ヒロ!みんなは任せた!俺はユキとメルルを!!   作:guruukulu

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更新が遅れてしまって大変申し訳ございません…

今後もこのような亀更新になると思います。

気長に更新をお待ちいただくようお願い申し上げます。


第五話 こうして見たら可愛い…いやそんなだな…

「ユカリさーん! おはようございます!」

「おはようございます、ユカリさん」

「おはようさん。二人とも元気そうで何よりやわ」

 

 食堂でシェリーとハンナに挨拶する。メルルは医務室でアンアンの看病中だ。

 各々が料理(と思われるもの)を取って席につく。話は自然とエマの話題へと移る。

 

「エマさん大丈夫ですかね? 

 昨日すごく体調悪そうでしたよ」

「今朝うちらが声かけても、何も反応してくれへんかったもんな。

 まぁ少しくらい寝させてあげてもええんやない?」

「でもずっと寝たままじゃ健康に悪いですわ。

 これを食べ終わったら、もう一度エマさんのところへ行きましょう」

 

 うん? 原作だと起こしに行くのはシェリー一人だけだったはずだけど……昨日の掃除が原因か? まぁこれくらいは誤差か。

 

「それが終わったら、うちはまた掃除しに行くけど「もちろん私たちも手伝いますよ!」ほんま悪いなぁ。うちが使ってないときは、部屋使っても構わへんからな」

「だったら看板が必要ですわね。何かちょうどいい物を探してきますわね」

 

 他人のためにここまでできるなんて、本当に優しい子達だなと思う。

 後でなにかお礼をしてあげないと。

 

 食堂で食事を終えた後、俺の提案で一度医務室に立ち寄り、アンアンとメルルの様子を見てきた。

 医務室にはレイアもいた。そうだった、そうだった。忘れてた。

 

 アンアンは熱があったらしく、まだ寝込んでいるがこれでも大分回復したほうだという。

 

 食堂から取ってきたりんごをベッドの横に置いておく。もしかしたら食欲がないかもしれないから、その時は食べていいよー、とレイアとメルルに伝えてから医務室を出る。

 

 

 

 

 ──────────────

 

 

「エマさん、エマさーん、

 朝ですよ〜? 起きてくださーい」

「うう……ん……

 あとちょっと……って、わあああっ!?」

 

 シェリーがエマを起こす。その際に、シェリーが顔をエマにめちゃくちゃ近づけていたため、エマが叫び声を上げた。

 

「ほら、シェリーちゃん。エマちゃん驚いとるから、少し離れんかい」

 

 俺はシェリーを掴んでこちら側に引き寄せる。エマはあたりをキョロキョロ見まわしている。

 

「朝食の後の自由時間が長いので、

 ユカリさんの部屋の掃除をしようと思ってるんです。一緒にどうですか?」

「ユカリちゃんの部屋?」

「いやぁどうしても一人部屋が必要でな? ここは空き部屋がぎょうさんあるから、ちょっと借りよう思っとんねん」

「その部屋があまりにも汚かったから、みんなで掃除しているわけなんですの」

 

「どうや、エマちゃん? 嫌やったら断っても構わへんからな」

「ううん、全然。ボクで良かったら。あっちょっと待って顔洗ってくるから」

 

 ……一切迷わなかったな。こんな状況でも、本人が気落ちしていても、疑うことの知らないその様子。なるほど。当事者になってみるとよく分かる。

 あの子は『希望』だ。

 

 独房から出た時、ノアの絵を見たシェリーがノアが超有名スプレーアーティスト【バルーン】ということに気づいた。

 

 その時に、エマが家族や警察が自分たちを探してくれていると言うが、俺とシェリーがこれを否定。この計画は国家ぐるみである可能性を示唆する。

 

 それを聞いて、エマがここから脱出する決意を固める。よし、流れは概ね一緒だな。エマには脱出するための気球を作ってもらわないといけないからな。これは必要なこと。

 

 

 

 ──そう。この子たちを騙してでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 先日ある程度終わらせていたおかげで、掃除自体は1時間弱で終わった。残った時間は、医務室や娯楽室、図書館、懲罰房と巡っていく。ここも変化無し。

 

 あっ、ちゃんとバッドエンドは回避したよ。途中から俺がシェリーの保護者みたいな感じになっている。

 ちょっと! それはハンナの仕事だろ! 

 

 

 

 

 ────────

 

 

 

 その日は特に何も起きず、そのまま丸1日が経った現在。

 

 夕食のときそれは起こった

 

 

「マジだって! あてぃし本人に聞いたもん!」

「有名なアーティストの【バルーン】だって!」

 少し離れたテーブルの方から、ココの騒がしい声が聞こえた。

 

(来たか……)

 

 レイアが殺人を犯す決め手になってしまった原因。ノアの正体がバルーンだ、というカミングアウト。

 これにより、自分より目立つようになってしまったノアに嫉妬したレイアが、ノアを殺害する。

 

 ここまで来てしまったからには、もう戻れない。

 ノア殺害が決まってしまった瞬間だった。

 

 一応俺がヒロのようにレイアを上手くコントロールできれば良いのだが、そんな技量は持ち合わせていない。

 それに一周目は、みんな死ぬ──

 

 

「おや、あちらのグループでも話題になっているみたいですね。

 バルーンといえば、知らない人はいないですもんねぇ」

 

 思考がシェリーの発言によって引き上げられる。そうだ、なに悲観的になってんだ! 俺はみんなでハッピーエンドを迎えるんだろ! 

 

 そうやって自分を奮い立たせる。大丈夫だ、ノア。絶対助けるから。ヒロが。

 

 

 

 会話はバルーンのことで持ちきりだ。俺はバルーンの名前は知ってるけど、名前しか知らないから、会話に全くついていけない。同じく会話についていけてないエマと「ノアちゃん凄いねー」的な話をしていると

 

 

パリィィン!! 

 

 どこからか皿が床に叩きつけられ、大きな音を立てた

 

「うるせぇよおめえら。

 人の噂ばっかしやがって……!」

 

 音の原因はアリサだった。懲罰房から解放されたばかりの彼女は、他の子と比べ明らかに憔悴している様子だった。

 

「不愉快な奴らは

 全員殺しておきたくなるんだよ!」

 

 アリサの鋭い瞳が俺達を睨み回す。たとえアリサがこちらに危害を加えないと分かっていても、一瞬臆してしまうくらいには迫力があった。

 

 そんな中、俺はそそくさと食堂をあとにする。別に逃げたというわけではない。ただ箒とちりとりを持ってくるだけだ。さすがに割れた皿をあのまま放置は危ないだろう。

 

 そうして掃除用具を持って食堂に戻っていると、ばったりアリサと出くわした。

 

「あら、アリs「話しかけんじゃねぇ!」

 手厳しい……やっぱヤンキー怖い……

 

 

 食堂に戻ると、そこには静寂が広がっていた。無理もない。それだけアリサの様子は普通ではなかった。おそらく魔女化も進んでいる。

 

「あっユカリさん。どこに行ってたんですか?」

「ちょっと箒取りに行ってたんよ。そのままじゃ危ないやろ?」

 

 そう言って皿の破片を集める。新聞紙ってあるかな……

 

「あなた……空気が読めないんですの? こんな状況で……」

 ハンナがドン引きした様子で話しかける。しかしその手は震えている。未だに恐怖が拭えていない様子だ。

 

「そうは言ってもうちらにできることは無いやろ? 今はただここで生きていくことだけを考えへんと。あ、雑巾取ってくれへん?」

「シェリーくんもそうだが、君も大概マイペースだね」

「おおらか言うてくれると嬉しいんやけどな」

「あれ!? また私ディスられてないですか!?」

 

 食堂の雰囲気が少し柔らかいものとなる。これで少しはここでも生活がマシになるだろうか。

 

 

 

 

 夕食のあと、俺はシャワールームに来ていた。エマたちには忘れ物をしたから一度戻ると言っている。もちろん嘘だが。

 

 俺がここに来た理由は1つ。

 

「黙らんでも大丈夫やで。見えとるから」

『……驚きました。私のことが見えているんですか? 魔法ですかね?』

「ま、そんなとこやね」

 

 シャワールームの幽霊。無数にあるバッドエンドの1つだ。本当ならこいつが出てくるのはもう少し先だが、俺という異分子がいる以上何が起こるか分からない。

 

 対処できるものは、早めに対処するに限る。

 

『ふふ、あなたいい体しているわね。でもあの子には敵わない……ん? あなた何しているの?』

 

 試しに話してみたけど、やっぱり話が通じないか。よし! 壊そう! エマたちには後で謝ればいいし! 

 俺は近くににあった鉢植えを持ち上げる。

 

『や、やめて! やっと波長の合いそうな子が来たのに! ずっとずっと待ってたのに!!」

 

「言い訳はどないしよう? 『危害加えそうな霊がおった』でええか。間違ってないしな」

 

 俺は振りかぶって、鉢植えを投げようとし──

 

『待って!!』

『危害を加えなければいいのね!!?』

 

 

 俺は投げるのをやめる。

 

「そやけど、あんたのこと信用できるん? 無理やろ? どうせ隙見せたら、変なことするつもりなんやろ」

『確かに無理な話ね……どうしたらあなたは、私のことを信用してくれるかしら』

「だったらあんたのこと洗いざらい話してもらおか?」

 

 こいつの目的は知っている。エマとの入れ替わりだ。もし嘘をつけば有無を言わさずにぶっ壊す。

 

 

「まずは、あんた自身のことについてや。今あんたはどういう状況なんや?」

『だったら私の魔法から話さないといけませんね。私の魔法は【幽体離脱】その名の通り、肉体から魂を分離できる魔法よ。そして、魂と波長が合う人間や物質に乗り移ることもできる』

「証拠は?」

『見てもらうのが早いわね』

 

【霊視】を発動させ、鏡の少女の魂を視る。鏡に乗り移っていた魂は空中へと移動し、あたりをふわふわと漂う。

 

「本当みたいやね。じゃ、次はあんたの目的。波長の合いそうな子って誰のことや?」

『あの、桜色の髪をした子。あなたとさっき一緒にいた子ね。その子と入れ替わることが、私の目的だったわ』

 

 

「なんであの時は入れ替わらんかったん?」

『物質ならまだしも、人に乗り移るにはそれなりに条件があるわ。まだその時ではないと判断したの』

 

 

「じゃ最後の質問や。これは個人的なもんなんやけど、なんで鏡に乗り移っとんの?」

『……私は牢屋敷の殺し合いで、生き残ることに必死だった。その中で一度殺されかけましたが、【幽体離脱】でなんとか逃げ延びて、この牢屋敷で唯一波長が合ったこの鏡に乗り移った。それだけよ』

 

 原作とも矛盾してないし、目的も嘘はついていない。

まだ完全に信用した訳では無いが、ひとまず今日のところは見逃してもいいか。

 

 

 ……それにこの場にいるということは、この子も殺し合いに巻き込まれたのだろう。決して短くない時間を孤独に過ごしてきたはずだ。

 

 

(バックボーンを聞いたのは失敗だったな。俺はこの子に同情してしまった)

 俺の中にあった意欲は、すっかり萎んでしまっていた。

 

「はぁ……ここまで従順にされると、こっちも罪悪感が湧いてまうなぁ……ええよ。あんたが大人しくしとるうちは、こっちも手ぇ出さんといたる」

『良かったわ。あなたが話が通じる人で』

「なにかしたら……分かっとるな?

『ハイ……』

 

(まぁそんな事、俺がさせないけど)

 

 スマホにエマから心配のメールがきている。少し待たせすぎたようだ。

 

 俺は足早に廊下を駆け抜けた。

 




良い子は鏡を壊すのはやめましょう



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