インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 作:妖刀
では最新話、どうぞ。
ここは第三アリーナ。そこには一夏、航、箒、セシリアの4人がおり、全員が自分の得物を構えている。航は遠距離用の武器の安全装置を解除してるだけだが。
男対女の形で並んでいる4人。その間には火花のようなものが散っており、まさに一触即発ともいえる空気であった。
『一夏、俺が下がってオルコット狙うから、箒をタイマンで潰せ。その後セシリアのシールドエネルギーが残っていたら仕留めても構わん』
『わかった』
『じゃあ俺が先制攻撃を仕掛けるから……』
『航。俺、セシリアとタイマンをしたい』
『はぁ?まあいいわ。なら……』
『箒さん。恐らく一夏さん達は近接、中距離で別れさせてくるつもりですわ。ですから二人で一夏さんを倒して、そのあと航さんに仕掛けますわ。(一夏さんはたぶん倒せるのでしょうけど、航さんは見込みが……』
『……?まあわかった。要は常に2対1を作るってことであろう?』
『そうですわ』
お互いのチームは
この試合で審判をするのは楯無。いつもの雰囲気はどこかに行き、キリっとした雰囲気を纏っている。
「では今から織斑、篠栗対篠ノ之、オルコットによるタッグマッチを始める。……はじめ!」
そして楯無の掛け声と共に始まった試合。先制攻撃制したのはセシリアであった。
「初めいただきますわ!」
一夏にロックを向けてスターライトm-3でレーザーを放つが、その間に航が入り込み一夏の盾になる。その行動にセシリアと箒は盾になるという予想外の行動に驚いて動きを止めてしまう。
そのときだ。機龍の口が開き、口内が一瞬光ったかと思うと、そこから雷かと思える光線が放たれたのだ。
2連装メーサー砲。機龍の口内に仕込まれた兵装だ。
「箒さん」
「あ、あぁ!」
光線は二人の元へ走り、二人はとっさの判断で避けるがセシリアはBTビット2機使用不可にされ、箒は反応に遅れたせいでシールドエネルギーが大きく削られる。
「一夏、いまだ!」
「おう!」
そして航の後ろにいた一夏はセシリアの元へ向かう。箒はまさかの行動に驚いたが、セシリアの元へと向かわせない様にしようとしたが、
「くぅぅ!?」
だがいきなり地面に叩きつけられたのだ。地面にたたき伏せられながらも見たのは、自分に背中を見せている航の姿。だがそれで分かってしまったのだ。尻尾で叩きつけられたのだと。
だがそれで負けるだけの箒ではなく、すぐに抜け出して近接ブレードを展開。そして装甲の貼られていない黒い部分、関節部分目掛けて切りかかる。
だが航もそう簡単にやられるわけでもなく、体を回して尻尾を箒の横腹に当てようとする。箒はブレードで受け止めるが、力負けして一気に吹き飛ばされ、そのまま機龍の爪をを使った追撃によりシールドエネルギーが一気に削られ、規定値以下になったため戦闘不能になる。
「くそっ!」
箒は地面を殴って航を睨みつけるが、航はそれを無視して一夏とセシリアが戦っている上空を見つめる。箒は悔しそうな顔をするが、航が一切動かないことに疑問を持ち始める。
「航、一夏の援護に向かわないのか?」
「別に。一夏が代表候補生であるオルコットにどれくらい食らいつけるか見てるだけだ」
全身装甲のため航の目は分からないが、その目は真剣なものなのだろう。箒は何も言えず、ただ一夏とセシリアが戦っている空を見つめるのであった。
(くっ……!前戦った時でもヒヤッと来たのにここまで強くなってるとは思いませんでしたわ……!)
セシリアは先程の2連装メーサー砲でBTビットが2機使用不可にされながらも、一夏と空中で奮戦していた。
セシリアはビットを飛ばしながら一夏を近づけないようにしているが、それでも一夏は嫌っていうほど突っ込んでくる。いや、ただ突っ込んでくるわけではないのだ。
「おらおらおらぁ!」
「くっ!」
一夏は手に持ってる楯無から借りたマシンガンの弾をばら撒いてビットに牽制を掛ける。だがマガジンは今付いてる分しかないため、少し慎重になりながらもばら撒いていた。
だがそう簡単には当たらず、ついに。
「しまった、弾が!」
引き金を引いても弾は出ず、ついに弾切れを起こし、セシリアはそれを勝機と見たのかビットとスターライトmk-3のロックを一夏に向ける。そして、
一夏が目の前から消えた。
「なっ!?どこに行きましたの!?」
セシリアはいきなりのことでターゲットスコープから目を離し、周りを見渡す。その時自分にいきなり影ができたことに疑問に思い、上を向くと、そこには雪片弐型を振りかぶって自身目掛けて突っ込んでくる一夏の姿であった。
「ここだぁ!」
一夏がいたのは真上。ちょうど太陽と重なるところである。それでハイパーセンサーがあっても少しのタイムラグで反応に遅れてしまい。
「……負けましたわ」
そして一夏が初めて代表候補生に勝利した瞬間であった。
その後時間が時間だったため、全員は解散し一夏と航が更衣室に入った時であった。
「一夏、航、お疲れ!」
「お、鈴か」
一夏は鈴がなんで更衣室にいるのか気になったが、まあ飲み物を渡してくれたため、そのことはすぐに空の彼方へと消えていく。
「それにしても鈴。ここ男子更衣室なんだから少しは考えろよな」
「別にいいじゃない。私は一夏に会いに来ただけだし。あ、それと航。はい、お茶」
「サンキュー」
航は鈴の行動にあきれるが、お茶をもらったため、それに口を付ける。そして3人は中学の時の話で盛り上がり始め、気付けば最近のことの愚痴に変わっていた。
「だってさ、周りの女子達の視線が痛いんだよ?初めての実習で道を塞がれて二人仲良く遅れるし。それで千冬姉から叩かれるし……」
「一夏、本当に大変みたいね……。そういう航は?」
「俺?ここに入って初日に眉間から血が流れた」
それを聞いた鈴はキョトンとする。そして目をぱちぱちと瞬きし、プルプルと震える指で航を差す。
「えっと……、何があったの?」
「いや~、一夏が木刀で貫かれそうになってて、それに俺が巻き込まれたって訳。まあ、いつもみたいにすぐに傷塞がったけどな。おまけに謝ってもらってないし」
そう言って笑い飛ばすが、鈴は俯いてプルプルと震えている。一夏と航は何事かと思い聞こうとするが、
「一夏!あんたの同室相手、女子だったわね!」
「お、おう。さっき戦ってた「篠ノ之箒ね!」そ、そうだ」
何か怒ってるらしく、一夏は驚きの表情を隠せない。航はなぜ鈴がここまで怒ってるのか見当がついたが、ここまで鈴が怒るとなると、やはり箒の行動は相当不味かったみたいだ。まあ『箒』から『篠ノ之さん』に呼び方を変えようとしている航からしたら半分どうでもいいが。
「一夏!大体航が頑丈だからって、怪我した後に箒を叱ったの!?」
「い、いや」
「「はぁ!?」」
ここで航と鈴の声がユニゾンする。怒ってないって……。
「一夏」
「は、はい」
この時の鈴の声は、何か恐怖がある感じだった。言葉にするのも難しいほどの感覚に一夏は戸惑い、その時鈴に手首を掴まれる。
「一夏。さっさと同室相手を変えましょ。怪我させておいて一切謝らないヤツは男女関係なしに危険な奴よ」
「ちょ、鈴。待ってくれ」
「何よ、早くしないと」
「いや、着替えさせてくれ」
現在一夏と航の姿はISスーツだ。そのため、外に出るには制服に着替えなければならず、それに気づいてなかった鈴は顔を真っ赤にする。
「ご、ごめん。外で待ってるから」
そう言って鈴は急ぎ足で更衣室を出て行くのであった。
「……一夏、さっさと着替えるぞ」
「お、おう」
そして二人はさっさと着替えて鈴と合流するのであった。
「というわけだから替わって」
「だが断る!」
「何ですって!?」
「なんだと!?」
「おいおい二人とも……」
ここは一夏の部屋の前。そこで鈴と箒が口喧嘩をしていた。一夏はその二人を止めようとするが、航にやめておけと制されたため、おとなしく二人を見守ることにする。
「だってそんなに暴力を振るうのは一夏が嫌いだからなんでしょ?なら私が変われば問題ないじゃない。それとも別の理由?」
「一夏のことは嫌いじゃない!」
「ならなんで暴力振るうの?航にも怪我させたらしいから、そんな危険人物一緒に住ませる危険だと思うんだけど」
「誰が危険だ!」
「「お前だ」」
この時鈴と航がハモって箒を指さす。箒は顔を真っ赤にして、鈴にどこかから出したのかわからないが、竹刀を一気に振り下ろすが、
「あぶないわね。あんた、そうやって暴力振るうわけ?」
鈴は右手にISを部分展開しており、それで受け止めていたのだ。そして鋭い目つきで箒を睨み、箒はビビったのか、数歩後ろに下がる。
まさか鈴がIS、しかも専用機を持ってるとは思わなかったのか、箒は悔しそうな顔をしており、航と一夏は驚いた表情を浮かべていた。
「へー、鈴。お前専用機持ちか」
「そうよ。名前は
へー、という二人。だが箒の言葉で鈴と再び言い合いになってしまい、その後寮の見回りでやってきた千冬によって二人とも出席簿で頭を叩かれるのであった。
その結果、1週間後ほどに部屋替えをするからそれまで我慢しろとのことだった。鈴はそのことに抗議するも、結局は何も変わら無いことに悔しそうな顔をしており、対照的に箒はご満悦な顔をしている。
「すまない、鳳。できるだけ早くしてやるから我慢してくれ」
この時、まさか千冬に謝られるという展開に鈴は驚きを隠せず、まあこうされたら仕方がないと思ったのか、鈴は引き下がる。
そして千冬が寮の見回りで消え、箒も部屋に戻ったため、一夏は部屋に戻ろうとするが、
「待って、一夏」
「どうした、鈴?」
この時の鈴は、さっきみたいに威勢のいい姿ではなく、もじもじとしている普通の女の子みたいになっており、一夏はいったい何のか首を傾げている。
「あのね、中学2年の、あの約束覚えてる?」
「約束?……ああ、あれか」
「覚えてるの!?」
鈴が思い出すは引越しをする数日前の誰もいない教室でのこと。その時言った酢豚のを覚えてる。てことは……。
「鈴、俺の夢が叶うまで……、待っててくれないか?」
一夏が答えた。あの朴念仁で唐変木の一夏が答えた。
この時鈴の顔は真っ赤に染まっており、頭から湯気が出ている。そして何かあうあう言っているため、一夏は苦笑いを浮かべながら頬をポリポリと掻いており、その光景を見ていた航は
「帰ろ。何かむかつく」
その一言を残して部屋へと帰るのであった。
クラス代表リーグマッチ。観戦席は満席になっており、航は席を取ることができなかったのか、観戦席後ろの壁に寄りかかっている。
一夏は選手のため、控室で待機しており、楯無はこの間にポップコーンとかを買いに行っている。
その時だ。アリーナの真ん中に設置されてる電光板に対戦票表が出されたのだ。
「お、一夏の相手は……。お、おう……」
航は微妙な反応をしてしまうが無理はない。だって対戦表に出されていたのは……
第一試合
一組代表:織斑一夏 VS 二組代表:鳳鈴音
一夏はとあることがあって鈴の好きという気持ちに気付いただけです。だから結局他の人に対しては鈍感のままです。
次回はクラス対抗戦。楯無に鍛えられた一夏の実力とは?