インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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この前更識楯無 猫Ver.を買った妖刀です。楯無さん、すげー可愛い。やべえよ(語彙力消失)

さて活動報告に書いた通り、そのような中身にしてきましたので是非読んでいってください。


氷結

「航……航!聞こえてるのか!」

 

一夏はただ不安で仕方なかった。目の前に現れた援軍に喜ぶはずだったのに、その紅蓮の龍の姿を見てどうすればいいのか分からなくなったのだ。

その空気は他のメンバーにも伝わっており、それぞれ得物を構えるがそのまま様子を見る。

だがこのとき、ラウラが一番最初に異変に気付いた。

 

「空気中の温度が上がってる……?」

 

夏の空とは言え、空気中温度が60度を軽く超えており、その発信源が機龍であることを指示していた。

 

「機体がオーバーロード起こして熱暴走してるのか……」

 

ラウラは冷静な解析。だがそれを聞いた一夏は詰め寄るように声を上げる。

 

「ま、待てよ!そしたら中にいる航は!?」

 

「わからん……。ISの特性上パイロットは守るが、あの状態では長く持たんぞ……」

 

すでに機体表面温度は2000℃を超しており、まるでもがき苦しむように吼える機龍。このままではまずいと一夏が機龍に手を伸ばそうとした時だった。

バシバシと背びれが光り、、口から閃光が放たれたかのように見えた。それはメーサーだったが、その威力は大きく跳ね上がっており、それに驚いた銀の福音はとっさに躱す。だがしかし、暴発したかのようにメーサーが2度3度と放たれるため、その格段に上がった威力も相まって回避に徹することしかできない銀の福音。

そして直撃すると思われたとき、とっさに翼で守るが、そのまま貫通して本体に直撃させたのだ。それによって銀の福音は大きな悲鳴を上げた。

 

「なんだよあの威力……」

 

「すごいぞ一夏。あの口部メーサー、前に観測したときより40%は威力が上がっている」

 

ラウラがそう言うが、一夏はただ茫然と期中を見てるだけでまともに返事できていない。その間にも追い打ちにメーサーを撃つ機龍だが、銀の福音はとっさに躱すとそのまま頭部にエネルギーを貯め、光線を放ってきた。だがそれは容易く躱し、そしてスラスターを展開し、銀の福音の元へと向かった。

 

「キィォァギァアアアアア!!!!!」

 

機龍はそのまま銀の福音の顔面を掴もうとするが、それに反応して一瞬で機龍の後ろに回り込もうとした。だがしかし、機龍はそれを読んでいたかのように尻尾で薙ぎ払い、そして振り向いて再びメーサーで狙い撃つ。

銀の福音はそれを躱して光弾の雨を降らせる。それをモロに浴びてしまう機龍だが、その爆炎に飲まれながらも装甲が少し削れるも効かんと言わんばかりに吼えて、煙に包まれていく。

そして煙を斬り裂き、そこから出てきたのは火を噴いたまま突っ込んで来るバックユニットだった。

 

「ッ!?」

 

それに驚いた銀の福音だが、突如目の前でバックユニットが起爆したためその爆発に飲み込まれ、後ろについてきていた機龍に気付けず、そのまま腹に尻尾による叩き落としをモロに浴びて海面に向けて落ちていった。

それを少し離れたところで見ていた一夏たち。機龍の暴れる姿を見てただ恐怖も抱き、一夏の感情を表すかのように白式の広がった翼も閉ざされている。

 

「冗談じゃねえよ……また暴走してるのかよ!」

 

「暴走!?あれが……!?」

 

「何ということなのですわ……」

 

一夏の声に驚く箒とセシリア。機龍のその姿は人が入ってるとは思えないほど力の限り暴れ、そして柔軟な動きを見せていた。お互いの光線が飛び、近づけばその力を振るって大きく火花を散らし、お互い一歩も譲らぬ状態となっていた。

 

「ギィァァアアアアア!!!!」

 

「ギュァァアアアア!!!」

 

正に潰しあいと言わんばかりの戦い。銀の福音の蒸気が機龍の装甲を溶かそうとするが、機龍の熱がそれらを焼き飛ばし、むしろ銀の福音を蒸し焼きにせんと言わんばかりにがっしりと掴んで、そのまま片手で握り潰そうとする。それにすぐ気づいた銀の福音は即座に顔面に光弾を叩き込み、それえよろめいた隙に胸部の傷口にふたたび光線を吐こうとした。

だがしかし顔面を掴まれることで阻まれてしまい、そのまま投げ飛ばされるがすぐに姿勢を整え、無理矢理光線を放つ。

お互い一進一退の攻防を続けているが、時折機龍の動きが鈍ってその時に大きな反撃をくらっており、機龍だけでは倒せないというのが見て分かる。

そのため機龍と連携したら銀の福音を倒せる可能性が大きく上がるが、あの暴走した状態の機龍をどうやって説得するか……。

 

「ねえ、私が航の説得をしてみる……」

 

「えっ……!?」

 

その時、前に出たのは簪だったのだ。全員が驚いていたが、だが不意に一夏はじぶんも行けるのではないかと思ったため、それに並ぼうとする。

 

「それなら俺も」

 

「貴方より航を説得する術は持ってるつもり」

 

恐らく自分より、彼のことはよく見てきたのであろう簪の言葉に閉口してしまう一夏。そのため完全に説得は彼女にゆだね、一夏はそのための援護に回ることを決める。

 

「だが更識、あれに入るのは無謀ではないのか?」

 

「それは……」

 

ラウラの言う通りだと思った。怪獣同士の戦いといっても過言ではないあの2機の戦い。その渦中に入るのは自殺行為すぎる。

だがここで流れを変えなければ勝てるものも勝てない。危険は承知の上で問題ないと言い放つ。だが単身で突っ込むのは無謀なため、みんなの援護が絶対必要であることも伝え、それを承知した全員は快く受けてくれた。

見上げるは銀の龍のいる場所。

 

「更識さん。本当に成功するんだな?」

 

「……たぶん。でも、やってみる……!」

 

「分かった。それじゃあ行くぞ!」

 

一夏の掛け声と共に専用機たちは頷き、2機のいる場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

アツイ。アツイ。アツイ。アツイ。

機龍()はただ熱にもがき苦しんでいた。灼熱の炎に身を投じたような自身を焼くほどの熱。だがその中にいながらも彼は倒すべき敵しか見ていなかった。

航は力を欲した。仲間を守るために。弱い自分を許せなかったのだ。

ゆえに海に没した機龍もそれに応えたのか、海底にあった()()()()()()()()()()()()()()からエネルギーを吸い、機龍のボディが徐々に赤く染まり始め……いや、まるで亀裂が走るかのように赤い紋が浮かび始めたのだ。だがその力は有り余ってしまい、装甲の各所が融解せんとばかりに赤く発光。その熱によって機体が灼熱地獄と化してるのだ。

今はパイロットの保護機能でどうにかなっていても、いずれ彼も焼き尽くされてしまうのだろう。だが今はそんなことは頭の片隅にしかなく、ただ目の前の敵に向けて殺意を叩き込む。

尻尾が直撃してメキメキと音を立てるが、先ほどよりいまいち手応えがない。それに苛立ちを感じながらも更に追撃する。

いや、たしかに機龍の一撃一撃は重く、それによって機体の各所が大きくゆがんでいる。だがしかし、航は()()が機龍でないのを忘れ、それによって感覚を誤認しているのだ。ゆえに力を大きく出せる。だがしかし、それは肉体の限界を忘れてしまっていた。

 

「っ……!?」

 

その時だった。中にいた航が血を吐いたのだ。高機動によるGで体に過負荷がかかり、それで内臓を大きく損傷してしまったのだろう。それに視界も過負荷で潰され、それによって機龍の動きが鈍ってしまい、その隙をついた銀の福音はヴァリアブル・スライサーを展開してそのまま袈裟切りしようと刃を振り下ろすが、本能で察してどうにか首を掴むことで刃が深くささるのを回避する。だが銀の福音もスラスターを大きく開いて力の限り押し付けてくるのだ。

ギチギチと銀の福音の首を絞め上げる機龍。だがヴァリアブル・スライサーの刃先がゆっくりと装甲を分解していき、このままでは斬りおとされてしまう。

 

「ギィィィァァァ……!」

 

その時、機龍の背びれからバリバリと赤い紫電が走り始め、不規則的に背びれが発光しだしたのだ。銀の福音はただ機龍が大量のエネルギーを貯めてることに気付き、無理矢理振りほどいてに逃げようとするが……。

空に紅蓮の太陽が咲いた。

前に行った電磁パルスとは違う、体内放射と言わんばかりに起きた大爆発に、その熱と衝撃をモロに浴びた銀の福音の装甲は大きく歪みなら爛れ、羽も消し飛ばされる。そして途中から手放されたためそのまま大きく吹き飛ばされた銀の福音は自身から大量のシステムエラーが出てるのを無視しながら、どうにか姿勢を正す。

 

「ギィ……ァァ……!」

 

一体何が起きたのかわからない。だがこの痛みによって強い怒りを露わにし、()()()()を行った機龍を見つけた。機龍はこれを行ったことによってシステムのいくつかがダウンしており、完全に無防備になってしまっている。

そんな機龍を見つけ、ヴァリアブル・スライサーで斬りかかろうとした。だがその時。

 

「うおぉぉぉ!!!」

 

2つの銀の間に1つの白が駆け抜ける。そして駆け抜けた白、一夏の手から発せられる光の刃が銀の福音目掛けて振るわれた。

いきなり間に入られた銀の福音は驚きのあまり反応が遅れ、まともに斬られてしまったように見えたが、即座にい一夏の腹を蹴ることによって咄嗟に距離をとったことで斬られたとしても浅い傷で済んだ。だがしかし、援護に来るにしてもいきなり間に入り込むという無謀なやり方に流石に警戒したのか、少し離れるが2機を巻き込む勢いで翼を広げて仕掛けようとする。

 

「させるか!」

 

「させないわよ!」

 

その時、上下から箒と鈴がそれを拒むようにお互いの得物で斬りつけてきたのだ。それでバランスを崩し、そこからセシリア、ラウラからの援護射撃が入る。

 

「更識さん!航を頼む!」

 

「ここは私たちに任せろ!」

 

「簪!箒はそう言うけど私たちだとあまり持たないわ!だからさっさと航を正気に戻してきなさい!」

 

それで銀の福音を喰いとめに向かう一夏と彼女たち。それを見送ると簪は機龍と向き合う。

 

「ギィィァァァ……」

 

機龍はそれを見るなり唸り声をあげ、ギョロリとその赤い目で簪を睨みつけた。先ほどの攻撃に苛立ってるのが分かり、その迫力で心臓か掴まれたかのような感覚に陥る簪だが、それでも意を決して口を開く。

 

「ねえ、航。話を聞いて……」

 

睨みつけるのを止めない機龍。その時、簪の頬を何かが掠めた。最初は何かわからなかったが、簪はそれが尻尾の先であったのを知ると、顔が強張る。

次、何を言えば攻撃されてしまうのか。それで口を閉ざしてしまいそうになるが、それでも簪は止まらない。

 

「お願い、聞いて。銀の福音を倒すには貴方の力が必要なの……」

 

だがしかし龍はいうこと聞かず、簪に攻撃を仕掛けようとする。だがそれをどうにか回避しながらもどうにかその足にしがみつき、振りほどかれないようにする。

 

「ねえ、航なの!?ゴジラなの!?どうして私を攻撃するの!教えてよ!そのままじゃ航壊れちゃうよ……。日輪みたいにいなくなって、刀奈お姉ちゃんを一人にしちゃうの?ねえ、もう一度教えてよ……。どうして力を欲したの?」

 

(ひの、わ……?かた、な……?)

 

その名を聞いたとき、機龍()の眼が揺らいだ。そして機龍が暴れるのを止め、顔を伸ばして簪の方に近づき、赤い双眸がジッと簪を見つめる。

 

「お願い、航……力を貸して……」

 

もう泣きそうな声。この時、彼の眼に光が1つ灯った。

 

 

 

 

 

簪が航に説得してる頃、一夏たちはそこより上空で銀の福音と闘っていた。だがまともに戦えてるのは一夏と箒だけで、それ以外は機体がどうにか戦えるって状態であって、後ろからの援護しか出来てない。

だがそれでも的確な攻撃が銀の福音に刺さり、そこに一夏たちの一撃離脱の攻撃が当たることにより、怒りも相まってからか少しずつ動きが単調になっていく。

 

「ギュアァァアアア!!!!」

 

銀の福音は吼え、光線を薙ぎ払うように放つ。だがそれを軽々と躱した一夏は一気に懐に入り込み、雪片撃貫で斬りつける。だが一夏の間合いは銀の福音の間合いのため、即座に腕部に頭部のより弱いがヴァリアブル・スライサーを展開して斬り裂いた。

だがしかし、銀の福音が見たのは残像で、既に後ろに回り込んだ一夏は再び横薙ぎに斬る。それに合わせるように箒が雨月と空裂でエネルギーの斬撃を飛ばして当て、それに続くようにセシリアとラウラが射撃を当てていく。

 

「ギュアァァアア!!」

 

だがしかし、それで優先事項を変えたのか、一夏の腹に蹴りを食らわせた後、即座にセシリアとラウラがいる方へと向かう。その速度にどうにか回避するも、脚部装甲を大きくえぐられるセシリアと砲塔を砕かれるラウラ。お互い上下に分かれたが、銀の福音が狙い定めたのは、ラウラだった。

 

「行かせないわよ!」

 

だがその間に入り込んだのは鈴で、鋭い爪の突きを双天牙月2本を重ねて受ける。だがその衝撃は大きく、1撃で亀裂が入り、そのまま尻尾による一撃で砕けてしまう。そして鈴が見たのは自分の顔めがけて指を大きく開く銀の福音の姿だった。

 

「させるかぁ!」

 

そのとき那由多のクロー部が射出され、そのまま銀の福音の足を掴む。それによって攻撃が空ぶった銀の福音に、クロー部とつながってるワイヤーを一気に巻き取りながら近づいた一夏は、そのまま零落白夜を発動させて横薙ぎに斬りかかる。だがしかしそれを手の平から展開させたヴァリアブル・スライサーで受け止めると、吹き飛んだ右腕装甲を回復させて一夏の首を掴む。

箒は一夏が掴まれた瞬間に背中から斬りにかかり、それを尻尾が阻むが関節部に刃が入り込んだことで折れてしまうが、そのままもう一方で背中に切り傷を入れる。それで一夏を手放して箒の方を向こうとしたが、それをさせまいと一夏が銀の福音の顔面を掴んでゼロ距離から光線を放って化物の顔を吹き飛ばし、その顔を初めて見た。

 

「っ……!?」

 

そして中にいたのはまるで死んだ、虚ろな目をしたパイロットの顔が見えたのだ。それにゾッとした一夏だが、顔の装甲がすぐに修復されると、そのままお返しと言わんばかりに一夏に向けて光線を放ったため、即座に離れた一夏。箒も同時に離れて2機で挟み込むように立ち回る。

その時だった。銀の福音の装甲各所に亀裂が入り始めたのだ。どうやらもう機体も限界に近いらしく、そこを自己修復しようとしても、また別の個所に亀裂が走っていく。

 

「銀の福音が自壊を始めた!ここで一気に仕留めるぞ!」

 

ラウラがそう叫んだため一夏と箒が左右からお互いの得物を構えて突っ込む。

 

「ギュァァアアアア!!!!!」

 

だがしかし、銀の福音が吼え、羽で自身を護るかのように折りたたんだと思ったら、一気に開くと同時に光線の雨を降り注がせてきたのだ。

それに飲み込まれていく面々。一夏はギリギリで零落白夜の斬撃を放って相殺したためまだ戦えるが、他のメンバーは満身創痍に違いはなかった。特に箒は距離が近かったのもあり、紅椿が一気にボロボロになる。

だがそれでも銀の福音は再び光線と弾幕を混ぜた豪雨を降らせ、それは簪たちの元にも伸びる。

 

「更識さん!あぶねえ!」

 

「えっ」

 

その視界に映ったのは大量の弾幕だった。

機龍はモロに浴び、簪はとっさに壁灼を前に展開したすぐに砕け、そのまま弾幕に晒され、それと同時に武装やスラスター類に損傷が入る。

 

「きゃあ!」

 

それによって一気に無防備なる簪。一夏は箒たちの方を助けるのが手いっぱいで、こちらに余裕を割くこともできず、ただ手を伸ばせど見てるだけしかできない。

そして追撃するかのように放たれた光線は、そのまま簪目掛けて伸びていく。

簪は恐怖した。目の前に死の光が迫ってる。逃げようにも動けず、浴びるしかない選択肢に絶望した。そして助けを求め叫んだ。昔、自分を助けてくれたヒーロー()の名を。

 

「いやぁ!助けて、航!」

 

「ッ……!」

 

放たれた光線は簪に直撃するとき、1つの影が彼女の前に立つ。

 

「えっ……?」

 

簪は恐る恐る目を開くと、機龍が簪の前に出て来て簪をかばうように光線をくらったのだ。だがしかし、くらったように見えたのだが、機龍を囲むかのようにエネルギーの球が光線を吸い始めたのだ。

それらは吸収された後、機龍の背びれがバシバシ光る。

 

「わた、る……」

 

「待たせた、な……簪」

 

ノイズで一部聞こえないが、確かに聞こえた。

目も赤く、機体も紅蓮の紅に見えるが、それでも航が戻って来た。それだけが嬉しくて簪はボロボロと涙があふれてきてしまう。

 

「簪の声は良く聞こえたよ。俺は怪獣じゃない、人間だ。だから戻ってこれた。ありがとな、簪」

 

「うん……うん……」

 

「ねえ、航。教えて……?なんで力を欲したの……?」

 

「俺は守りたかったんだ。手の届く範囲でいいから、これ以上大切なものを失いたくないんだ……。だからごめんな、怖がらせて……」

 

その時だ。空で爆発が起きた。まだ一夏たちが戦ってる。航はあの化け物と戦うために、スラスターに火を灯す。

 

「航!」

 

「ん?」

 

「い、いってらっしゃい……!」

 

「ああ、行ってくる」

 

そのとき、彼が小さく笑った気がした。そして航は一夏のいるところへと向かった。

 

 

 

 

 

 

航が戻ってきたことにより、形勢が再び大きく変わり始めた。既にまともに戦えるのは一夏だけであったが、航の機龍が一夏の盾となり、一夏の雪片が機龍の矛になる。

紅蓮の龍の放つメーサーが脅威とみなしてるのか回避する銀の福音だが、その回避先に一夏が回り込むことで確実に攻撃を当てて行っていた。だがしかし、カートリッジが無いため無条件に零落白夜を出せないため、通常の零落白夜を使おうとするが、この時零落白夜が発動しないことに気付いた一夏は大きく焦ってしまう。

その隙を突かれて、銀の福音が突っ込んできたのに反応が遅れた一夏は、機龍に護られることでどうにか危機を脱したが、決定的な一撃が無いことにどうすればいいのか。

ただお互い、銀の福音の自壊を勧めんとばかりに攻撃を与えていく。

 

「一夏、援護頼めるか?」

 

「航……?」

 

その時、機龍の胸部の板が開き始め、そこにエネルギーが集中し始めた。それを見た一夏は、それが何なのか一発で分かり、ニッと笑みが浮かび上がる。

 

「分かった。俺が銀の福音を止める!だから航、絶対当てろよ!」

 

それは銀の福音にも分かった。あれは不味いものだと狙いを機龍に向けるが、それを拒むかのように一夏が銀の福音の前に躍り出る。

 

「やらせないと言ってるだろ!」

 

そして一夏が雪片撃貫で斬りかかるが銀の福音も馬鹿ではなく、とっさに尻尾の先で手を掴んで無理やり投げ、そのまま光弾を放つ。

だが翼を開いて瞬時に銀の福音の後ろに回り込み、雪片を振り上げるが、それを分かってるかのように尻尾で受け止め、そして返し刃に弾幕を放つ。

銀の福音も装甲があちこち亀裂が入ってもう壊れそうなのに、まだまだ戦えると言わんばかりに暴力を周りにまき散らし続けた。

後もう少し、もう少しで仕留めれる。なのに零落白夜が使えないため、このままじゃ皆を守れない……。一夏は己の無力を呪い、グッと柄を握りしめる。

するとその時、雪片撃貫がポウっと少し輝き始めたのだ。これがなんなのかわからないだがしかし、白式が力を貸してくれるならそれに頼る。一夏は躊躇しなかった。

 

「白式!俺の心が分かるなら、俺に力を貸してくれ!」

 

その時、那由多からケーブルのようなものが伸び、それが雪片撃貫の柄に刺さっていく。するとどうだ。雪片撃貫の刀身が割れ、そこから光があふれ出したのだ。まるで零落白夜が発動したときに似ていたが、そこから現れたものを見たとき、ただ目を大きく見開いていた。

 

「なんだよこれは……!」

 

雪片撃貫から出て来た光の刃は5mにもなり、その強大な雪片にただ驚きを隠せない。

その時、モニターに表示されていた零落白夜の文字の上に新たな名が刻まれる。

 

「天羽々斬 ……?」

 

これが新たな刃の名前。姉とは違う自分だけの力。その姿に驚いていた一夏だったが、頭の中に流れてくるその使い方に、その顔は少し安堵のものに変わり、そして真剣な顔に変わった。

 

「……わかった、行くぞ白式!」

 

一夏は柄を強く握り、背中の翼から真白い光の翼を生やして、銀の福音の元目掛けて突っ込んだ。

銀の福音は光弾の雨をこれでもかという勢いで放つ。だが一夏はその中を縫うように抜け、着々と距離を詰めていく。

だがしかし、その弾幕が厚いため躱すのも難しくなり、どうしても直撃すると思われた際、赤い閃光が目の前の光弾を斬り裂き、そのまま爆発させる。

 

「こっちを無視するとはいい度胸だな!」

 

「私たちが道を開けるわ!一夏はそのまま向かって!」

 

箒が、鈴が、セシリアが、ラウラがボロボロになりながらも道を作ってくれる。一夏はそれを彼女たちを信じ、一直線に銀の福音の元へと向かった。

次々とかき消されて行き、その中を駆ける白の騎士も銀の龍も不味いと判断する銀の福音。そして反転して、この海域を離脱せんと動き出したのだ。その間も弾幕を巻いてかく乱しようとするが、彼女たちの援護射撃によって次々と落とされ、その中を白い閃光が駆け抜ける。

全スラスターが一斉に輝き、瞬時加速(イグニッション・ブースト)をも超える速度で銀の福音の元へと向かう一夏。そしてお互いの射程圏内に入るとすぐに雪片撃貫を振り下ろした。

 

「もらった!」

 

だがその黄色の眼光はしっかりと一夏を捉えており、即座に反転してこちらに突っ込んで来る一夏めがけ、銀の福音はヴァリアブル・スライサーを即座に展開し、そのまま振りあげ、そして雪片撃貫がヴァリアブル・スライサーに接触した。

その力は強く、押し負けてしまいそうになる一夏。だがしかし、彼は負けるわけにはいかなかった。ここにいるみんなのため、そして自分のためにも。

 

「負けて、負けてたまるか!もっとだ!もっと俺に力をよこせ!白式ぃ!」

 

その時、呼びかけに呼応するかのように刃が大きくなり始めたのだ。それによってヴァリアブル・スライサーが光に飲まれ始め、徐々に一夏が押し始める。

 

「おおぉぉぉ!」

 

一夏の叫び声とともに天羽々斬が狂気の刃を斬り捨て、そのまま光の刃が銀の福音の肩口から脇腹まで袈裟切りで切り裂く。

 

「ギュァァアアアア!!!!」

 

「これで、終わりだぁぁ!!!

 

断末魔を上げる銀の福音。そして一夏がそのまま逆切り上げを行うと、光の刃は体を貫きながら同時に尻尾と翼も斬りおとし、それによって緑色の液体が噴き出す。

 

「ギ、ァァア……」

 

もう戦う手段はほぼ残っておらず、ただ小さく断末魔を上げるしかできない銀の福音。だがしかし、それでも戦う意思が止まらないのか、意地でも装甲を直そうとするが再生しないことに今気づいた。

だがしかし、もう時間稼ぎは終わった。そう、この間にもゆっくりと機龍は移動しており、ソレの射程圏内に銀の福音を捉えていたのだから。

 

「……!」

 

銀の福音はそれに気づいた。だがしかし、もう逃げるための翼は折られ、耐えるための装甲もズタズタ。もう逃げることも戦うこともできない。ただ自身(デストロイア)を殺す-200℃以上の弾丸はこちらに向けられており、ロックオンによる警告音が鳴り響く。

 

「やれ!航!」

 

「これで終わりだ!銀の福音(シルベリオ・ゴスペル)!!」

 

「ギァァアアアアア!!」

 

航の声と共に機龍が叫び、胸部からアブソリュート・ゼロが放たれ、そのまま銀の福音の元へと向かう。

 

「ギュァァアアアア!!!!」

 

最期の力を振り絞るように銀の福音はオキシジェン・デストロイヤー・レイを放つ。だがしかし、それはアブソリュート・ゼロに当たるとすぐに霧散し、その光景を大きく見開くのを最期に放たれたアブソリュート・ゼロは銀の福音を飲み込み、そのまま下の海面すら凍らせた。

 

「終わった……?」

 

誰がそうつぶやいたか。その時、氷に亀裂が入り全員が再び臨戦態勢に入る。だがしかし、そこから出てきたのは眠りに着いてる女性がだった。そして女性はそのまま海に向けて落ち、海面に叩き付けられる……というタイミングで、どうにか一番最初に反応した鈴が抱き留めていた。

 

「あっぶな……。この人が銀の福音のパイロットね」

 

鈴が見たのはあの時天羽々斬が銀の福音を貫いていたが、それによる外傷は一切なく、着てるISスーツが×の字に斬り裂かれてその裸体が見えてしまってるという銀の福音のパイロット。ただ肌がズタズタになっており、ISスーツ下の肌もボロボロで見るのも少し辛いほどだった。

流石にこの姿を一夏に見せるわけにもいかず、このまま鈴は彼女の肌を見せないように一夏除く女子たちを呼んで壁になってもらいながら一夏に近づく。

 

「なあ、これって終わったんだよな……」

 

「ええ、そうよ」

 

「ということは……」

 

「作戦、成功よ!」

 

鈴の声を皮切りに一斉に歓声があがった。それと同時に機龍の真っ赤に染まった装甲も次第に色が落ち始め、大量の排熱を出しながら元の銀色に戻っていく。

 

「やっと終わった~……って全員、無事か!?」

 

一夏がそういうが、周りはジト目で一夏の方を見ていた。

 

「そういう一夏の方こそどうなのだ!」

 

「そうよ!そもそもアンタ大怪我してたじゃない!」

 

「え、俺?なんか治った」

 

ケロッとした顔で言うが、それが余計に火をつけたのか周りが詰め寄ってくる。それの対応に困ってた一夏だが、ラウラの眼のことを思い出した。

 

「というかラウラ!お前目から血が出てるんだから無茶しちゃダメだろ!」

 

「ふ、ふふ……流石に無茶してしまったようだ……。さすがにこれは、帰って治療が必要だな……っ!」

 

流石に痛むのか左目を抑えつける。どうにかして応急処置をしようとした時だ。箒が髪を縛っていたリボンをほどき、それを使って出血を抑え込む。

 

「箒、それではお前のリボンが……」

 

「それよりも止血だ。……よし、これでいいか」

 

ギリギリ長さが足りたが不格好な眼帯になる。それに申し訳なさそうに笑う箒だったが、さすがに髪を纏めていたものが無くなるのは少し違和感を感じてしまう。

だがその時、一夏があることを思い出して箒に声をかけた。

 

「あ、箒。渡したいものがあるんだ」

 

「えっ」

 

そして一夏が渡したのは白のリボンだった。

 

「ハッピーバースデー、箒」

 

「い、一夏……この、ばかものぉ……」

 

ぽろぽろと泣き出す箒。

死ぬかもしれないと怖かったのだ。それを今までどうにかして堪えてたのだが、一夏のプレゼントによって緊張の糸が解けてしまい、そのまま泣き出してしまったのだ。

一夏はいきなり泣き出す箒にオロオロとし、どうにか泣き止まそうといろいろし始める。だがその姿がおかしいのか、次第に笑い出す箒。それにつられて周りも笑いだす。

そして周りに笑顔が戻ったため、やっと平穏に戻るんだと安心する一夏。だが不意に、こんなにうれしいことなのに航が一切何も言わないことに疑問に思った。

その時だ。機龍の胸部のアブソリュート・ゼロ発射口と背面の背びれが爆発したのだ。その衝撃でカメラアイがチカチカと点滅し、糸が切れたかのように機龍が海へと向けて落ちていく。

 

「キィ、ァァ……」

 

「航!」

 

急いで機龍の元へと向かい、その体を支えようとする簪。だがその重量ゆえに下降は止まらず、ぐんぐんと海面が近くなっていく。一夏も急いで機龍を捕まえてどうにか海面に落ちるのだけは阻止した。

 

「おい航!大丈夫かよ!」

 

一夏が装甲をゴンゴンと叩いて聞くが、一向に返事が返ってこない。これはとても不味いのではと思ってすぐに旅館に戻ることを提案した一夏。それに全員が賛成してスラスターに光が灯り始める。

その時、胸部ユニットが開き、そこから航の姿が見えたため急いで覗きこむが……。改めてその姿を見たとき、誰もが息をのんだ。

中は完全に血で真っ赤に染まっており、そこにいる航の眼に光が無く、ただダラリと糸の切れた操り人形のようになっていた。

 

「航!返事しろ!」

 

「これ、早く戻らないと航が……!」

 

この中で一番重傷、としかいえないその姿。それもそのはずだ。触れるものすべて分解する刃に斬り裂かれ、さらには熱暴走で焼かれていたのだ。それでも航はまだ息しており、確かに生きてることを示している。

 

「ぁぁ、痛い、なぁ……」

 

「航!」

 

航が生きてることに安堵するが、油断はできない。急いで戻ろうという一夏に賛同し、機龍を揺らさぬよう支えながら、全員は旅館を目指し始める。

 

「航、死なないよね……私、お姉ちゃんに何ていえば……」

 

「大丈夫、だ……俺が死ぬわけ……っ!」

 

泣き出しそうな簪を慰めるように、少し無理しながらも笑みを浮かべて返す鬼一だが、彼はソレに気付いた。

ソレは機龍のハイパーセンサーが何かに対して反応しており、警告音を鳴らしながらロックオンマーカーをその方向に向けて伸ばす。それはすぐに近くにいた一夏にも伝わり、一夏も同じ方を向く。

 

「一体何なんだよ……おい、何だよアレ」

 

一夏がそういうと全員が一夏の言う方向を向く。

そして彼らは見た。超音速でこちらに向けて飛ぶ竜の姿を。

紫を基調としたその巨体。1対の大きな鋏を持つ前腕を持ち、4枚の巨大な羽に、先が3本の棘に分かれた長い尾。まるで鎧兜をかぶったかの様な顔からは鋭い牙が多数見えており、大きなオレンジ色の複眼が獲物を見つけ、そしてニタァと口角が上がった。

 

「キュィィィ!!!!!」

 

甲高い叫び声をあげ、その()()ははるか後ろを飛ぶ軍勢を呼び、その姿もハイパーセンサーで映されると、全員が真っ青な顔になっていく。

 

「メガニューラ……しかもあんなにたくさん……!?」

 

ハイパーセンサーには、100近くになるメガニューラの大群がこちら目掛けて飛んできてるのを示しており、普通ならだれもがこの場から逃げ出そうとするのだろう。だがしかし、全員が現実の物とは思えないのか、誰もがその足を止めてソレを見ている。

そしてその中一夏は、目の前にいる怪獣の名をぽつりとつぶやいた。

 

「あれが怪獣、メガギラス……」

 

超翔竜(メガギラス)は大きく吼え、一夏たちがいる場所目掛けて侵攻を開始した。




ついに現れた怪獣メガギラス。満身創痍のメンバーしかいない専用機たちは無事に帰ることができるのか!
次回、「超翔竜」(仮)
満をして待て!



というわけで次回予告をしました。では次回をお楽しみに・・・なるかな
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