化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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いや、本当すんません。少し遅れました。どうやら昨日の私は予約投稿を一日ずらしてやっていたようですね。


52羽:『八大天狗異変⑬』〜急〜

 

 

 

 

 私はこの時、とんでもなく幸運だった言えたんでしょうか。

 

 

 

 椛は目をつぶり静かに待ち受ける死中の訪れの予感を覚悟していた。そして、決死の覚悟で自らのに鞍馬大天狗の太刀が当たった瞬間に一太刀返そうと剣気を練っていた。

 

 

 

 椛は刃が振り下ろされたと思っていたが、椛に鞍馬大天狗の太刀筋は椛の衣服寸前で止まっており、そのことに気がついて薄目を開けていた椛は困惑してしまっていた。

 

 

 

 薄目だった目を恐る恐る椛が目を開けると、そこには握る直刀を私肌のギリギリのまま止めたまま、妖怪の山へと目線を向けている鞍馬大天狗様がいた。

 

 

 

 訳も分からず呆気に取られていた私に、彼女は、直刀を自らの鞘に滑らせるとチラリと見てきて、仕方なさそうに、残念そうにな様子でこう言った。

 

 

 

「……………どうやら、要らぬ邪魔が入ったようだな。あのボンクラ娘め。あれほどのむやみにあの能力を使うなと言った筈だ。

 ………犬走椛。この勝負、一旦引き分けとしよう。次の真剣にて対峙するまでに己の剣の腕を磨いておくんだな。だが…次は容赦も指南もせん。だから、犬走椛。その時は覚悟せよ。」

 

 

 

 と、そう言ったっきり、鞍馬大天狗様は椛に背を向けてしまった。

 

 

 わ、私は………生き残ったのか?死中から這い上がれたのか?………いや、生かされた。明らかに見逃された。剣客としての恥だ。ここで生かされた自分が恥ずかしい。

 

 極度の緊張と恥に固まっていた身体の解けて、そしてアドレナリンが抜けていくのを椛は感じてしまった。

 

 

「もみじ!!」

 

「椛先輩!!」

 

 

 私が両膝をついて体勢が崩れてしまう寸前に、ずっと私を見守ってくれていたはたて様と優月が私に駆け寄ってきて怪我をしていない方に腕を回して肩を貸してくれる。

 

 

「申し訳ございません。はたて様。貴方が『格好いい』と褒めてくださった剣で、私は負けてしまいました。」

 

 

 恥だろう。生かされたのだ。ここで散ればせめてもの救いがあった。しかし、優しいはたて様はそんなことを一切気にしておらず、純粋に私の頑張りを褒めてくれる。それが何故か嬉しくて頼もしさを感じてはたて様の成長を感じてしまった。

 

 

「うゔん。椛。椛は負けてないじ格好よがっだよぉ゙〜。」

 

「何を言っているんですか!!椛先輩!グスッ……全然格好良かったッスよ!!」

 

 

 私を優しく抱きしめて、グズりながらそう言ってくれるお二人。お二人は本当に優しいお方たちです。でも………なんだか疲れてしました。

 

 

 椛は安心すると共に笑顔で身体に力をグデェと抜いてしまっていた。しかし、そんな椛には達成感とその何十倍もの悔しさがあった。

 

 

 しかし、まだ自分には伸びしろがあることを知った。いや、教えて貰った。明らかな格上だろう彼女に。

 

 

 

 椛の視線には、部下達を連れて立ち去ろうとする鞍馬夏沙丸の背中。私はその背中を見た瞬間、力が抜けていた身体に力がまた戻っていき、そして椛は思わず声に出してしまっていた。

 

 

「夏沙丸様!!」

 

 

 夏沙丸様は横顔だけこちらに意識を向けて立ち止まってくださいました。

 

 私はその行為を私の話を聞いてくださっていると受け取って、酸欠で何も考えられない声を上げ続ける。

 

 

「もし、……もし、また次に会う機会があるのならば。……その時は私にお稽古をお頼み申し上げます!!」

 

 

 気がつけば、私はそんなことを無意識に口ずさんでいた。

 

 私は思わず頭を抱えてしまいそうになる程の羞恥心が私の心を包み込んでしまっていた。今も顔が熱いと断言出来る。

 

 そんな私に、夏沙丸様は意地悪そうにこう聞いてくる。

 

 

「そうか………なら?流派は変えるのか?」

 

 

 そんなの私は受け入れないだろうに、わざと彼女は意地悪を言ってくる。だが、私は強情で強欲だ。だからか、私はまた勝手に口が動いていた。

 

 

「いえ。流派は変えるつもりはありません!………ただ、私の剣として取り込みたいのです!!貴方の剣を!!」

 

 

 正直失礼過ぎたのかもしれない。だって、今。周りでは敵味方問わずざわめき声が聞こえてくるのだ。

 

 

 一白狼天狗である私が大天狗様にそのようなことを言うのは、事実上の上司の利用の宣言。

 そのことに気がついた私と、そんな私の両脇にいるはたて様と優月が顔を青ざめてしまう。

 

 

 うゔう………何故さっきの私はこんなことを言ってしまったのだろうか?本当に私は死にたいのか?

 

 

 そんなことを考えていた私は2度目の死の覚悟を抱こうとしたのに。その一方で、夏沙丸様は何故か突然大笑いをし始めた。

 

 

「ハッハッハッ!こ主、本当に剣の馬鹿じゃのう!!流派も変えようともせず、別の流派である我の剣を知りたいとな?ハッハッハッ!!だが、その奇抜で唯我独尊な考え、益々面白いぞ!!それにだ。我を利用しようとするまでのその剣に対するそなたの真摯な感情。益々気に入った!!!

 良いだろう犬走椛。次会った時、その時はシゴキ回してやる犬走椛。我の剣を教えることを許可しよう。

 …………だが、我とそなたのこの決闘を邪魔してくるこの一大事を乗り越えたらの話だがな?

 

 …………者共ー!自陣だけでなく、愛宕山の手勢にも呼びかけ密集隊形をとらせろぉー!!!」

 

 

 そう言って、今度こそ夏沙丸様は背を向けて自分が指揮する部隊に向き直って指示を飛ばしていきました。

 

 

 はて?なんのことでしょうか?私にとっては先程までの決闘が一難でしたが…………

 

 

 

「防御密集体勢!!奴の技で起こる衝撃がここまで及ぶまで時間がないぞ!!死にたくなければ私の近くにてしゃがんでいるのだ!!さもなければ死あるのみ!!」

 

 

 キョトンとしている私に、はたて様は私に状況を説明してくれました。

 

 

「お母さんが、何故か少し前に避難勧告を出してたの!!ここも被害範囲だって話を念話で聞いたんだ!!!!結構ヤバいって話だよ!!!!」

 

「えっ!?ホントッスかはたて様!!?」

 

 

 

 その言葉に私は過去の記憶を振り返り、何が一大事なのかを記憶の中から探し当てようとしました。

 

 

 

 

 

 飯綱丸大天狗様の能力は『星空を操る程度の能力』。

 

 

 

 昔、稽古の休みの時にお話をさせて頂いた時に、龍様はこう仰られていました。

 

 

 

『本当ですか?大天狗様?星を落とせるんですか?』

 

『ああ、そうだ。誰から聞いた?』

 

『ある白狼天狗の御老人からお酒の席にてお聞きしました。たしか、大天狗様の直轄のお偉い様で、階級は水無月のお方でした。』

 

『………あの阿呆め。新しい若々しい娘の部下が来たからといって鼻の下を伸ばし、自慢げに昔の私のことを話おって…………後でお仕置きだ。

 

 まあ、良い。教えてやろう椛。だが、他言無用だ。』

 

 

 この時の私はまだまだ一人前になった頃でしたので、一つ返事で頷いてしまっていました。この時、知るべきでは無かった飯綱丸様の恐ろしい能力のことを。

 

 

『威力が高すぎて中々使い勝手が悪いんだがな。確かに私は流星を意図的に行える。

 まあ、口で言うのもなんだ。今度、休暇で共に何もない荒野の方に遠出して本物の『流星』を見に行くか?凄いぞ?私の『流星』は。山が軽く吹き飛ぶからな。』

 

 

 山が吹き飛ぶ?やめておきましょう。ハイ。忘れます。

 

 

 

『………………イエ。遠慮イタシマス。』

 

『遠慮しなくとも良いのだぞ?椛?』

 

『イヤデス。私がショック死してしまいます。』

 

『そ、そうか?なら仕方がないが』

 

 

 

 その記憶を思い出して、力の抜けていた身体に力が入ります。そして、同時に何度目か分からなくなった顔を青ざめが起きました。

 

 

 …………大天狗様?何をしていらっしゃるんですか?私達諸共吹き飛ばすつもりですか?

 

 

 私を背に乗せたはたて様は部隊を引き連れて少し遠くにある敵の陣内へと向けて悲鳴を上げながら全速力で走り始めました。

 

 

 

「「「きゃあああああ〜〜〜!!!!」」」

 

 

 

 

 やっぱりこの時の私は不運だったのかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼と、愛宕山大天狗が轟音や暴風を巻き散らかしながら激しい戦闘を繰り返している。

 

 

 鬼は霧を出したり、自らを霧に変えて散開させたりしていて、愛宕山大天狗は先程とはまるで違う速さと幻影で対抗している。

 

 その戦闘は化かし合いの最高峰と言えるような怒涛の戦いだと言えた。

 

 

「す、………凄い………。」

 

「……………。」

 

 

 

 今は三ノ巡回隊も零の部隊も戦いを忘れており、誰もが2人の戦いに魅入ってしまっていた。

 

 

 

『『ちょいちょい。え〜とぉ………確かぁ〜〜〜、射命丸文と黒柳飛燕だったっけ?あんたら?』』

 

「ん?」

 

 

 

 その時、私と文の服の間から先程の鬼の声が聞こえてきた。転がったままの私がまだまだ治療中でなんとか動かない身体を動かして仰向けになって服の中を覗くとそこにはヨッコイセと言いながら文字戻り手のひらよりも小さい頃鬼が私の谷間から這い出てきていた。

 

 

「ひゃあっ!?痛っ!!」

 

 

 私は驚いて身体に力を入れてしまい、痛みにまた苦しんで悶えてしまう。うゔう……、今は驚かせないでよ〜〜。

 

 良く聞いてみると、文の中にもこのヒトの分身?がいるようで私と文の服の中から共鳴して聞こえてくるのはなんだか変な気分だった。

 

 そんな彼女は不思議そうに私を見てからかうように私にある提案をしてきた。。

 

 

『『なんだい?それくらいで驚かないで欲しいねぇ。今治療中なんだから動かないでおくれよ。』』

 

 

「治療?」

 

 

『『今、あんた達の深手の傷は私の『密と疎を操る程度の能力』で治療しているんだよ。』』

 

 

 中々凄いことをしてない?この鬼のヒト。

 

 

 

『『黒柳飛燕。あんたの口噛み酒は私の部下や勇儀達にも好評だったし、ここで失うのはやっぱり惜しいと思うんだ。射命丸文の成長もこれから楽しみだし。

 兎に角、後少しで私の他の分身があんたらの怪我を直し終わるんだからあんたらは逃げなよ?この天狗の相手は私がしとくからさ。あんたらが逃げても天狗に気が付かないようにしとくからさ。な?』』

 

 

 凄い幸運だ。あの時の夜に出会ったのがこの鬼だったなんて。それにこの鬼の言っている正直凄く魅力的な提案だった。

 

 今の私と文では実力不足感なのは否めない。足手まといになるなら逃げるべきなんだ。

 

 私は、その提案に凄く乗り気になっていた。文に励まされたとはいえ、やっぱり怖いものは怖い。それが私なのだ。戦いよりも皆で笑い合うことが好きだから、戦わなくて済むのなら戦いたくない。

 

 

 

 でも、文はそう思わなかったようで不機嫌そうに口を閉ざしたままだった。

 

 

「……………文?」

 

 

 

 文の感情が悔しさに満ち溢れている。

 

 

 そんな文は陣内だった地面の土を握りしめてまだ動けない筈の身体を起き上がらせようと必死に藻掻いていた。

 

 

「まだ、動いちゃ駄目だよ!文!!」

 

「うるさいっ!飛燕!!あんたは悔しくないの?あんな戦いを見せられて!!!それで自分たちは這いつくばったまま?そして尻を巻いて逃げの?巫山戯ないで!!」

 

 

 その文の言葉に私は息を飲んで押し黙ってしまった。

 

 

 文はまだ諦めていなかった。私達とは天と地の差があるだろう戦いを見せつけられても文は諦めて居なかった。

 

 

 そんな文に、鬼は静かに反対の意見を出す。

 

 

『『その心意気は正直感服するけどねぇ。あんたらはまだまだ実力不足さ。まだまだ実力は伸び代があるんだ。若い芽は詰んで欲しくない。』』

 

 

 私も鬼の意見に賛成だ。無駄に命を散らすよりも今は逃げて後で成長してから勝てばいいんだ。恥らいだってあるけど、それよりも命だ。

 

 

「私は私の覚悟を持ってここにいるの。それをあんたが、あんたの価値で決めつけていた判断しないで!」

 

 

 その言葉は、一見子供らしい我儘のように聞こえたが、私は知っている。文のその覚悟の重さと、その執念を。

 

 

『オ〜ホッホッホッ!!鴉(天狗)は執念深いのよ〜〜〜!!』

 

 

 私は昔のことをまた思い出してしまい、思わず呆れ笑顔になってしまっていた。

 

 

 文は自分の目的の為なら何でも使う。例えそれが無理だったとしても一から作って十に作り替える。私との下僕契約をしようとした時だってそうだ。結局は失敗して『対等』の契約を結んでいるけど。

 

 今でもあのやり方は下種な感じは拭えない。でも、昔からある文の『独り立ち』という目標の為に手段は選ばない。それが文だから。そこが私にはない私が文のことを尊敬している所だから。

 

 何せ自分の命までかけるつもりなんだから。

 

 

  だから、私は文のその真っ直ぐで直向きな心に白旗降参してしまった。

 

 

 文は私をチラリと見て確かめるように手を握る。私に絶対の信頼を込めて。

 

 

「飛燕!!命を掛ける覚悟はある?致命傷のまま戦う覚悟は?」

 

 

 文の握る手を私は静かに掴み返した。私は文が求めることならなんだってやりたい。私は文、文は私なんだから。

 

 

「うん!もうヤケクソだ!!行くとこまで行くなら例え黄泉でも地獄でも一緒だよ!!」

 

 

 

 既に消えかけていた私の闘志の炎は再び灯されていた。

 

 

 

『『はあ………駄目だこりゃあ。私がこれ以上何を言っても無駄になりそうだ。分かったよ。ハイハイ。これが若気の至りなのかねぇ〜。若いってのは愚かでそれで羨ましいものなのかねぇ…………はぁ〜〜。』』

 

 

 

 諦めの溜息と声が文と私の服の中から聞こえてくるのを尻目に、文はまだ痛むだろうそのボロボロな身体を起こして、まるで痛みなんかないかのように太陽のような笑みを浮かべて私を立ち上がらせてきた。

 

 

「『黒柳飛燕』!!私は貴方、貴方は私。これから私達は一つとなって貰うわ。」

 

 

 ははっ……いつだって文は私を振り回していた。まるで軽快な風のように、私の心を掬い上げてくれていた。

 

 

 そして、私は文に引っ張られる形で立ち上がらされて会えてニヒルに文に笑いかけた。その笑顔に答える為に。怖い感情を勇気とほんの小さな背伸びと強がりに変えて。

 

 

 

 この時の私は今までの関係が変わることに悲しさではなく、新しい文との関係を得られることに感動していた。やっと、私は文と一つになれる。そのことが凄く嬉しかった。

 

 

 

「やれやれ。こりゃまたこき使われることになりそうだね?

 

『射命丸文』。貴方は私、私は貴方。私は文と一つになることをここに誓おう。」

 

 

「ふふ………、黒柳飛燕。ならば、ここに印を。」

 

 

 そう言って、文は左手の甲に唇を当てて、私にその左手の甲を差し出してくる。

 

 

 それを私は片膝をついて、文の手の甲に唇を当てた。

 

 

 その瞬間、文と私の周りにあの時の夕方のように光のエフェクトのようなモノが溢れてきて、私と文は完全に繋がった。

 

 

 

 

 そう、契約。その内容は『一心同体。』

 

 

 

 文と化けガラスである私の新たな契約だった。

 

 

 

 

 ― ダダーーーーーン ―

 

 

 

 その時、そんな文と私を祝福するかのように、遠く見える妖怪の山付近で隕石が振りそそいで西面の戦場を綺麗な光に包みこんでいた。

 

 

 そう、隕石が。私達には心地よい強い風が吹き荒れていて、その勢いのある風が今の私達にお似合いに感じられた。

 

 

 

 …………………………。

 

 

 ……………。

 

 

 ………。

 

 

 

 

 

 

 

  ……………………えっ!?隕石!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 前回の龍様の暴走の被害会でした。それでいいのか私?


 A.妖怪同士の戦いなんだから楽しく軽快な方が東方らしくていいじゃん?


 …………確かに。なら、いいか。

 それにしても、長くなったけどこの異変も終盤か〜。なんとか走り切れたなぁ…。修正が大変だったよ。本当に。


読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!

  • 可愛い! ここに皆入れてね!
  • 格好いい! そう?まあそれもありだね?
  • 美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
  • 変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
  • 人情姉さん! 私についてきな!君達!
  • 大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
  • 乙女だよ! 分かってるねー!
  • 人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
  • 未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
  • もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
  • ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?
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