ヒロ!みんなは任せた!俺はユキとメルルを!!   作:guruukulu

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筆が遅い自分を呪う今日此の頃


第四話 これで同い年ってマジィ?

 夕食の後は長めの自由時間となった。

 

 この後は、スケッチブックで話す少女「夏目アンアン」がスプレー少女「城ヶ崎ノア」によって真っ赤に染め上げられた部屋を見て、ぶっ倒れるというイベントがある。

 

 自分も行こうかと考えもしたが、結局やめた。

 あそこに俺がいてもできることが少ない。それに何より、これから起こるノア殺人事件の内容を変えたくないというのが本音だ。

 

 ヒロがいない1周目のこの世界では、レイアがノアに殺意を抱くのは、ほぼ確定事項。俺がレイアを操れればよいのだが、自信も確証もない。

 

 それに下手に俺が介入して、事件のトリックが変わってしまえば、魔女裁判でレイアを魔女に選出できるかが怪しくなる。魔女裁判の制限時間は1時間と意外と短い。もし、魔女を見つけきれず、エマや他の子が選ばれてしまったら、バッドエンド直行だ。

 

 事件の内容が変わらなければ、俺が議論を上手く誘導して、そんな悲劇を防ぐことができる。

 だから俺は殺人事件に直結しそうなイベントは傍観する、ということを前もって決めていた。

 

 ただ、それ即ち見殺しと同義というわけで──

 

 

 

 

 

 

 

 

(本当に、嫌になるな)

 今はただただ、自分への自己嫌悪でいっぱいだった。これが安牌といえど、やってることは最低の一言だ。

 

(これを後何回繰り返すんだろうな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな俺は今、絶賛部屋のお掃除中だ。

 この部屋は、これからユキと話す時に使う予定の部屋だ。メルルがいる独房でするわけにはいけないし、誰かに見られても不味い。

 

 という訳で自分の個室を作っている。使われていない部屋の中から適当な部屋を選び、リノベーションする。

 

「それにしてもホコリがぎょうさんあるなぁ」

 部屋や家具はホコリまみれだし、カビも生えている。家具類が綺麗にさえすれば、まだ使えそうなのが不幸中の幸いだろう。

 

 俺は箒と雑巾、それにシャワールームから石鹸を持ってきて掃除をする。血痕を消すのはなかなかに大変だった。

 

「あれ? ユカリさんじゃないですか! 

 ここで何してるんですか?」

 振り返ると、シェリーとハンナがいた。どうやら探索の途中らしい。

 

「いやぁうち専用の個室が欲しくてな? 牢屋やとメルルちゃんもおるし、こんなに部屋があるんやから1つ位使ってもええやろ、っちゅうわけや」

「なるほど、個室が欲しいのは確かに分かりますわ。

 ……でもこれを掃除するのはかなり時間が掛かりそうですわね」

 

 かれこれ1時間ほど掃除をしていたが、いまだに部屋はホコリまみれ。これでは当分使えないだろう。

 

「まぁ根気強く掃除するしかないわな……」

「じゃあ一緒に掃除しましょうよ!」

「そうですわね、この部屋全部を一人で掃除するのは大変でしょうし」

「ええんか? 一応この部屋はうちの個室になる予定なんやけど……」

 

 シェリーは屈託のない笑顔を浮かべる。

 

「水臭いですねー! 私たちは一緒にここから脱出する仲間じゃないですか!」

 

 先程まで胸の奥にあった黒い物が薄れていくように感じた。シェリーの底抜けの明るさは、プレイヤーである俺達をいつも元気づけてくれた。今回もそうだ。

 

「ほんま、おおきにな……」

「良いってことですよ―! 

 あっこのカーテン破れているので、外しときますね!」

 

 ──この時の俺は忘れていた

 

 

ビリッ「あっ」

 

 シェリーに布を持たせてはいけないと

 

「ああ……そうやった……」

「何してるんですの! このゴリラ女!!」

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 

 

 もう牢屋に戻る時間なので掃除を切り上げて、それぞれの房に戻る。

 流石に掃除は終わらなかったが、2人のお陰でだいぶ進んだ。(主にハンナ)多分明日には終わるだろう。

 

 シェリーと別れ、ハンナと一緒に廊下を歩いていると刺激臭が鼻に入ってくる。

 

「うっなんですわ!? この匂い!」

「ふんふんふ〜ん」

 

 房内を見るとノアがスプレーで壁に絵を描いていた。スプレーから噴射される絵の具の臭いは強烈なものになっており、思わず手で鼻を覆う。

 

「ちゃっとノアさん! 何をやってるんですの!?」

「あ〜ハンナちゃんとユカリちゃんだ〜。えっとね、ノア、お絵かきしてるの。アンアンちゃんのために

 ちょっと待っててね。きっとすごいものができるから」

 

 そう言ってまた絵を書き始める。もしここでノアに絵を描くのを止めてしまったら、確実に殺人のトリックが変わってしまう。

 それに、俺には推理力なんて皆無だ。トリックを見破れる自信なんてない。

 

(まのさばも攻略サイトのヒントを見ながら、なんとかクリアしたんだっけ……)

 

 ノアは絵を書き続ける。

 ハンナは、もう説得するのを諦めたそうで、やれやれと溜息をついた。

 

「本当に楽しそうに絵描くなぁ、ノアちゃんは。止めようにも止めれへんわ」

 

 ノアに聞かれないように、ハンナの耳元で囁く。

 

「わたくしは絶対に言ってもやめないと思いますわ」

 

 

 

 ──────────────

 

 

 

 

 房に戻ると、中には誰もいなかった。

(そうか、メルルは今医務室でアンアンの看病か……)

 

 つまり、しばらくは一人部屋生活ということだ。

 

 一人でゆっくりできる時間は久しぶりな気がする。

 

(いや、一人ではないか……)

 懐にしまってあった万年筆を取り出す。一瞬声が聞こえた時もあったが、ここ最近はパッタリなくなってしまった。

 

(まぁこれに関しては急がないでも良いだろ)

 ユキとの会話は、最終章でユキメル生存をスムーズに進めるための布石──いわゆる保険のようなものだ。

 もし会話ができなくても、多少強引になるが生存させること自体はできるはずだ。

 

 俺の仮説が正しいかは、時間が教えてくれるはずだ。今は考える必要はない。

 

 

(今俺が危惧するべきことは2つ)

 

 ・大幅な原作ブレイク

(特にエマメル関係)

 ・ナノカとの接触

 

 前者に関してはもう良いだろう。エマ派についた今、自然な形で二人の監視ができる。バッドエンドに向かいそうなら、俺が手を引っ張れば良い。

 

 新たに考えるべきは後者。

 ナノカの魔法【幻視】についてだ。

 

【幻視】は触れたものの過去や未来の映像を見ることができる、というものだ。この時期はまだ魔法が強化されていないため、ランダム性が強く、何かに絞ってみることなどはできない。

 

 しかし、危険であることに代わりはない。もし「俺」の前世に関する情報や、原作まのさばについて何か知られたら、収集がつかなくなってしまう。

 

 俺がレイアを見つけた日──ここがまのさば世界だと気づいた日から、「俺」が表の世界に出ることはなくなった。

 特段辛いとは思わなかった。

 

 茶納家が()()()()()だから、もともと元の人格を出すことは少なかったし。

 

(ナノカとは全部終わった後に話せば良いんだ)

 

 そうだ。全部終わった後にすればいいんだ。

 レイアともノアとも他のみんなとも。

 

 

 だから今は観測者で良い。

 

 

 きっと  大丈夫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全部 上手くいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が ユカリである限り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議な子

 

 

 

 




本当はもっとやりたい展開がありましたが、今の作者では力不足で止むなくこういう形になりました。

いつかリベンジします。



高評価有難う御座います!

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