インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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実際は昨日更新予定だったんだけど、いろいろあって更新できませんでした。すみません。


思い

ここは東京のとある病院。そこで手術を終えた霧島健二は白衣に着替えたとに楯無に電話をしていたのだが、ガチャンと電話が墜ちる音と共に楯無の嗚咽が聞こえたため、彼は小さく肩を落としておとなしく通話終了ボタンを押す。

ツー、ツー、と終了音がなった後、彼はポケットにスマートフォンをいれる。

 

「流石に無理はない、か……。まあ彼の現状を聞いて、泣くのも無理なかろうな……。それにしても、いったい何に襲われたらあのような傷になるんだ?まるで杭を打たれたかのような傷だらけだったぞ」

 

思い出すは手術中の航の体。あちこちが杭のようなもので穿られたかのような傷があり、彼の尋常じゃない再生力でも回復しきれてないことから手術と並行で医療用ナノマシンを使うが、こちらの効果が全くないため医療用ナノマシンを一切用いない緊急手術となる。だがこれで焦ることでもなく、健二はまるで想定していたかのように自分の腕での手術を続ける。その後手術は順調に進み、半日以上は掛かったがどうにか手術は終了した。

だが、彼にはどうしても気になってしまうことがある。それは縫合は医療用ナノマシン抜きで行ったが、その後傷が癒着する可能性があるのか?という問題だ。手術していて分かったが、細胞が途中で壊死していってるのが目に見えて分かったのだ。それでも全力を尽くしたが、あとは航の回復力と精神力が頼みだ。

 

「すまない……。私にはもうここまでしかできないんだ……」

 

誰に言ったのかわからないが、健二はそう呟くことしかできなかった。

だが彼は気付いていない。航に起きている、本当の異変を。

 

 

 

 

 

ここはIS学園。放課後、航の状況を知った楯無は独り泣いた後に、仕事があることを思い出して生徒会室へと向かっていた。途中で生徒たちとすれ違ってもいつも通りの笑顔で答え、そして少し速足で生徒会室へと向かう。これを見た生徒は何か可笑しいと首を傾げるが、何が可笑しいのかよくわからず、結局は頭の隅へと追いやるのであった。

そして速足で歩くこと約5分。ついに生徒会室へと着き、そして扉を開くとそこにはいつも通り書類をさっさと捌く虚がいた。本音はおそらく簪の方にでも行ってるのかここにはおらず、現在生徒会室は2人しかいない。

 

「会長、ご苦労様です。それにしてもアリーナで何かあったみたいですが……」

 

「転入生のラウラ・ボーデヴィッヒちゃんがちょっと騒ぎ過ぎただけよ。まあおとなしくさせたから問題ないわ」

 

そう言ってふふんと胸を張り、扇子を開いて『無問題』と書かれている面を見せる。だが虚はそれをスルーするため、少し涙目になってしまう。

 

「まあ大変でしたね。そして会長、書類が溜まってるので仕事をしてください」

 

「はぁ……わかってるわよ。全くトーナメントが来月に迫ってるのに、今頃転入生とか来るから仕事が多くなって嫌になっちゃうわ」

 

そう愚痴をこぼしながらもその間に書類に目を通していく楯無。そして判が必要なのには判を押していき、虚も同様にさっさと仕事を済ませてく。はたから見たら手が4本あるかのように見えるほどに速く、最初見た時は山積みの書類も1時間ほどですべて捌き終わり、今となっては虚の入れたお茶を啜ってる楯無がいた。

 

「ん~、虚ちゃんの入れるお茶はやっぱりおいしいわね」

 

「お嬢様」

 

「ん、どうしたの?」

 

いきなり呼ばれたためそっちの方を向くと、虚は

 

「健二様から聞きましたが、航君……」

 

「……えぇ、わかってるわ」

 

この時の楯無の表情は暗く、それでも無理やり笑顔を作ってどうにかごまかそうとするが、虚にはバレバレらしく、溜息を吐かれる。

 

「失礼なことを聞きますが、もしかして航君のを聞いて……」

 

「な、何のことよ。私、泣いてなんかないんだからね!」

 

「誰も泣いてるとか言ってませんが……」

 

「あっ……」

 

顔を真っ赤にして否定するが、まさか鎌を掛けられてうっかり自爆してしまう。それでさらに顔を悪くする楯無だが、そしてコクりと頷く。そして航のことを思い出したのか、ぽろぽろと涙が出始める。それを腕でこすってごまかす楯無。

 

「お嬢様……」

 

「……私が泣くなんて当主失格ね」

 

「いいえ、人を思って流す涙なら別です。それさえできなかったらもう人ではありません」

 

「えっ……」

 

その時の虚の顔は母親の様に優しく、まるで母親のような雰囲気を出してる。

 

「お嬢様。今は楯無じゃなくてもいいんです。だから泣いても誰も何も言いません」

 

「ありがと……。なら、少しだけ泣いててもいいかな……」

 

そして生徒会室では楯無のすすり泣く声がし、虚は誰も入って来ない様に扉のロックを掛けるのであった。

 

 

 

 

 

場所が変わり、ここは東京にある病院。

手術が終わった後、航は一人部屋の病室で寝かされていた。手術が終わってまだ間もないせいもあるが意識は戻っておらず、ただ部屋には航の呼吸音と心電図モニターの規則的な音が響いてるだけだ。

現在時間は18時50分。面会時間等はすべて終了しており、今は病院には医者と病人しかいない。偶に業者の人がいる程度か。だがその時だ。病室の扉が開いたため医者が入ってきたと思うとそこには、白衣は白衣だが肌は浅黒く、髪は黒色でボサボサなのを後ろで一つに束ねている。顎からは無精ひげが生えており、隈のできた目元とは反対に目はギラギラと輝いてる。

婆羅陀魏社、主任だ。

 

「おー、君が篠栗航君か~。なるほどなるほど、確かにこれはひどい傷だな」

 

航を見つけるなり病院服を無理矢理脱がせて、体についてる手術痕をまじまじと見る主任。その顔はまるで、おもちゃを見る子供の様にキラキラとした目が、年齢的な顔と不釣り合いなほどに輝いている。

 

「主任、何してるんですか。そもそも今回は面談は禁止のはずですよね?というより時間は終わってますし」

 

「まあまあいいじゃん、ワンダーソン君。別に俺は何もしないんだからさ~」

 

主任はヘラヘラと笑いながらも、航が寝ているベッドの隣に置かれている待機状態の機龍を見る。白銀色の手甲は何も言わず、鈍い光を輝かせているだけだ。それを手に取った主任の口角は吊り上がり、それに何やら懐からノートパソコンみたいのを取り出して、それに繋がれていたコードを待機状態の機龍へと突き刺していく。そしてキーボードをカチャカチャとタイピングしていたが……。

 

「ふんふん……。ん?ちっ……!」

 

「あの、どうかしたんですか?」

 

「いや、何でもない。ただの見間違いだった」

 

ワンダーソンはいったい何なんだと気になって仕方ないが、こういう時は主任が全く話してくれないためとても困る。まあ毎度のことだから一応大丈夫だろうと思い、特にすることがないから窓から外の景色を見ることにした。

その間にも主任はキーボードを操作してるが、先程より顔は険しくなっており、時折眉間がぴくぴく動いている。

 

(おいおい……もう少しは言うこと聞けよ……。無駄に自我が芽生え始めやがって……!)

 

そう思いながらキーボードを操作してあちこち書き換えるも、すぐに元に戻される。主任は普通の人間ではできないほどのタイピング速度だが、機龍はそれを軽々と上回っており、書き換えた2秒後にはすでに元に戻されている。

その時だ。主任の使っていたノートパソコンらしき物の画面がフリーズしたと思ったら黒と赤の絵の具を水にたらして少し混ぜたかのような画面に変わったのだ。いきなりのことで指の動きが止まる主任。そして画面が真っ暗になり、そこに白で文字が浮かび始める。

 

『貴様ハ何者ダ。ナゼ我ノ頭ヲ掻キ回ス』

 

「おぉ、やっと自我が問いかけてきたか」

 

少し嬉しそうに言った後にタイピングをしてそれに答える。

 

『俺がお前を作ったからだ。俺にはそういう権限がある』

 

そして1秒でタイピングされたかのように文字が出てくる。

 

『……ソウカ。ワカッタ』

 

そして画面は最初の画面に戻っており、やっと言うこと聞いたとニヤァと笑みが浮かんで書き換えようとした時だった。待機状態の機龍に繋いでたコードがショートしたのか、いきなり紫電が走ってパソコンにたどり着くなり、画面がいきなりひび割れた。

 

「うおっ!?」

 

いきなり割れたことに驚く主任。その音に驚いたワンダーソンも駆け寄り、「大丈夫ですか!?」と心配そうな声を掛けるが、「大丈夫大丈夫」と軽い言い方で返されたため、軽く呆れてしまう。顔に液晶がいくつか刺さってるのに。

主任はそれを自分の手で引っこ抜いていき、顔から多量の血が流れているにもかかわらず、いつも通りのふざけた笑みを浮かべている。

 

「さて、いったい何でこうなったんだ?……まあいいや。ワンダーソン君。篠栗航君がIS学園に搬送されたらその時は俺の方に連絡頂戴ね~」

 

「あ、主任!」

 

そして主任は病室から出て行き、ワンダーソンもそれについていく。そして病室には2人が入ってくる前の静けさと、壊れたノートパソコンらしきものの割れた液晶が下に散らばってるだけであった。

 

 

 

あれから病院を後にし、主任はワンダーソンの運転で婆羅陀魏社へと帰路についていた。後ろの席に着いてる主任だったが、先程浮かべていた笑い顔は全くなく、ただ窓から外の景色を見ているだけであった。

 

(さて、やっと王と会うことができたが……。本当にあんな小僧が我らが王となるのか……?)

 

 

 

この時、主任のスマホから一通の電話がかかってきたため、主任は画面を見る。そこに書かれていたのは『A』と書かれており、軽くため息を漏らした後に電話に出る。

 

「こちらサーシスだがどうした?」

 

『サーシスさん!姫が俺らを食わせろって迫ってきて……ひぃ!来たァァア!!??』

 

後ろからばたばたと走る音と断末魔が聞こえ、とりあえず今の状況を把握した主任、サーシスは軽くため息を漏らす。

 

「あー、俺が戻ってきたら枯葉剤を撒くからそれまで耐えろ。というよりお前喰われろ。女に喰われるなら本望だろ?」

 

『なっ!?何を言って……ちょ触手が足に!?うわぁっぁ!!??バキッ、グリャァ、グチッ……ツー、ツー、ツー』

 

「あーあ、食われちまった。ったく、あのわがままお姫様はもう少し我慢を覚えてくれねえかな?信者と餌を集めるこっちの身にもなってくれよ……」

 

ボソッと主任はつぶやき、スマホをポケットにいれた後、再び外の景色を見るのであった。

 

「主任、誰からの電話でしたか?」

 

「あー、友人から薔薇をうまく育てたいんだけどどうしたらいい?っていうやつだった」

 

「へー、普通に剪定すればいいのに」

 

「だよな~」

 

いつものふざけた感じで答えた後、二人で笑いながら会社へと戻っていくのであった。

 

「でも大丈夫なんですか?メガヌロンの毒って細胞等の結合阻止と細胞破壊ですよね?普通なら助かりませんよ?」

 

「問題ない問題ない。あんなのあのガキには唐辛子を食べた程度でしかないしさ~」

 

「それってどういうーー」

 

「知らん!というより俺に聞くな!」

 

「は、はい!」




次回はIS学園の出の出来事です。お楽しみに。

では誤字羅出現報告、感想を待ってます。
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