インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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どうも、アオシマの機龍の最新情報が入り、気分が舞い上がってる妖刀です。早く発売してほしいですね。航専用機龍もとい四式機龍に改造して早く作りたいものです

では本編どうぞ!


銀対銀

航はただその天使を見ていた。善悪関係なく撃ち落とす無慈悲な天使。その天使は綺麗な電子の声を上げ、物珍しそうに航を、機龍を見ていた。

福音がなぜこちらに追撃をしてこないか航は疑問に思ったが、とりあえず今は都合がいいと思い、急いで一夏と箒の元へと向かう。

 

「箒!何をしている!早く一夏を連れて……っ!」

 

だが箒が空裂の切っ先を機龍に向け、それに言葉が詰まってしまい、航はありえないと言わんばかりの顔で箒を見る。そんな箒は、怒りの形相で睨みつけており、滴る涙が一夏の頬を濡らす。

 

「貴様が!キサマがいるから一夏が……!」

 

「何を言ってる!そんなこと言うならさっさと旅館に逃げろ!じゃねえと一夏が死ぬぞ!?」

 

「貴様は疫病神だ!それで一夏がこんなに……。疫病神はここで退治してやる!」

 

どう見ても箒がおかしい。そう航は実感した。

箒はここ最近落ち着きを見せ、航に対しても割と普通の感じになってたのに、今に限っては更にトチ狂ったと言わんばかりの状態だ。なんでこうなったのか全く分からないが、ただ不意に、あの兎が笑ってるのが脳裏に浮かんだ。

 

「箒、落ち着け。今こうやって争っても無意味だ。俺が殿するからこの場からすぐに逃げるんだ」

 

「うるさい。うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!貴様が私に指図するなぁ!」

 

箒はそのまま空裂を横薙ぎに振い、機龍の腹部を切り裂く。腹部装甲が受け止めるかと思われたが、あまりの切れ味に腹部装甲すら切り裂き、紫電が走る。

箒は自分のしたことに気付いたのか、ハッと顔が青ざめる。そのとき、機龍の手が空裂を握る手を掴み、銀色の顔を箒の顔へと近づけた。

 

「俺が怒る前にさっさと帰れ。じゃないと沈めるぞ」

 

「っ……!」

 

機龍のむき出しのカメラアイがギョロリと箒をにらみつける。それに臆した箒は小さく悲鳴を上げ、一夏を抱えたまま旅館方面へと逃げ出した。

それを逃さんと銀の福音は動き出そうとしたが、航は逃げる箒を見たまま、右の腕部レールガンを福音に向けて連射し、こちらに注意を引くように牽制する。

それに反応した福音は、機龍の方を危険と認めたのか、機龍を見たまま羽を大きく広げ始めた。

 

「誰が言ったかな。世界の終焉は天使がラッパを吹いたときって」

 

「La?」

 

航の独り言に首をかしげる福音。だがしかし、機龍がこちらを見た時にゾクリと何かわからぬ感覚が走り、何時でも戦えるようにする。

これは危険だ。さっさと倒せ。そう自分の中が叫び、警戒レベルを上げた。

 

「警戒レベルA。迎撃モードに移行。銀の鐘(シルバー・ベル)、稼働開始」

 

そのボイスが合図となり、銀の福音はその場から砲口を出そうと羽を広げ……れなかった。

なんせ瞬時加速(イグニッション・ブースト)で機龍が、一瞬にしてその間合いを詰め、そしてメーサーブレードで切りつけようとして来てるのだから。

 

「La……!」

 

銀の福音は体を半回転させたところで即座に全スラスターを起動。それで瞬時に距離を開け、そのまま体を1回転させる。それによって一気に砲口を広げ、そのまま一気に光弾を放った。

 

「キィィァァアアアア!!!!」

 

機龍はそのまま銀の福音の元へと向かい、その弾幕の雨の中に突っ込む。装甲に着弾するたびに爆発を起こすが、関係ないと言わんばかりに進むのをやめない。

 

「La……!」

 

銀の福音もこんな突撃をしてくる相手は初めてなのだろう。だがしかし、それで焦る様子は見せず、機龍から一定の距離を取りながら光弾を放つのをやめない。

機龍からの腕部レールガンの攻撃も来るが、それはめったに届かないから問題なく、一方的に攻撃を行っている銀の福音は慢心してるからか、機龍の口部から放たれたメーサーに気付くのが遅れてしまい、スラスターを1つ、潰されてしまった。

 

「くそ、外した!」

 

この弾幕の中放つのは賭けだったが、航は口部メーサー砲を使い、福音に仕掛けたのだ。弾幕を切り裂く稲妻は銀の福音からしたら脅威になり、さらに警戒レベルが上がって弾幕量も増える。まるで先ほどのが小雨に感じるほどであり、それが機龍のシールドエネルギーを削る。そして腕部レールガンの銃口もその爆発で歪み、弾が明後日の方向に飛ぶようになってしまったが、十分に盾になるのを知ってるから、そのまま突撃する。

航は待っていた。細かい軌道で動いてばかりでそのエネルギーが貯まりにくく、一気に仕掛ける糸口が見えない。おかげでメーサーが空を切り裂くばかりで、近接戦に入り込めない。だがそのエネルギーも貯まり、これからやることに歯を食いしばりながらもスラスターにエネルギーを集中させ、そして光が爆発した。

骨が軋む音がしながらも、機龍が瞬時加速(イグニッション・ブースト)で無理やり銀の福音の背中に回り込み、そしてその巨大な羽を片方がっしりと掴んだ。

 

「La……!?」

 

「その翼、いただくぞ!」

 

福音の片羽を力任せにもぎ取る機龍。そして機龍は体をひねり、巨大な尾を銀の福音の背中に叩き付け、海に向けて叩き落す。だが銀の福音もスラスターが片方無くなったからって動けなくなったわけではなく、水面ギリギリで姿勢制御を行い、大きな水しぶきをあげながらも水面を高速で進み、残った砲口を機龍に向けて放つ。

機龍も複雑な軌道でそれを躱しながら近づいていき、口部から再びメーサーを放ち、複数あるスラスターのうち1つを壊すことで、銀の福音がバランスを崩して水面に何度も叩き付けられる。

高機動型になった機龍ならどうにか追いつけないことはない。それは航に勝利を導くだけの力があった。

 

「これでぇぇええええ!」

 

航はそのまま銀の福音に向けて急降下を行い、とどめを刺そうとした。だがしかし、黒いナニカが自分に向けて超高速で突撃し、そのままぶつかってきたのだ。おかげで機龍の軌道は反れ、水面に突撃しそうになったのをどうにか姿勢制御して抑え込む。

そして航は何がぶつかってきたのか見た時、つい舌打ちが出てしまった。

 

「またお前かよ……!」

 

そこにいたのは右腕を失った黒い機体だった。だが今の突撃もあって左側面装甲がボコボコにへこんでおり、火花も散ってしまってる。

だが黒い機体はそのまま腕部からメーサーを放ってきたため反復横飛びするかのように躱し、お返しと言わんばかりにレールガンを連射する。

 

「何なんだよお前は!」

 

そう叫んでも向こうは答えず、ただ攻撃を繰り返すばかりだ。正直これを無視して銀の福音を仕留めたいが、この機体が邪魔するため、さっさと片付けようと航は機龍を突撃させる。

だが黒い機体はまるで流れる水のように攻撃を躱し、残った左腕で巧みに攻撃を行い、航を苛立たせていく。

機龍は格闘性能が高いが、弱点がある。それは、攻撃の際の隙が大きいことだ。実際楯無はそれで機龍の攻撃をかいくぐり、何度も攻撃を浴びせることに成功している。そして現在も、黒い機体は片腕ながらも、隙を見つけてはチクチクとエネルギーシールドを貫通する攻撃を繰り返しており、装甲に直接ダメージを与えている。

おかげで予想以上にシールドエネルギーが削られ、さっさと片付けないとやばいって判断した航は、あまりやりたくない急制動を駆使し、複雑な軌道をとって黒い機体に近づく。黒い機体も腕からメーサーを放つが当たらず、機龍が近づいてきて、尻尾をふるったため、しゃがむようにして躱す。

 

「まだだぁ!」

 

だが連続で振るわれた尾は黒い機体の頭に当たり、頭部が粉々に吹き飛ばした。

だが黒い機体が放った“スパイラルグレネードミサイル”は、紅椿によって切り裂かれた腹部に直撃。そのまま傷口を抉って、大爆発を起こした。

 

「キィィァァアアアアアア!!!?」

 

機龍は自分が損害を受け、大きな悲鳴を上げる。その巨体がぐらつき、黒い機体はもう1度、ミサイルを叩き込もうと放つが、それを機龍は腕部レールガンで受け止め、そのまま盾にした。

だがしかし、ミサイルはそのまま逸れ、右腕の肩関節に突き刺さりってそのまま爆発したのだ。だがその煙の中、機龍は右手の指ををすぼめ、腰のひねりを活かして一気に貫手を行う。すると金属を引き裂く音どころではない、ひしゃげ、砕け散る音と共に黒い奴の胸部装甲を貫き、その手には黒い機体のコアが握られている。

だが機龍は万力の様に力をこめ、コアを握りしめる。おかげでコアに亀裂が入り、そのまま力を入れればコアも粉々に砕けるだろう。

だがしかし、黒い機体は空いた片腕で機龍を抱きしめ、使える全スラスターを高出力で使用。それにより、機龍と黒い機体は海に向けて真っ逆さまに落ちて行った。

 

「こいつ……!?」

 

黒い機体のナニかのエネルギー反応が増大していくたびに、航は黒い機体が何しようかすぐに察し、逃げ出そうともがくが時すでに遅く、勢いよく2機とも海に叩き付けられてしまう。

その衝撃に意識が飛びそうになる航だが、拘束が少し解けたから逃げようとしたが、黒い機体の装甲のつなぎ目から赤い光が漏れ始め……。

そして海面に大きな水柱が立ちあがった。それを見た銀の福音は砲門を全て機龍の落ちたところへ向け、そのまま一斉射を行う。それによって先ほどのより巨大な水柱が上がり、その後のさっさと逃げるようにその場から離れていくのであった。

 

 

 

 

 

 

そしてその場に再び水柱が立った。だがその中にいたのは、先ほどの黒い機体からの攻撃を受けた機龍であった。

銀色の装甲は黒ずみ、部分部分損傷で火花が散ってる。それに最後の福音の一斉射であちこちの装甲も歪み、背びれも何枚か飛んでる。だがその黄色いカメラアイは戦闘の意志を失っておらず、いまだ輝き続けている。

即座に周りを探索する機龍だが、銀の福音がいないと知るやすぐに、近くの小島に降り立つ。

 

「くっそ、が……!」

 

あの黒い機体さえいなければ上手くいけばもう片翼ももげたかもしれない。だが今となってはそれは分からず、とりあえず航は機龍の状態を確認することにした。

機龍は腹部の損傷、右カメラアイの損傷が大きく見られるが、それと同様に新たな損傷が見つかった。

 

「右手が……」

 

先ほどの自爆により機龍の右腕は不調になったのか、関節部や装甲の隙間から火花が散る。そしてシールドエネルギー残量を見るとすでに半分まで減っており、どこに逃げたのか分からぬまま動き続けたら、もしも付けたとしてもエネルギー切れで負けるかもしれない。

 

「さて、どうするかな、っ……!?」

 

福音を再び追うか、それとも1回戻るか。航は体を動かそうとしたとき、途轍もない痛みが体に走った。それでバランスを崩し、機龍がそのまま倒れそうになるが、どうにか一歩前に踏み出すことで堪え、激痛の走る右腕に目をやる。

何で痛いのか全く分からず、航はおとなしく帰還を選ぶのであった。

 

 

 

 

 

あれからどうにか帰還した航は、医務室で治療を終え、右手を吊るしたまま怒りの形相で、旅館内を早足で進んでいた。そして丁度、角を曲がったときに千冬とばったり会う。

 

「篠栗、腕は大丈夫なのか?」

 

「織斑先生、箒はどこにいますか?」

 

「篠ノ之か?あいつは今自室に……」

 

「そうですか。なら失礼しました」

 

「待て。その前に報告をだな」

 

「それなら機龍の戦闘情報でも抜き取って見ておいてください。俺はあいつに用があるので」

 

そう言って千冬に待機状態の機龍を渡し、そしてさっさと箒のいる部屋へと向かう。場所はここからそこまで遠い場所でもなく、歩いて2分もかからない場所だ。

箒のいる部屋を見つけた航は、即座に彼女の部屋のドアをノックした。

 

「入るぞ」

 

すると扉が開き、そこから出てきたのは同級生の鷹月静寐だった。

 

「あ、篠栗君……えっと、篠ノ之さん、に?」

 

「そうだ。今無理なら可能な時間を聞きたいが」

 

「ちょ、ちょっと待ってて。部屋をきれいにするから」

 

そう言って部屋の中に消え、パタパタと物を片付ける音が響く。大体1分経ったぐらいで、再びドアが開かれ、少しオロオロした静寐がまた顔を出した。

 

「あの、どうぞ……」

 

「あー鷹月さん。結構大声上げるかもしれないから、他の子がいる部屋に逃げた方がいいよ?」

 

「あ、うん。大丈夫。耳塞いでるか……」

 

それでは少し困るんだけどな。航は小さく思った。今から話す内容が内容だから、正直部屋を離れてもらうのがうれしいが、仕方ないが今は彼女を信じることにして航は部屋の中に入る。

 

「見つけたぞ」

 

「航……」

 

航がみたのは、体育座りのまま虚ろな目をしてる箒の姿であった。だがそれを見た航は怒りを感じ、彼女の前に立ったと思ったら、そのまま胡坐をかいて彼女と向き合う。

 

「援護に来た……と言っても遅れてきたが、仲間に攻撃するなんてどういう了見だ?」

 

「それは……お前が邪魔しに来たからだ」

 

箒はそのまま虚ろな目を逸らす。そしてぼそぼそと、その続きを言い始めた

 

「お前が来なければ、一夏は慢心しなかった。機龍の力はすごい。だからこそ、一夏は機龍頼みになって、本気を出せてなかったんだ。貴様さえいなければ、一夏はアレを倒せてたんだ……」

 

「ならお前は援護してないってことか?」

 

「紅椿は強い……だけど、一夏に華を持たせたかったから、本気出さずに……(ドンッ!)ひぃ!?」

 

航は手を出さない様に我慢していた。だがしかし、箒の今の態度や言動にとても頭に来てしまい、つい彼女の顔の横の壁を殴ってしまった。そしてズイっと自分の顔を箒の顔に近づける。

 

「ようするに一夏を見殺しにしたってことか?」

 

「違う!」

 

箒はそのまま立ち上がり、キッと航をにらみつける。だが航の目も瞳が小さくなった状態で睨み返しており、ゆっくりと立ち上がって箒と目を合わせる。

航は今にも手を出したいぐらい箒に対して苛立っていた。正直キレて殴ってしまう方が楽なのだろうが、他に人がいるとなるとそうはいかず、強く握りこぶしを作って堪える。

だが航はあることを思い出した。そう、箒がおかしいってことを。彼女、もしかしたら偽物じゃないのかと。

 

「なあ。お前、本当に箒か?」

 

「えっ……?」

 

航は箒から、刀奈の偽物に近い感覚を感じた。もし偽物だとしたら、束が彼女に紅椿を渡す理由が見つからない。だがしかし、ここまでおかしいと流石にそう勘ぐってしまうのだ。

 

「箒。いったい何があったんだ。そもそもお前、束さんの事をどう思ってるんだ?」

 

「私が姉さんのことを?それは……。っ……!?」

 

その時、箒の瞳が揺れた。そして不安げな、悲しそうな表情を浮かべ始めたのだ。まるで苦しそうな顔になり、そのまま膝を着く。

箒は自分の頭の中が、グチャグチャに掻き乱される感覚に陥ってしまい、強い吐き気を感じた。まるで自分の中に何かがいるような、この自分が自分じゃないような……。

それを見た航はさすがに驚き、彼女を安心させようと近寄る。

 

「お、おい箒、大丈夫か!?」

 

「……さい」

 

「えっ」

 

「うるさい……。うるさい……!黙れ、黙れ、黙れ黙れ黙れぇ!」

 

どこから出したのか、箒の手には木刀が握られており、それを航の頭に振り下ろす。そのまま頭に当たり、航はフラフラと1、2歩下がるが、ギョロリとした目が箒をにらみつけた。

 

「貴様が私を狂わせる!キサマさえいなければ!」

 

悲鳴のような箒の声は教員たちの元まで届き、そして勢いよく扉を開けた千冬が部屋に入って来た。そして何があったのかすぐに察し、即座に航を救護室まで行くように言う。

そして航は静寐に「怖がらせたな。すまん」と言って部屋を出ていき、少しふらつく足でこの場を後にした。

 

「鷹月、仲の良い子の部屋に避難していろ。ただしここであったことは誰にも言うな。いいな?」

 

「は、はい!」

 

静寐は怖かった。いったい何がったのか分からないが、箒がとても不気味で、そしていつ自分に暴力が振るわれるかわからない。

それにあの木刀で航の頭から血が出てるのも目撃し、それが決め手になったのか、千冬の指示に従って静寐は本音がいる部屋へと逃げ出す。

そしてこの部屋には千冬と箒しかおらず、千冬は箒を立たせ、自分と嫌でも向き合わせるようにした。

 

「篠ノ之。貴様、自分が何したのか分かってるのか?」

 

「航が悪いんです……。私が一夏のために……」

 

千冬は箒を本気で殴ろうと思ってしまってたのか、自分の右手が握りこぶしを作ってたことに気付く。だがここで殴っても一夏の状態は変わらない。

ただ言えるのは、紅椿を持って以来、箒がおかしくなったということは良く判る。そのため紅椿を回収して解析しなければならない。専用機持ちが1人減るが、やむを得ないと思うことにした。これ以上、現場を乱されても困るのだから。

 

「篠ノ之、紅椿をこちらに渡せ。今の貴様に使わせるわけにはいかない」

 

「で、ですが……」

 

「もう一度言う。渡せ」

 

「っ……!はい……」

 

千冬の眼力に屈し、待機状態の紅椿を外そうとする箒だが、この時とある異変に気付いた。

 

「織斑先生。その、紅椿が外れません……」

 

「何?」

 

怪訝な顔で見るが、箒は泣き出しそうな顔をしており、嘘とは思えなさそうだった。それで千冬も彼女の腕に着いてる赤色の紐を取ろうとするが、まるでどこかの呪いの装備と言わんばかりに外れず、ついには千冬の腕力を駆使したが、箒が「痛い痛い!」と言い出す始末だ。

いったいなぜなのかと考えたが、彼女の脳内で篠ノ之束が高らかに笑う姿が思い浮かび、それで一気に怒りが沸き起こる。

 

「くそ、あの馬鹿が……!篠ノ之、この部屋で待機してろ!」

 

そういってさっさと部屋を出ていく千冬。目的は篠ノ之束を見つけ出し、そして彼女から紅椿を外させることだった。




おー、良い戦闘データが取れたな。よし、それならあそこまで頼む。えっ、どこに行くのかって?そりゃあ機龍の元にだよ。それにアレも完成したしな。それを届けに行くのもあるし、損傷の応急処置もだな。
何?あの場所は立ち入り禁止?あ、そうなんだ。で?それが何か問題?ワンダーソン君に書類の整理を押し付……頼んだんだから、流石に手ぶらで帰るのは不味いでしょ。だからちょっとお手伝いをね、ハハハッ!!

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