インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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明日外での用があるので今日更新します。


正体

ラウラが襲撃してきた後日に一夏の特訓をしていたが特に問題は起きず、あれから約1週間。

今は放課後。楯無と虚はとある床の入り口前におり、楯無は

 

「お嬢様、少し落ち着いてください」

 

「でも……」

 

「わかっていますが、今は落ち着いてください。分かってくれますか?」

 

「わかったわよ……」

 

そう、航がIS学園敷設の病院へと搬送されるのだ。楯無はあの事件から1週間会えないせいで、一夏との特訓の時に時折上の空になってしまっていたりと仕事等に支障が出ていたのだ。そのため毎度ながら虚に注意されながら仕事等を進めるが、やっぱり上の空になってしまい、虚も諦め顔になったりと色々起きていたのだ。

 

「あ、来た」

 

その時学園と日本本土を結ぶ地下通路から、1台の救急車が入ってくる。これはIS学園に配備されてる救急車なので入ることが許されており、そして病院の前に止まった後、後部扉が開いて、ストレッチャーに乗ってる航が出てくる。今は麻酔で完全に眠っており、目を覚ます気配はない。

その後航は5階の奥にある個室へと搬送され、楯無たちは搬送された10分後に病室へと入り込む。中は白一色で基調されており、その中にベッドと医療機器がいくつかある程度だ。そのベッドの上で航は死んだかのように眠っており、楯無はその頬を優しく撫でる。

 

「航……」

 

好きな人が目の前にいて触れられるのに、心にぽっかりと穴が開いたかのように感じることができない楯無。ただ彼に触れて、その体温を確かめる程度しかできなかった。

 

(お嬢様……)

 

虚は目を伏すと同時に、航に対する憤りを感じていた。確かに楯無があのとき離れてなければ、こういうことにはならなかったのかもしれない。それでも女性を泣かせる男は最低であり、絶対あってはいけないことだ。

だからって航に怒るというのは筋違いもいいとこで、とりあえず今は航に対する怒りを思考の奥隅へと追いやるのであった。

その時病室の扉が開き、2人はそっちに顔を向けると、そこには黒のスーツを着たくせ毛の髪を後ろにまとめた無精ひげの男がいた。

その顔を見たとき、楯無は目を細めて若干眉間に皺を寄せる。

 

「っと、ここに移されたか。おお、楯無ちゃん。元気だったかい?」

 

「……何の用です、主任さん。ここは関係者立ち入り禁止のはずですよ」

 

楯無は鋭く主任を睨みつけるが、彼は飄々と受け流し、チラリと航を見て後に楯無の方を見る

 

「そう怖い顔しないでくれよ。既に許可は取ってあるんだからさ。あぁそうそう、これを機龍に装備させるからさ、一旦機龍を預かるね」

 

「……何なんです、これは?」

 

「何って機龍の追加装備だよ。クアッドファランクスにレールガン。あの機体なら扱いきれるでしょ」

 

楯無は資料のページを1枚1枚めくっていくが、そのたびに表情が険しくなっていき、途中で資料を閉じて主任を先程以上の眼つきで睨みつけ、同時に殺気を出す。普通の人ならビビッて動けなくなるほどの迫力だが、主任は何事もないかのように首をコキコキと鳴らし、いつも通りのへらへらとした笑みを浮かべる。

 

「そう睨まなくてもいいでしょ。機龍用に開発したんだから。まあ機龍は持っていくから」

 

「あ、ちょ、待ちなさい!」

 

主任は航の手から外されていた機龍を取ってそのまま病室を出て行く。楯無は急いでそのあとを追いかけるが、病室を出た後にはすでに主任はおらず、入る前に閉まっていた窓が開いていおり、そこからカーテンが風にあおられてユラユラと揺れているだけだった。

 

「くっ、逃げられたわ……」

 

「お嬢様。機龍に仕掛けていた発信機ですが、完全に婆羅陀魏の方へ向かっております」

 

「……わかったわ。航には使わない様に言っておかないとね」

 

そして楯無は航の頭を優しく撫でる。

 

「……またね、航。時間に余裕があったらまた来るから」

 

そう言って微笑んだ後、2人は病室を後にするのであった。

なおその3日後にちゃんと機龍が航の元へと帰ってきたのは余談である。

 

 

 

 

 

「ま、待て、シャルル。話せばわかる!」

 

「私だってわかってるよ?一夏。でもね、今バレるのは拙いんだ。だから私の隠れ蓑になってくれない?」

 

「え、「じゃないと撃つよ?」わ、わかったから。でもなんでこういうことを!」

 

現在、一夏は全裸のシャルルに馬乗りになった状態で額に拳銃を押し当てられた状態になっていた。今一夏の目の前には全裸で、まあまあ大きめの乳房が見えるが、現状で興奮することできず、ただ額から冷や汗が一筋流れるだけだ。

なぜこうなったのか、それは今から10分ほど前まで遡る。

 

 

 

 

 

ラウラの襲撃から1週間半。今日も一夏はシャルルと一緒に楯無の特訓を受けていたが、時折楯無が上の空になったりと色々あったりでそこまで特訓をせず、残って一人で自己鍛錬をした後に制服に着替えて自分の寮の部屋へと戻っている途中だった。

 

「ふぅ……今日も疲れた。それにしても楯無さん、なんであんなに上の空だったんだ?」

 

この時まだ航がIS学園敷設病院へと搬送されたことを知らない一夏は、楯無が航の安否を気にしてることを知らず、ただ腕を組んで首を捻るだけだ。そして歩くこと約3分。一夏は自分とシャルルの部屋である1025室の前へと来ていた。そして手に鍵をもってドアノブに手を掛けると、ガチャリと扉が開いたためシャルルが先に返ってきてることに気付き、中に入るとシャルルがいないがシャワー室から音がする事に気付いたため荷物を自分のベッドの近くに置いてベッドに腰掛けて一息吐くが、この時とあることを思い出してすぐに立ち上がる。

 

「そういえばシャワー室、ボディーソープが切れてるんだった。シャルルは予備の場所を知らないだろうから渡さないと」

 

そう言う傍からすぐに予備のボディーソープを取り出して、シャワー室の扉をノックなしで開けると、そこにいたのは……。

 

「えっ、い、一夏……!?」

 

「シ、シャルル、なの……か?」

 

そこにいたのは、いつも通りの金色の髪を持った中性的な声を持つ第3の男子搭乗者男子搭乗者であるシャルル・デュノアだが、一夏は目線を首から下におろすとそこには、手に余るほどではないにしろ、それなりに大きなお椀型の胸があり、さらに下に目線を下ろすと男にあるはずの物がない。

この時一夏は気付いた。彼、いや彼女は女性なのだと。

だがこの時シャルルが勢いよく突っ込んできて、そのままタックルされた後に一夏は背中から床に叩きつけられ、衝撃で息を肺からすべて絞り出してむせる。

 

「げほっ……い、いったい何なん……だ……」

 

一夏が見たのは自分に馬乗りになって、額に拳銃の銃口を向けるシャルル。

 

「えっと、シャルル、さん……?」

 

「あーあ、私の裸見られちゃった。責任とってもらわないとなー」

 

この時のシャルルの目は今まで見た優しい目つきではなく、ただ一夏をゴミとして見下す濁った目だ。余りの変わりように戸惑う一夏。だがシャルルは口元をニヤァと寒気さえ感じさせる笑みを浮かべ、銃口をゴリゴリと一夏の額に押し当てる。

 

「い、痛い痛い!」

 

「そんなの知らないよ。ねえ一夏、どういう風に死にたい?そのまま撃たれたい?首絞められたい?それとも……あ、白式使おうとしたら即殺すから」

 

「っ……!?」

 

既に考えてることが言われ、体が硬直する一夏。若干量子を帯びていた白式から輝きが消え、シャルルは一夏の腕に付けてた白式を奪い取って……。

 

「一夏、どうしたい?」

 

シャルルは覗き込むかのように一夏の顔を見る。その淀んだ深淵のような瞳が一夏を見据える。

そして冒頭へと戻るのであった。

 

 

 

「なんでこういうことをするのかって?そりゃあ社長……、父親からの命令だもん」

 

「な、何ていう父親だよ!」

 

「知らないよ。でも命令なんだから仕方ないんだよ。今まで様々な命令があったけど、人を殺すのって結構楽しいよね。それに「シャルル」からさ……何だよ」

 

シャルルはめんどくさそうに一夏を見る。一夏は先程から銃口を向けられたままだが、恐怖感を抑えて口を開く。

 

「そ、そもそも目的、もとい命令って何だよ!」

 

「ああ、それね。父親からされた命令は、『IS男子搭乗者の細胞採取』、そして『四式機龍のデータを採取』だね」

 

「そ、そんなことしたら」

 

「だからばれない様に君には口を瞑ってもらうんだ。いい?しゃべったらどうなるか……」

 

一夏はコクコクと頷くしかできなかった。そして天使のような笑みを浮かべるシャルル。

 

「そうそう、物わかりのいい子は嫌いじゃないよ?」

 

その時だ。扉からノックされる音がし、2人は瞬時に扉の方を向く。いったい誰が来たのか、シャルルは場合によってはとそちらに銃を向ける。

 

「一夏~。夕食食べたー?」

 

声からして鈴とわかり、一夏にここから去ってもらえるように説得するように言う。それを聞いた一夏は若干震えながらもうなずいた。

 

「り、鈴か。まだ食べてな、ないけどー?」

 

「……?まあいいわ。なら食べに行きましょー?すぐに出てこないと扉開けるわよー」

 

「しゃ、シャルル」

 

「ちっ……なら行ってもいいよ。ただし、私のことを話したら」

 

「わ、わかってるから」

 

そして一夏は軽く用意をして部屋を出て行く。そして一夏は部屋のカギをして、鈴と一緒に食堂へと向かって行く。

 

「ねえ一夏、部屋で何かあったわけ?」

 

「えっ?なんでだ?」

 

この時体をビクリを震わせ、額に一筋の汗が流れる。

 

「だって顔真っ青だし」

 

「き、気のせいだと思うけど」

 

「……まあいいわ。いつか話してよね。相談にはちゃんと乗ってあげるから」

 

「鈴……」

 

その一言に心を揺らがされた一夏は、全てを話してしまいたかった。叫びたかった、『助けてくれ』と。だが、そうすれば下手すれば鈴にも被害が届くかもしれない。そのため言葉を喉元で止めて、一夏は食堂へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

一夏が出て行ったあと、シャルルは私服を着て自分の親指の爪を噛んでいた。最初はばれたときは泣き脅しで同情させて作戦を円滑に行う予定であった。だが、ついいつもの癖で一夏を脅してしまい、これからの作戦が動きにくくなることに腹を立て、手に持ってる白式を壁に叩きつけようとした。だが一旦我慢して、目的の一つでもある『男子搭乗者の専用機のデータ採取』を行うためバックの中からPCと何やら怪しい道具を取り出す。

 

「これをここに繋いで……よし、採取開始」

 

そしてカタカタとキーボードをタイピングした後にEnterを押してデータ採取を開始する。それから約5分、情報を採り続けてから画面上に『終了』と出たため、シャルルはコードを白式から外して一夏のベッドの上に放り投げる。それからシャルルは1人で食堂へと向かい、一夏とはすれ違う形で夕食を食べるのであった。

 

「部屋に戻りたくねぇな……」

 

一夏は先程の出来事もあって部屋にはまだシャルルがいると思っており、重い足取りで部屋へと向かっていく。もう銃口で脅されるのは勘弁であり、どうやってあの状況を打破するか……。まあ考えるだけで無駄であり、結局は溜息を吐くしかない。

そして部屋に着いた後、鍵を開けて恐る恐る入り込むと……。

 

「あれ、シャルルがいない……。よかった……。もう寝よ……」

 

安堵の息とともに一夏はベッドに倒れてすぐに眠りにつく。だがこれはただの現実逃避でしかないのだった……。




常に殺されかねない状態となった一夏。彼のこれからの行方は!?
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