作者「今回はオレっ子が変態を覚醒させる話(?)ですが、本当にこれがほぼ公式の変態戦闘ジャンキーキャラなんですか?」
公式のアンサー「はい。」
作者「え、え〜〜〜〜………………マジカ…………女オリ主とほど同類の変態キャラとかいたんだ………二次創作だけどここ。」
姫虫百々夜(ひめむしももよ)は感情の絶好期と呼べる場所にいた。
初めは、妖力と魔力が漲る時代になり、冬眠から目覚めた時だった。
数匹の餌がいた。
古来から生きる大百足の彼女にとっては、そいつらはただの飯だ。震えて自分の腹の足しになるための存在でしかない。
普段なら自分の纏う魔力と妖力に怯えてしまい、逃げることなどできないで口の中に入る筈だった。
だが、その餌はあろうことか逃げ出した。
彼女はその新鮮さに胸を打たれて駆け出した。
食べる?いや毒で弱める?いたぶるか?殺すか?踏みつぶすか?このあとどうする?
初めての獲物の逃げる姿。いつもとは違った己を貶すその無謀さ。気持ち悪いと言われたのは傷ついたがそれも含むて初めてのことで、己の興奮は冷めない。寧ろ燃え上がった。
初めて見る獲物達は、あろうことか交渉してくる。まるで対等なのかというように。
やがて、獲物達は自分の目を強い光のようなモノで潰してこちらの足止めさせ、ものの見事に逃げ出した。
悔しかった。初めて狙った獲物をオレは逃がしたのだ。この大妖怪である大百足のオレが。
その後は、奴等の匂いを追って大陸中の過去に掘った地下を通じてあの獲物達を探した。
途中で自分の縄張りに巣を作っていた妙にデカく妙に多い邪魔な蟻の妖怪をいくらか食い散らかしながら辿った。ついでに途中で見つけた鉱物を食べて栄養補給をしながら活動し続けた。
だが、見つからなかった。
既に大陸から離れていたのか匂いは海を挟んで小さな島へと漂っているか、一匹だけ逸れている西の大陸へ移動している餌へと分かれていた。
彼女は迷った。どちらに向かうのか。
どちらも惜しいが…………。
迷った結果、東の大きな島の方へと海の下の硬い地面を食べ進めながら縄張りを増やすことにし、数が多いほうの獲物達の匂いを辿ることにした。
途中で、間違って海中に出てしまった時に出会った妙に強い船幽霊と戦ったりしたりと色々あって時間がかかったが、たった半年間であの獲物達がいるだろう島へと辿りついた。
その後は速かった。匂いを辿りながら数日かけて妙に妖怪が多い所の地下へと辿りついたオレは地面から飛びだした。
久し振りに地表だ。目は悪くて分からないが太陽の光がオレを迎えてくれる。
だが長期間の旅路に疲れたオレは一眠りしようと考え、居眠りをしていた。
丁度この時、獲物の内の二匹がここにいることに気が付かずに。
そして、オレは起こされた。生意気にも妖力と魔力を合わせてもほぼ同じかそれ以上の存在に。そして、傍らにいた獲物達の内の二匹と、同じ匂いのする奴が私を馬鹿にするようにノロノロと逃げ回った。
その後は怒り狂っていて覚えていない。そのまま夢中でそいつらを追いかけていると、今度はよくわからない有象無象の大群とと戦う羽目になり、やっとの思いで追い払いながらその3匹を追いかけていると2度目の激痛が走った。
大百足であるオレに危害を与える存在にこの短い期間で複数人いるのか?
だか、それが面白かった。カラダに数え切れない程の数のヒビが入っては消え入っては消えて、それらが感じたこともない激痛をもたらしていた。 しかし、オレは気にする暇などなく新しい刺激の数々に夢中になっていた。
魔力で自分の身体を直す間、弱ったと思ったのか有象無象がかかってきたが治る頃には全て潰すか栄養に変えてやった。もしくは恐れをなして逃げ出した奴等が大半だったが。
そして、オレの前に残ったのは先程私に傷をつけた奴と、獲物二匹と私の眠りを妨げたオレと同じ匂いのするやつ。
そいつらがかかってきた。
一人一人がオレと同レベルの強さだった。
他の有象無象とは違う見えない程の高速で動き回る青い奴はオレの装甲の外骨格を容易く傷つけ、黒い服の奴はオレに致命傷を何度も負わせてくる。全て回復しきってやったが。
獲物二匹は個々の力は私よりも弱いが変な術と怪力でオレに攻撃してきて苛立たせてくるが、怒りに任せたオレの反撃も全て避けられてしまう。
全てこの巨体によって重い身体のせいで攻撃が全く当たらない。
だか、自分と戦える存在がいることに興奮した。
それはもう、餌達から逃げられた時から燻ってきたこのモヤモヤを発散出来るほどに。
あぁ…………最高だ。
だか、物足りない。巨体故か、大きさが合わない。これではまともに戦っているとは言いようがない。
…………戦う?
胸がストンとした気分だった。
そうか………オレはこれを求めてたのか?
その時、冬眠から目覚めて、その後は次の冬眠までの間は食べて腹を満たすという、それだけを繰り返してきた姫虫百々世の燻ってきた退屈感と虚無感の心に光が差した。
戦いたい!!オレは戦いたいんだ!!!どんな奴でもいい!!格下でもいい!!自分に及ぶ奴ならどんな奴とも戦いたい!!
だか、今はこれが本当の戦いとは言えない。そう、今はこの巨体が邪魔だ。だから代わりに同じ大きさと速さが欲しい。
どうする?オレ。だけど、オレは昔から考えるのは苦手だ。
初めて喰らっていく一つ一つの新鮮な痛みの数々に快感を覚えながら彼女は足りない頭で考えていく。
そして、姫虫百々夜は思いついた。
そうじゃん。オレ。小さくなりゃあいいじゃん。ピコーン
* * *
決闘に残った椛ちゃんやはたて達の部隊を背後に私達に戦場を突き進み、なんとか敵の猛攻を凌いで突破することが出来た。 その頃になると、気がつけば陣内の前へと辿り着く頃には気がつけば私と文の周りには三ノ巡回隊以外の仲間達はいなくなっていた。
「ハァハァ……………ふぅ……あれ?皆は?」
敵の猛攻を振り払うのに夢中で分からなかった。まさか……皆死んでないよね?だよね?
「彼らは私達が陣内へと安心して進めるように敵の追撃部隊を迎え撃っております。黒柳様。今は前を向いて集中してくださいまし。」
不安そうに私がそう呟くと、三ノ巡回隊の隊長さんがそんな私の不安を匂いで嗅ぎ取ったのか、ニコリと私を安心するように優しく答えくれた。いつも私が訪問するときは不機嫌な顔で対応してくるのに、今は優しく語りかけてくれる。その表情は凄く珍しく感じた気がした。
「飛燕。そこの隊長の言う通りよ。今は戦いに集中しなさい。」
「………うん。」
そして、再び緊張感に包まれた私達は、幕を突き破るように陣内へ侵入した。
― バッ ―
陣内のなかには不自然なほどに霧が立ち込んでおり、陣内を進め私達に肌寒さを感じさせてくる。……………油断するな飛燕。ここからは敵の本丸だ。そして敵のテリトリーでもあんだ。
内心でそう意気込む私と文と三ノ巡回隊の皆がそれぞれが武器を静かに構えてこの妙に静かな陣内へと進んでいく。
そして……私達は気がつけば明らかに不自然に感じる静寂が空間を漂っており、ここだけ戦ではないかと思わせるような不思議な空間へといざなわれていた。
霧が漂う屋敷のような空間に青い炎がフヨフヨと廊下や仲庭などに漂って移動している。けど、その青い炎は偽物のよつで実際に燃えるときに鳴るようなパチパチ音は聞こえてこない。
これは…………妖術の火?だけど、青色の火なんて見たことがない。普通は、赤色なのに。
罠かと思って試しに少し近づいてみてもその炎に熱はない。逆にその炎の周りはひどく冷たくて触っている指から少しずつ体温を吸われてしまうのに気がついた。それと同時に青い炎の勢いが増して大きくなったので、私が慌てて指を青い炎から指を離すとと、青い炎はだんだんと元の大きさに戻っていく。
………………やっぱりここは敵の術の中。それも、この広い全ての空間を埋め尽くすほどの術が張り巡らされている。
「飛燕。ここからは敵の懐の中よ。私の念動力で防御出来るようにしたからあんたは引き続き探索を頼むわよ?」
「う、うん…………。」
この不思議な空間に夢中になって探索の能力を使うのを忘れていたとは文には……い、言えない…………。
「………………飛燕?貴方疲れてるの?」
「い、今すぐやるよ……アハハハ…………。」
やっぱり文にはお見通しのようだ。少し疲れてるみたい。けど、今はそんなこといちいち言ってられない。と、兎に角。名誉挽回のためにも働かないと。
私は、能力を使用して探索をし始めていくと、そこには複数人の影が屋敷、というより屋敷など実在していない筈の平地の上に陣の幕があるだけなのが分かった。
そして、その虚空とでも言えるような屋敷に潜む幾つかの敵影。それが私達を円になって取り囲むようにしている。
「文!!」
私がそう一言大声で警告すると、文は『風』で私よりも一足早く既に読み取ることが出来たのか、密かに纏っていた妖力で念動力を発動させた。
「気がつくのが遅いわよアホガラス!総員!!戦闘態勢!!」
文は手を翳すと念動力を使ってで無理やり幻影の空間の突破口を開いて相手の術を破ると、その穴から順に妖術と念動力で出来た異空間は壊れていって取って代わるように現実の空間に戻っていった。
そして、その空間が崩れ去った瞬間に殆ど見えないの速さで動く影が私達に向かって襲いかかってくる。それに三ノ巡回隊と文は直ぐに対応して、敵の刃を防いでいく。無論、私にも一人黒い影が襲ってきたが、私の『飛ばす程度の能力』で弾き飛ばして難を逃れることが出来たが、私達は息を切らす暇もなく次々と攻防を強要させられていく。
この能力の使い方は森の中で一人で鴉天狗の部隊を制圧した時に見せたように私の体力の消耗が激しい。だから何度も使うのは控えるべきだ。けど、肉弾戦は私の苦手分野だ。せめてこの狭い空間から出て空中戦に切り替えられることが出来れば…………。
けど、そんな私の儚い願望も虚しく戦闘は無情にも続いていく。休む暇など与えてくれる程敵は優しくないのだ。故に、全員が無言であり無音の中、影以外姿の確認出来ないほどの集団戦が繰り広げられていく。一瞬、影たちの正体が確認できたがどれも相手は鴉天狗のようだ。
くっ、私の白幻と黒妖よりも早い!それに慎重で手強い!そのせいか、私が引いた罠にも中々引っ掛からない。
本当の手練れとはこういう者達なんだ。もしかしたら彼等は妖怪の山側の一ノ守備隊と同じ練度だと言えるかもしれない。そうだと推定すると、敵のほうが戦力は上の筈だ。三ノ巡回隊は精鋭と呼ばれていても剣術を得意としているだけの白狼天狗という小妖怪しかいない部隊だ。
白狼天狗は鴉天狗のように速さで敵を翻弄する戦い方とは違う。それもあるが、一番苦戦を強いられている理由が相手の出す風の攻撃が厄介だということだ。この黒い影達が生み出す風の攻撃はどれも範囲攻撃で、それが一つ一つ必殺級。私と文が何とか相殺し続けていなければ今ごろ固まったまま動いている私達は全滅だ。しかし、今ここで散開すれば唯一互角に立ち回れている理由の連帯行動という強みがなくなり各個撃破されるだけだろう。
このままいけばジリ貧になる。
そう、私が危惧していたとき、若い女の声が聞こえてきた。
『もうよい。零。一次、引き揚げよ。』
その声の主の命令によって、敵影でしか相手を視認できなかった鴉天狗達が一瞬でこの空間から消えていった。
緊張状態が私達を満たす中その声の主が再び声をかけてきた。
『中々の奮闘だ。よい訓練も施されている。だが、練度がまだまだだな。それに自分の能力も使いこなせていない未熟者もおるようだ。』
姿は見えない。また幻影で隠れているの?
けど、私の能力で電磁波を飛ばして見ても敵の居場所が掴めない。
「陣内に侵入してから、さっきから私を見ている奴がいると思ってたらあんただったのね。姿を見せたらどうなのかしら?」
けど、文は居場所が分かったようで、ある一点を見つめて扇子をその方向に向けた。周りの三ノ巡回隊もやっと匂いで気がついたのか、文の指摘に遅れて文が向ける扇子の方向に彼等彼女等は構えている曲刀を握る手を僅かに震えさせていた。
「ふっ………私の『幻影の青炎』を見破るとは………勇敢なる天狗の少女よ。……少しは見直すべきなのかも知れないな。」
そこから現れたのは真っ赤な髪と綺麗な青を左右に垂らした鳶の仮面を頭の右側に被っている一人の天狗の女性だった。彼女は肩には猪の毛皮のマントをつけてその仮面の奥から殺気を燻ぶらせながら私達を見つめている。
「ずっと近くでお前たちを見ていた事の謝罪を込めて、名を名乗ろう。我が名は『愛宕山之幻炎(あたごやまのげんえん)』。まあ、そう呼ばれているだけさ。愛宕山と覚えれば良い。結ばれた五大英傑同盟の総大将をさせてもらっている。何を名乗ったのだ。鴉天狗の少女。そなたも名を名乗れ。」
ずっと………、本当に気がつかなかった。そんな相手がいるなんて……こりゃあヤバいね。こりゃあ本当に人外魔境だ。
「射命丸文よ。『ただの』鴉天狗よ。」
「ふっ…………そうか。お前がおひい様の孫か。」
「…………『おひい様?』」
「先代の天魔様だ。私が昔仕えていた者の愛称さ。それにしてもおひい様とよく似ている。現天魔様はおひい様には似ておらぬが。まさか孫が祖母と似ているとは。不思議なモノもあるものだ。」
「…………そう。」
文は少し複雑そうな顔をしていた。敵として手柄をあげる筈の相手が、親しそうに懐かしそうに文を見ているんだから。けど、そんな文を気にしていないかのように愛宕山大天狗は今度は私の方をチラリと見て、驚愕の目を声をあげた。
「そなた…………よく見てみれば………化けガラスか?」
「…………そうだけど?」
「ふっ!ワハハハハハハッ!!そうか!!射命丸家は代々化けガラスと契約をするのか!!面白い!!一応聞いておく。お前の母は、『鴉峠』のあの化けガラスか?」
「え?…………鴉峠?」
「簡単に言えば、妖怪の山から東に進んだ鴉と鴉天狗の遊び場だ。」
「あっ!?」
ママンのいる巣のこと〜!?あれそんな名前だったの!?そういや、帰るの忘れてた!!
「もしかして、私が化け鴉だったのは…………母親も化けガラスだったから〜〜!?」
「そうだが?だが安心しろ。化けガラスの卵からは稀にしか化け鴉の子は生まれて来ない。お前の兄弟はいないだろう。………現天魔様の契約した化けガラス以外はな。」
え、えぇ〜〜〜!?強大?え?ショックがデカすぎてそんな補足を言われても全然頭に入って来なかったんですだけど!?
あの時、初めて椿ちゃんと出会った夜に話していた謎のままだったやつの答えを急にカミングアウトをしてくるのは違うじゃん!!もう270年近く経ってるよ!?
「だが、面白い。益々面白い。まさかおひい様と契約していた化けガラスの娘とおひい様の孫が契約していたとは……………中々な偶然とは言えない必然性を感じるな………。」
あの、次々と情報を盛り込むの今はやめて貰っていいですか?色々と読者も混乱してますよ?今、急いで最初ら辺を読み返しているだろう人が続出してそうなんですが?
「そうか……そうか。そうだ射命丸文。おひい様の御娘様………凛楓の馬鹿―ゴホンッ、今の代の天魔様だが…………。
まあ、お前の母親のことに一つ聞きたい。あの馬鹿娘は元気か?」
「……………はい。」
「そうか。それを聞けたなら私は満足だ。なら、これ以上の世間話は不要。後は分かるな?射命丸文?」
「…………ええ。」
文の答えに勝手に納得した愛宕山大天狗は、急に膨大な妖力を解放して私達を威圧してくる。本当に身勝手なヒトだ。勝手に納得してこっちを置いてきぼりにしたまま勝手なペースで話を進めていくんだ。納得いかないが、そんなことは言ってられない。何故ならば、さっきまでの緩んだ空気は今は、完全に無くなっており、温かかった空気は青い炎によって熱が奪われ急速に冷え込んでいったからだ。
「射命丸文。習いに契約した化けガラス。私はこれからお前たちに決闘を申し込む。
条件はただ一つ。私を力尽くで説得させてみせろ。
私は一つ疑念を抱いている。『お前の生まれ故郷である妖怪の山は滅ぼすべき組織なのか、そうではないのか?』とな。
だか、射命丸文と化けガラス。お前らの姿を見て気分が幾分か変わった。お前たちの『本気』がどんなものなのか試してやる。
今、お前等は妖怪の山の運命を背負っていることを自負せよ。」
再び、周りの空間が歪んで別の空間に変化していく。そこは、この世の者ではないほどの広くそして昔の栄えていただろう廃れ、寂れた神代かと思われる街中の様子と、その周りを地平線まで囲っている黄色い鍾乳洞のような原始的な空間に移り変わっていく。
気がつけば文と私の後ろにいた三ノ巡回隊のヒト達は姿が消えてしまっていた。どうやら切離されたらしい。けど、周りの殺意に満ちあふれた風景のせいで声に出して指摘するどころの事態ではない。だから、私と文は黙って背中を合わせながら愛宕山大天狗の生み出す幻影の強さを再認識して、警戒を強くすることにした。
「神代から続く黄泉に伝わる青炎の、魂が燃えあがり凍えるような苦しみと悲しみを味わうがいい。若造共。」
「文!!正念場だよ!!」
「ええそうね。飛燕!!行くわよ!!気を引き締めなさい!!彼女は神代から生きてきた大天狗。そして、五大英傑の中でも一二を争う実力者!!そう、大妖怪の中でも指折りの実力者!!その力は先代天魔様に匹敵すると言われているわ!!……けど私達ならやれる。だから私に手伝いなさい!!」
「うん!!」
「愛宕山大天狗!!貴方をボコボコにしてあげるわ!!」
覚悟を決めた私達に、青く冷たく、そして無慈悲な炎が襲いかかってきた。
愛宕山の天狗。数多くの眷族を従え、火を司る日本一の大天狗。天狗の総大将として知られ、四十八天狗及び八天狗一強力な天狗ともされている。