。最後のはどう見ても親心からくる念話だった。それだけで私は龍さんの複雑な心の中を知った気がした。

 

 

 それを文も『風』で読み取ったのか、少しだけ名残惜しそうに龍さんの背中を見ていた。そんな文の感情は少しの『迷い』と龍さんを裏切るような形をとってしまった『後悔』。けど、それを上回るような『覚悟』。それが、ぐるぐると文の感情を回していた。

 

 それを感じ取った私は、文の背中を一押しするために文の手をとる。

 

 

 

「……文。行こう?ちゃんと最後までやり遂げよう。文には私達がいるんだから。」

 

 

「そうね……………疾風義勇隊!行くわよ!!前進!!」

 

 

 

 文は振り返らなかった。それだけで今の地位を捨てるのに戸惑いがないことを。先程の名残惜しそうな表情を一切見せようとしないで。

 

 

 もしかしたら、文はこの為にこんな暴挙に出たのかもしれない。もしかしたら、他にも理由もあるかもしれない。

 

 

 でも、それが文の選択なら私は否定しない。『私は貴方、貴方は私。』文が文の道を進むなら私は私の意思で文についていくのみだ。

 

 

 

 

 

 




 

 今回は文とはたての独り立ちする訳のお話でした。これで原作までの流れへと話を進める訳ですね。

 でも、説明不足なんで、次回で出てくる。龍さん視点で説明しておこうと思ってます。思春期の文様の複雑な心情を読み取るには1羽では足りさそうです。



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