遊戯王5D's 無敗の男   作:yvisi

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第1話 白髪の男

サテライト

 

「うおおおおーーー!!!」

 

一台のDホイールが夕日に照らされた地平線を駆けていく。乗っているのは、ヘルメットにゴーグルをつけた少年、伊集院セクトだった。

 

「もっと・・・もっとだぁ!!」

 

少年は折り返したのち、さらにスピードを上げる。

 

「どいつもこいつもオレを馬鹿にしやがってーー!! オレを見下すんじゃねぇーー!!」

 

何やら鬱憤をためているのか、それを走ることで発散していく。

 

「・・・んん?」

 

その最中、セクトはある人物を見つけた。その人物はDホイールから降り、風に白髪をなびかせ、沈みゆく夕日をじっと見つめていた。

 

「なんだ・・・? あいつ?」

 

気になったセクトはDホイールを停めて降り、その人物に声をかける。

 

「おい、アンタ!」

 

「・・・・・。」

 

声が届いていないのか、男からの返事はない。

 

「おい!」

 

「・・・・・。」

 

「おいってば!!」

 

「ん?」

 

背を向けていた男はゆっくりと振り返る。

 

「!」

 

(へぇ・・・結構かっこいいな。)

 

「おっと、これは失礼。ちょっと考え事をしていてね。どうも集中しすぎていけない。」

 

「あ、ああ・・・わかればいいんで・・・・・」

 

「?」

 

セクトの言葉が途中で止まり、男は首を傾げる。

 

(なんで一瞬敬語使おうとしたんだ!? ・・・でも、こいつと対峙すると・・・なぜだか自分が下にいるような・・・そんな感じに・・・!)

 

「? どうかした?」

 

「い、いやぁなんでもねぇ! つか、こんなとこで何してたんだ?」

 

「あぁ・・・ちょっと人を捜してたんだけど・・・君、見てない?」

 

「人? どんなヤツだよ?」

 

「えぇっと・・・緑色の髪をした子供二人。多分双子だったかな・・・?」

 

「緑色の髪の双子・・・? ・・・・いや、見てねえな。」

 

頭の中で会った人の顔を思い出すが、そんな双子に会ったこともなかった。

 

「・・・そうかぁ・・・。」

 

男は残念そうに静かにため息をついた。

 

「アンタ、その双子に何かしたのか?」

 

「んん? 前にきまぐれでちょっとだけ手を貸したんだけど・・・そうか・・・いないかぁ・・・。もう死んじゃったかな?」

 

「し、死んだって・・・。ま、まあまだわからな・・・」

 

「まっ、しょうがないか。それが彼らの運命だったかもしれないしね。」

 

セクトが慰めの言葉をかけようとする前に、男はすぐにあきらめをつけた。

 

「んな・・・!?」

 

執着しているように見え、あっさりと諦めた男の態度にセクトは驚きを隠せない。

 

「あ、アンタ・・・結構冷たいヤツだな・・・。アリえねぇぜ・・・!」

 

セクトの言葉に男は怪訝そうな顔をする。

 

「え? なんで?」

 

「!?」

 

「この世は博打だよ? 二つに一つだ。」

 

男はDホイールからデッキを取り出し、左手でカードを1枚の表裏を見せる。

 

「表か裏か。勝つか負けるか。生きるか・・・・・死ぬか。彼らは残念ながら負け、死んでしまった・・・。それが彼らの運命だったんだろう。ならしょうがない。 だろう?」

 

取り出したカードをデッキに戻した。

 

「そういうもん・・・なのか? ・・・つか、アンタもやるのか? 決闘疾走。」

 

セクトは男のDホイールを指さした。

 

「え? ああ、そうだよ。ただ最近は周りがやりたがらなくてね・・・。」

 

「やりたがらない・・・? ああ、弱くてみんなが相手してくれないってことか?」

 

「・・・ははは・・・!」

 

「?」

 

「あはははは!」

 

セクトの質問に男は腹を抱えて笑い出した。

 

「な、何がおかしいってんだよ!」

 

男はちっちっちと指を振る。

 

「答えはNo・・・むしろ逆。」

 

「逆?」

 

「このボクが・・・強すぎたんだ。自慢するわけじゃあないけど・・・ボクはこれまで、一度も負けたことはない。ギャンブルも・・・デュエルもね。」

 

「はあ?」

 

セクトは男の言い分に素っ頓狂な声を上げる。それも当然だった。これまで一度たりとも負けたことのないデュエリストなどこのネオドミノシティでは、絶対王者と呼ばれている一人くらいしか知らない。

 

「あれ? 信じられない?」

 

「そりゃそうだろ! そんなヤツ、そうそういるわけねえ! そんなこと言うなら・・・オレとデュエルしろ!」

 

「・・・え、君と?」

 

男は露骨に嫌そうな顔をセクトに向ける。

 

「な、なんなんだよ! その顔!」

 

「・・・・あ~・・・えぇ~・・・・?」

 

腕を組み、しばらく考え始める。

 

(くそ・・・今日会っただけのヤツにすらなめられんのかよ・・・!)

 

「・・・・まあ、いいか。久しぶりに一デュエルしてみよう。」

 

「!! そうこなくっちゃな!」

 

「ああっと、その前に・・・」

 

Dホイールに乗り込もうとするセクトを男は手をかざして制止する。

 

「ボクとデュエルするなら・・・これをしなくちゃ。」

 

男はジャケットの内ポケットからトランプを取り出した。

 

「・・・トランプ? 何に使うんだ?」

 

「なぁに、ちょっとしたギャンブルさ。」

 

穏やかな笑みを見せ、トランプをシャッフルし始める。

 

「ボクがトランプのトップを1枚めくるから、君はそれが赤か黒かを当てるんだ。」

 

「赤か黒?」

 

「ハートとダイヤが赤。クラブとスペードが黒だろう? どっちかを当てればいい。当てれば君とデュエルしようじゃないか。外れれば、この話はなし。どう?」

 

「どうって・・・なんでそんなことしなくちゃいけねえんだよ!」

 

「そんなこと・・・? それは聞き捨てならないなぁ・・・。」

 

男はやれやれといった感じで首を横に振る。

 

「いいかい? ギャンブルというのはね、神の声なんだよ。」

 

「・・・はぁ?」

 

「神の声に呼ばれる・・・つまり、運命に導かれているんだ。故にボクと戦うのなら、ボクと戦う運命にあるということだ。それに・・・これくらいのギャンブルでぎゃあぎゃあ言ってるような人間が、デュエルに勝てるなんて思えないけどね。」

 

「うぐ・・・!」

 

男の煽りにセクトは歯を食いしばる。

 

「・・・わ、わかったよ! やればいいんだろ、やれば!」

 

「じゃあ・・・行こうか。」

 

適当にシャッフルし、トランプの一番上のカードを静かにめくった。

 

「さあ、赤か黒か・・・ど~っちだ?」

 

「・・・・・。」

 

セクトはめくられたカードを凝視する。透けて見えるわけはないので当然、何のカードかわかるはずはない。

 

「・・・・・・黒!!」

 

「OK・・・では、見てみようじゃないか。」

 

めくられたカードをセクトにゆっくりと見せる。

 

「!!」

 

険しかったセクトの顔が明るくなる。めくられたカードはクラブの5。セクトは見事、二分の一を当てたのだ。

 

「よっしゃあ!」

 

「ふっ・・・じゃあ、やろうじゃないか。ボクのデュエルをね。」

 

男はDホイールに乗り、走り出そうとする。

 

「ちょ、ちょっと待てよ! アンタ、名前は!?」

 

「・・・・・・あれ? ・・・ああ、そうか。これは失礼。まだ名乗っていなかったね。」

 

男はニヤリと笑う。

 

「ボクの名前は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ら~いと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

未谷来人だ。」

 

「らいと・・・変わった名前だな。」

 

「よく言われるよ。・・・で、君の名前は?」

 

「伊集院セクト! いずれ最強になる決闘疾走者だ!」

 

「最強か・・・大きく出たね。」

 

来人はDホイールに乗り、デッキをセットする。

 

「じゃあ・・・行くよ?」

 

「あぁ・・・行くぜ!!」

 

「「デュエル!!」」

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