インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 作:妖刀
そして最近金曜ロードショーでGODZILLA(2014)が放映されましたが、カットが多数過ぎてちょっと……ってなってしまいました。まあゴジラの戦闘シーンが明るくなってて、とても見やすかったのは十分評価できますが。
さて、話がずれましたが、本編をどうぞ!
あの授業後、多数の気絶者などが出るなどの事件が起きたせいで、IS学園はまさかの半ドンで終わり、残っていた生徒たちも若干フラフラながら大体が寮へと戻っていく。
その中凰鈴音は、朝布仏本音に言われたとおり生徒会室へと向かっていた。顔色は朝の時より若干悪いが、それより一夏のことが気になっており、とりあえず手に持ってた牛乳を一気に飲み干して生徒会室へと歩を進める。
「失礼します」
ノックをした後、中に入る鈴。
「あら、いらっしゃい。待ってたわよ凰鈴音ちゃん♪」
「どうも……」
生徒会室にいたのは会長席に座ってる生徒会長である更識楯無、書記の布仏虚、その妹である布仏本音だった。
鈴は来客用の席に座り、それに向かい合うように楯無が座った後、虚がお茶を出してきたためそれに口を付けてそれを少し飲み、湯呑を机の上に置く。そして鈴は本題を聞くことにする。
「楯無さん。一夏が危ないって聞いたんですけど、一体どういうことなんですか?」
本人は気付いていないかもしれないが、この時の声はまるでキレてるかのようにドスが入っており、虚と本音は苦笑いを浮かべている。
「まあ教えてもいいんだけど、これだけ約束して」
「何です?」
「決して他の人に言わないこと。そして決して攻撃的にならないこと。そして一夏君の心身的なフォローをすること」
「……思ったんですが、なんで私なんです?他に箒とかいるでしょうに」
「それは彼女とかだと即行動に移して、一夏君に危害が及ぶと判断したのに対して、貴女ならそれが起きる可能性が低いと判断したのと……」
この時楯無が鈴の隣に座り、そして口を耳に近づけ……。
「好きな人の助けになりたいでしょ?」
「っ~!!」
この時鈴の顔は一気に赤くなり、まるで頭から湯気が出てるかのような雰囲気さえ出してる。それを見て笑みを浮かべる楯無。
「そ、そそそそれは」
「間違ってない、でしょ?」
「……は、はい」
そして顔を赤くしたまま俯く鈴。それをニヤニヤと見てる生徒会3人。この後復活した鈴が暴れてすぐに楯無に征されるが、それはまた別の話であった。
その後気を取り直して真剣な顔をする楯無。鈴ももうただ事ではないと気を引き締める
「さて、本題に入るわ。本音ちゃんに一夏君が危ないって聞いたわよね?」
「はい……」
「簡潔に言うと、今、一夏君はシャルル君、いや、シャルルちゃんって言った方がいいかしら?」
「え、どういう……」
鈴はいきなりのことで動きが止まってしまう。ちゃん付け?君じゃなくて……。
いきなり楯無が変なことを言うため
この時鈴は気付いてしまった。
「気付いたようね。そう、シャルル・デュノアは女よ」
「っ……!?」
鈴は予想してたことが当たったが、あまりの衝撃的な告白に固まってしまう。
今思い浮かべれば、身長が低く、少しなで肩気味で髪を結んでるのはすべてフランスの男性特有のことだと思っていたが、それを全て女性だからという理由に当てはめると納得いく。
「なら一夏はそれを知ってて……。どうして一夏は……!」
「だから一夏君は脅されてるの。『このことを誰かに言えば殺す』って」
「そんな……!」
「でも心当たりはない?一夏君が何か伝えたかったとか」
「え心当たりって……ぁ」
この時鈴は約1週間前の夜、一夏を夕食に誘った際に何かキョロキョロと挙動不審になってることを思い出したのだ。その日を境にシャルルと関わることが多くなり、自分たちとの接触が少なくなった。
そして日に日に一夏の食が細くなって行くのも知っていたし、それを心配して自分が何かご飯を作ろうとしても、シャルルがやんわりと断って『僕が食べさせておくよ』と言ってたから引き下がっていた。
そして今日みたに2人はよく一緒に行動するようになり、そして自分たちとこ行動を疎かにするように……。
こんなに不審な点があったのに何故気づかなかったのか。鈴は間抜けな自分に苛立ち、拳を強く握りしめ、その力が強すぎたせいか、爪が食い込んでる部分から血が流れ始める。
それに気づいた楯無は急いで鈴の手の力を緩めさせ、そして傷を確認。深くはないが、このままにしておくと傷跡が残り、女性としての欠点がついてしまう。
「ちょ、虚ちゃん!救急箱持っーー」
「すでに用意をしております」
流石従者もといメイドといったところか。その後消毒液を付けた綿を患部に当て、そしてガーゼをした後に包帯を巻いていく楯無。テキパキとした速さで済ませていく中、鈴は俯いたまま、うわ言かのように何か言ってる。
「私は……一夏に、一方的に……」
「そのことは彼に会った時に謝れいいわ。きちんと誠意をもって謝ればちゃんと許してくれるわ」
「でも……」
「そう言うトラブルはよくあるものでしょ。はい、おしまい」
そして鈴の手に包帯を巻いて処置を終わらせる楯無。
その後鈴は、虚から濡れたお手拭きを渡され、血で汚れた手を綺麗にしていく。
「……楯無さん。私、気になったんですが、なんでい、一夏がシャルルの裸を見たと知ってるんです、か……?」
「あぁ、それね?彼には悪いけど、シャルル君が転入して来たときに部屋に盗聴器仕込んでたの。だから彼がラッキースケベで彼女の裸を見た後、あとは押し倒されたみたいでその後銃を突き付けられたわ。そして、あとは彼女の操り人形」
「あんの馬鹿……、何やってんのよ……」
鈴は一夏のスキルを思い出し、あまりの馬鹿っぷりに頭を抱えて溜息を吐く。
「流石にこれは私も溜息しか出ないわ……。さて、話しに戻るけど、とりあえず一夏君をお願いね。あとシャルルちゃんが話しかけてきても気づかれないようにね。難しいと思うけど、お願い」
そう言って頭を下げる楯無。鈴はまさか生徒会長が頭を下げたことに驚いたが、自分にしかできないことなんだと思い。
「わ、わかりました!私に任せてください!」
「ならおねがいね」
その後、生徒会室で昼食をいただき、鈴は生徒会室を後にするのであった。
その後、生徒会室では本音が食後のケーキを食べてる時、虚が心配そうな顔で楯無に詰め寄ってた。
「会長、彼女で大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。好きな人を助けたいってときの力は凄いんだから」
「は、はぁ……」
どうもかみ合わない会話。だけど何か考えてるのか、楯無がとても自信に満ちた顔をしており、虚は少し不安そうな顔で彼女を見つめていたのだった。
鈴が生徒会を訪れた日から2日後、現在午後3時。
場所は変わり、とある家にて。
「航、大丈夫なのかしらねぇ」
「まあ俺の息子だ。問題ないさ。それに更識のお嬢ちゃんもいることだしな」
「それもそうね。ねえあなた、夕飯何にする?」
「んー、月夜がすぐ作れるやつでいいよ」
ここはとある一軒家。そこに住んでる航の父である
篠栗家は自営業なのだが、今日は早く店仕舞いをして航の親は家でのんびりしていた。
この時チャイムの音が鳴ったため、月夜は軽く返事をした後パタパタと玄関へと速足で向かう。そして玄関のカギを開け、扉を開いた先にはIS学園の制服に茶色のブーツを履いた更識楯無が立っていた。
「あら、刀奈ちゃんじゃない。どうしたの?」
「おばさん、こんにちは。実は航が取ってきてほしいものがあるって言われたので」
「でも今日は授業じゃないの?」
「今日は学校が速く終わってしまったので……」
そう言ってニコッと笑みを浮かべる楯無。だが月夜はこの時の楯無に何か違和感を感じたが、気のせいだろうと流す。
「あらそう。なら上がって。お昼食べた?」
「いえ、まだですかが……」
「なら食べて行って。あなた~、刀奈ちゃんがやってきたわ~」
「おー、そうかー」
居間の方から声が聞こえ、そして「お邪魔します」と言って家に上がる楯無。汗かいていたのか彼女はハンカチで汗をぬぐい、そして居間へと続く通路を月夜と共に歩いているときだ。
「そういえば航元気?」
「はい、とても元気にしてますよ。どうしたんですか?」
「いやねぇ、だってあの子最近電話してくれないし。だから少し不安に思ってね」
「大丈夫ですよ。私たち更識が守ってますから」
「ふぅん……。ねぇ、貴女、本当に刀奈ちゃん?」
「えっ……いきなりどうしたんですか?」
この時二人の足は止まり、楯無は前を歩いていた月夜の背中を驚いた顔で見てる。そして振り返った月夜の表情を見たとき、楯無は彼女があまりにも無表情であることに恐怖を感じた。
「つ、月夜おばさん……?」
「だって貴女から危ない雰囲気が漂ってるもの。確かに対暗部用暗部なんだろうけど、私たちに会うときはそんな雰囲気出さないのよ?それに私のこと、“月夜おばさん”じゃなくて“お義母さま”って呼ぶのよ?あの子は」
「それは……」
「だから聞くわ。貴女……、だれ?」
この時楯無は俯き、目元が髪の毛の陰になって見えない。ただ何かボソボソとつぶやいており、どう見ても危ないと判断した月夜は夫のいる居間へと逃げようとするのだが……。
「逃がさない」
「へっ、きゃあ!」
この時月夜は一瞬足首を掴まれたかと思うと、そのまま引っ張られて倒れてしまい、その時に額を強打して痛みに悶える中、背中に何か重いものが乗ってきたため首を動かして振り向くと、そこには刃渡り20センチ弱の刃物を持った楯無が背中にのしかかって来たのだ。
「さて、予定が少し狂ったけど、予定通り死んでもらいますよ」
「ひっ……!?い、いやぁぁぁ!!!」
そして凶刃が振り下ろされた。切っ先は月夜の首を斬り、頸動脈が切れたせいもあって大量の血が壁に噴きかかる。月夜はまだこの時痛みで意識が消えそうになりながらも体をバタバタと暴れるようにもがき抜け出そうとするが、彼女の力のせいか、それとも大量に血が抜けたせいか分からないが上手く力が入らず、そして背中にいくつもの激痛を感じ、意識を永遠の闇に沈ませるのであった。
「よし、まず1人……あとは」
そう言って月夜だった物から腰をどかし、立ち上がる楯無。この時もうすぐそこが居間だったのであろうか、妻の悲鳴を聞いてそこの戸から北斗が出てきた。
「月夜、どうし……楯無!貴様、月夜をぉ!」
完全に血に汚れたボロ雑巾と化した月夜を見て完全に激昂したのか、楯無を射殺さんとする眼つきで拳を握り、そして神速の速さで懐に入り込んで彼女の肋骨に骨を砕くのではないかと思えるほどのフックを叩き込もうとする。だが彼女はそれを体を捩じってするりと躱し、そして捩じった時の遠心力でそのまま後ろ回し蹴りを北斗のこめかみに叩きつけた。
それでよろめく北斗。そして体勢を立て直そうとしたときには腹に刃物が刺さっており、痛みで後ろにのけ反るが楯無がそのまま踏み込んで刃物を深々と刺してくるため、そのまま壁に叩きつけられ、刃物は腹を貫通。そして北斗を壁に縫い付ける形となる。
そして楯無は縫い付けられながらも、殴ってこようとする北斗の攻撃を払い、手の届かない距離まで離れる。
「き、貴様……いったい何者だ……!?」
「……」
楯無は何も答えず、氷のように冷たい目で北斗を睨むだけ。
その間にも北斗はどうにかしてこの刃物を抜こうとするが、どうやら刃に返しみたいのがついてるらしく、柄をもって引き抜こうにも全く壁から刃が抜けない。
そして楯無の袖の中から再びナイフが現れ、それを逆手に持って北斗の首筋に刃を当てる。そして皮が切れて一筋の血が流れ始まる。
「さよなら」
そして頸動脈を切り、血が噴水化の様に出て壁を赤く染め上げる。
その時、縁側のガラスが割れ、そこに現れたのは更識から篠栗家の監視、護衛を任された
「北斗様!大じ……た、楯無様!?いったい何を!?」
「ちっ、邪魔者ね……」
楯無は神弘を見るなり完全にぐったりとした北斗から刃を放し、そして床を強く踏みしめて一気に驚いた表情のままの神弘の懐へと入り込む。そしてナイフを鳩尾に突き立てようとするが、神弘はすぐに気を引き締め素手でナイフの峰を掴んでそのまま取り上げ、そして楯無に回し蹴りを放つ。
だが、楯無はその足に乗って飛ばされるかのように後ろへと下がり、そしてナイフを構えなおし、そしていつでも襲える体勢で神弘を睨みつける。
「楯無様!貴女はいったい何をしてるのですか!このお方たちは護衛対象のはずでしょ!」
「……」
「た、楯無、様……?」
「……私の姿を見たからには死んでもらうわ」
「なっ!?」
訳が分からない。だが神弘は自分に向けて突っ込んでくる楯無をどうにかしないと自分が殺される。
実際逃げるという手もあるのだが、背を向ければ最悪背中から撃たれる可能性もある。だからと言って真正面から戦っても勝てる可能性が低い。
そう考えてる間にも楯無がナイフを投げ、それを体を右に逸らして躱したときに右拳が顔面に迫ってきてたためわざと額で受け、跳ね返った衝撃で楯無が顔をゆがめる。
そのスキに己の拳を楯無に叩き込もうとするが、楯無はそれをヒラリと躱し、それどころかカウンターにフライングニールキックに近い後ろ回し蹴りを放ち、それをのけ反るかかのように躱すが、楯無のもう一方の足が跳ね上がり、まさかの2段蹴りに対応できなかった神弘はそれを顔面に直撃をもらってしまう。
「がぁっ!」
そして骨が折れて血が止まらない鼻を押さえ、そして前を見るとそこにはニィ……と狂気の笑みを浮かべ神弘を見る楯無がいた。
そして彼女は一瞬にして神弘の右腕を掴んで後ろに回り込み、完全に腕の関節の極まった状態でそのまま自分の肩に肘が来る形へとなる。そして半ば力任せに彼を背負い投げるが、この時強い力が掛かったことで肘関節から骨の折れる音が響く。
完全に投げられ頭が下向きになった神弘はそのまま頭が床に叩きつけられるかと思い、もう一方の腕で防御しようとするが、その前に首に楯無のローキックが決まり、ゴキリッと鈍い音が響いてそのまま仰向けの状態で倒れる。
「さて、おしまい」
彼女は制服が少し血に汚れてるが、そんなのを気にしてないかの様子で玄関へと向かって行く。
だがこの時彼女は気付いてなかった。北斗が自分に向かってきてることに。その手には彼に刺さっていた返し付きのナイフが握られており、彼の目は獣の様にギョロリとした目で彼女を見ている。
「がぁぁぁああ!」
「っ!?」
彼女はその声に驚いて振り向くが、北斗は手に持ってた彼女のナイフを彼女の腹に突き立て、そしてしてやったりとニヤリとした笑みを浮かべ、彼は力尽きたかのようにうつ伏せに倒れる。
「くっ、ぅ……!」
まさかの不意打ちにナイフが刺さった腹を押さえる。そしてナイフの柄をもって力技で抜こうとするが、返しが邪魔して上手く抜けない。
その痛みに小さい悲鳴が上がるが、それでも無理やり引き抜いた後にナイフを捨て、そして制服のポケットに手を入れた際に自分の血で汚れたハンカチを捨てた後に何か注射みたいのを取り出し、ハンカチを捨てた後にそれを患部に射すと彼女の荒い息は落ち着いたものへと変わった。
そしてこの血で真っ赤になった制服をどうにかするため、部屋を物色。そして春香の服を見つけ、それを制服の上から着てごまかした後、篠栗家を逃げるかのように出て行き、近くにあった黒のワゴン車に乗り込み、車はどこかへと向けて走り出すのであった。
航がこれを知るとき、いったい何が起きるのか。それは、誰にもわからない……。
ただわかるのは絶望への一歩を、踏み出したということだけだった……。