インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍 作:妖刀
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刀奈はレゾナンスから少し離れた路地裏から蒼龍を纏って飛び立ち、航がいる墓地へと超高速で向かっていた。
「ったく!私を足止めなんて姑息な真似を…!」
刀奈は航を先に車に乗せた後、“政府”から電話が鳴ったためあまり聞かれたら不味いため、車から少し離れてそれに出た。すると『ジャマ』という機械的なボイスで一言流れ、それと同時に4人の黒づくめに襲われたのだ。結果的に全員を戦闘不能にした。だが4人の戦闘力はそこそこ高かったため、この戦闘が終わったころには偽物が航と一緒に車に乗ってすでに行ってしまってたのだ。
現在ISは市街地で使用するのは禁止だ。そのため刀奈は、ステルス状態かつアクアナノマシンでの応用で背景に姿を溶け込ませてるため、現在ISを使用してることはほぼばれてないだろう。
「航、無事でいて…!」
刀奈はさらに無理やり速度を上げ、20分もしないうちに目手にの墓地にたどり着いた。そして蒼龍を格納し、ISスーツ姿になる。
「お墓は…あっちね!」
刀奈は
『がァァァぁぁあアアアアア!!!!!!』
「この声、航!?」
刀奈は急いで声のしたへ方と急ぐ。木々をかき分け、草むらの葉で足の皮一枚を切ってしまう時もあったが、そんなことは気にせずただ急いだ。
間に合うために。これ以上彼を泣かせないようにするために。
そしてかき分けた後、抜けた先には自分そっくりの女が航めがけて、ナイフを突き刺そうとしてる姿が見えた。
状況を一瞬で把握した刀奈は、偽物めがけて拳銃の引き金を3回引く。だが女はそれに即気づき、航の鳩尾を蹴ってバック転を数回繰り返して回避するした。
そして女が離れた隙に航の元へ寄る刀奈。だが彼の姿を見たとき、彼女は絶句してしまった。だがそれでも航が動こうとするため、刀奈は必死に彼を止める。
「航!それ以上動いちゃダメ!血が出ちゃう!」
「殺す。殺す。父さんと母さンの仇、コロす。コロス…!」
刀奈は彼にしがみついて必死に止めようとするが、航は半ば自我を失ってただ目的のために動こうともがいている。その力はとても強く、刀奈が少しでも力を抜こうものならすぐに振りほどかれ、そのまま偽物を殺しに動かねない。
偽物を処理するのは裏の人間の仕事であり、まだそこまで踏み込んでない彼のすることではない。刀奈は独善と分かってても、彼に人殺しをしてほしくなかった。
それに今の航は満身創痍だ。体数か所にナイフが刺さったせいであちこちから血を流し、体を酷使したから骨も悲鳴を上げてる。
「もウ…失いたクナイ。俺の傍かラ、人が消えるのは嫌だ……」
航は無理やり体を動かそうとする。
だがその時、刀奈が航の頭を優しく抱きしめた。
「大丈夫。私は死なないから。だからそこで待ってて」
「ウ……ぁ…刀、奈……」
航はの瞳が大きくなっていく。そして木に寄りかかって腰をつき、そのまま横になった。そして刀奈は蒼龍のナノマシンで傷口の部分を覆って、これ以上血を流さないようにする。そして刀奈は女をにらみつけた。
「あら、えらい大人しく従ったわね」
「そうね。航の心に余裕ができたからかもしれないわ。それに本物の私を見て安心したんでしょうね」
「だとしても、安い愛ね。まるで劇を見てるみたい」
女はケラケラと笑い声を出すが、息は荒く、各所から出る出血のせいで少し顔も青い。だがその時、女がどこからか液体の入った注射器を取り出し、それを首筋の部分に刺す。そして中身を流し込んで注射器を捨てた後、女は不敵な笑みを浮かべた。だがその瞬間苦悶の表情を浮かべ、地に突っ伏す。
「あれは…ナノマシンね」
女は悲鳴を上げていたが、それもいきなり止まり、そしてふらりと立ち上がった。先ほどまでの余裕のなさそうな表情は消え、何やら自信がありそうな顔になっている。そして潰されているため瞑っていた左目が開かれ、そこには無傷、いや修復が終わった目が2人を見ていた。
「ふぅ…。さすがに目を潰されたのは痛かったわ。だけど残念。私、直ぐにそういうの治せるの。だからいくら傷つけても無駄よ。まあ、貴方の父親にお腹刺されたときはさすがに死ぬかと思ったけどね」
女は右手で腹部をさすりながら左手にナイフを出す。何本持ってるのか分からないが、まだ彼女の雰囲気からしてまだ余裕があるのだろう。
「さて、貴女にはいろいろ聞きたいことがあるの。大人しく捕まってくれない?」
「嫌だ。と言ったら?」
「そうねぇ。実力行使ってところかしら?」
「なら、嫌よ!」
そう言うと同時に、女は勢いよくナイフを投げる。それは拳銃に刺さり、刀奈は即行拳銃を捨ててナイフを構えたまま突っ込んでくる女に対して構えを取った。
そして刀奈は躱そうとせず、冷静に女のナイフを持ってる手を上方へと受け流し、そして一歩踏み込んで女の懐に入り込んだ瞬間、女の鳩尾に肘を突きあげるかのように叩き込んだ。
「がっ、ぁ……!」
ビキッという音が鳴る。女は少し吹き飛び、そしてその場に崩れるかのように倒れた。
刀奈が使ったのは更識流古武術。その中でも殺の型であり、殺傷力の高いものを使ったのだ。だがもとは力が強い、主に男が使うもので作られてるのか、刀奈みたいな女がしてもいまいち殺すまではいかずに致命傷を与える程度になってしまったりする。まあ、今回は死なれたら困るから、動けない状態になって助かったが。
そして刀奈は女の顔の隣に立ち、冷たい目で見下す。
「さて、まだ死んでないんでしょ?貴女にはいろいろ聞きたいことがあるのよ。だからここで死んでもらっては困るわ」
「まだよ……!私は負けて……!」
「いい加減にして頂戴?それ以上痛めつけられたいの?」
楯無は右足で女の右手を押さえつけ、そして左手を掴んでそのままアームロックをかける。そしてギリギリと力を込めていき、女は小さく悲鳴を上げる。
「っ……痛いわ、ねぇ!」
女は足元の砂利を掴み、それを刀奈の顔めがけて投げた。
「小賢しい手を…!」
だが力が緩み、この瞬間に女は急いで刀奈から離れ、そしてあの注射器を取り出す。そしてすぐに首元に刺して激痛に耐えながら刀奈を見据える。
それを見た刀奈は呆れた顔をしており、それに対して女はにやりと口角を上げた。
「さて、第2ラウンドといこうかしら」
「……急所をやられたのにまだ元気ね」
「当たり前よ。私は不死身なの」
女は口元に伝っていた血を手の甲で拭う。既に彼女の傷は塞がっており、既に臨戦態勢に入ってる。それを見た刀奈はため息を吐いて、そしてスゥと細めた目で女を見た。
「そう。なら更識家17代目当主、更識楯無が相手してあげるわ」
そう名乗りを上げた刀奈…いや、楯無は勢いよく女の懐に入り込もうとする。だが女もすぐに反応してナイフを振って追い払おうとしたが、このとき楯無が口から何か出した。
女はこの技を知ってた。そのため目に入らない様に顔を動かして避けるが、頬にあたったと思った瞬間、鮮血が舞った。
「なっ!?」
「誰も唾しか吐かないとは言ってないわよ」
女は航の動きを鈍くするため、彼の目に唾を吹いた。そのため彼の動きは鈍ったが、楯無が口から出したのは唾ではなく、奥歯の大きさもない小さな礫だ。それが女の頬を切り裂いたのだ。
女はどこにそんな物があるのかと考えたが、自分の足元にある砂利道に目が行った。
「正解だけど遅いわ!」
楯無はそのまま女を押し返してローキック、ハイキック、パンチなどを使って女に反撃の隙を与えないようにする。女はその間ひたすら防御するしかなく、楯無の素早い動きをにどうにかついていこうとしてるのが精一杯だ。
楯無の攻撃は素早いくせに意外と重く、骨が軋んだりするほどで、女はどうにか受け止めた際はわざと飛んで衝撃を逃がしたりしてる。だがその時、楯無はそのまま追撃に入ろうして懐に入ろうとしたら女がすでにナイフを構えており、そしてそのまま横に振ってきたのだ。
女はこの状態なら絶対当たると確信し、手に肉の食い込む感覚を待っていたが、そんな感覚は一切来ずにただ目の前から楯無が消えたのに驚いた。そして鳩尾に重い一撃が入り、吹き飛ばされると同時に下を見ると、そこには仰向けに倒れ込むようにして片手で逆立ちになり、下から真っ直ぐ突き上げる楯無がいた。
さっきより骨の強度が脆い。おかしいと思いながら女は着地すると同時に急いで楯無から距離を取って、そして注射器を取り出す。
「やば、い。回復しないと……!」
だがその時、女の背中に激痛が走った。それによって容器を落とし、粉々に割れる。女は痛みと落としたショックによる悲鳴を上げた。
「あああああ!」
「やら、せるか……!」
彼女の後ろには航は息を荒くしながらも立っており、そして左手に刺さってたナイフを自分で抜き、女に向けて投げたのだ。そして女は殺意を込めた目で航を見た。
「貴様あああああ!」
そして女は即航に対して距離を詰め、そして顔めがけてナイフを突きつけるが、切っ先が頬をかすめただけで、そして航の右掌打が女の顔を捉えた。
女は気づかなかった。後ろから楯無が迫ってきて、そして膝が後頭部を狙ってることに。
そして航の右掌打が顔面に、楯無の跳び膝蹴りが後頭部に極まる形となり、2人による一撃で鼻や口から血を出しながら女は崩れて地に伏す。
だが航も無理をしたせいで膝をつき、そして倒れそうになったところを楯無が支えてくれたことで、どうにか倒れずに済んだ。
「仇、とった……。やっと……」
「航…ごめんね……。私がちゃんとできなかったからこんなことになって……ごめんね……」
航の口は小さく笑みを浮かべており、乾いた、そして泣きだしそうな笑いが漏れていた。ギュッと優しく抱きしめる刀奈。彼が壊れてしまいそうで、それが怖くて…。ただ刀奈は彼を抱きしめることしかできなかった。
そのとき刀奈の後ろで、女がむくりと起き上がった。だが顔は血まみれで、目も片目だけがギョロリと大きく開いており、息もとても荒い。
「キサマだけでもぉぉぉぉ!!!!」
「やらせるわけないでしょ」
「なっ!?」
女は走って刀奈を刺そうとしたが、直ぐに気づかれて躱されてしまう。女はとっさに手を引こうとしたが時すでに遅し。
刀奈は女の手首を右手で掴み、そして少しねじって彼女と背中合わせになる。そしてそのまま女の腕を肩に持ってきて、逆間接に極まった女の肘を砕きながら背負い投げをする。
「ひぃ…!?」
「逝ね」
そして女は真っ逆さまになり、そのまま頭から地に叩き落されると思った瞬間、刀奈は女の頭部にローキックを叩き込んだのだ。ビキィという骨が折れたであろう音と共に女は地に崩れ、蹴られた衝撃か地に落ちた衝撃かわからないが、悪鬼よりひどい顔になっていた。
女は
刀奈はイラついていた。自分と同じ顔が航を傷つけ、彼の両親を殺したことを。おかげで自分の名も傷つけられ、あちこちから疑心の目。
そして刀奈は女の顔を指さし、指示を受けたナノマシンは顔まで迫る。そして彼女の顔に少しずつへばりつき、万力をも思わせる力で、女の顔を締め上げ始めたのだ。
「……!?……!」
女は鼻と口が塞がれて、ただ声にならない断末魔を上げることしかできない。そして呼吸もできないため、顔の色がどんどん土気色に変わっていく。骨が折れるのが先か、窒息するのが先か。ただ刀奈と航は氷のような眼でそれを見ていた。
そして何か折れる音がした。女の目はグルンと上を向いて、そのままピクリとも動かなくなる。
「……死んだ?」
「たぶんね。ただナノマシンの打ち過ぎだとそう簡単に死なないのよ。いや、死ねないというべきかしら」
「ならトドメを……」
「だめよ。生きてるのなら、首謀者が誰か吐かせるわ。航。憎いだろうし、殺したいんでしょうけど、今は耐えて。じゃないと首謀者がまた貴方を狙ってくるわ」
「わかった、よ……」
航は小さく答えた後、そのままパタリと横に倒れた。刀奈は急いで彼の元に寄る。彼の体には多数の刃物による刺し傷が出来ており、刀奈が止血する前には多量の血を流し過ぎたのだ。そのため顔もすこし青白く、息も深い。
刀奈は急いで家の者が近い病院へと電話をし、即行緊急手術ができるように手配する。そして彼を送った霧島駐車場に車を止めているはずだから、急いで駐車場に向かう。
「あった……!」
そこには黒色の車があり、刀奈は急いで運転席の方へと向かうと……。
「霧島!……霧島、どこに行ったの!?」
車はすでにもぬけの空。近くに公衆トイレやコンビニもなく、そして電話をかけても出ず、まさかの任務を放棄してどこかに消えたことに刀奈は驚きを隠せなかった。
まさか自分の家臣に裏切られるとは思わなかった刀奈だが、車のトランクに置いてあった救急セットを取り出し、その中に入ってた注射型の鎮痛剤を航に打った。
それで航の顔から苦痛が消えるが、顔色が不味いのは変わらない。刀奈は意を決して、蒼龍を展開し、航をアクアナノマシンで覆って飛翔した。
「かた、な……」
「航、死んじゃ嫌よ!」
ルールとか決まり事とか、そんなの関係ない。ただ航を助けたい。それだけの心で刀奈は手配先の病院へと飛んでいった。
偽楯無、実際めっちゃ強いです。ただ航が想像以上に彼女にダメージを与えたのと、いくらナノマシンで回復してもダメージが抜けなかったので結果的にやられました。
無傷状態で楯無さん(本物)と戦うと、たぶん本物の楯無さんでも相当やばい状況に持ってかれた可能性があります。
さてさて、次回は久しぶりの怪獣たちの登場です。お楽しみに。