インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 作:妖刀
気休め程度に太宰府天満宮に行っておみくじ引いたら、大吉で「問題ない、就職も上手く行く。ただし調子乗ったり慢心してたらどうなっても知らないよ?(だいたいこんな感じ)」と書いてあったので、現在面接練習などもありますが、入社試験の勉強を頑張ってます。
では本編どうぞ!
あれから学園のISの大半を使いメガニューラをどうにか撃退した。だが学園の窓に突っ込んだり、アリーナを荒らしたりと損害が大きく、学園では1週間の臨時休校が言い渡される。
そしてメガニューラの襲撃によって壊れたモノレールも1日で修理もとい整備されてた車体と取り換えられ、これで外に自由に行き来できるようになった。
だが生徒たちはこれで外に遊びに行こうとも思わない。だいたいは使えるアリーナで特訓をしたり、寮の自室に閉じこもって何かしていたり、部活動に励んだりと勤しんでる。
彼女たちは別に学園外に興味ばないというわけではない。だが生徒たちは学園の外に出ようとしない。
なぜならテレビのニュースで、メガニューラが日本各地に現れ、それによって市民の大半も非常食などを一斉に買ったことで物資不足なども起き、外で買いたいものがほとんどないし、市街地も店の大体が臨時閉店してしまったりと行く場所もないのだ。せいぜい水族館とかだろうが、そこまで外を歩く気になれないのだ。
実際この光景は国民は最初はあまりの光景に信じられなかったが、自分の街の上空にもメガニューラの確認がされるや否や、すぐに家に引き返したり、学校が臨時休校になったりと大変なことになっている。
まあ、そんな状況下でも会社を休めずに大人しく出社するサラリーマンやOLはとても大変なものだが、自分所に被害は出てないと判断してるのか、割と他人ごとに感じてる人が多数だったという。
そしてここは学園の生徒会室。メガニューラ襲来から数日たった今も彼女たち、楯無と虚は書類の整理に追われており、淡々と仕事をこなしていた。
「お嬢様、少し休みになられた方が……」
「大丈夫よ。それに、まだ仕事は残ってるし」
そういって楯無が指さすとそこには、まさに束ともいえる大量の書類が山になっていたのだ。これらは今回の被害についてのであり、元は教師たちがするのがコッチにも流れ込んできてるのだ。
「そうですが……。なら、航君のお見舞いとかはどうですか?」
「それは午後に行く予定よ。だから今はもう少しでも書類を片付けましょ」
そして楯無は再び手を動かして書類の多山を崩しにかかった。
「それにしても学園も静かになったわね……」
「仕方ないですよ。あんなに大きなトンボに襲われるとかトラウマものですし。それで何名自主退学したか知ってますか?」
「32名でしょ?まああれを見て逃げたくなるのはよくわかるわ」
そう、メガニューラが現れたせいで現在学園では3年生が4名、2年生が10名、1年生が18名が自主退学したのだ。だがこれはだれも止めなかったし、地元に戻ってもこの件がニュースになったため、あまり攻められることはないだろうとは思う。
そして楯無が口を閉ざして書類をさばいていく。いつもはこちらがその立場のため、会話が止まってしまうことに虚は若干戸惑いを感じてしまう。虚には、楯無が無理してるように見えた。
あれから書類処理にけりをつけた楯無は1人、学園内の病院へと足を運んでいた。そして向かう先の病室には「篠栗航」と書かれており、彼女はその病室の扉を開く。
そこにいたのはうつ伏せ姿で寝ている航の姿であった。現在彼は上半身は何も着ておらず、下半身には病院服を履いてるだけだ。
現在彼の背中には背びれのようなものが5センチほどの大きさで生えてきている。
「航……」
楯無はゆっくりと彼の頬を触れる。何日ぶりに彼に触れたのだろうか、それがわからないほどに彼と長く離れていたような気がする。
実際彼女はここまで彼に嫌われた原因は分かっている。男子搭乗者ゆえに身内が狙われるとわかっていたから、更識から護衛を出していたのに自分の偽物に殺されたことと、シャルル・デュノアに彼が狙われた際に彼を安心させる言葉を言うことができなかったことだ。
彼女だって不安な状況で同じ状況になったら彼と同じことをするのかもしれないと思っている。
だからって彼女は彼のやったことを全て赦すというわけではない。だけど今はそんなことより、目を覚ました彼と少しでもいいからお話がしたかった。
「ねえ、航。貴方の本音を教えて……。貴方は私のこと、嫌いになったの?私は貴方のこと、まだ大好きだよ?」
独りごとのように楯無は呟く。ただ航は何も言わず眠ってるがこの時、ピクリと指が動いたような気がした……。
そして楯無は病室から出ていく。ずっといるのも迷惑だろうし、おとなしく目覚めてくれるのを祈りながら扉を閉める。
それから1回に向かうため、エレベーターのボタンを押そうとしたら同時に扉が開き、中から出てきたのは驚いた表情を浮かべた一夏がいた。
通路に一夏がコッチに向かってるため、恐らく見舞いなのだろう。
楯無は笑顔で手を振って、一夏はそれに反応して頭を下げる。
「航のお見舞い?」
「あ、はい。航、どうでした?」
それで楯無は困り顔で首を横に振る。それで一夏は小さく肩を落とす。
その後、一夏も航の見舞いをした後、楯無と共に病院を後にし、お互い寮に向かっていたが、この時不意に一夏が口を開く。
「あの、楯無さん……1つ聞きたいことがるんです」
「どうしたの?」
「その、楯無さんって航のこと好きなんですよね?」
「そうよ」
「なら……」
一夏が何言おうとしたのか分からない。だけどそれを聞いた楯無は笑みを浮かべて答えた
「私ね、約束したの。あの子の分まで航を愛するって。だから、私は航を裏切らない。それだけよ」
楯無は優しく笑顔を見せる。だけど一夏は少し顔を曇らせて俯いている。
「楯無さん、あの子って……
「……そうよ。そういえば、あの子って中学までは一夏君とも顔を合わせていたわね」
「は、はい。航にべったりだったのが記憶に残ってて……」
一夏は中学での航の周りを思い出す。記憶にあるのは、黒髪の天真爛漫という言葉が似合う女の子の姿だ。
「あはは、まあ日輪は航のこと大好きだったし」
懐かしい、そう思わせるような楯無の表情には少し寂しげな雰囲気を醸し出している。
「そういえば楯無さんと日輪ってどういう関係だったんですか?」
「そうねぇ。言ってしまえば、どっちが先に航の恋人になれるか争ってた関係かしら」
そういって楯無は、少し嬉しそうな、そして少し寂しそうな顔で笑みを浮かべた。
ここは陸上自衛隊八王子駐屯所。そこで刑期を終え、懲罰房を出た鷹月仁は、テレビでの光景に呆然としていた。
「嘘だろ……。なんだよこれ……!」
画面に映るのは大量のメガニューラが飛んでる姿であり、それがIS学園に群がっている姿であった。あそこには愛娘がいる。それを思い出し一気に冷や汗が流れ出す。
現在自衛隊はこれに対処するため、日本各地の駐屯所にいる陸上自衛隊と航空自衛隊が協力してメガニューラの掃討を主にしており、主に高エネルギーの出る場所、そして人が沢山集まる市街地などに群がるため、住民には建物から出ないように呼びかけており、そして陸自ではISによってメガニューラを引き付け、その後に87式自走高射機関砲の発展型とも改装型ともいわれる19式自走高射機関砲などが、多数のメガニューラを落として行ったりしている。
だがその総数は300とも言われ、「全て駆逐出来ないこともないが、とても難しい」と言われており、完全に手を焼いていた。
そして未確認ながら、ゴジラが現れたという民間情報が複数あり、現在政府でもこれについてどうするか話し合われていた。ただいまだ被害は確認できず、未確認情報のため現在は海上保安庁の巡視船が日本海で監視をおこなっている。
「お、おい…、俺のいない間にそんなことになってたのかよ!」
「あ、あぁ。そうだ」
あれから仁は目の前にいる黒髪の眼鏡をかけた男、同僚こと
そしてメガニューラの生態についても驚きを隠せなかった。幼虫のメガヌロンは一応……とても大きな肉食昆虫だったが、メガニューラは肉食だけでなく尻尾の先でエネルギーも吸うという特異的特徴があるからだ。
正直歩兵だけでどうにかなるのか?と思ってしまうが、羽を当てきったらすぐに墜落させられるからきついが、今のところ死者などは出てないという。
ならけが人は出たのか?と聞くと、長門は目をそらし、仁は「まじかよ……」と小さくつぶやいた。
「あと仁。お前は立花1等陸佐のとこに転属だとよ」
「なっ、おやっさんところかよ……。うわー、あの人苦手なんだよなぁ」
仁がいうおやっさんというのは
「まあ、頑張れよ。いいじゃないか。何やかんやお前世話になってんだし」
そういって陣の肩をポンと叩いて長門は去っていく。
そしてぽつんと残された仁は食堂に向かい、定食の載った盆をもらって近くの席に座ろうと歩いていた時だ。何者かに肩を掴まれ慣性の力で定食をこぼしそうになり、誰だと思って振り向くと一気に顔が引きつった。
「た、立花1等陸佐……!」
そこにいたのは手に食べ物をのせた盆を持ち、40代ほどの黒い髪をオールバックにした左ほおから顎にかけて一筋の傷跡がある男が立っていた。立花翔像三佐である。
翔像はジロリと見てくるため、仁は若干身構えるが、その時彼はニッと笑みを浮かべた。
「久しぶりだな、仁。渋谷作戦の時はご苦労だった」
「あ、はい、どうも……」
翔像が手を出してきたため、仁も手を出して握手をする。その後席に隣同士で着き、そしてお互いの昼食を食べ始める。そしてお互い終始無言で食事をしていたのだが、翔像が手を止めた。
「仁、話は聞いたがお前、無茶しすぎだ。初めて聞いたぞ、ISの剣を振り回すバカは」
「おやっさんだってあの状況だとああなると思いますよ?。背水の陣もいいとこでしたよ、あれ」
仁は思い出すと、わざとと言わんばかりに体を振わせ、どれだけ怖かったかを伝える。それで翔像は笑い、仁の頭をガシガシと荒く撫でる。それで頭が振り回されるかのようになってる仁は「やめてくれ~!」と叫びながらどうにか止めようと頑張ったが結果振りほどけずにダウンした。
「いやー、やりすぎた。すまんすまん」
「勘弁願いますよ……。これ、結構酔うんすから……」
まだ頭がフラフラする仁は、「あっはっは」と笑う翔像を見て小さいため息を吐く。仁はこんなノリの翔像が苦手で、どうにかしてこの状態を打開しようと別の話題を振った。
「そういえばおやっさんの息子さんは元気なんですか?」
「ああ、群像か。この前中学生になってだな……」
そして翔像による息子自慢が始まった。
翔像は親バカだ。だがそのおかげか、父子家庭である仁のことをよく心配してくれたりしたのだ。静寐の小学校で授業参観があるときは、仁に「娘が待ってんだろ。行って来い」と休暇をくれたり、割とそういう方で助けてもらったりしてる。
仁はそんな翔像の息子自慢の話を聞き流しながら、自分の愛娘の安否を心配するのだった。
目が覚めた航は、たばボーっと病室の壁を見ていた。
「俺、どうすればいいんだろうな……」
楯無たちが去って数時間後、航は意識を取り戻した。だがこの後何かしようと思いつくわけでもなく、ただ壁を眺めているだけだ。ただ手のひらを握ったり放したりしてるぐらいで、他に行動を起こそうとする気配は一切ない。
「刀奈は、俺と何を話したいんだ?」
彼女はあの時自分を助けてくれた。だから自分のことを思ってると思いたい。だけど航の中では何か黒くドロドロした感情が蠢き、その考えがグチャグチャになっていく。
彼はただ彼女を信じたい。だけど真実がわからなくてどうしようにもなく、定期検診に来る看護師が来るまで、航は思考の海に浸かっていた。
そして翌日。学園では放課後ともいえる時間に航の退院が決定し、航は学園の制服に着替えた後ボチボチとした足取りで寮へと足を運ぶのであった。
そして寮に入るが、時間的に夕食のためか、生徒の姿はほぼ見られない。見られても、航の姿を見てひそひそと話すか、自分の部屋に戻っていったりしてるが、航に乗ってはただの他人事でしかないと判断して無視してる。
そして地下に続く階段を見つけ、そこから降りようとした時だ。
「航、ちょっといい……?」
誰か女子に話しかけられたため航は振り返る。普段ならもうこういうのは無視してしまうんだろうが、聞き覚えのある声のため振り返った。
そこにいたのは水色の髪に眼鏡をかけた女子、更識刀奈の妹こと更識簪がいた。
「簪、か」
「うん……。お、お久しぶり、だね」
「…だな」
航はジロリと簪を見ながら振り向いたままの態勢から体を反転させて彼女と向かい合う。簪は何かもじもじとしてるが、航はただそれをじっと見ているだけで何も言ってこない。
「航…あの、その……」
「……何が言いたいんだ。俺は疲れてんだ」
そして航は視線を簪から話そうとする。
簪は航が怖かったのだろうが、何か覚悟したかの様な表情になり、彼女は口を開く。
「わ、航。お姉ちゃんは何もしてないよ……!」
その言葉に航の眉がピクリと動く。そしてジロリと簪を見たため簪は少し肩を震わせた。
「お、お姉ちゃんは航のこと大好きだもん…。だから貴方が傷つくようなことは、しないと思う……」
簪は彼の目を直視できないのか、少しきょろきょろと少し不安げな雰囲気で話す。まあ、彼からしたら、簪の話し方は昔からこんな感じだったからあまり気にしてないが。
「そのこと、誰から聞いた」
航の目が細くなる。それにビクッと肩を震わせる簪。
「ほ、本音が…言った」
「……そうか」
航は小さくため息を吐いて肩を落とす。握りこぶしも解かれてだらりとしており、簪は航が自分に危害を与えないのだろうと判断し、少し笑みを浮かべた。
ただ航の目つきはあまり変わってないため少し怖く、簪は眉をへの字に曲げる。
「航、北斗さんたちが亡くなって辛いのはわかるけど…少し怖い、よ……?」
航は口を開かず、彼女から目をそらす。それにムッとした簪は、色々と彼に質問を始めた。それらを無視する航だが、流石にしつこいと思ったのか眉間に少し皺が寄り始める。
「航、答えて…。貴方は、本当にお姉ちゃんを殺そうとした、の……?」
その言葉により、一層眉間の皺が深く刻まれる。簪は先ほどよりさらにびくびくしながらも、航に対して質問を投げかける。
「航…、暴れたり無視したりするのって寂しいからなんだよね……?だから貴方は―――」
「んなもんわかってるよ!少し黙れ!」
「ひっ…!ご、ごめんなさい……ごめんなさい……!」
航のいきなり上げた怒鳴り声にびっくりし、両手で頭を守るかのように簪はうずくまって少し涙声で航に謝りだす。航もさすがにハッとしたのか、優しそうな表情を見せて、彼女の頭をなでようと手を伸ばす。
「簪、ごめんな…?つい怒鳴ってしまった……」
「い、いやぁ!」
だがその手は彼女の平手で弾かれ、簪は航に背を向けて逃げ出しまう。航は追いかけようとしたが、彼女が泣いてるのを見て立ち止まり、逃げていく簪を見ることしかできなかった。
「かんざ…し……」
航はただ廊下で、ポツンと独りになってしまった。
「俺、何してんだろうな……」。
彼は、寂しそうにそうつぶやくことしかできなかった。
さて、今回の話はここまで。