いらっしゃいませ。
夜渡りのお客様。
太陽の王、転生のアヌルスを斃したのですね。
お祝い申し上げます。
これで、此度の大いなる脅威は取り除かれたといってもいいでしょう。
従来の使命に集中する時間を得られた筈です。
それから。
きっと「隊長」様と「反逆者」様にとっても、此度の件は一つの区切りにもなった筈。
お二人と奴の因縁は深い。
太陽の王を打ち倒した意味は、とても大きいもの。
これで、よかったのです。
……とはいえ、一度生じた繋がりはしばらく途切れることはない。
お客様が望むなら、円卓の祝福を通じて再戦することもあるでしょう。
奴との戦いでは、より多くのマークを得られます。
その力で本命への備えとすることも、時には求められるでしょう。
もしかすれば、本当の戦いはこれから始まるかもしれませんね。
ともあれ。
ひとまずは、宴の時です。
大いなる脅威が静まったことを祝して、美味しい料理を用意させていただきました。
今回も「とある半島」に縁のあるものです。
此度の宴には相応しいと、存じます。
◆
太陽の王、転生のアヌルス。
彼が生まれ、王として治めたのが「ルーメンの国」です。
後年のこの国は、多くの国を攻めた覇道の国とも知られました。
ですが、そんなルーメンの国と真っ向から立ち向かった国がございました。
「アンブラの国」
夜の尖兵、プルウィアの魔女狩り隊が所属していた国です。
かつてこそルーメンによる夜の排除に呼応し、夜に縁があるとされた魔女を狩っていたアンブラの国ですが、もともとは悪魔を隣人とする文化を持ちます。
時には悪魔と契約し、世界の秩序を保つために働いた者もいたそうです。
それが"本来の魔女"の姿でありました。
もしかしたら「悪魔」という表現も、適切ではないかもしれませんね。
そのような国であるため、その悪魔にちなんだ料理もよく食されていました。
嘘か真か、悪魔は辛党であるとアンブラでは解釈されています。
故に、辛口のサラミなどが作られていました。
他方で。
アンブラの国を含めた「とある半島」では、ピザもよく食されていました。
発酵させた小麦粉の生地を、丸く伸ばして焼いた食べ物です。
広げた生地の上に、様々な食べ物を乗せることで美味しく頂けます。
せっかくですので、そのピザにアンブラの国の食べ物を乗せて焼いてみました。
「アンブラのディアボラピザ」です。
辛い料理ですが、だからこそ「半島のワイン」に合います。
ぜひご賞味あれ。
◆
太陽の王という脅威は静まりました。
夜を標的とした彼の王は、しかし再び夜に溶けていきました。
いましばらくの間、もうこの円卓を脅かすことはないでしょう。
しかし「とある半島」由来の脅威が、全て消え去ったわけではありません。
あと一つだけ、脅威が残っています。
お客様が挑む「夜の王」達は、「常夜の王」とも称される姿を有することがあります。
あるいは「救いの旗手」ともいうかもしれません。
それに値する力が、夜の尖兵にも存在していたようです。
本来の"夜の尖兵、プルウィアの魔女狩り隊"は、互いの殺し合う姿が印象的です。
ある者は特大剣を振るい、ある者は弓矢を操り、ある者は魔術を放ち、互いを狙います。
それぞれの身に流れる、かつての女王から受け入れた血を標的とする故のものです。
その血の存在故、彼らは強大な脅威として在る。
大いなる脅威としての本質は、その"女王の血"にこそあるのです。
だからこそ。
本当に追い詰められたその時は、その血を一人に集め、究極の一として復活する加護を有していました。
それが従来の、プルウィアの魔女狩り隊です。
しかし今回現れた"夜の尖兵"は、それとは異なる姿を見せます。
その姿は、かつて彼らが忠誠を誓い、そして魔女として追った"女王"のものです。
◆
アンブラの女王、プルウィア。
彼女はその名の通り、「とある半島」にある「アンブラの国」の女王です。
もともとはアンブラは、ルーメンの国と交友を持つ国。
故にルーメンの国が、覇道を以て夜を撃退すると決めた時、アンブラの女王もそれに呼応しました。
「とある半島」において、夜とは魔女と縁があるものと解釈されます。
故に、女王の血によって"プルウィアの魔女狩り隊"が作られたのです。
しかし。
ルーメンの王は、結局アンブラの国にも戦を仕掛けました。
終わりのない夜との戦いにより、狂ってしまったのです。
それに対し、アンブラの女王は禁忌に手を染めました。
その禁忌とは、一冊の本の形をしていたといいます。
その本は、アンブラに古くから伝わる魔女の書。
それを手に取った女王は、雨を司る魔女と化しました。
そしてアンブラの女王は、ルーメンの軍勢と王を夜に溶かし、そして自らも雨の中に沈みました。
プルウィアの魔女狩り隊が、女王とその血を標的とする理由です。
今回の"夜の尖兵"は、女王自身が出現します。
雨の魔術を振るい、太陽の王に勝るとも劣らない強者として夜渡りの皆様に襲い掛かることでしょう。
ですがその時に限り、従来の"夜の尖兵"であるプルウィアの魔女狩り隊は、全員正気を取り戻します。
彼らは標的を女王のみに絞り、隊総出で女王に挑みます。
もし女王の雨に敗れ瀕死に陥ったのなら、仲間を瀕死から助けることすらします。
たとえ瀕死に陥ったのが、自分達と無縁の夜渡りであっても。
逆にプルウィアの魔女狩り隊が瀕死に陥った時は、夜渡りの皆様が彼らを攻撃することで、瀕死から救い出せるようにもなります。
復活した魔女狩り隊は再び女王へ挑み、皆様の助けとなるでしょう。
こと女王との決戦においては、プルウィアの魔女狩り隊は頼れる仲間となるのです。
この縁があれば、きっとあの強大な女王を打破できる筈。
アンブラの女王を鎮めれば、「とある半島」の悲劇を全て清算できます。
ここが最後の、正念場です。
◆
行かれるのですね。
どうか、皆様の旅に寄る辺があらんことを……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。
やはりお客様に対しては、こちらの方が相応しいでしょう。
またのご来店、心よりお待ちしております。
繋がりが残る限り、事が終わった後もお立ち寄りくだされば、またお酒や料理をお作りいたしますよ。
ここは隠された円卓の酒場ですから。
・アンブラのディアボラピザ
隠された円卓で酒場を経営する、名もなき店主によるピザ料理。
トマトソースや辛口のサラミを用いた、持ち帰り用の品。
遺物として使用でき、強力な力を呼び起こす。
アンブラの国では、悪魔は隣人として扱われた。
時として悪魔と取引し、その力で世界の秩序を保つことを使命とする魔女達もいた。
このピザは、そんな悪魔や魔女達に縁のある国民食である。
・女王の本
アンブラの女王、プルウィアが遺した呪物。
国に伝わる禁書指定の、燃えぬ魔導書だったもの。
悪魔ではない何かと、契約を結ぶものだという。
女王は押し寄せるルーメンの軍勢を撃退するために、これを手に取った。
そして女王は雨の魔女となり、夜の尖兵へとなり果てた。
プルウィアの魔女狩り隊の願いはただ一つ。
夜と雨に溶けた女王に、安らかな眠りを……。