インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 作:妖刀
航は狭い路地裏をひたすら走っていた。なぜなら……。
「はっ、はっ、はっ。くそ……!いつまでついてくるんだよ……!」
「こ、このっ、はぁ、はぁ、ま、待ちなさい!」
「嫌だ、ね!」
後ろから拳銃を持った女たち3人が追いかけてくるため、航はそれから逃げるためにひたすら走っていたのだ。女たちの狙いが悪いのか銃弾は全く航に当たらないが、時折頬を掠めるなどして全く気が抜けない状況である。それと曲がり角の多さが命中率の低下を招いてるのだろう。
航は曲がり角を曲がるときに、壁を走るかのように無理やり曲がって速度を落とさないようにしており、女たちとの距離を開けていく。
そして女たちが曲がり角を曲がる前に、T字路を勢いよく曲がって先にあった中身が空のポリバケツの中に入り込んで、そこでやり過ごすことにする。
そしてすぐに女たちがやってきて、航は息を殺してポリバケツの隙間から女たちを見る。彼女たちは憤りの表情や焦りの表情を見せており、航はただ、息をのむだけであった。
「くそ、どこに行ったの!?」
金髪の女はイライラしてるのか壁を殴り、近くにいた黒髪の女がそれを慰める。
「二手に分かれてるわね。じゃあ私はこっち行くからあなたたちはあっちに行って」
「わかったわ」
そして女たちは二手に分かれる。そして航のいる方に二人来た為、航はやばいと思い蓋を閉じてポリバケツの中で息を殺す。
カッ、カッ、カッ、とハイヒールの歩く音が隣で聞こえ、そして隣らへんで音が止まった時に航は冷や汗が止まらず、わずかに体が震えてる。
(頼む、気付かないでくれ……!)
そう祈りながら待ってると、またハイヒールの歩く音がし、そして離れて行ったため航は安堵の息を吐き、恐る恐るポリバケツから出る。
「ふぅ、やっと撒いたか……」
カポンと軽い音を立てながら蓋を閉じ、疲れでぺたりと尻餅をつき航は溜息を吐く。そして帰ろうとしてT字路のところに立つが、とあることに気付いてしまう。それは……。
「あれ、そもそもここ、どこだ……?」
周りを見渡したらコンクリートでできた迷路状に入り組んだ道。おまけに日が大きく傾いてしまってほぼ真っ暗に近く、まともに道が分からない。そのためまともに進むこともできず、途方に暮れる航は思い出したかのようにスマホをり出して、刀奈に電話を掛ける。そして待機音が1~2回なって刀奈が出る
「刀奈、ここ『航。大丈夫!?すごい勢いであちこちに進んでたけど!』う、うん大丈夫。何とか撒いたから」
しゃべり方が若干違うような気がするが仕方がない。先程まで命を狙われていたのだ。その恐怖で変わっても無理ないだろう。だが、航の声を聞いた後、安心したかのように安堵の息を吐き、そして冷静になる。
『よかった……。えっと、現在地は……ここね。そこで待ってて。というより近くにある何かで身を隠してて。いいね?』
「う、うん。わかった」
『じゃあ電話は……切る?』
「……怖いけど、我慢するよ」
「そう……。じゃあ早く迎えに行くからね」
そして電話は切られ、航はやはり切らない方がよかったかと後悔し、俯いてしまう。だがこうしてる間にも女たちが戻ってくるかもしれない。それを思い出した航はもう一回ポリバケツの中へと入り込む。だが先程みたいに完全に蓋を閉じるのではなく、少し蓋をずらして外が見えるようにしてるが。
(めっちゃこえぇよ……。早く刀奈来てくれ……『ガラン!』っ!)
その時だ。奥の方から音がしたため、航は音のした方に視線を向ける。ちょうどこの場所は街灯が路地を照らすため、丁度何が来るか分かるのだ。
航は耳を凝らしてその音を聞いていたがとある疑問が浮く。そう、足音が重く、そして多すぎるのだ。
(何だ、この足音の数は……?)
そして足音が近くなり、路地を照らす電灯にその姿が映し出される。
体長が約3メートルと大柄で、ダークグリーンに近い外皮。前肢の他に6本の脚が生えており、普通の昆虫みたいな特徴が逸脱している。眼の色は緑であるが黒の線で区切られており、複眼に見えなくもない。メガヌロンだ。
航はメガヌロンを見た瞬間、体が一気に膠着して息を殺してるしかできない
「カララァ……キキキ」
メガヌロンは首を横に振って周りを見渡すかのようにゆっくりと歩く。時折前肢を使って物を探ったりしており、それで出てきたネズミなどを一瞬で捕まえ、そして食べる。
その時だ。航の入ってるポリバケツの横を通り過ぎるかと思った時、いきなり動きを止めポリバケツの方を向いたのだ。
(っ!?)
今少しでも動くと絶対バレる。そのため動けない航は、ただメガヌロンをポリバケツの隙間から息を殺して見てるしかできない。
そしてどれぐらい時間が経っただろうか。いや、実際は10秒ほどかもれないし1分かもしれない。だが、航にとっては今までで一番時間が長く感じ、恐怖したときだ。
その時だ。メガヌロンはポリバケツから目線を逸らし、そして街灯の光が届かない闇へと消えるのであった。
それを確認した航は安堵の息を吐き、ポリバケツの中で尻餅をつく。
「た、助かった……」
さっきの緊張で中が蒸したため航はポリバケツのふたを開け、中の換気をしようとする。
その時、いきなり頭の上に何か冷たい液体が降ってきたため、航は何かと思って頭を触る。液体は何かねば付いており、そして少し臭い。
いったい何なのだろうか。それが降ってきた原因である上を向くと……。
「キシシッ」
「えっ……」
「ったく、いったいあの男どこに行ったのよ……」
「まーまー落ち着きなよ。そうカリカリしたって見つからないんだからさ」
その頃、先程別れた女たちはこの少し狭い路地裏をライト灯で照らしながら歩いていたが、航が見つからず暗い道をずっと歩いてたせいか金髪の女はイライラしだし、道束にあった空き缶を思い切り蹴り飛ばす。黒髪の女はそれをのほほんとなぐさめるもほとんど効果がなく、金髪の女は黒髪の女にただ怒鳴り散らすだけだ。
そして二人はあちこち歩き回るが、航が見つからないことにいい加減疲れてきており、とりあえず戻ろうってことで来た道を引き返すのだが……。
「あれ、この道さっき通ったような……」
「はぁ!?どういう事だよ!」
「いや、だからこの張り紙が」
そう言って黒髪の女は壁に貼られた古びた張り紙を指さす。これは戻ろうと言った時に見た張り紙と同じものであり、イライラしてた金髪の女がそれを見たときに納得した顔を浮かべる。
「あ、確かにこれ見たな……。じゃあこっち行ってみるか?」
「じゃあ行ってみようか」
そして女たちは先程とは別の通路に向かい、そして歩くこと約5分。その時だ。
「きゃっ、冷たっ!?」
「ん、どうしたの?」
金髪の女の首の後ろに何かがかかり、びっくりしたのか若干高い悲鳴を上げる。
「いや、いきなり首に何かが落ちてきてな。いったい何なん……だ……」
金髪の女は何があるのか気になったのか上を向いてライトも向けるが、その時動きが固まり、顔は真っ青になっていく。
「ん?どうした……の……」
黒髪の女は金髪の女が何を見たのか気になったのか上を向くが、一気に顔は真っ青になり、絶望に一気に染まる。
いったい何を見たのかというと……。
「キチチチチ」
メガヌロンだ。
「カカカカ」
しかも2体もおり、壁に引っ付いたまま女二人を見下ろしてる。しかもライトで一部しか照らされてないということもあって全容が見えず、まともに見えるのは怪しく光る緑色の複眼と鋭い美玖色であることを示す牙ぐらいだ。
口からは涎らしき者が垂れており、それが金髪の女にかかったのだろう。そして2体は女達を見定めかのように首を動かして、威嚇するかのように小さく鳴いたりしてる。
「キチ、キキキ」
「カッカッカ」
「「い、いやぁぁぁぁ!!!」」
その異形な姿を目撃した女達は、絶叫という名の悲鳴と共にライトを投げ捨てて一気に逃げ出す。だがそれを逃がすメガヌロンでもなく、1体は地面に降り、もう1体は壁に引っ付いたまま女達目掛けて走り出したのだ。
その速度は陸上アスリート選手ばりに速く、女達との距離を着々と詰めていくが女たちもそう簡単に捕まろうとはせず、カーブのところでスピードを極力落とさない様にして一気に曲がったりするなどを繰り返す。
だがそれに負けるメガヌロンでもなく、女達がした曲がり方を真似るかのように角を曲がり、距離を詰めようとする。
その時だ。いきなり現れた水深の深い水たまりに足を取られ、いきなり二人がほぼ同時に転けたのは
「「きゃあ!?」」
大きな水しぶきを上げて転ける二人。いきなり何が起きたのかわからずパニックになりかけたが、とりあえず水深がそこまで深くないせいか足がつくことを確認し、息を吸おうと立ち上がる。水深は約80センチほどで、渋谷にこんなのがあったのか?と思う女達だったが、とりあえず呼吸が先だということで息を吸う。
「けほっ、けほっ、いきなり何なのよ!」
「あぁ、びっくりし……た……ぁ」
「どうしたのよ……。ひぃっ!?……って、まさか……」
金髪の女の首筋にに何か生暖かい風が吹き抜ける。
嘘だと思いたい。そう思って後ろを振り向こうとするも、体が恐怖で動かないせいで振り向けない。そして目に涙が浮かべ始め、黒髪の女に恐怖で震えてる手を伸ばす。
「たす、けて……」
「……ごめん!囮になって!」
「はぁ!?」
その時だ。黒髪の女は持ってた拳銃を金髪の女の腹に向けて銃弾を放つ。銃弾は見事に金髪の女の腹へと刺さり、金髪の女はいきなりの痛みと共に少し蹲り傷口を手で押さえる。
「いきなり何を「キリリリ!」ぎゃあ!?」
その時だ。1体のメガヌロンが金髪の女の右肩に勢いよく噛みついてきたのだ。顎の力は異常なほど強く、一気に肩の骨を砕いてそのまま右腕ごと肩から引きちぎる。
「ぎゃぁっぁっぁぁ!!!???がぼっ!?げぼっ、ごぼぁ……」
大量の血がこぼれ、水たまりを赤く染めていく。金髪の女は痛みに悲鳴を上げ、そして足がもつれたのか再び水の中に溺れるかのように沈んでいく。
「カカッ!」
もう1体も食べようと水溜まりに入り込み、金髪の女の首元に噛みついて胴と頭を食いちぎるかのように切り離す。この時すでに金髪の女は絶命しており、悲鳴を一切あげない。水たまりはどんどん赤く染まっていき、まるで血の池地獄ともいえる姿に変わり果てている。
黒髪の女はその隙に急いで水たまりから出て、再び真っ暗の路地裏を駆けだした。
「はぁ、はぁ、やばい、逃げないと」
黒髪の女はそう言うが、先程逃げたときに体力を多く消費し、服が水を吸って重くなってるせいもあって動きにくい。だが逃げないとメガヌロンに殺されてしまうため、無我夢中で真っ暗な路地裏をひたすら走り抜けていく。
だが
「嘘……。ここもあの水たまりみたいに……!?」
そう、先程金髪の女を殺した場所みたいに水深が深い水たまりがあるのだ。しかもよく見たら中心のところで水が噴き出てるのか、水面が不自然に盛り上がってる。
「もしかしたらここにもいるの……?なら……」
そして黒髪の女は振り返って別のルートを探すことにする。そして水たまりを背に向けて歩き出す。そして直径1メートル半と大きなマンホールを踏み越えた時だ。
いきなりマンホールの蓋が轟音と共に飛び、女はいきなり何かと思って振り向くがそのにいたのはメガヌロンだ
。しかもマンホールが小さかったのか、地面もといコンクリートを砕いて無理やり地上に姿を現し、前脚で女の足首をガッシリと掴み、
「キカカカカ!!」
「嘘っ!?……きゃあ!?」
女はそのまま水たまりに引きずり込まれるが、一応水深は深くないため、もう一本の足でどうにか立っている状況だ。
「やめ、がぼっ、苦し、い!助け、て!」
その時だ、。いきなり捕まれた方の方の足に今まで感じたことのない激痛が走り、それでもう一方の足が浮いてしまって一気に水中に引きずり込まれてしまい、息苦しい中どうにかもがいて水中から出ようとするが。
「ごぶっ!?」
その時だ。メガヌロンは牙を女の腹に深々と突き刺し、水中を多量の血で赤く染めながらその顎で一気に腹を食い破り、内臓を咀嚼する。
「が、ぼ……」
最後まで助けを求めるかのように手を伸ばしていたが、ついに力尽きたのか水底に手が落ちていく。そしてをそれを喰らう蟲が1体。水中にはただ、肉をちぎる音と、骨を砕く音が響き続ける。
「キッキッキッ」
そしてメガヌロンは真っ赤に染まった水中から出て、再びコンクリートを砕きながらマンホールの中へと入っていくのであった。
「もう、ここまで航を追いかける女ってしつこすぎるでしょ……!」
その頃刀奈は蒼龍に受信される航の位置情報を頼りに、日が落ちてそれなりに暗い路地裏をひたすら走り抜けていた。途中で行き止まりにあたってしまったりしてたが、そこは持ち前の身体能力で壁をよじ登って反対側の通路へと下り、デート用に買った服が汚れてしまっていたが、それより航の方が大事のため、ひたすら走っていた。
だがその足取りも街灯に照らされている場所で止まってしまう。
「何よこれ……!?」
刀奈の目の前に広がるのは大きく広がる水たまり。だが、どう見ても水深が深いし、何より真っ赤だ。そしてとある液体特有の臭いがしたため、刀奈は若干眉間に皺を寄せる。
「この臭い……まさか、血!?」
いったいここで何があったのか。そう思って首を動かして周りを見渡す。
その時浅くなってるところで人の手らしきものを見つけ、それを拾い上げる刀奈。それは水を吸っていて膨れ上がっているが男性の左手であり、肘から先しかなく、血は全て出てしまったのか肌は蒼白だ。
いったい何が起きたのか……。
「まさか……航!?」
刀奈の中にとてつもない不安がよぎる。ここで何があったのかわからない。だが、航の身に何か起きてるのではないのか?
刀奈はこの左手を地面に置き、またここに来れるようにマーカーを配置して、航のいるところに向けて再び走り出す。航の方もあちこちに走っているらしいが、先程より速度が遅い。
(航……!)
不安がどんどん膨れ上がる。航の無事を祈る刀奈だが、今の状況では気休めにしかならない。
そして走り続けること約5分。やっと航がいるところまで距離を詰めることができたが、航の動きが完全に止まっているため、猛ダッシュでストレートの道を駆け抜ける。
「航!」
そして最後の角をまがった時、刀奈が見たのは
「キカカカカ」
「チリリリ」
「痛い、よ……。たす……け、て」
体のあちこちから多量の血を流して横たわる航と、それを食らおうと首元に牙を突き立てようとするメガヌロンが1体、あと周りに刀奈を威嚇する10体近くいるメガヌロン姿があった。
航にいったい何があったのか。そしてそれを見た刀奈は……。
では感想と誤字羅出現報告どしどし待ってます!