インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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……怪獣学は、前の話です


放課後の一幕

一夏は一人で寮に向かっていた。先程まで航がいたが、物の取り忘れで教室へと戻り、今は適当に曲を口ずさみながら寮へと向かっている。

そして寮の中に入ったものの、周りからは好奇の視線、視線、視線。これのおかげで一夏は戦場に行ったのかと言えるほどの疲労を浮かべていた。

そして着いた1025室。疲れのせいか、ノックもせず部屋に入り込んだ一夏はベッドに倒れこむ。

 

「おぉ……、おお!?このベッドめっちゃふかふかじゃねえか!」

 

倒れこんだ一夏だが、あまりのフカフカ具合に先程の疲れが吹っ飛んだといえるほどの復活を果たす。

 

「誰かいるのか?」

 

その時。シャワー室から女子の声がした。

一夏はその声を聞いた瞬間固まる。そうだった、女子が同室だったのだ。

一夏の頬に一筋の汗が流れる。

 

(やばいやばいやばい!これって俺の終わりパターンか!?)

 

そしてシャワー室の扉が開かれる。

 

「ああ、同室者のものか。すまないな、こんな姿で。私の名は……」

 

「箒……」

 

一夏はこの時、自分の死を覚悟するのであった。

 

 

 

 

 

「あーあ、忘れ物しちまったせいで一人で向かわないといけないとか……」

 

航は先程、自分が教室に忘れ物をしたせいで一夏を先に寮へと向かわせ、そして一人寮へと向かっていた。そして一夏が寮に入ってから約10分後に寮に入り、階段を上がって自分の部屋がある階へと目指す。

それから途中で女尊男卑に染まった女子に絡まれるなどのハプニングがあったが、どうにか目的の階に到着し、自分の部屋へと目指して歩を進めるが、

 

「ん?何だあれ」

 

目の前には薄着姿の女子達がたくさんおり、自分の進む道を塞いでいた。

 

「うぉい!?」

 

その時だ、一夏の悲鳴が聞こえたのだ。

 

「おい一夏!大丈夫か!?」

 

「航か!?助けてくれ!」

 

一夏の悲鳴を聞いた航はとりあえず周りにいた女子達に通してもらえるようにしてもらった後、一夏の元へと急ぐ。

 

「一……、夏ぁ?」

 

航が見たのは穴だらけの扉に張り付く一夏の姿だった。扉に張られていた番号を見ると1025、一夏が先ほど言っていた部屋だ。それを見た途端冷静になっていく航、とりあえず何があったか聞くことにした。

 

「一夏、お前はいったい何をしたんだ?」

 

いきなり冷静になられたため、一夏はとりあえず弁明する。

 

「い、いや、同居人が箒で、それでノックせずに入ったら」

 

「オッケー、わかった。自業自得ってこと『バガンッ!』がぁ!?」

 

「航!?」

 

『きゃあ!?』

 

その時だ、いきなり扉を突き破ってきた木刀が航の眉間に直撃したのだ。航はそのまま後ろに飛ばされ、後ろにあった扉に後頭部を強打する。

 

「箒ぃ!木刀が航に直撃した!!やばいって、これ!箒!」

 

一夏は扉を強く叩き、本気とも言える叫びで箒に訴える。そして扉越しにばたばたと音が聞こえ、扉を箒が開く。

 

「なっ、わ、航!?」

 

箒が見たのは、眉間から血をダラダラ流す航の姿。制服まで赤く染まり、まさに痛ましい姿である。周りにいた女子達はあまりの姿に言葉をなくしていたが箒も例外でなく、自分のしたことに恐怖し、その場でオロオロしだす始末だ。

 

「い、一夏、ど、どう「ほう……きぃ……!」ひぃ……!?」

 

航の目は箒を睨んでいる。

 

「わ、航……」

 

航はゆっくりと起き上って箒を睨む。その眼つきは周りにいた女子達も涙目になるほどで、まともに見た箒はすぐにへたり込んだ。

その後航は首をゴキゴキと鳴らし、箒を視界から外した後、一夏の方を向く。

 

「……一夏、何か冷たいものをくれんか?」

 

「わかった」

 

一夏はそう言って部屋に急いで戻り、そして手にタオルと氷嚢を持って出てくる。それを航に渡した後、航はそれを顔の傷口にタオルを与えた後に氷嚢をその上に押し付ける。

 

「だーくそ、いてえじゃねえか……」

 

「……」

 

航はそう言って箒の方を見るが、箒は俯いて何も言わない。

 

「おい」

 

「……」

 

先程より少し威圧感を付けて呼んだが、箒の体がビクッとしただけで箒は先程と態度を変えない。その姿を見た航はイライラしだして握りこぶしを作ったが、その後に舌打ちをする。

 

「一夏、タオルは今週には返すから」

 

「お、おう」

 

そう言って自室へと足を運び始めたが、少し進んだ後に後ろを振り返って口を開く。

 

「箒、お前、ごめんなさいぐらいなんで言えないんだ?お前そんな人間だったか?」

 

そしてため息を吐き、1回睨みつけた航は自室の扉をノックして部屋に入っていくのであった。

そして残される惨状を見た人たち。誰も何も言えず、ただ、誰も動こうともしなかった。

 

「お前らそこで何をしている」

 

その時だ。全員が声のした方を見ると、そこに立っていたのはジャージ姿の千冬である。そして改めて同じことを聞くが誰も答えず、少し離れたところに空間があるとわかって、すぐにそこに進む。そしてそこで見たのは、

 

「織斑、篠ノ之、ここでいったい何があった」

 

穴の開いた1025室の扉、血で汚れた扉と床、木刀を持ったままへたり込んでいる箒、どうすればいのか分からない状況にいる一夏、それが千冬の見た状況である。

とりあえず千冬は一夏に何があったかを聞くことにする。

 

「実は……」

 

腕を組んで目を瞑って聞いていた千冬だが、そして一夏の説明が終わった後、目を開いて口も開く。

 

「航が怪我……か。あいつは怪我してもすぐ治る。だからほおっておけ」

 

その言葉に周りは絶句する。そこ答えはあまりにも無茶苦茶で、残酷ともいえる答えであった。

 

「そして篠ノ之、お前は今すぐ寮長室に来い」

 

「……はい」

 

「では解散!さっさと部屋に戻れ!」

 

箒が小さく返事をし、千冬が周りにいた生徒たちを一気に散らした後、事情聴取のために箒と一夏を連れて寮長室へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

自室の扉を開いて最初に見たのは、水色の髪をした女子がベッドの上で雑誌を読んでいる姿である。頭にはヘッドフォンをしており、それで流れている曲だろうか、それを少し音量が大きめの声で口ずさみながら雑誌のページをめくっている。

 

「手をつーないだーらいいってみ……、あ」

 

「……」

 

その時気配を感じたのだろうか、女子が振り向いたときにいたのは氷嚢で傷口を抑える航。その姿はある意味奇妙にも見える状態であった。そしてお互い無言の中、最初に口を開いたのは航だ。

 

「何やってんの、刀奈姉」

 

「えっと……、歌いながら雑誌読み……?」

 

そう言って刀奈……、もといIS学園生徒会長、更識楯無はさっきの恥ずかしさをごまかすかのように笑顔で答える。そして改めて航の顔を見たとき、表情を一気に焦りへと変えていく。

 

「航!いったい何があったの!?というより後頭部からも血が出てるし!……いや、もう血が止まってるっていうか傷がふさがり始めてるわね」

 

楯無は航のとりあえず現状で確認できる傷を確認していく。そしてお互いの顔と顔が向き合う形にして、楯無は顔のを外すように指示する。

 

「ねえ、その氷嚢とタオルを外して?」

 

「……わかった」

 

そう言って航は二つを外していく。そして外した後、眉間は先程の血がべっとりと着いており、顔もあちこちを赤く染めている。楯無はそれを先程濡らしたハンカチで優しく拭き取っていき、そして傷口があるであろう眉間にこびりついた血を拭っていく。

だが

 

「いつみてもすごいわね……。傷口が殆ど癒着してきてるわ……」

 

そう、眉間にあった約2センチほどの傷口が殆ど塞がっており、残り1センチ程度しか傷口は残っていない。そのせいで血はすでに止まっており、航はとりあえず顔を汚す血を拭う。

 

「いつみても本当にすごい回復力ね」

 

「まあこれでゴジラだ化け物だ、って言われて嫌われてきたがな」

 

楯無は関心したかのように言う。だが、航がため息交じりで返した為、楯無は苦笑いを浮かべる。

 

「私は怖いって感じたこと一回もなかったけど?」

 

「そういえばそうだったな」

 

そう言ってお互いに笑いあう。

その後航は血で汚れた顔を洗うためにシャワー室に入り、楯無は航の血で汚れた制服を自身のISを部分展開してその能力で血を抜き取っていき、綺麗に真っ白な状態に戻す。なお制服に一切湿気を残さないことを忘れない。

その後楯無は暇になってしまい、航のバッグを無断で漁った時、とある道具を見つける。だが、楯無はそれを元の場所に戻す。

 

「ふー、上がった上がった」

 

航はシャワー室から上下共にグレーのスウェットで出てくる。眉間の傷口は塞がってるともいえる状態になっており、航は軽く眉間の傷口を触って状態を確認している。

 

そして改めてお互いに挨拶をする。

 

「さて、いろいろあったけど改めて久しぶりね、航」

 

「久しぶり、刀奈姉」

 

航がそう言った時、楯無は少し苦笑いを浮かべる。

 

「あー、私と二人っきりの時はいいけど、他の人がいるときは楯無って呼んで?」

 

「なら楯姉で」

 

「うーん、ならそれでいいや」

 

その後二人は色々と喋りあい、楯無特製の夕食を食べる。

食べ終わった後、航は楯無に学科の勉強の分からないところを教えてもらうことにした。

そして今は楯無に分からないところを教えてもらっていた。

 

「なるほど。じゃあ、ここの意味は?」

 

「ここ?ここは……」

 

そんな感じで教えてもらっていたら、時間はすでに午後19時半。勉強を切りのいいところで切り上げ、そして歯磨きをして、楯無は窓側のベッド、航は扉側のベッドに入る。

そしてあとは電気を消してもいいのだが、航は楯無のいる方に寝返りを打つ。

 

「刀奈姉、そういやどうして俺と同じ部屋なんだ?」

 

「駄目だった?」

 

「いや、これでいい」

 

この時首を横に振って否定する航。

 

「よかった。まあ、簡単に説明すると、ISの男子搭乗者の護衛として私が選ばれたの」

 

「本当に簡単な説明だな。まあ刀奈姉じゃなかったらこっちもきつかったかな」

 

「まあ、簪ちゃんに一回怖がられたからね……」

 

「まあ……、うん……」

 

先程より小さい声で返事をしたため、楯無はまずいと思い、話題を変えることにした。

 

「そういえばどこか部活はいるところ決めた?」

 

「部活?なんで?」

 

楯無はこの学園はどこかに絶対部活に入らなければならないことを説明し、入らなかったらどうなるかを説明する。それを聞いた航は嫌そうな声を出しており、その時を待っていたかのように楯無が本題を出す。

 

「だから、生徒会に入らない?」

 

「なぜに生徒会」

 

「だって護衛もできるし、部活にも入らなくてもいいし、クラス代表にもならくていいのよ?いいことずくめじゃない」

 

この時間が空いたため、楯無は入る様に願う。だが

 

「……考えておく」

 

そういう答えだったため、小さく溜息を吐いた。

 

「そう、なら早めの答えを待ってるわ」

 

「わかった。じゃあおやすみ」

 

「おやすみ」

 

そう言って楯無は部屋の電気を消し、二人は就寝するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜3時、学園の人工砂浜に一つの黒い影が打ちあがる。それは体長1メートルはある大きな黒いナニカ。顔の部分には2本の鋭い牙が生えており、それをチカチカと鳴らしながら、それは餌を求めて砂浜から学園へと動移しようと尻尾ともいえる部分をばねのようにして滑空しながら移動する。だが、

 

「!?」

 

それは何か気配を感じたのか、すぐさまに体を曲げ、大きく飛び上がって先程のように滑空をして海へと戻る。そしてどんどんと海に体を沈めていき、そして海に完全に姿を消した。

そして砂浜は元から何もなかったかのように波の音だけが響いている。

そして夜が明けて行くのであった。


















……うわ、めっちゃお気に入り減ったよ。まあ仕方ないか。すべて自分のせいだし。
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