篝火「アノール・ロンドの酒場」   作:上代わちき

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二品目「ルーメンの魚介パスタ」

 

 いらっしゃいませ。

 夜渡りのお客様。

 

 

 プルウィアの魔女狩り隊を斃したのですね。

 まずは、お祝い申し上げます。

 これで太陽の王に近づくことができる筈です。

 

 

 

 ですが、どうか気を緩めぬようお気を付けください。

 お客様が太陽の王を標的とした場合、彼らはその気配を追ってリムベルドに出没することでしょう。

 

 魔女狩り隊は、太陽の王と因縁のある存在。

 あるいはそれ故に、太陽の王への道を阻んでいたのかも。

 

 

 

 リムベルドにおいて、プルウィアの魔女狩り隊はすべての者を無差別に襲撃します。

 お客様のような夜渡りは勿論、各地を徘徊する亡者や砦・野営地といったものにも襲い掛かる筈。

 

 放っておけば、各地に眠る宝まで恣にすることでしょう。

 それでは太陽の王へ挑む準備もままなりません。

 

 

 

 ですがあえてリムベルドに出没する魔女狩り隊を討てば、彼らが各地から集めたルーンや宝の一部を奪い返せるかも。

 ともすれば星霜一朝の象徴となるやもしれませんよ。

 

 

 

 

 

 さて。

 改めて、お客様は太陽の王へ挑む資格を得ました。

 

 それを祝して、一品振る舞いたいと存じます。

 よろしければ、ワインと共に楽しんでいってください。

 

 

 

 

 かつて私が旅した「とある半島」。

 

 当時のその地では、いくつかの国が栄えていました。

 その中で隆盛を極めていた国こそが、ルーメンの国でした。

 

 

 

 ルーメンの国は、地中海に面した国です。

 宿から見下ろす海の景色は、とても煌びやかで美しい。

 

 特に夕暮れ時が絶景でして、海を赤く染める夕日が、そのまま街も赤く染めたのです。

 どこか物静かで寂しく、けれども人の営みを示す灯りの暖かさが未だに目に焼き付いています。

 

 

 

 そのような立地だったものですから、海の幸にも恵まれました。

 

 エビやアサリ……その他、サルダなど。

 あそこの店で食べたサルダのムニエルは本当に絶品でした。

 あれ本当は別の国の料理なんだけどな。

 ……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。

 

 

 

 他方で。

 ルーメンの国を含めたその半島では、パスタもよく食されていました。

 

 とある半島は地中海性気候であることが特徴で、夏はとても乾燥します。

 その代わり冬に雨がよく降るため、その時期にパスタの材料となる小麦粉を育てるのだそうです。

 

 

 こうして、パスタは半島における大衆食となりました。

 ルーメンの国においても例外ではありません。

 

 

 

 

 と、いうわけで。

 ルーメンの海の幸と、半島産のパスタを合わせた料理を考案いたしました。

 

 「ルーメンの魚介パスタ」です。

 ぜひワインと共にご賞味あれ。

 

 

 

 

 このところ、リムベルドそのものに異変が生じているようです。

 地変です。

 

 とりわけ、今回の地変は従来のものとは具合が大きく異なります。

 

 

 

 地変「王都」。

 

 かつて狭間の地に存在するという、黄金の都。

 その景色がリムベルド全域に広がるもののようです。

 

 

 特徴として、その「王都」の中に「教会」「魔術師塔」や「野営地」「大教会」「封牢」などが点在しているようです。

 ある程度は従来のリムベルドと同じように探索できる筈。

 

 しかし多くの建物が積み重なる都合上、街の通りに沿って移動するのが賢明でしょう。

 建物に登ることで得られる宝もあるでしょうが……。

 

 

 

 

 一方で。

 特筆すべきこととしてその「王都」は、太陽の王の属性を帯びているようです。

 

 本来の狭間の地にあったものと完全に同一というわけではなく、故に「死」の呪いが蔓延している。

 時に「ミミズ頭」や「バジリスク」、死の魔術を操る「忌み子」や「骨つむり」といった脅威への対処が必要となるでしょう。

 

 

 

 ですが。

 何やら「雷」の属性も帯びた地でもあるようで、時たま竜やその力を振るう騎士の姿も見受けられるようです。

 

 「雷」と「死」。

 その二つの属性が強調されているのが、今回の地変「王都」であるようです。

 

 

 

 

 新たに現れた大いなる脅威「太陽の王」。

 その名は、転生のアヌルス。

 

 ……かつて「とある半島」にて繁栄を極めた、ルーメンの王です。

 

 

 

 狭間の地に縁のある魂を持って生まれたようで、故に「死」の力を持ちます。

 彼の司る力を浴び続ければ、夜渡りの優れた肉体であっても呪われてしまうことでしょう。

 

 尤も、呪われても味方に蘇生して貰うことは可能なようです。

 それが不幸中の幸いでしょう。

 

 

 

 太陽の王、転生のアヌルスは「死」を司る曲剣の使い手です。

 その力は、きっとお客様が今まで斃してきたどの敵よりも恐ろしく強大なもの。

 

 その属性により、奴を標的とした場合のリムベルドには「首なしトロル」や「首なし騎士」、「死竜」が出没することでしょう。

 場合によっては別の世界から「竜狩り」や「処刑者」、そして「闇喰らいの竜」が現れることもありましょう。

 それらを突破することで、ようやく太陽の王に挑むことができるのです。

 

 

 

 もとより太陽の王は、狭間に縁のある魂の持ち主故か「夜」を恐れていたようです。

 生前はそれ故に、多くの国を亡ぼす覇王と化していました。

 その半島から、すべての夜を排除するために。

 

 そしてその恐れは正しく、覇王は夜の力によって敗れ、夜と雨に溶けました。

 その半生こそが、彼の弱点です。

 

 

 

 

 夜渡りの身で夜の力を振るおうとするなら、やはり「魔力」が手頃でしょう。

 

 彼を知れば百戦あやうからず。

 本来の標的の力を振るうことで、得られるものもあるでしょう。

 

 

 

 奴を斃せば、お客様方の本来の使命を遂行するための時間を大いに稼げる筈。

 ご武運を、お祈り申し上げます。

 

 

 





・ルーメンの魚介パスタ

 隠された円卓で酒場を経営する、名もなき店主によるパスタ料理。
 新鮮なエビやアサリなどを用いて作られた、持ち帰り用の品。

 遺物として使用でき、強力な力を呼び起こす。

 店主が訪れた時のルーメンでは、穏やかで美しい海を見ることができた。
 その海の幸が、当時のルーメンとアンブラに平和を齎したのだ。
 雷と死を操る太陽の王が、転生するまでは。



・太陽の夜

 戦いの後に遺された、アヌルスの夜。
 遺物儀式により、主の力を得ることができる。

 賢者の国ルーメンは、多くの国を喰らう覇王の国としても知られる。
 数々の悲劇を生み出し、しかしアンブラの国との戦によって夜に消えた。

 それでもルーメンの覇道は終わらない。
 もとより夜を狩ることこそが、覇王の使命であった。


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