篝火「アノール・ロンドの酒場」   作:上代わちき

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 アノール・ロンドにこんな感じのお店があればいいなぁって感じの奴です。
 今回の本文は、架空のNPC「酒場の店主」が「ダクソ無印主人公」へ話しかける感じの形式となっています。
 全五話予定。


篝火「アノール・ロンドの酒場」
一品目「カタリナの酒」


 

 いらっしゃいませ。

 

 ここはアノール・ロンドの酒場。

 都が棄てられてなお残る、最後の店です。

 

 

 

 どいつもこいつもここから逃げ出して、あの栄華を極めた黄金の都もざまぁねぇってわけだよ。

 ……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。

 

 

 呪いのためか、ロードランは物騒です。

 このアノール・ロンドも例外ではなく、大通りは怪物が我が物顔で徘徊し、路地にも亡者が潜んでいます。

 ここで行動するならば、警戒が必要となります。

 

 ですが、ちょうどこの酒場には篝火があります。

 東側の大部屋にございますので、よろしければゆっくりしていってください。

 暖炉も焚いた客席となっておりますので、快適にお過ごしいただけます。

 

 

 

 それから。

 ここは、個人的に経営しているお店です。

 かつては隠れ家のようなお店として、都の皆様に愛されてきました。

 おかげで、酒には自信があります。

 

 

 

 元来お客様のような不死人は、酒を楽しむことができません。

 そこで、私の方で「工夫」を凝らしたお酒をご用意させていただきました。

 

 

 よろしければ、一杯いかがでしょうか。

 

 

 

 

 実は私、ロードランの外を旅していたことがあります。

 昔は私も未熟だったもので、放浪に学ぶことで見識を深めようと試みたのです。

 

 様々な国を巡りました。

 その思い出の多くは失われ、ただ手帳に残るのみ。

 

 

 

 ですがカタリナという国については、少しだけ覚えています。

 

 酒と謳歌の国と知られた彼の国は、実に気持ちの良い方々がお見えになられました。

 一時期は、カタリナの騎士様と共に漫遊したものです。

 

 

 

 あいつ元気にしてるかな~?

 あの巨人君と喧嘩してねぇといいんだが。

 

 ……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。

 

 

 

 さて。

 そんなカタリナの酒は、評判の通り絶品です。

 

 ぜひとも不死のお客様に楽しんでいただけるよう、現地で色々と試行錯誤しました。

 時には過去へ赴き、時には未来へ赴き、時空の歪みを利用した方法も試みました。

 

 

 実は先程申し上げたカタリナの騎士様との出会いも、時のずれを渡ったが故の……おっと、余談が過ぎましたね。

 

 

 

 ともあれ、そんなカタリナの逸品を再現することに成功しました。

 名前は、あえてシンプルに「カタリナの酒」としましょうか。

 

 それでは、乾杯しましょう。

 

 

 

 カタリナでの縁と、貴方との縁、それらを結ぶ素敵な時のいたずらに、太陽あれ。

 

 

 

 

 この辺りについてですか?

 

 

 ここはアノール・ロンドの市街地。

 大王グウィンの、かつての城館を見上げる城下町です。

 

 近くに山菜が採れる「庭園」や羊を育てる「牧場」があったことから、向こうの広場ではよく市が開かれ祭りのように賑わっていました。

 今となっては、もう誰もいませんけどね。

 

 

 

 ここは上層とは異なり、騎士様の警備は殆どありません。

 たまに足を踏み外したり、「名もなき神」によって引きずり落とされたりすることはあるようですがね。

 

 察するにお客様も「名もなき神」に襲われて、この市街地へ落ちたのでしょう。

 あれは、もう理性なき亡者も同然ですから。

 

 

 

 「名もなき神」とは、かつてこの市街地に住んでいた神族です。

 もともとは傭兵として身を立て、数多の戦績と逸話を遺したといいます。

 世が世なら四騎士に数えられてもおかしくはない奴だったのですが、スモウ同様に縁がなかったようです。

 

 ですが今や呪いにより名前を失い、怪物へとなり果て、この先の「黄金の塔」を拠点に暴れ回っています。

 塔の門は固く閉じられ、その鍵もどこにあるやら。

 おかげで、駆除することもままなりません。

 仮に鍵が見つかったとて、斃すのは一筋縄ではいかないでしょうが……。

 

 

 

 

 このところ、この市街地に大狼が現れるようになりました。

 

 彼女はもともと、南の牧場に住む羊守りでした。

 かの深淵歩きに縁があるというシフに勝るとも劣らない、優れた体格の持ち主です。

 

 

 そういえばあのわんわん今どこでなにしてっかな~。

 またもふもふしたいんだが~。

 ……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。

 

 

 

 噂の「羊守りの大狼」ですが、本来この辺りに出没するような獣ではありませんでした。

 彼女は呪いに冒されてなお、かつての主人の命令を護り「羊の牧場」を護り続けてきたのです。

 

 そんな彼女が牧場を放棄したということは、あちらの方で何か良くないことが起きているのかもしれません。

 

 

 

 ですがそれ以上に、その「羊守りの大狼」自体が脅威となっています。

 市街地を探索する際の、大きな障害となるでしょう。

 

 主もなく、呪いにより名を失い、そしてかつての使命すら失ったあの獣に、もう話は通じません。

 可哀想ではありますが、もし会うことがあれば、容赦なく狩ってあげてください。

 

 

 

 お客様の安全のために。

 そして、もはや過去に戻れぬ彼女のために。

 

 私の刃は、葬送のためのものではなく、故に慈悲はない。

 きっと、お客様が適任です。

 

 

 




・カタリナの酒

 アノール・ロンド市街地で酒場を経営する、名もなき神族による酒。
 樽のジョッキに満たされた、持ち帰り用の品。

 HPを回復し、一時的に毒耐性も高める。

 酒場の店主は、実は今でもロードランを出てカタリナの景色と酒を堪能する。
 この酒は、独自にその味を再現したものである。
 店主は能天気で適当な性格だが、それに似合わぬ逸品。



・羊守りの大狼のソウル

 棄てられたアノール・ロンドの市街地を彷徨っていた、羊守りの大狼のソウル。
 本来は羊の牧場の守り主なのだが、何らかの理由で逃げ出したようだ。

 もともとは羊飼いの国で生まれたこの狼は、生まれながらに羊守りの才能を有していた。
 当時その国を旅していた一人の傭兵に見いだされ、アノール・ロンドの牧場で羊守りを務めることとなる。
 それは呪いで名すら失った彼女の寄る辺となり、その使命を失うことは、彼女の死をも意味していた。
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