インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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どうも、最近風邪気味の妖刀です。季節の変わり目は風邪をひきやすいので皆さん気を付けてくださいね。じゃないと自分みたいに痰が出たときに、血で真っ赤に染まってるかもしれないので

では本編どうぞ!


昔話

周りが静かになる中、厳は語り始める。

 

「そう、あれは儂がまだ40手前ぐらいの時だ。あのときは確か……、時は今から41年前。2003年まで遡るな。

当時39ぐらいだった儂は、友人に呼ばれて品川の方に来たのはいいが、飲酒運転による交通事故で轢かれてしまい近くの病院で入院していたんだ。

あの日はうんざりしたよ。友人に呆られ、妻に心配かけてしまったことを思い出して項垂れるし……。

儂は先程の憂鬱を忘れようと新聞を開くんだが、そこに書かれているのは『ゴジラ出現!』『機龍暴走!』『五十嵐内閣解散か!?』などと書かれてて、この内容にもうんざりした。どこの新聞も似たようなものばかりで読みがいがなく、仕方がなく新聞をとじて窓の外を見るけど時間がまだ夕方だったか?それで外見ても特に何もないし。

その後暇になりながらも気づけば夜。その時奴は来たんだ」

 

厳はあのときの光景を思い出す。炎で赤く染まった空。崩れゆく建物。その奥に見える山のごとくでかい黒い影。あの恐怖は今になっても忘れられない。

 

「奴は、ゴジラは後に聞いた話だと東京湾から侵入。途中で自衛隊が住民、病院に退去命令だしてたらしいが儂はそれに気づかず、病室でのんびりしていた。それに気付かない儂もあほだったな。

おかげでゴジラの歩く振動でやばいって判断したときは本当に怖かった。だって窓からゴジラが肉眼で見えるんだぞ?

傷はそこまで深くなかったから軽く走る分は問題なかったから、ギリギリの速度で急いで病院の玄関まで走っていたら、隣に子供を抱えた看護婦さんがいて、肩を貸してもらって玄関を出たんだ。そしたら目の前、距離にして1キロもなかったと思う。ゴジラが立っていたんだ。ヤツは口が青白く輝き始めて、熱線を放とうとしていて、儂は近くにいた自衛隊に庇われながら伏せたんだ。あの時は本気で死ぬかと思ったさ。どう見ても逃げられない距離だったからな」

 

ここまで語って一息吐く厳。そして立ち上がって厨房に戻った後、手に水の入ったコップをもって戻ってきた。

この時、自分の手が震えてることに気付き苦笑いが浮かぶ。

ああ、やっぱり今も怖いんだな……、と。

 

「爺ちゃん。無理しないでくれよ。手が震えてるぜ?」

 

「わかってる」

 

孫に心配されながらも語ることだけはやめてはならない。これは自分ができる、最大のことだと思ってるからだ。

そして厳は語るのを再開する。

 

「ヤツは熱線を放とうとしたが、いきなり何かに吹き飛ばされて儂の視界から消える。代わりに立っていたのは、三式機龍。そう、使用停止が言い渡されたはずの三式機龍だったんだ。

あの時理解したよ。子供がなぜ大きなロボットをかっこいいって思うか、儂はしっかりと理解した。

その後近くにいた自衛官の男が車に乗せて避難所まで移動してくれたのはいいが、いきなり地響きで目の前の道が瓦礫でふさがれ、避難所に行けなくなったんだ。

その後自衛官の男は看護師を背負い、儂は一緒にいた子供を背負って、自分の足で避難所へと向かったよ。揺れる地響き。ゴジラの鳴き声。倒壊する建物。いつ儂たちが死んでもおかしくなかった。

だがな、やはり何事もなく着くことはなかった。弾、儂の背中の傷覚えているか?」

 

「ああ、覚えているけど……」

 

弾が思い出すは、小さいころに祖父と風呂に入った時のことだ。厳の背中は大小さまざまな傷跡があり、まるで戦場にいたのではないか?と思ったほどだったという。

 

「あれはその避難しているときに負った傷だ。ゴジラの咆哮や地響きで割れたガラスや瓦礫が儂らの上に降ってきてな、儂は子供を庇い、背中にいくつもの瓦礫が降り注ぐ。それで血塗れになりながらも避難所を目指した。あの時の子供の『おじちゃん、大丈夫?』って言葉は今も覚えてる。

その後、なんとか避難所に着いた儂はそこで治療された後、完全に疲れて壁に寄りかかっていたな。それから1時間か2時間たったぐらいか?いきなり避難所が停電を起こしたんだ。当然周りは大パニック。自衛官の人たちが落ち着いてください!って言ってたが、あんまり効果なかっただろう。

儂はその後痛みをこらえながら避難所の3階まで上って、窓から外の景色を見るとあたり一帯が大停電を起こしていたんだ。その中でやはり聞こえる奴の咆哮。

それにおびえながら避難所の布団に包まっていたら、気付けば朝になっていて、ゴジラの姿はどこにもなかった。

明るくなって見た街の景色は、酷かった。嵐が通り過ぎたと言っても過言ではないほどにな。殆どが倒壊しており、更地ともいえる状態だった。中には自衛隊の粉々に吹き飛んだ戦車とかがあったな。

その後儂は実家、もとい五反田食堂近くの病院に搬送され、恐怖のせいで精神的に病んで約10月後に退院したってわけだ。まあ、その間に妻に心配されて、怒られたりしたがな。

儂はもう、こんな体験はしたくない……。あんなのはもうこりごりだ……」

 

そう言った後、手に持ってたコップに入ってた水を一気に飲み、息を吐く。顔は疲れ切った表情を浮かべており、周りはそんな厳を心配そうに見つめる。

そして厳は、締めくくるかのように笑みを浮かべた。

 

「さて、俺が体験した話はここまでだ。どうだったか?まあ、感想は言わなくてもいいが」

 

そう言って厨房に戻っていく厳。五反田食堂は、この時全員何も喋らずにいた。ただ、全員俯いており、とても暗かった。

 

「……蘭。あんたの爺ちゃんがこんな怖い思いしてるのに、よくあんな事言えたわね」

 

「……はい」

 

俯いた状態の蘭は、蚊の鳴くような声で返事をし、鈴は小さくため息を漏らす。

やっぱり一夏目当てでそういうのを考えてなかったか。予想はできていたからそこまで大きなため息が出なかったが、やっぱりかとなってしまう。

その後この場にいる人は殆どしゃべることなく、IS学園3人組は五反田食堂を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

あれから五反田食堂を出た3人は帰路についていた。

航に特に別状はなかったためよかったのだが、何か喋りずらい空気だ。

航はこの空気が疲れたのか、それとも楯無に会いたいからなのか分からないが、さっさと帰る手段を使うことにする。

 

「……二人とも。俺、先戻るから」

 

「どうしたんだ?」

 

「ちょいっと用事を思い出した」

 

そして航が走って先に駅に向かってしまったため、一夏と鈴の二人っきりになる。いきなり何なのだろうか?そう思う二人だが、鈴はとあることが思いつく。

まさか、二人っきりで頑張れと!?

それを意識しだしたら最後。鈴の顔は赤くなり、一夏はまあいいか、と頭をポリポリ掻く。

そして二人ならんで駅に向けて歩き出すが……、結局会話はない。

 

「……なあ、鈴」

 

「……な、何?」

 

一夏が話しかけてきたため、少しびっくりしながらも対応する鈴。いったい何を言うのだろうか。

 

「厳さんの話。初めて聞いた。俺、葉山さんから機龍隊、特生自衛隊の話を聞いたけどさ、一般人からの話は聞いたことなかったんだ」

 

「私も。厳さんがあんなに震えるところも初めて見たし、相当怖い思いしたんだと思う」

 

「だからさ。そんな人がいなくなるように、俺、頑張るよ。弾が言ってた通り、今の自衛隊は腐ってるかもしれない。だからさ、それを俺は変えていきたい」

 

拳を固く握り、凛々しい顔で言う一夏。そんな一夏を鈴は微笑みを浮かべる。

 

「なら、それを実現するために力を付けないとね」

 

「ああ、わかってる。これからもよろしくな」

 

「任せなさい!」

 

そう言って胸を張る鈴。胸は小さいが、その姿に安心を覚えた一夏は、とあることを思い出した。

 

「あ~。そういや一つ思い出したんだけどさ……。いや、これって言ってもいいのかな……?」

 

いきなり話題が変わり、一夏の態度でモヤモヤする鈴。先程と態度が変わりすぎて、少し眉間に皺が寄ってきてる。

 

「何よ。言いたいことははっきりと言いなさい」

 

「だよな……。たださ、航は悪くないんだ。俺が悪いんだからな?」

 

「だから何よ」

 

鈴は一夏の思い切らない行動に少しイライラし始める。

そして一夏は意を決したのか、頭を下げる。

 

「鈴!すまん!お前の約束、教えてもらったの航なんだ!」

 

それを聞いた鈴は黙っていたが、そして呆れたかのように溜息を吐く。

 

「……やっぱりね。一夏が気付くのが可笑しいって思ってたし」

 

「えっ……?」

 

そう言われて驚く一夏。怒らないのか?

恐る恐る顔を上げると、ケラケラ笑う鈴の姿が映る。

 

「怒らないのか?」

 

「誰が怒るもんですか。一夏が自分の気持ちに応えてくれるだけで、そんなことどうでもいいわよ」

 

「そう、か……。ならよかった」

 

そして二人は様々なことを話しながら、気付けばカラオケに寄っており、2時間ほど歌いまくったそうだ。

 

 

 

 

 

場所は変わってここは婆羅陀魏社。そこで社員たちはいい加減に疲れ果てていた。

 

「主任!いい加減にしてください!何が本物の機龍の0式レールガンを四式機龍に装備させるですか!」

 

「そんなもん簡単にいけるだろ!クアッドファランクスの機龍装備化計画はうまくいったじゃねえか!」

 

「あれは機龍の重量とパワーのおかげで装備のめどが立っただけです!それとこれは別!どう見たって反動で機龍が吹き飛ぶでしょ!」

 

部下が持ってたのは『機龍火力増強計画』と書かれた書類の束だ。中に書かれているのは火力増加についてなんのその。だがその中にどう見てもおかしいのがいくつか入ってる。

 

『クアッドファランクスver機龍』『正式型0式レールガン バックユニット装備仕様』

 

『クアッドファランクスver機龍』は、四式機龍の0式レールガンが装備されてる前腕部に、高火力を誇るクアッドファランクスの砲身4つを片腕2つに分けた仕様だ。機龍の重量によってアンカーなどを使わずに使用可能であり、今までできなかった旋回、移動などが理論上可能である。

『正式型0式レールガン バックユニット装備仕様』は、バックユニット搭載部に3式機龍が使用した0式レールガンを装備させようというものである。理論上は連射が可能であり、火力も今までのISを突き放すものだ。

 

「本気でアホか!」

 

書かれていることがめちゃくちゃであり、子供が描く絵空事のようである。だがそれを、この主任は実行しようとしてるのだ。いや、すでにクアッドファランクスの方は完成しており、今ではコンテナの方に梱包されてる途中である。

部下たちはクアッドファランクスのことはあきらめて、とりあえずレールガンの方を開発中止させようとするが主任が一歩も引かない。むしろ勝手に完成に近づき始めているのだ。

 

「主任!そんなの装備したら機龍も篠栗君も壊れてしまいます!」

 

「あぁ!?んなもん壊れねえよ!そんなんで壊れるなら機龍は作ってないし、篠栗は……特別だからな。あいつはそう簡単に死にはせんさ」

 

一瞬の間に部下たち全員が眉間に皺を寄せる。航は特別……いったいどういう意味なのだろうか?気になって仕方がないが、主任が天井を見上げながら狂気に染まった笑いをしているため誰も話しかけることができない、いやしたがらないのだ。

その間にも0式レールガンは完成していく。もう誰にも止められない。

 

「もうそろそろ完成だ……」

 

その中で主任はそう呟くのであった。

 

 

 

 

一足先に部屋に戻った航は、ただベッドの上で横たわっていた。

 

「っ……、あぁ、頭がいてぇ……」

 

眉間に小さく皺をよせ、体を小さく動かす航。体は怠く、頭もいたい。もうそうなら寝るしかないだろう。

航は布団の中に入るのも怠かったせいか、布団の上でぐったりとしている。そして睡魔に襲われ、眠りにつくのもそこまで遅くなかった、

その時、航は不思議な夢を見る。

 

その光景は地獄絵図だった。大地は焼かれ、植物は消し飛び、生き物たちはいない。

あたり一帯は薄い霧に包まれ、その中を航は一人歩いている。歩くたびに、ガラス状にまでなった地面の割れる音が響き、そして立ち止まった後何かに気付いた。

この光景、見たことがある!

そう、前に機龍に乗った時に見た島と形が似てるのだ。航はもしかしたらと思い、あの恐竜たちがいた場所へと向かう。

そしてたどり着いたとき、そこにいたのは横たわる恐竜と、大きさが異常に大きくなった恐竜だった者の姿だった。

大きさは50メートルぐらいだろうか。皮膚は焼きただれ、大きな背びれが骨のようになってたくさん生えている。目は虚ろになっておりながらも恐竜の方を見つめている。

そして腰を大きく曲げて横たわる恐竜に顔を寄せ、生きててほしいと願うかのように小さく鳴いていた。

 

「グルォォォ……グォォ……」

 

だが恐竜の方は何も答えない。ただ横たわるだけで、ピクリともしないのだ。鼻先で揺すったりするが反応がない。

そして大きな恐竜だった者は顔を空に向ける。その目は憎悪に染まっており、少し潤んでいる。

 

「グオォァァァァアァァ!!!!!」

 

恐竜だった者……ゴジラが吼えた。

いきなりの大声にびっくりして耳を塞ぐ航は、そんなゴジラをただ見つめている。

ゴジラはその怒りを、悲しみを、様々な感情を空に向けて吼えた。何回も吼え続けるがそう長く続かず、声はどんどん小さくなっていき、目には涙のようなのが見え、頬を滴る。

 

「ゴアァァ……アァ……」

 

力なく吼えるゴジラ。まるで泣いてるのだろうか。ただただ、力なく吼え続けた。

その後、吼えるのをやめたゴジラは海へと向かい、そして体を海の中に消していく。その時だ。

 

「コァァ……」

 

恐竜が最後の力を振り絞るかのように小さく鳴いたのだ。手を海の方に伸ばし、待ってとでも言ってるのか?

 

「待ってくれ!こいつ、まだ生きてるぞ!」

 

そう叫ぶがゴジラは気付かずに海へと消えていき。そして海中に姿を消してしまった。

航はその恐竜に寄り添って触ろうとするが

 

「えっ……」

 

触った瞬間に透けて触れないのだ。どうにかして助けたいけど触れない。その焦燥感が航を蝕む。

 

「頼む……!こいつは、こいつは助けさせてくれ……!」

 

なぜ助けたいのかわからない。だが、そうでもしないと体が痛むのだ。焼けるかのように、刺されるかのように。その痛みから逃れたいがためにしようとするが触れない。

 

「なん……で、だよ……!」

 

何もできない自分にイラつく。そう思ってた時だ。恐竜と目が合ったのだ。自分が分かるのか?少し戸惑いながらも目をそらさず、お互いに見つめ合う。

 

「クォォ……」

 

小さく鳴いた後、何かの意志を航に伝えようとしており、航はそれを読み取ろうとする。

 

「ん?」

 

その時だ。何かに呼ばれた気がした。

 

 

 

 

 

「おい、航、起きろよ」

 

「ん、あぁ……。一夏、か」

 

航は一夏に起こされ、とりあえず体を起き上がらせる。今さっき見てた夢は何だったのか?航は頭の中でそのことについて考えるが、一向に答えは出ない。

 

「やっと起きたか。もう6時だから食堂開いてるし行こうぜ」

 

「ん、わかった」

 

航は夢の中のことは後回しにして、男二人で食堂に向かうのであった。

まあ、その食堂で航は楯無に会い、一夏を置いて二人で食べるのであった。なお一夏はとある3人と一緒に食べたのであったとさ。

 




厳さんが見たもの、それは死と隣り合わせの世界。
あと機龍に不明なユニットが接続されそうです。




では感想、評価、誤字羅出現報告、どしどし待ってます!
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