化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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50羽:『八大天狗異変⑪』〜急〜

 

 

 

 大天狗と呼べる者も全員が戦場へと赴く為に居なくなっており、今の陣内には天魔と八雲紫以外は居ない空間が出来ていた。伊吹萃香は一時席を外していた八雲紫と入れ替わるように急用を思い出したようで退席していて今はいない。

 

 

 他にいるのならば天魔の周りを、警護する一ノ守備隊が息を潜めているくらいだった。

 

 

 

 沈黙が陣内を支配していた。

 

 

 

 だが、その沈黙を突き破るように天魔は八雲紫へと向き直って、声をかけた。

 

 

「……………八雲紫。そなたはどうしてここに居座る。」

 

「あら?貴方こそ。どうして戦の最前線に出ないのかしら?」

 

「私は天狗の頂点だ。こうして居座り、時々くる連絡を受け命を下すのも役目だ。」

 

「そう?………なら、私も役目ね♪」

 

 

 そう巫山戯るように、こちらを挑発してくる八雲紫。正直辞めて欲しい。私は争いなんて本当はしたくない。龍の馬鹿、貴方も言ったらどうするのよ。この胡散臭さの塊の大妖怪といると、気まずいったらあらりゃしないわ。

 

 凛楓は心の中で静かに溜息をはいたが、この居づらさは相変わらず変わらない。だが、目的も聞き出さなければならない。なぜここにいるのかを。この女が無意味に何かを成すことはないと私は経験から知っている。

 

 

「…………ならば、その役目を述べてもらおうか?八雲紫。私と二人きりで話したいことがあったのだろう?ならば、いい加減述べよ。」

 

「ふふふ♪……せっかちね。この状況なら仕方ないけど。分かったわ。ねえ。この戦。貴方には分かってるんでしょ?この戦自体に意味はないと。」

 

 

 一瞬気詰まりしてしまうが、自らの覚悟を練り直すために、自らの行いを復唱していく。

 

 

「…………分かっている。目的は天狗の数の減少。これはあの時、幻想郷に加入を表明したときには決まっていことだ。これは龍にも知らせていない。私とお前の密約だろう?だが、なぜ今更それを言う?」

 

「いえ。貴方には迷いがありますもの。だからこそ私は貴方に再び語りかける。決してチャチな感情で貴方の力を使わせないためにも。

 ねえ?天魔。天狗は数としては強力で多すぎるとは思わない?数も多いだけでそれだけで幻想郷に入り切らない。かといって、残せばその強力な力故、将来の潜在的な幻想郷の敵対勢力となってしまう。

 だから今のうちに削りとらなければいけない。例え、それが自演自作の戦いをしなければいけないほどでも。

 

 ねえ?天魔?貴方はこの引き金を引いた私の凶悪犯でしょうけど、貴方はその罪を背負っていく心づもりはあるかしら?」

 

「………………。」

 

 

 八雲紫は残酷で美しい妖艶な顔で私に微笑みかける。その姿はまさに悪女だった。だが、私も列記とした悪女だろう。ならば咎めるつもりも資格もない。

 

 私は黙って首を縦に振って肯定する。文の為にも。文がいつまでも生きていけるのなら私は喜んでこの女のように悪女になろう。

 

 

「覚悟は出来ている。八雲紫。お前はどうなのだ?」

 

 

 

「あら?私?………私は神代の時代からとうに出来てるわよ?なら良かったわ天魔。今は非情になりきるべき時。

 

 ……………………けど、敢えて言わせて貰うわ。」

 

 

 そう言って、八雲紫は黙って頭を下げた。両手をついて誠意を待って。ただ、静かに。妖力や能力など一つも仕掛けたり纏ったりせずに。

 

 

「天魔。そして、天狗という種族に謝罪するわ。」

 

 

 大妖怪はヒトに頭を下げることはない。自らの強さを精神の依り代としているからだ。妖怪は精神的に弱い。故に舐められたりする行為は自らの力を弱めることに直結するからだ。

 故に、力を持つ存在ほど親しい者同士以外きは頭を下げようとはしない。

 

 だが、八雲紫は違かった。それを覚悟してまで頭を下げたのだ。

 

 

 これが誠意か………龍。お前が言っていた八雲紫の姿はこのような者だったのか?

 

 

『八雲紫。彼女の本質は胡散臭さの中に秘める誠実さだ。凛楓。どうか、文のことに対する怒りを収めて一度まともに会話をしてみてはくれないか?』

 

 

 文の意識が戻り、少し経った後に龍から言われた言葉。私の文を傷つけた相手に何をと、八雲紫の会見を取り合おうとしなかった私に静かに語った言葉。それが今、やっと理解した気がした。

 

 

 …………成る程。龍と関係を縮めることが出来た理由がよく分かった。この八雲紫の本質は謀りごとや政の薄汚い甲羅に覆い隠されているが、本質では私や龍と対して変わらない。ただそれだけのことだった。

 

 

「頭を上げられよ。紫殿。こうなってしまえば私と紫。2人は共犯だ。本来頭を下げるべきなのは『私も』なのだ。」

 

 

 正直、胸が締め付けられる。今でも私の同胞は傷つき倒れていっている。その行為がどれだけ無意味なのか知らずに。そして、天狗全体の為にとは言え、幼き頃から隣にいた親友に嘘を公然と吐いてしまっているのだ。

 

 

 だが、これも天狗の種族を生き残らず為。この娘の言う通り、非情になりきるしかない。

 

 そのためには喩え鬼の手でも、この残酷な娘の手にも縋らなければいけないだろう。

 

 だが、八雲紫は直ぐに頭を上げて元の胡散臭い笑みに戻り私を馬鹿にするような笑みを浮かべた。

 

 

「そう………なら、お言葉に甘えて私は天魔の前では気にしないことにするわ。」

 

 

 このアマ…………些か調子が良すぎる。やはり信用出来ないかもしれん。

 

 

「紫……調子が良すぎるぞ。それに、ずっと考えていたが影で私達を支配しようと画策するのは辞めてくれ。最悪幻想郷との全面戦争に発展しかねん。私が表に出てくるような自体だけは辞めておくれ。」

 

「……ふふふ♪おみそれしました。まさかバレてたとは。でも、これくらいじゃなきゃやってられませんわよ?『幻想郷の賢者』は。貴方も早くこのドロドロとした関係に慣れなさい。

 これから貴方はその仲間入りなんだから。まあ、その資質はあるから問題はないでしょうけど。」

 

 

 それを言われてしまえば、こちらとしては何も言えないだろう。

 

「…………ああ。分かっている。」

 

 

 再び沈黙が訪れる。今度は気まずいという訳ではなく、天魔が何故かソワソワしている様子に八雲紫が理由を探すために思考していたからだ。

 

 だが、直ぐに答えが思いついた。

 

 

 

「………やっぱり貴方の娘が心配なのかしら?」

 

「そうだな。……だが、お前に言われるのは筋違いだ紫。くそっ……………くぅ〜〜〜〜〜〜!!!!?!

 

 今でも文ちゃんがしなないか心配なのよ〜!!!」

 

 

「…………素が出てるわよ?天魔?」

 

「はっ!?でも!それでも行きたい!私の身体は行きたいっていってるの!!!」

 

 

「まぁ………こうなるのも無理もないわね。今、射命丸文と黒柳飛燕が対峙している存在は、私と同じ神代の出ですもの。それは心配になるわね〜。」

 

「今すぐ私は駆けつけるわ〜!!!待っててね!!文ちゃ〜〜〜ん!!!」

 

「あっ!こらっ!!凛楓!!貴方は言っちゃダメでしょ!!貴方は表舞台には極力出ちゃ駄目なんだから!!」

 

 

 ―ブオン―

 

 

 八雲紫はそう言って、天魔が動き出す前に凛楓をスキマで捕まえる。勿論、凛楓は動揺していて今はポンコツになっているので普段は容易に逃れられた拘束も容易く捕まってしまう。それでいいのか天魔。

 

 

「嫌よ〜!!だってあの『戦闘狂の幻炎おばさん』よ!

 絶対に容赦しないわよ彼女!!!

 

 特に、文ちゃんは戦闘狂の母と姿がそっくりだから絶対に見せちゃいけないヒトなの!!だから駄目なのよ!!というかこ私の本名を言うなし!!紫!!」

 

「ふふふ♪私は好きよ?お互いに下の名前で呼び合う仲は?駄目かしら?」

 

「ッ〜〜〜!まだ龍にしか許してないんだからね!!あと、文のひどい目に合わせたことは許してない!!だから早くこの拘束を解け!!」

 

「論理が滅茶苦茶ね…………それにしても貴方も貴方でキャラが濃いわね〜。最初のカリスマと素のギャップが半端ないわ。オリキャラが原作キャラよりもキャラの濃さを上回るのは辞めて欲しいのよ。

 

 私達のキャラが霞んじゃうじゃない。ゆかりん怒っちゃうわ♪この場合、作者をお仕置きしちゃおうかしら?」

 

 

「くぅ〜〜〜!!!文ちゃーーーーーん!!!今いる隣にいる化けガラスを身代わりにしてでもいいから生き残ってねぇ〜〜!!!」

 

 

 八雲紫の出現させたスキマにつくはずもないピキピキとヒビがつく。それだけ天魔の力は強かった。大妖怪でも抜け出すのは困難だと言うのに天魔はその身に宿る能力も相まってモノともしない。

 

 

 

「流石天魔ね。私のスキマの拘束を今にも破ろうとしてる親馬鹿にも程があるわね。スキマの強度を上げないといけなさそうね。

 

 あとその化けガラス、この小説の主人公だから殺しちゃ駄目よ?」

 

 

 

 

 ………………妖怪というのは強ければ強い者ほど、みな総じて軽いようだ。

 

 本当にそれでいいの?天魔様?

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、黒柳飛燕と射命丸文は見えない相手との激しい激戦を繰り広げていた。

 

 

 

 青い炎が私達に向かって迫ってくる。愛宕山大天狗の姿は見えなくなりなり、青い光と凍えるような寒さがその炎を避ける私達の体温と体力を奪ってくる。

 

 少しだけ私の服の端が青い炎に掠って燃え移って私の体温を燃料に服を燃やしてくる。

 その瞬間強い冷えを感じだ私は急いで吹き『飛ばし』たので火傷で済んだが、凍傷やけどみたいに私の服の下の肌が軽く荒れてしまった。

 

 

「イツツ…………これは触れちゃいけない奴だね。」

 

「流石、経験者は語るわね。」

 

 

 私の独り言に皮肉を交えた軽口を言い返しながら文は風を操って炎を追い払ったりその高速移動で交わしていくが、それ以上にの面積の青い炎が四方八方から迫ってきて私達の居場所をなくしていく。

 

 このままでは居場所がなくなれば凍傷で身体が動かなくなり、その内あの青い炎に巻かれて死ぬだろう。

 

 

 

「飛燕!!」

 

「了解!!」

 

 

 文が掛け声と共に私の背後に隠れた瞬間、私は広範囲に空気を『飛ばして』青い炎を消した。

 

 

 中途半端な風は炎に空気の中の炎の燃料となる酸素や水素を供給してしまい状態を悪化させてしまうだけだが、竜巻のような突風が吹けば炎は一瞬で消える。それを応用した鎮火方法だ。

 

 

 そして、青い炎が消えた瞬間それを目眩ましに愛宕山大天狗が亜音速で突っ込んできて、私と文を蹴っ飛ばしてくるが私と文はそれを両腕を使って防ぎ、風の槍と石の弾丸で迎撃する。

 

 

 しかし、愛宕山大天狗は一瞬で幻影のように消えてしまい風の槍と石の弾丸は通り抜けてしまう。

 

 

「全然当たらない!!相変わらず幻術使いってのは面倒だ。」

 

「駄目だ。中々狙えないわ。」

 

 

「幻術?これは違うぞ。私は炎使いだ。それも黄泉の炎のな。」

 

 

 黄泉の国の洞窟のような空間から何処からともなく声が聞こえてきて、再び炎が私達を襲ってくる。今度はふざけたことに巨大な蛇を象った幾つもの青い炎が私達に迫ってきた。

 

 私達はそれをなんとか避けながら飛んできた方向に反撃を食らわせるが、当たる様子はなく、寧ろ反撃が帰ってくるばかりだ。

 

 

「こんなものなのか?私は本気を出してもいない。これでは赤子を相手しているように感じるが。おひい様には遠く及ばない。」

 

 

「ふんっ!そう感じるならば、そうなんでしょうね?

 だって臆病風に吹かれて私達の前に姿を出せないもの。本気どころか、戦うつもりもないと見たわ。呆れちゃう。」

 

「少し天狗になりすぎじゃないかな?それとも文の言う通り、文に臆病風にでも吹かれたのかな?なら、良かったらその風『飛ばして』とり覗いてあげようか?サービルしちゃうよ?」

 

 

 私達は務めて余裕そうに相手を煽る。勿論強がりだ。私と文はどちらも疲労しているがそれをおくびにも出さない。だか、愛宕山大天狗の慧眼には全てお見通しだったようで、鼻で笑われて流されてしまう。

 

 

「…………ふっ…………口先ばかりの軽口は祖母譲りか。益々面白いな。出会ったばかりの昔のおひい様を思い出す。」

 

 

 寧ろ、思い出に浸る余裕もあるようだった。この老人め!昔ばかり思い出して!!ちゃんと今いる私達を見なよ!なんか腹が立つ!!

 

 

「だが、さっきから何処を見ている?私は最初からお主等の背後にいたのだぞ?」

 

 

 背後から声が聞こえてきて、殺気が漏れ出る。その声と殺気に私達が急ぎ振り返った瞬間、私と文のお腹に激痛が走った。

 

 

 ― グサッ ―

 

 

 

「ガバッ。」

 

「グッ。」

 

 

 私と文が殆ど同時にお腹を見ると、背後から妖力の刃がお腹の右下を貫いていた。

 

 私と文は血を口から吐いて、地面へと落下して倒れ込んだ。

 

 くっ………ありえない。どうやって?私の能力で探索はずっとしてたのに。何処にいたの?

 

 

「『ボコボコにしてやる』か……………中々な大口を叩くが実力が伴わなければただの負け犬だ。射命丸文。」

 

 

 そう言いながら鳶のお面を被る愛宕山大天狗。悔しい。けど、今の痛みで上手く身体が動かなくて言い返しもできない。今は兎に角意識と妖力を治療にしか回すことしか出来ない。

 

 それに、能力の使用まで脳のキャパをそちらに回すしかない。それは文も同じようで、今は懸命に自分のお腹の怪我を直していた。

 

 

 そんな私達の姿を見て、愛宕山大天狗は勝負ありだと言いたげに鳶の被った顔を左右に振りながら黄色い鍾乳洞の地面にゆったりと降り立って私達の前に着地した。

 

 

「……………まだまだ未熟だ。この程度の化かしでやられるとは。笑止千万。未来の天魔がそれでは、やはり妖力の山は滅ぼすべきなのだろう。」

 

「ぐぅ………私は………ガハッ……『ただの鴉天狗』よ……ゲホッ。」

 

「強がりか?そこは似ているな?おひい様に。」

 

「グッ………こんな傷…早く治して………。」

 

 

「無駄だ。射命丸文。内臓を深く傷つけた。お主等が幾ら治療しようとしたとしても少なくとも一刻手前までは終わらん。私がそのように傷つけたからな。」

 

 

 手足なら直ぐに回復できるが、内臓や心臓などの細部の器官は直ぐに回復出来ない。普通の回復とは違う、いつもよりも緻密な妖力の操作が必要になるからだ。

 

 彼女が言ったように、私達は痛みで動けないまま横たわることしか出来なかった。

 

 

 駄目だ。万策尽きた。これでは本当に赤子を捻るみたいだ。

 

 

 文、これからどうすればいいの?

 

 

 私は文の手を震える手で握って声も出せずに咽び泣いた。

 

 

 どうやら『飛ばして』いた人間の心が帰ってきてしまったようで今まで抑えていた感情が決壊してしまい濁流のように心の中で弱音が溢れてくる。

 

 

…………傷が凄く痛い。どうして私はこんな目に遭わないといけないの?本当は戦いたくないよ。殺し合いなんて全然したくない。痛いのはイヤッ!!辛いのはイヤなの!!

 

 

 私は声を出せない様子の文の前で泣いた。私は弱い。どんなに生き残っても長生きしても根っこの精神が弱い。こうして文に縋ることしか出来ない程に弱い。

 

 文も私の弱さを契約を通じて顕になっているだろう。その目線は軽蔑だろう。きっとそうだ。

 

 

 私は文の目を真っ直ぐ見ることが出来ずに涙を零した。

 

 

 

「………諦めが早いな。弱者は直ぐにそうする。」

 

 

 

 愛宕山大天狗の言う通りだ。私は弱者だ。どんなに頑張ろうとしても心は弱いまま。その実態は変わらない。

 

 

 

 

 

 その時、私の握る文の手が強く握り返された感触を感じて、私は俯いていた顔をあげた。

 

 

 

 文は強かった。私の震える手を安心させるようにこんな絶望的な状況でも私に笑いかけてくれる。

 

 

(飛燕!あんたは弱くないわ!!)

 

 

 文との契約を通じて聞こえてくる。

 

 

 私は…………

 

 

(思い出して。私との最初の頃!!あんたは逃げようとしたけど私の目を見て逃げる翼を下げて私に向き直って私に真正面から挑んだ!!)

 

 

 

 懐かしい記憶だ…………私がまだ右も左も分からなかった時代。実力差も対して分からなかった未熟さがあったから文に立ち向かえたんだ。私は強くない。

 

 

(うるさい!!今はあんたの自意識なんか聞いてない!!いい飛燕?忘れたとは言わせない!!確かにあんたは私に立ち向かった。怯えた瞳を持ちながら確かに覚悟を持って!!私の荒ぶる風を凌いだ!!)

 

 

 私の手を握りしてめる力をギュウと強めて。

 

 

 文は静かに手を握って、契約を通じて語りかけてくる。

 

 

(あんたは強い女よ!昔がどうかなんか知らない!!弱音を吐いてもあんたは立ち上がる!!どんなに心を折られてもあんたは立ち向かう。だってあんたには私がいるんだから!!)

 

 

 

 その時、文との約束の全てがフラッシュバックした。

 

 

 

 

 

『だから飛燕には沢山旅をしてその感動を届けて欲しいの。辛いことも悲しいことも苦しいことも嬉しいことも沢山沢山私に届けて欲しいの。だって、私達は契約で心が通じ合っているから。あなたの気持ちは遠く離れていても私にも届くの』

 

 

 

 それは、初めて天狗組の皆と宴を開いた夜。そう。暗い空の、したに星空があった真月の夜だった。

 

 

 あの時、私と文は縁側で約束をしたんだ。『辛いこと』も、『悲しいこと』も、『苦しいこと』も、『嬉しいこと』も。

 

 

 その約束が折れそうになっていた私の心を再び蘇らせた。

 

 

(飛燕。気をしっかりしなさい。まだ負けた訳じゃないわ。)

 

 

 ……………ほんとう?

 

 

(そうよ。今だって敵は油断してるわ。今は時間稼ぎに走りましょう。)

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………何やら色々と考えているようだが?…………まぁ安心しろ。まだ殺しはしない。お主等は今はそこで待っておれ。どうやら邪魔者が入ったようだからな。」

 

 

 

 

 

 

「ほぅ………私の能力に気がつくとはねぇ。………こりゃあ骨がありそうだ。」

 

 

 その時、何処かで聞いたことのある声が聞こえてきた。

 

 

 この声は…………口噛み酒を強奪していった人?

 

 

 私は涙で痛みと辛さで濡れていた瞼をなんとか拭って聞き覚えのある声の主のいるだろう方向を見やる。

 

 

 すると、そこには中学生くらいの鬼の少女がポツンと佇んでいた。

 

 

 両腕には重りのある鎖のついた枷をジャラジャラと音を立ててキュポンと瓢箪の蓋を空けて中にある明らかに容量と出る量が釣り合っていない酒をごくごくと飲んでいく。

 

 

 

「この妖力………そうか。お前は鬼か?………、それも噂の鬼の総大将とは……何故、お主がこんな場所にいる?」

 

 

「ケヒヒヒヒ♪お前からいい恐怖を感じるねぇ。いいよいいよその恐怖。見た目で取り繕っても恐怖を隠すことは鬼には通じない。お前さんの恐怖は全てお見通しだよ?愛宕山の大天狗?

 

 やっぱりあんたもどんなに長生きしていても所詮は天狗だねぇ。小心者で狡猾で、それでいて根っこでは臆病者。けど、それが私は好きだよ。だから紫の案にも乗ったんだ。」

 

「………………そうか…お前も『八雲紫』関係か………だが質問に答えていないぞ?私の邪魔をしたんだ。いい加減答えてもらいたいものだ。」

 

「ふっ。大した理由もないさ。ただ、『弱い者イジメ』は私は嫌いだ。それが主な理由だよ。

 だが、もう1つある。何よりそのにいる化けガラスはこれから私専属の酒の卸先になる予定なんでねぇ〜〜。それ以上いじめるのはよしてくれないかい?」

 

「………詭弁だな。そして全て自分の都合だ。それは今の状況を覆すのに適していない。」

 

 

「おいおい。お前さん。何か勘違いしてないかい?私は鬼だよ?鬼に言葉で勝とうなんてうん千年早い。それに、妖怪の流儀は力尽くがなんぼだ。詭弁で自分勝手で何が悪い。寧ろ鬼にとっては褒め言葉さ。いやぁ~照れるねぇ〜〜〜。」

 

「………それでいったい。何が目的だ。」

 

「いっちょ殺り合おうよ。どうせ、あんたも戦い始めてから滾ってるんだろ?恐怖の他にも色々と湧き出てるからねぇ。」

 

「………お見通しか。」

 

「良く飲み合う奴にいるんだよ。戦闘が好きな馬鹿が。いいねぇ。戦闘が好きな奴。それが化かしならば尚更好みだ。」

 

「鬼にしたは化かしが好きとは…………好き者め。」

 

 

「ふっ………それも私にとっては褒め言葉さ。けど、…………あんた好きな口だろ?化かし合いの殺し合いは?」

 

 

 その瞬間、鬼から発せられた覇気が強まって、黄色い鍾乳洞は消え去って幕の内の空間に戻った。

 

 

 そこには満身創痍の三ノ巡回隊と、彼等彼女等を追い詰めるようにかこっている先程の『零』と呼ばれた部隊がいた。

 

 三ノ巡回隊の隊員達は私と文のの様子にギョッとして、駆け寄ってくるが鬼と愛宕山大天狗から発せられる妖力に硬直して、動けなくなってしまう。それは零の部隊も同じで硬直している様子が目に映った。

 

 

 

「ならば、お主の言う通り、化かし合いを始めてやろう。」

 

「滾ってきたなぁ〜〜〜〜!!!けど…………紫……後で絶対怒るだろうなぁ。」

 

 

 

 

 その瞬間、辺りの空間が空気の爆発で吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 ひ、ひぇ〜〜〜。本当の人外魔境が始まった…………。どうすんだこれ。女オリ主が可哀想だよ。

読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!

  • 可愛い! ここに皆入れてね!
  • 格好いい! そう?まあそれもありだね?
  • 美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
  • 変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
  • 人情姉さん! 私についてきな!君達!
  • 大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
  • 乙女だよ! 分かってるねー!
  • 人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
  • 未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
  • もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
  • ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?
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