インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 作:妖刀
それからピットに戻って最初に見たのはキラキラした目をする一夏と、苦笑いをする楯無、そして少し厳し顔をする千冬であった。真耶と箒はすでにおらず、航は機龍を解除して待機状態の手甲にする。
そして航の前に腕を組んだままの千冬が立った。
「では篠栗、お前のISに制限を付ける」
それはいきなりのことであった。
「織斑先生、それはどういうことです?」
航がそう言った時、千冬は溜息を吐いて機龍の情報を航に見せ、それを見た航は驚愕の表情を浮かべた。
「これ……、本当なんですか?」
「使っていたお前が気付かないでどうする」
航が見たもの、そこに書かれていたのは機龍のスペックであった。
四式機龍
シールドエネルギー:67431/68000
特殊システム:●●●system
そう、機龍のシールドエネルギーは通常のISの軽く20倍以上はあるのだ。打鉄で大体2500、ラファール・リヴァイブが2000、白式が2900である。これでは戦ったセシリアはいくら善戦しようとほぼ勝利はなかっただろう。
あとシールドエネルギーはISのスラスターなどを使った移動の時にも消費する。これが多いということは機動力にも余裕があるということだ。
実際のこのスペックは軍用機と同様と言っても過言ではなく、
そしていくつか謎で隠されている。これは何を意味するのか分からないが、とりあえず航は溜息を吐いた。
「まあ、これで制限を付けるならしょうがないですよ……ガフッ」
この時航は口から多量の血を吐いた。べしゃべしゃと音を立てて床を汚し、来ていたISスーツも赤く染まっていく。
「えっ……、何コレ……」
吐いた本人もいきなり何が起きたのかわかっておらず、血で赤く染まった両手の平を他人事かのように眺めていた。
だが周りは航みたいにのんびりしておらず、千冬は救護班を呼び出しに行き、楯無は近くにあったベンチに航を寝かせる。だが一夏は今までこんなことがなかったせいか動きが固まっており、とりあえず二人の邪魔にならない様にしていた。
「えっと、俺大丈夫だから?」
航はそういうが顔色が一層に悪い。楯無は動こうとする航を楯無は目に見えないほどの速度で放った手刀で無理やり眠らせる。
「ごめんね……」
楯無がそう小さくつぶやいた後、救護班が入ってきたのであった。
そこは海がきれいな無人島。航はそこの砂浜で目を覚ます。
「ここはどこだ?」
起き上がって周りを見渡すが誰もいない。自分はさっきまでIS学園にいたのではなかったのか?だが今いるのは南国ともいえる島だ。
航は周りを歩いてみる。そして近くにあった森の中に入り込んだ。
「クゥ~」
「グルゥ……」
その時だ、森の奥で何かの声がした。今まで聞いたことのないような声だったから、航は声のした方へと走っていく。そして近くの草に姿を隠しながら見たのは、2頭の獣脚類の恐竜であった。
2頭とも肌は黒色の凸凹で、昔の図鑑に書かれたかの様な尻尾が地面についている。
一頭は地面から頭までの大きさは身長が12メートルぐらいだろう。鋭い歯などが見えるが割と大きいが怖いなどの恐怖は感じない。そしてもう一頭は身長が5メートルぐらいか?大きい方に甘えるかのようにすり寄っており、大きい方がその頭を舐める。
「何か、どこかで見たことあるな……」
航はそう呟き、2頭を飽きるまで見ていた。
この後、近くで始まりを示す災厄が落されるのを知らずに……。
「はっ!?」
航は目を覚ましして勢いよく半身を起き上がらせた。先程までピットにいたはずだが、ここは壁が白一色だ。そして自分の腕に点滴が刺されており、消毒液臭いにおいからここが病室だと判断するまで時間はかからなかった。
「それにしても……あの夢は何だったんだ?」
顎に手を当てて考えるが、結局何だったのか分からず、考えるのをやめて近くにあった窓から外の様子を見る。既に日は西に傾いており、まさに海に太陽が沈んでいるように見えた。
この時病室、もとい航がいる部屋の扉が開いた。
「航、起きてるかな……、あ」
「おっす、刀奈姉」
入ってきたのは更識楯無である。腕にはお見舞いの品か果物が入った籠を持っており、中には航が好きなバナナがたくさん入っていた。
「せ、先生ー!」
そのあと楯無は医者を呼びに病院の廊下を駆けていき、注意をくらうのは別の話である。
その後医者に診断された後、今日は休むように言われ、そして二人っきりの病室である。
「ねえ航、なんで
「えっと……、何でだ?」
それを聞いた楯無は溜息を吐く。
「あのね、2日前のクラス代表決定戦でオルコットちゃんと戦った後にピットに戻った後に吐血をしてここに運ばれたの。そして診断結果は内臓の損傷と数か所骨折。これってどういうことか分かる?」
「えっと……、あ、あ!?」
顎に点を当てて考えていた航だが、何かに気付いたのかバッと楯無の顔を見る。
「生体保護機能が働いてない!」
「正解。普通のISだと色々な方向にかかる重力に対して保護機能がオートでかかるんだけど、機龍は元からそれが働いてないの。これは航の体が頑丈だったから助かっただけで、普通の人が乗ったら恐らく死んでるわ」
普通なら死んでるという言葉に冷や汗を流し、改めて自分が人外だと思い知らされる。
「やっぱり俺、化けもんかよ……」
そう言って自虐的な笑いが出てきたが、この時頭に手をポスっと置かれた。そして
「大丈夫、化け物だったとしても私は怖がらないから」
そう言って優しいを笑み浮かべて頭を撫でてきたため、顔を少し赤くして俯く航。
「それにしても航の回復力は凄いわね。数週間は治るのにかかる内臓も骨もすでに完治してるもん。医者が訳分からんって匙投げてたわよ」
この時航はとあることを思い出して顔を上げる。
「刀奈姉、そういや俺ってどれくらい寝てたの?」
「そうね……、大体2日ぐらい?」
「うん、俺化け物だ」
その後お腹が鳴ったため、楯無からお見舞いの品のバナナをほおばっていくのであった。
「はい、あーん」
この時皮をむいたバナナを楯無は航の口に向ける。航は口の中に入れていたバナナをさっさと飲み込んだ後、出されたバナナを見て楯無の方を見る。
「えっと刀奈姉?」
「あーん」
「え、えっと、あーん?」
そしてバナナにをかじる。
「美味しい?」
「うん、美味い」
そう言ってお互い笑いあう。そんな空間が夜まで続くのであった。
ここは日本海溝。水深7000メートルのところに『ヤツ』はいた。
『ヤツ』はすでに錆びついた『ヤツ』に似たのを抱きしめており、時折口から気泡が漏れる。
「グルル……」
この時、何かを感じて『ヤツ』は少し目を覚ます。そして大きな体を少し揺らして上に積もった泥などを払い落としていく。
「グォォ……」
違和感を感じた。
その感覚は自分と、隣にいる『コイツ』と同じ気配を感じさせる。なぜ自分『コイツ』と同じ気配を出せるやつがいるのかそれが疑問でしかなかったが、『ヤツ』はその気配が昔のおとなしい頃の自分と重なっていたため、無害だろうと判断して再び眠りにつこうとする。
だが『コイツ』と同じ気配が自分の気配と同じところから出るのがいささか疑問だ。
だが考えるのがめんどくさくなった『ヤツ』は再び眠りにつこうとする。
その時上からカプセル状の物が幾つか落ちてくる。それが『ヤツ』の頭にコツンコツンと当たった時にイラッときたが、落ちてきたものを見てそのイラつきも消える。
そこに書かれていたもの、それは
『放射性物質につき、取扱注意』
見た目は何かのカプセルにも見えるが、ロケットノズルがついてることから核弾頭の部類だろう。なぜこんなところに来たのかは疑問だが、『ヤツ』にとっては格好の餌だ。『ヤツ』は核弾頭を掴んで中の放射性物質を吸収する。この時背びれがチカチカと青白く光り、吸い取った後の残骸をポイと捨てた後にまだ落ちてる核弾頭を掴んで行って先程の行動を繰り返す。
「グォォォ……」
嬉しそうな声を上げた後『ヤツ』は満足したのか再び眠りにつく。
見る夢は自分が自分でなかった頃のあの森の出来事。あの火に飲まれ、自分が自分でなくなる夢を見、『ヤツ』は少し苦しそうな呻き声を上げるのであった……。
そして深海は再び静寂に包まれる……。
実は細かい調整をしていないせいで機龍の性能がトチ狂ってたりする。
奴が目覚める、だがまた眠る