化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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 なんとか格好良く戦闘がかけているならいいんですが………。


51羽:『八大天狗異変⑫』〜急〜

 

 

 

 

 

 射命丸文と黒柳飛燕が愛宕之幻炎(あたごやまのげんえん)大天狗と交戦を開始する少し前。

 

 

 犬走椛と鞍馬夏沙丸天狗はお互いを睨み合って、退治していた。

 

 

 

 

 文達が動き出したせいで一時的に小競り合いは起こっていたが、追撃に出た部隊以外はここに留まり、円のように構い合う二人をゴクリと喉を鳴らしながら敵味方関係なく静観している。

 

 

 

 今は敵方の誰も椛のことを侮ったり、馬鹿にしていない。味方は元より椛の実力をある程度知っているため馬鹿にするものはいない。

 

 その空間は余りにも不思議で静寂でただ、沈黙の熱気に包まれている。誰も喋らない。いや、喋ることなど忘れてしまったかのように二人を見ている。

 

 

 何故ならば彼等は皆戦士だったから。寧ろ椛の敬意を払っている節もある。

 

 

 

 

その視線の中心にいる椛は一人静かに剣気を溜め込んでいた。

 

 

『剣気』。それは己の剣を振る為の機微や力使いや、その為の予備動作の為の深い集中をすることで起きる剣豪や剣の達人にしか扱えない代物。

 

 一天狗では扱うことは困難な修練の賜物。それが、妖力も少ないまだ五百年も生きていない小妖怪の白狼天狗が出しているのだ。それだけで椛の鍛錬の軌跡を今でも理解させられる。

 

 

 それは、鍛錬をこなすことを胸とする天狗達だからこそ、さらに分かる。鍛錬を重ねるほど分かる椛の努力はその剣気によって表されていた。

 

 そして、その椛の類稀な努力の成果の一番の理解者は目の前で刀を握る鞍馬夏沙丸だった。だからこそ、皆が馬鹿にする合間も油断なく椛を注視していたのだ。

 

 

 

 椛は、敵味方関係なく感じ取る程の驚くようなその剣気を放って身動き1つせず相手の出方を伺っている。

 

 

 対して、夏沙丸の構えている型は上段から中段に変わっていた。

 

 そのことに椛は静かに嘆息し、ゆっくりと中段へと相手の剣の構えに合わせる。

 

 

 相手は自分を対等に見ている。見掛け倒しではないと理解し、私の剣技のみに注視している。

 

 

 しかし、鞍馬之夏沙丸は静寂の構えだった。余りにも綺麗な自然体。だが、彼女を知る味方と椛以外には分からないほどの先鋭され過ぎている剣気が放たれており、それが犬走椛の動きの全てを封じていた。

 

 

 姫海棠はたてや千堂優月などの天狗達が黙って息を飲む中、沈黙を破ったのは鞍馬之夏沙丸だった。

 

 

 

「どうした?犬走椛。かかって来ぬのか?」

 

「御冗談を。鞍馬大天狗様。今私が取りかかれば斬られるのは私です。」

 

「そうか…………私の隠していた剣技を読み取ったのか。益々気に入った。ならば、久し振りにこちらから行くとしよう。」

 

 

 

 その後2人の会話はここで途切れた。元々2人は口数は少ないほうだ。口よりも剣で語るタイプが会えばこうなるのは必然だった。

 

 

 そして、犬走椛は気がつけば己の身体が危機を察知していたのか曲刀を防御の構えで鞍馬大天狗の刀を止めていた。

 

 

 ― キーーーン ―

 

 

 

 遅れて音がなり、空気を揺らしてさざ波のように空気を揺らす。

 

 余りにも不可思議で精白で恐ろしい相手の見えない剣技に、犬走椛の額に汗が滴り落ちた。

 

 

 

「ハァハァ。」

 

 

 息が乱れる。敵の刃の動きがまるで見えない。何が起こったのか?全く分からない。どういうことだ。

 

 

 今の攻撃を防げたのは本能と鞍馬大天狗の本のわずかな予備動作の匂いを感じ取ったことによる日々の三ノ巡回隊や飯綱丸様との鍛錬による情景反射だ。

 

 もし、一度でも訓練を怠っていれば私は死んでいた。

 

 

 それだけの死地が私の精神を侵食している。

 

 

「………どうした?犬走椛。息が乱れておるぞ?」

 

「ハァハァ。」

 

 

 ― ガキン キン ―

 

 

 彼女は僅かに曲がっている直刀を最小限の力を使っていないかの動きで椛に激しい剣撃を加えてくる。

 

 

 おかしい。鞍馬大天狗様の身体の動きには力が全く入っていないのは明白なのにこの力。

 

 決して妖怪特有の怪力という並大抵の力を使った技ではない。

 

 まるで滝のように自然に落ちるようで水面に当たるあの威力を生み出しているかのような明言しがたい力があった。

 

 

 椛には全く分からない。どういうことだ?余りにも動作と剣気の鋭さが不釣り合いだ。

 

 混乱する椛に一息も吐く余裕もないまま不理解さの放つ攻撃が徐々に椛のペースを崩してくる。

 

 

 息が苦しい。行き着く暇もない。

 

 

「まるで分からんという顔だな?それでは私の剣気など見えたとして意味がない。分からぬならこのまま死に果てろ。」

 

 

 鞍馬大天狗は静かに無慈悲に私の死を宣告してくる。まるで、それが当たり前かのように。そして、鞍馬大天狗は綺麗な見惚れるような横払いの一太刀を加えて私の盾を吹き飛ばした。

 

 

 

 この時、私の剣気が薄れたのを感じた。

 

 

 

 そして、そのまま私の乱れた剣先の隙をつくように鞍馬大天狗の直刀が私の肩を切った。

 

 

 血が垂れる。まだケガが浅い。僅かに後ろへと下がることが出来たおかげだ。

 

 だが、鞍馬大天狗はそのまま追撃を加えてくる。今度は怪我をした肩に向かって上振りの太刀を振り下ろしてくる。

 

 

 ― ガキッ ギリリリ ―

 

 

 なんとか防ぐことが出来たが今度は相手は体重をかけてきて、私の肩へと負担をかけてくる。それで出血が酷くなって同時に肩へと激痛が走った。

 

 

「グアぁぁぁぁぁ〜!!!!」

 

 

 その激痛に思わず叫び声を上げてしまうが、鞍馬大天狗はお構いなしに、告げてくる。

 

 

「素質はある。だが、まだまだだ。『剛と柔』は出来ている。だが、それだけだ。愚直で馬鹿正直な剣気。お前に剣を教えた師匠はよほどの馬鹿正直者と見える。」

 

「グキギィ……ハァ……ハァ…し、師匠を馬鹿にしないで……く、ください………。」

 

 

 私が痛みに耐えながらギロリと睨みつけると、彼女は鼻で笑うように私の殺気を滝のように流してくる。

 

 

「ほう。以外にも反骨精神はあるようだな。心配するな。馬鹿にしておらん。お主の師匠は誰だ?言ってみよ。犬走椛。」

 

「……ハァ……ぐ………飯綱丸龍様で……ハァ……御座います。」

 

「そうか。あのぼんくら娘か。どうりで知った口だと思っていた。」

 

「な、何を?」

 

「何を共も、飯綱丸龍は我の弟子だからな。」

 

 

 鞍馬大天狗の言葉に私は驚愕で頭が白くなった。

 

 

 

 このお人が飯綱丸様の師匠?

 

 

「その剣術。………やはり『飯綱流』か?あのぼんくら娘が自ら作った流派によく似ておる。私の剣技のくだらん真似事だが、本筋は全く違う。お前の剣技の、流派は守る為の剣だ。

 

 しかし、犬走椛。お主にはその流派は向いておらぬ。」

 

 

「……………何が言いたいのですか?」

 

「我の門下へと入れ。我の流派は守るだけの軟弱な剣技ではない。攻防流中。それが我の流派だ。そなたには筋はある。

 

 今一度申す。我が門下へ入れ。なればこそ、その剣の才も開かれよう。」

 

 

 とても魅力的だろう。以前の、文様達に出会う前の三ノ巡回隊に所属し、日々、孤独に独学で鍛錬を重ねていた頃の私なら喜んで門下に入っただろう。

 

 けど、もう遅い。私にはもう守るべき者達がいるから。大切な者を背負っていたから。

 

 

 私には文様やはたて様、飯綱丸様、そして飛燕様がいるから

 

 

 

 

「断ります。」

 

「…………何故だ?先程の剣気。一度も欠かせず鍛錬しているのだろう?剣の馬鹿と見た。

 ならば我の同類だ。その剣気だけでも分かりきったことだ。

 

 だがその流派のままで磨けどもこれ以上お前の剣の才は伸びない。それは自覚しておるのはお主だろう?犬走椛?」

 

 

 自覚していた。私にはこれ以上剣の才能は伸びないこと。飯綱丸様もそれは気がついていた筈だ。

 だが、それがどうした。剣の才が伸びないからといってやらない理由にはならない。私から将棋と剣を抜けば何も残らない。そんなのは私ではない。

 

 例え、伸びずともそれ以外は幾らでも伸ばせるのだ。だから、私は剣の才も犬走家で一番無かったのに磨いたのだ。背も兄弟の誰よりも低かった。身体も姉妹の誰よりも弱かった。でも、私は剣を振り続けた。

 

 

 何故なら、私は剣が誰よりも好きだったから。何よりも剣を振ることが好きだったから。

 

 この血塗られた手でもあの娘達を笑顔にし続けられる。それだけで私は満足だから。

 

 だから、私は幾らでも笑って鍛錬をこなそう。

 

 だから、私は無理にでも微笑んで答える。肩の痛みなど気にしていないように。

 

 これも1つの鍛錬だ。精神の修行だと思え。

 

 

「………鞍馬大天狗様。私はこの流派が気に入っております。何故なら………

 

 飯綱丸様は私の剣を『優しく真っ直ぐな剣』だと褒めてくださいました。

 

 一方、飛燕様は『人を守れる強く格好のいい剣』だと言ってくださいました。

 

 一方、文様からは『実直で馬鹿みたいに真っ直ぐな剣』だと言ってくれました。

 

 一方、はたて様からは『とても素敵で綺麗な剣』だと言ってくれました。」

 

 

「…………………。」

 

 

 「一見、大したことではないとお思いになるでしょう。『下らない他人の評価だ』と、『素人の意見だ』と。

 

 ですが、私にとっては大事な大事なことなのです。それだけで、私はこの『飯綱流』が好きなのです。」

 

 

 

 私はチカチカと揺れる視界の白い世界に入った時、

 

 

 

 私が剣を好きになった最初の理由を思い出した。

 

 

 そうだった。私が剣を握った時に母と父が驚く姿が好きだったんだ。兄が、姉が、そして少しだけ下の兄弟姉妹達が私の剣を握る姿を喜ばしそうに褒めてくれたのが私の剣の道よ最初だったんだ。

 

 

 

「私はこの剣で、何かを守りたい。喩え血に塗られた手でも、誰かの笑顔を守れるなら私はこの剣を好きでいられるんです。

 

 だから、私はいつまでも飯綱丸様の弟子で文様やはたて様、飛燕様の友であり家族なんです。」

 

 

 

 

「…………そうか。なら、ここでお主は命を落とすだけだ。」

 

 

 

 

 

 

 そう言って、鞍馬大天狗様は一度刀を振り上げて静かに私に向かって刀を振り落としたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 一方、西面の戦場にて、姫虫百々夜の豹変に飯綱丸龍は驚きを隠せないでいた。

 

 

「けけけっ!!これならお前らと仲良く殺し合いが出来るなぁ〜〜!!!オレは嬉しいぜぇ〜〜けけけけけっ!!!」

 

 

 喜びに声をあげて笑う大百足。あれほどの圧倒していた筈であったのにまるでダメージがなさそうに笑っている。

 

 

 圧倒し続けていながら中々終わらない戦いに疑問を置きながら、頼れる助っ人達と共に戦っていた龍だったが、一重に相手の湧き出る妖力と魔力による回復力が早いことを理由にして決めつけていた節があった。

 

 ある意味圧倒していることは合っていた。敵は巨体で動きは鈍い。こちらは数人がかりで動きの速さを完全に上回っていたのだ。

 しかし、この違和感は回復力の強さが理由なだけでは無かった。相手は本気を出せていなかったのだ。

 それは巨体ゆえの攻撃の鈍さがあった。

 

 が、身体を収縮させて人型に変化させたと言うのならば話は別だ。もし龍の考察が当たっているならば、相手は上手く発揮出来なかった本気をこちらに向けることになる。

 

 

「これは………流石にヤバそうですわね。まあ、船幽霊のほうが危なかったのでまだマシでしょうけど。」

 

「………アハハハッ!まだ本気でないと思っていたが第二形態があるとは…。中々頼ましてくれるなぁ〜?いいな〜!その闇食らいたくなってきた!!」

 

「おぉ〜?なんか小さくなったぞ〜〜?せいがぁ〜?」

 

 

 だが、私の周りはそんなのお構いなしに平気にしている。流石化けガラス殿と一年近く旅をしただけある。修羅場慣れしているせいか面構えが違うようだ。

 

 私も昔よりは戦わなくなったせいで少々気が衰えていたようだ。こやつらに負けないようにしないとな。

 

 私がそう独りごちるあいだにも、大百足から野蛮な服装に変化した女に変わった今までその巨体によって覆われていた妖力と魔力の密度がより濃厚に凝り固まり、吐き出る圧が何倍にもましていく。

 

 そして、完全に変化しきった女性は飯綱丸龍に向かって人差し指を向けて話しかけてきた。

 

 

 

「なぁ?そこの紺色の服装に紺髪…名前はなんだ?」

 

 

 名前?………こいつの戦い方からして呪術的な遠回しなことをしないだろう。もっとこいつは単純な力押しな戦い方なのは今までの動きで理解している。その可能性は低いだろう。なら、答えても大丈夫だと見た。

 

 

「………飯綱丸龍だ。」

 

「そうか。けけけっ。そうか。お前は飯綱丸龍か。じゃあそこの黒くて黄色い女。てめぇは?」

 

「名前はない。私は常闇の妖怪でしかない。だが…………強いて言うなら、ルーミアっ名付けられた。」

 

「そうか……そうか。ルーミアだな?けけけっ。そこの獲物二匹。お前らは?」

 

「宮古芳香だぞ〜〜!あと私は食べ物ではなぁ〜い!!お前を食べるのは私だぁ〜〜!!」

 

「芳香ちゃん。あれは辞めときなさい。私は霍青娥ですわ。どちらかというと捕食者側ですわ♪」

 

 

「そうか。そうか。オレの名は『姫虫百々夜(ひめむし ももよ)』そんなに焦るな。安心しろ?お前らの名前。私が残さず食べるまでちゃんと覚えてるからな〜?けけけっ。」

 

 

 

 その瞬間、姫虫百々夜の周りのオーラの圧が変わった。

 

 

 そして、百々夜は今までとは違う明らかに速い動きでこちらに向かってきて、霍青娥へと拳を乱暴に振ってくる。

 

 

「芳香ちゃん!」

 

 

 だが、青雅は油断せず、仙術で動く死体の芳香の力を強めて百々夜の拳を芳香の手の掌で防いで勢いを殺した。

 

 

「オラオラオラオラ〜〜〜〜〜!!!」

 

 

 だが、攻撃はまだ終わらず、百々夜は芳香に留められた拳をそのまま力任せに勢い任せて振りかぶり、2人を地面に叩きつけようと吹き飛ばした。

 

 

「グッ!?」

 

 

 

 2人はそのまま吹き飛ぶが、常闇の妖怪から排出している闇の網状の物体によって受け止められて、地面にぶつかることはなかった。

 

 

「ありがとう御座いますわ!ルーミアさん。」

 

「ルーミア〜!ありがとな〜〜!!」

 

 

 常闇の妖怪は青雅答えもせずに妖怪らしい悪辣な笑みを浮かべたまま、黒柳飛燕の闇から吸い取った潤沢な闇を放出させて、先を尖らした幾つもの闇の濁流を生み出し百々夜へと突っ込ませる。

 

 

「アハハハッーー!!」

 

 

 百々夜はその闇を次々と食いちぎったり避けたりしながら接近し、常闇の妖怪へと迫るが、退治する2人の間に飯綱丸龍が割って入って、念動力で動きを止めて、その隙を青雅の道力で生み出した岩をも砕くジェット水流と常闇の妖怪の闇が襲う。

 

 

「グハッ!?」

 

 

 腹に幾つもの穴を空けられた百々夜は案の定、血反吐を吐くが顔は笑顔のままだ。そして、自らの身体を直ぐ様魔力で回復させて飯綱丸龍の念動力の拘束から抜け出して4人へと突っ込んでくる。

 

 

「ギャハハハハハ!!もっと楽しませろ!!私にもっとその快感を寄越せーー!!けけけけけッ!!!!」

 

 

「ちっ!キリがない!!」

 

「変態の調子がいい時の飛燕さんみたいなこと言ってますわ!」

 

「なら、お望み通り幾らでも味合わせてやる。私の闇の力で完膚なきまでにその精神を噛み砕いてやろう!!」

 

 

 ―『闇喰い』―

 

 

 常闇の妖怪の身体から現れたギザギザの刃のある闇が口を開いて姫虫百々夜の胴体を食い千切った。

 

 

「ガハッ!!けけけけけッ!!」

 

 

 

 だが、血みどろになっても彼女は再生する。まるで不死身だ。だが、常闇の妖怪も負けで衰えず無傷のまま底なしの闇をぶっ放して構わず襲ってくる百々夜を殺し続けていく。

 

 

「中々、元気が有り余っているようだな?虫けらが!!」

 

「てめぇこそ!随分とオレを食べるんだなぁ?ルーミア!!」

 

 

 

「……………これ、ルーミアさんだけでも宜しかったのでは?」

 

「いや、姫虫百々夜といったか?あやつの魔力と妖力は無尽蔵だ。それだけが取り柄とは言わないが、我らも戦う意味はある。」

 

 

 だが、妖力と魔力は無尽蔵と言っても絶対の無限ではない。やっとのことだが三分の二までは削ることが出来た。

 

 

「ふぅ……分かりましたわ。もう1戦ですわね?芳香ちゃん。アレの準備を。」

 

「分かったぞ〜〜せいがぁ〜!!」

 

 

 青雅は芳香に特別なお札を張り替えると、芳香の小さな身体が成人程の女性に変化し、トロンと無表情だった表情が、鋭い目つきの無表情になる。

 

 

「………………。」

 

「芳香。貴方にはあの大百足の頭呟いを攻撃してもらいます。」

 

「……………。」

 

 

 そして、動く死体は、無言で動き出して曲がる筈もなかった手足を空中を蹴るように高速で動き出して、姫虫百々夜に飛び蹴りを食らわす。

 

 

「グハッ!?」

 

 

 そして、動く死体は相手の頭を集中的に狙って素早い連撃で姫虫百々夜を攻撃していく。

 

 

「ふふふ♪EX芳香ですわ。こういうの、男児はお好きでしょ?ロマンは大事だとお聞きして、用意しておいたのよ。」

 

 

「まさか、そのような隠し札を、持っていたとは…………。」

 

「ですが、時間稼ぎとあの大百足の妖力と魔力を削ることしかできませんわ。私が芳香ちゃんに貼ったお札はまだ試験段階。あの形態の芳香ちゃんは道力の消費が、激しい。時間制限があります。

 

 これで私達に余裕が持てましたわ。さて、貴方ならこの余裕どうお使いになられますの?」

 

 

 そうか、そういうことか。こやつめ、私がまだ能力を使っていないことを見破っていたな?

 

 

 ああ、その通りだ。私はまだ天狗としての力しか使用していない。私の『星空を操る程度の能力』。これは些か戦闘向きではない。だが、一つだけ戦闘における使い道がある。

 

 

 本来ならば近くにいる味方の被害が大きすぎるので使うことは夢夢ないと思っていたが、今は西面の戦場は敵味方含むて全員が撤退している。敵は文やはたて達を追ったり、あの大百足に恐れをなして引き揚げた。味方は私が先んじて妖怪の山へと撤退と待機命令を出しているので周りには死体か私達しかいない。ならば今が私の能力の真髄の一部を使用する潮目だ。

 

 予備として近くに『呼び出して』おいて良かった。

 

 

「何を言っている、青雅殿。私はとうに能力を使用していた。ただ、実行していなかっただけだ。」

 

「あら?……それはどう言う意味かしら?」

 

「上空を見るといい。」

 

 

 

 私の言葉に青雅殿は静かに顔を上に向けて…………

 

 

 

「あら…………?」

 

 

 

 細目を動揺で大きく開かせて冷え汗を額に垂らした。

 

 

 

 そこには、数十メートルの隕石が遥か上空に浮いていた。それが今にも振り注ごうと大百足へと落下している。

 

 

「何か、勘違いしているようだが。私の『星空を操る程度の能力』は占いだけの能力ではない。星とは空の上に浮かんでいるあらゆるモノを操れるのだ。青雅殿。少しの間、避難することをお勧めする。私は大丈夫だ。私自身に効果は反映されない。」

 

 

「もうっ!早く言ってくださいまし!!龍さん!!芳香〜!!ルーミアさ〜〜ん。引き揚げますわよ〜〜!!!」

 

 

「………………。」

 

「そうか。あの若輩者。やっと本気になったのか?」

 

 

 姫虫百々夜を圧倒し続けていた常闇の妖怪と芳香はチラリと上を向くと、芳香は無言で常闇の妖怪は納得したかのように独り言を零して、姫虫百々夜に重症になるだろう攻撃で足止めした後、全力で妖怪の山へと逃げる青雅の後を追った。

 

 

 

 この時、飯綱丸龍は思った。そういえば、愛娘達はちゃんと私の注意勧告に応じて避難しているだろうか?

 

 

 

 そして、青雅達が妖怪の山の他の天狗達が避難していた白狼天狗の住処である洞穴へと飛び込んだ瞬間、飯綱丸龍の落とした幾つもの大小様々な隕石が回復して起き上がった姫虫百々夜へと降り注いで、大爆発を起こした。

 

 

 

― ドドドドドドーーーーン ―

 

 

 

 他の方面で戦っていた他の天狗達にも聞こえるほどの轟音が西面の戦場で響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 






 天狗の大将ってこんな攻撃が出来そうですよね。あくまで妄想と思いつきなのでスペルカード主体の原作では真偽不明ですが、解釈次第では出来そうですよね。

 それにしても、龍様の能力、よくよく考えたら怖いな……やろうと思えばもっと凄いことが出来そうですよね……。



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