インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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どうも、履歴書が終わったけどテストの追試が待っていて若干ブルーな妖刀です。

さて、今回の話はメガニューラが現れたIS学園。その中航は……。



では本編どうぞ!


激戦のアリーナ

時は少し戻り第1アリーナ。ここでもいきなりのメガニューラに大混乱を引き起こしており、次の試合のためピット内で待機していた男2人、特にただ専用機持ちの一夏は女子たちがメガニューラに襲われてるのを目撃し、真っ先に白式を展開。そしてピットから飛び出した。

だが一夏は目の前の景色に絶句してしまう。

 

「なんだよ……、これ……!」

 

ただ一夏の手も震えていた。この前の無人機の時とは大きく違う、たくさんのメガニューラが空を飛ぶ空間。まるで大昔にタイムスリップしたのではないかと錯覚を受けるが、嫌でもISのアラートが反応して自分を現実に引き戻す。

 

「いやぁ!」

 

「誰か助けてぇ!」

 

この時一夏はアリーナ内で戦ってた4人、先ほどの試合をしていた子たちを群れの中から見つける。1人はどうにかしようと近接ブレードを振っているが、後ろからメガニューラに飛びつかれた挙句、その勢いで一斉に群がられ、手足をバタバタともがくがメガニューラたちの猛攻は収まらない。

もう泣き声まで上げているため

 

「やめろぉぉぉ!」

 

一夏は一目散にそこに雪片二型を構えて突っ込んだ。メガニューラは一夏に気付いたのか、一斉に彼女たちから離れ、切っ先は空を切る。

そして上空で渦を巻くかのようにメガニューラの大群は飛び、一夏たちはそれを見上げていた。

 

「早く逃げるんだ!」

 

「で、でもぉ……早苗が……」

 

早苗と呼ばれる女の子は完全に失神しており、装着しているラファール・リヴァイブが重りとなってしまっている。他の子も恐怖で怯えてしまい、足がすくんでしまっていた。

本音、一夏もその気持ちはよくわかるし、今すぐにでも逃げ出したい。

 

「なあ、何か射撃武器持ってないか?」

 

「あ、うん、これなら……」

 

女子の1人がサブマシンガンを展開し、それを一夏に手渡す。使用承諾の方法は分かってるらしく、一夏が撃っても問題ないようになっていた。

 

「よし。なら俺らが奴らの気をそらすから、その隙に逃げてくれ。できるか?」

 

「た、たぶん…」

 

その時だ。メガニューラの群れの中に紅蓮の花が咲いた。何なのかと見上げると、そこにはグレネードランチャーを片手に持つ航が単身、メガニューラの群れの中に突っ込んだのだ。

 

 

 

 

 

航にとってこのトンボは敵だ。自分を大きく傷つけた敵。ゆえにどこからかわからないが、グツグツとマグマのように怒りが湧いてくる。

そして左手には格納領域(バススロット)からグレネードランチャーを展開。航は怒りに任せて引き金を引き、その熱と爆風でメガニューラを焼き払い、バランスを崩したメガニューラにめがけて突貫。そして右手に持つ近接ブレードでその胴と胸を、もしくは羽等を切り裂いて地に落とす。

 

「ああああああ!!!!!」

 

気持ち悪いほど体が反応する。真後ろにいたメガニューラにも反応でき、ブレードで切り裂き、グレネードで焼き払う。簡単なことに見えるが、高速で動く相手にこれをするのはじっさい難しい。だが彼はそれができていた。

まるで自分が破壊を楽しんでるような気分がした。だけど止められない。止まらない。

航はグレネードの弾が切れるとすぐにメガニューラのうちの1体にめがけて投げる。むろん一瞬で躱されるが、その空いた手には近接ブレードが握られており、即行メガニューラめがけて斬りにかかった。

だがこれがいけなかった。メガニューラたちはその動きが先ほどより俊敏になり、航に一撃離脱の戦法で突進、尻尾の針を突き立てるなどを行い始めたのだ。いや、これは先ほどから行っていたが、範囲攻撃ができるグレネードが無くなったことによってその動きが活発になったのだ。

 

 

 

 

 

メガニューラたちはエネルギーとなるものなら、ゴジラのようなリスクが伴うものではなく、人間のような小さな生物でも問題ないのだ。だが彼らも驚いたのは、機械のエネルギーすらも吸った分の1割をエネルギーに変換することができるという突然変異が起きていたのだ。これは、こっちに来る際に通った異次元空間の影響なのだろうか。これは誰にもわからない。そもそも彼らには知能というものはほとんどないのが当たり前だ。だが彼らは幼虫の頃から知能を持ち、集団で狩りを行うなどという行動を行った。

そしてその知能は、成虫になって大きく落ちるも、それでもそれなりの知能を持ち合わせていた。

そして奴らは、学園の上空を飛び回る。生徒たちは、その中怯えて隠れていた。

 

 

 

 

 

「ぁぁぁああ!!!」

 

航はボロボロになっても剣を振るのをやめなかった。見渡す限りのメガニューラに翻弄され、一夏の白式のように高機動でもなく、機龍ほどの防御力を持たない打鉄だが、それでもISの中で防御力があるため航は戦闘不能にならない。

だがグレネードも弾切れで本体を捨てた。残りの武器は両手に持ってる近接ブレード2振りだけ。だが彼の眼には諦めというものが見えない。むしろ、まだ戦うという意思も見えている。

だがこの状況ではそれはただの意地にしかならず、航は剣を振い続ける。だがしかし……。

 

「しまっ……!」

 

航は4体のメガニューラに憑りつかれ、バランスを崩して地面に落ちる。一夏は航に飛びついたメガニューラを払おうとしたが、自分の周りにいる奴らの相手をするのが精いっぱいで、まともにその場から動けない。そしてその鋭い牙によってバリヤーによって拒まれるも噛まれたり、尻尾の針がエネルギーを吸い取り始めてすごい勢いで無くなっていくのを見ていた航は、恐怖を感じた。

 

「いやだ……!」

 

思い出すは渋谷の路地裏の記憶。またあの恐怖が繰り返される。それを知った航の目は、どんどん瞳が小さくなっていく。

そして無理やり立ち上がろうと四肢に力を入れる。だがメガニューラたちが関節に思いっきり尻尾で殴ってきたリで上手く立ち上がれない。

 

「がぁ…っが…!」

 

だがそれでも立ち上がろうとした時だ。上の方、上空から機銃掃射の音がした。

 

「航!」

 

航に飛びついていたメガニューラは背中から一瞬にしてハチの巣になり、絶命してそのまま地面に墜落する。

この声は……。一番その声を知ってる航は空を見上げる。するとそこにいたのは航が知ってる蒼色の装甲を持つ空色の髪を持つ彼女ことIS学園生徒会長、更識楯無が蒼龍を纏っていたのだ。

 

 

 

 

 

楯無は小さく冷や汗をかいていた。モノレールに乗っていてメガニューラが突っ込んできた際、即座に蒼龍を展開。そして同時に展開した蒼流旋につけられているガトリングの銃弾を、メガニューラに浴びせて墜落させたのだ。その後はボロボロになったモノレール側面もとい搭乗用扉を蹴破って、そのまま学園へと向かったのだ。

道中自分に向けて突っ込んでくるメガニューラも、回避と同時に蒼流旋や村雨などで胴を切り裂いたり叩いて外皮を砕いて戦闘不能にさせながら学園へと向かったのだ。そしてアリーナ外にいた教師たちと合流し、彼女たちの命令ですぐにアリーナの中へとメガニューラが作り出した通路から入り込んだのだ。

そして今、まだ人的被害が出てないことに安堵しながらも空を覆い尽くすメガニューラの群れに眉をしかめる。

 

「改めてみたけど、何よこの量。昔見た田舎でも赤とんぼはこんなにいなかったわよ」

 

冗談を飛ばす楯無だが、その顔は真剣そのものだ。機龍によって中破した蒼龍が復活しての初戦闘がこれになることにわずかながら残念に思いながらも急いで航の姿を探す。すると彼女の目に映ったのはただがむしゃらに剣を振り続け、メガニューラの数の暴力によって傷ついていく航の姿だった。

 

「航!」

 

ただ彼女は無我夢中だった。とっさに蒼流旋のガトリングを使って航の周りにいたメガニューラを追い払い、そしてすぐに航の元へ駆けつけた。

航はボロボロのせいで完全にへたり込んでおり、肩を上下させながら息をしている。

 

「もう、何無茶してるの!まともに中距離用の武器もないのに!」

 

「……っ」

 

航は刀奈を睨むが、それに構ってる暇はないと言わんばかりに刀奈はその睨みに臆せず返す。

 

「航、もし私に何か言いたいことがあっても今はこれらが先よ」

 

周りを見るとメガニューラがすでに取り囲まんと言わんばかりに飛び交っており、教師たちが乗るISも総動員してこの状況の打開するためにひたすら弾幕を張っている。彼は完全に周りを見ていなかったため、今の状況を改めて確認し、自分が1人突っ走って勝手にボロボロになってることを知った。

一夏も、鈴も、セシリアも、ISに乗ってる面々はお互いチームワークを駆使してメガニューラを撃墜していっており、その中で航だけが誰とも協力せずにただ潰していっていた。だがその結果として、メガニューラをよく引き付けつつも一番ダメージを多くくらっているという状況だ。

そのため刀奈が、蒼流旋のガトリングで航の周りにいるメガニューラを一掃し、約3mほどの距離まで近づく。この時航は目をわずかに細め、その鋭い眼で刀奈をにらみつける。

 

「ねえ、これが終わったら一回話し合いましょ。だから今回は協力して」

 

刀奈はそういうが、航はまるで聞いてないかのような顔だ。

航は彼女を一瞥すると、それを無視するかのようにボロボロの体に鞭打って立ち上がる。

 

「航…」

 

彼女の願うような、悲痛な声。この時、航のとても小さくなった瞳がわずか揺れ、小さく口を開いた。

 

「……分かった」

 

小さくそう返事すると、彼は喉からわずかながら唸り声を上げる。そして両手で近接ブレードを強く握り、そして背中を楯無に預けた。

 

「航、行ける?」

 

「問題、ない!」

 

その言葉を聞いて、まともに返事をしてくれたことを嬉しく思いながらも楯無は、アクアナノマシンを蒼流旋と村雨に纏わせる。

 

「航、無茶しても援護するから。だから好きに暴れて」

 

「わかった」

 

そして航は楯無の援護をもらいながら、メガニューラの大群へと突っ込んだ。

 

 

 

 

 

それからどれだけ潰して回っただろうか。楯無の蒼流旋の弾もすでに弾切れを起こしており、ただアクアナノマシンで牽制をしたり、時には氷柱のようにして飛ばしており、何本かそれが大地に刺さっており、何本か上部が霧のようになりながら溶けている。

航も楯無に背中を預けたままどうにかメガニューラを切り潰していた。だが、最初の頃のように自由な立ち回りでメガニューラを潰せ、それに集中しようとしたメガニューラを楯無が潰すという形になってたりする。

 

『会長、アリーナの避難が終わりました』

 

そのとき虚からの通信が入った。それで瞬時に周りをハイパーセンサーで見渡すと、観戦席には生徒はおらず、観戦席に侵入したと思われるメガニューラを退治したIS展開中の教員が別の場所に移動を開始してる程度だ。

 

「わかったわ。航!一夏君!今すぐピットに戻って!」

 

「で、でも「いいから早く戻る!」は、はい!」

 

一夏は楯無の迫力に負け急いでピットに戻る。航はまだ戦おうとするが、この時楯無が彼の手を引いて無理やりピットに詰め込む。航はバランスを崩してピットに転げるように入り込むが、別に怒ってるという顔でもない。

そして楯無がアクアナノマシンで、3人がぎりぎり隠れきれるほどの氷の分厚い壁を作り出す。楯無が何をするのか一瞬考えた2人だが、特訓の時にしてきたアレをしてくるとわかるや否や、すぐに隠れる。

 

清き熱情(クリア・パッション)

 

そして楯無が指をぱちんと鳴らした。

すると、アリーナの中で爆発が起きたかと思うと紅蓮の炎に飲まれ、中にいたメガニューラたちが悲鳴を上げながら一斉に燃え上がり、そのまま地面に落ちていく。

清き熱情(クリア・パッション)。これは楯無の機体、蒼龍のアクアクリスタルから出るナノマシンを霧状にして空気中にばら撒き、そのナノマシンを発熱、そして水を瞬時に気化させ水蒸気爆発を起こす技だ。

これによって生じる熱や衝撃で相手を攻撃するのだが、楯無は蒼龍のナノマシンの8割を使用しており、アリーナ内を完全に爆破範囲にしており、残ったナノマシンで氷の壁を作って自分たち3人を守る盾にしたのだ。

正直楯無も大量のナノマシンを使った清き熱情(クリア・パッション)を使ったことないため初めての試みだったが、ここまでの破壊力による恐怖とメガニューラを一掃できたことによる安心が同時に来ており、安堵の息を吐く。

その時だ。ガシャン!という大きな音と共に、航があおむけに倒れたのだ。本人は何が起きたのか全く理解しておらず、目をぱちくりと開いている。

それは周りも同じで、もしかしたら彼の体に何か異常でも起きたのか、あのメガニューラに何かされたのかと思い警戒する。

 

「疲れた……。助かったんだ……」

 

だが航はすぐに気づいた。その時の安堵感で体の力が抜けたのだ。そして打鉄が彼の体から解除され、彼は冷たい床に身を倒す。

そのとき楯無は蒼龍を解除した後航を抱き上げ、そして強く抱きしめた。

 

「航、よかった、無事で…。もう、心配したんだから……!」

 

「ぅ、ぁ……」

 

楯無は航を抱きしめる力を強める。

航は小さく声を上げるだけで何もしようとしない。この時彼の手が彼女を抱きしめようとしてたが、何かに止められるように動きが止まり、そしてだらりと床に投げ出される。

この光景に一夏はうんうん、と腕を組んで頷いておりただ2人を見守っていた。

航はただ、このやさしい温もりに素直に甘えたかった……。

 

 

 

 

あれからそこそこ時間が経ち、楯無は航を解放して再び蒼龍を纏っている。そう、まだ脅威は終わっていないのだ。

 

「航、いい?1週間後よ。1週間後のいつでもいいわ。生徒会室に来てね」

 

楯無はそういうと、アリーナの天井の穴の開いた部分から出ていき、他のメガニューラ退治の援護に向かっていった。

航はその後ろ姿を見て、一歩踏み出すがそこで歩みを止めてしまう。そしてただ彼女が去っていくのを見ているだけであった。

 

「航…。なあ、楯無さんとの間に何があったんだよ。……俺に相談とかできないのか?」

 

「……なあ、俺は誰を信じればいいんだ?」

 

「えっ……」

 

「父さんも母さんも殺された。次殺されるのは俺だ。俺は…、俺はいったい誰を信じればいいんだ?誰も教えてくれない……」

 

その声は恐怖で震えていた。それもそうだ。航の両親は楯無と思われる女に殺されたのだ。これで犯人が楯無であればまだいい。

だが、もし偽物だとしたらどうするのか。あの時の画像では、女はIS学園の制服を持っていた。そして楯無そっくりに化けているとしたら、もしかしたらIS学園に姿をひそめてるかもしれないのだ。

航は怖いのだ。

確かに一夏なら味方なのだろう。だが、それが決して安全や安心につながるとは言い切れない。もしかしたらその相手に、一夏が自分を差し出すのかもしれない。

航は疑心暗鬼に陥っていた。自分の友人すらも信じ切れない。そんな自分に吐き気を感じていた。

そして航は怖くなってしまい、打鉄を脱ぎ捨ててこの場を後にしようとピットから出ようとする。

 

「ちょ、落ち着けよ…、な?」

 

一夏派戸惑いを隠せなかった。一夏には家族は千冬以外いない。それにその千冬は世界最強ともいえる女性のため、そう簡単に襲われないだろうと確信していた。それに航も々男子搭乗者で、自分の友人だから問題ない。

だからだ。航の気持ちに完全に気づけてないのは。一夏の親のようにいきなり消えたのではない。殺されたのだから。

 

「航、待てよ!」

 

一夏は白式を解除して航の肩を掴む。そして航がそれを振り払おうと手を動かした時だ。航派急にバランスを崩し、膝をついてしまう。

 

「お、おい、大丈夫か!?」

 

この時航の顔を見た際、彼が異様なほどに汗をかいてるのに今気づいた。息も荒く、焦点もあってない。そして小さくうめき声をあげておりどう見ても異常だと判断した一夏は、ピット内にあった1つの内線電話を見つける。これならすぐに救護班が駆けつけてくれるはずだと一夏は判断したが、先ほどの清き熱情(クリア・パッション)の衝撃波で壊れてしまっているのか、ボタンを押しとも何も言わない。

 

「うそだろ…!?どうしたら……そうだ!」

 

1つ1つアリーナの近くには簡易医務室が必ずある。そこに駆け込めばもしかしたら連絡が取れるかもしれない。だが使えない可能性もある……。

一夏は使えることを祈りながら航をおんぶし、少し急ぎ足で医務室を目指し始めた。




航の本音、それは不安、悲しみ……。誰がそれに触れる?誰がそれを癒す?



では、次回をお楽しみに……。
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