前半の課題が終わり、残った71名がメンチさんの指定する課題の料理を作ることになるが、建物の中から香るシャリの匂いで予想していた通りに、後半の課題はスシとなっていた。
ジャポンの民族料理であるスシを知っているのは、美食ハンター志望な俺以外だとジャポン出身のハンゾー位だろう。
ゴン達がスシを知っていないか聞いてきたので、まず最初に新鮮な魚を使う料理であることを教えると大きな声で魚と言ってしまうレオリオ。
その声を聞いていた他の受験者が建物を飛び出していき、ビスカ森林公園で手に入れられそうな魚を探し始めていたようだ。
ちょうどよく他の受験者達が魚を探しに建物の外に出ていた為、ゴン達にスシという料理とシャリの握り方を簡単に教えておくと、料理が苦手そうなレオリオ以外は基本的なシャリの握り方を身に付けていた。
それから俺達も魚を捕獲しに行くことになったが、ビスカ森林公園にある川を泳いでいた川魚を捕まえていたゴン達。
俺は俺で捕まえられたら奇跡と言われるゴクタグイマレカワアナゴを2匹発見したが、オーラを消して気配を薄めさせる絶を用いて逃げようとしていたゴクタグイマレカワアナゴを、直感に従って捕まえることに成功し、調理器具などが揃っている建物で調理を始めていく。
生命力が強く、暴れるゴクタグイマレカワアナゴの頭部の急所に人差し指で突きを入れて活けじめにし、脳死状態にしてゴクタグイマレカワアナゴの鮮度を保つ。
エラに包丁を入れて、脊髄に鉄線を刺して神経を破壊し、内臓を取り、血抜きをしてから水洗いしてゴクタグイマレカワアナゴのぬめりを取ると、新鮮なままの身をさばいていった。
丁寧にゴクタグイマレカワアナゴの身から骨を抜いていき、完全に身だけとなった魚肉を、今回はタレで香ばしく甘辛く煮て、味付けを行うことに決める。
課題の料理であるスシとして俺が作っているのは、ゴクタグイマレカワアナゴの一本握りで、タレで煮込んだゴクタグイマレカワアナゴと握ったシャリと合わせたものだ。
握ったシャリが固くなることもないように、噛むと解れる程度に柔らかく握ったシャリの上に、煮上がってから冷まして素早く乗せて握ったゴクタグイマレカワアナゴの身。
タネに体温が移らないようにして、口触りが悪くならないように気を付けながら素早く握っていって、完成させた一品。
美食ハンター志望として、今の俺が提供できる最高のスシを試験官であるメンチさんに食べてもらうとしよう。
「アナゴの一本握りね。見た目は悪くはないわ」
俺が提出した課題の料理を見て、そう言っていたメンチさんが、口を開いてゴクタグイマレカワアナゴの一本握りにかぶりつく。
俺が作ったスシを食べた瞬間に目を見開いて「お、美味しい!ふっくらと煮上げた甘辛いタレの香ばしさと、口の中でとろけていくアナゴの柔らかな食感が素晴らしいわ!」と言い出したメンチさん。
「煮ることで「ふわっ」とした食感と、香ばしさが楽しめる甘辛いタレと脂ののったアナゴの相性が抜群よ!上品な味わいのアナゴの身の品を落とすことなく、丁寧に味付けされた煮アナゴを使った一本握りは、最高に美味しいわ!406番の貴方、名前は?」
「メイト・カロと申します。一応美食ハンター志望ではありますね」
「406番のメイト、貴方は合格!ちょっと聞きたいんだけど、貴方が煮アナゴに使ったアナゴってもしかして」
「ビスカ森林公園の川に生息しているゴクタグイマレカワアナゴですね。発見が困難なゴクタグイマレカワアナゴを見付けられたのは幸運でした」
「やっぱりそうなのね。ゴクタグイマレカワアナゴは初めて食べたわ」
そんな会話をメンチさんとしていると、他の受験者達がスシを作ってメンチさんに食べてもらいに来ていたが、俺以外は全員落とされていた受験者達。
メンチさんに後半の課題料理で合格を言い渡されていた俺は、二次試験が終わるまで待っている間に残ったもう1匹のゴクタグイマレカワアナゴを調理してみる。
残っていたタレで煮込んだ煮アナゴで作成してみたゴクタグイマレカワアナゴの一本握りは、甘辛いタレとゴクタグイマレカワアナゴの身の味がベストマッチして、とても美味しかった。
スシをお手軽料理だと言ったハンゾーにブチギレていたメンチさんが居たりもしながら過ぎ去っていった時間。
二次試験後半の課題の合格者が俺1名だけで終わりとなって終了となったが、流石に合格者1名で終わるのは問題がありそうだ。
そう思っていると暴れ始めた受験者の1人がブハラさんに吹っ飛ばされたりした後、現れたハンター協会会長の説得により、再び行われることになった二次試験後半の課題。
クモワシの卵を取ってくることが課題となったが、スシで合格していた俺は免除されていて、クモワシの卵を取りに行かなくても問題がなかった。
ゴンに頼んで2個取ってきてもらったクモワシの卵をゆで卵にして1個食べてみたが、濃厚でいて舌の上でとろけるような深い味は、市販の卵とは段違いの味だったな。
ちなみにメイトがクモワシの卵を取りに行っていたら、糸に周を使わないと重さで糸が切れていた可能性が高いですね