篝火「アノール・ロンドの酒場」   作:上代わちき

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 秋分の候、ますますご清栄のこととお喜び……申し上げるには暑すぎやしませんか?!
 おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。まだ八月だってのに思いっきり九月の挨拶してらぁ。

 改めて、アノール・ロンドにて酒場を経営しておりました「店主」です。
 呪いのせいで挨拶が無茶苦茶になりましたが、このたび奇縁が重なり「黒い森」に出店する運びとなりました。
 位置としてはロードランの「黒い森の庭」の奥っちょにある場所となります。

 今回は「四品」ご用意させていただきましたので、引き続きご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。





篝火「黒い森の酒場」
一品目「エストビール」


 

 おや、不死ですか。

 それに……ほう、いくつかの時と場所の私とも縁があるようで。

 

 おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。

 

 

 

 いらっしゃいませ。

 黒い森の酒場へようこそ。

 

 ここはお客様もよく知る「黒い森の庭」の、最奥に位置する場所。

 それ故か、他の地域よりも危険な場所となっています。

 

 

 

 光り輝く花が照らす道にはゴレムや結晶亡者が徘徊し、苔だらけの路地に赴けば蛇や樹人が潜みます。

 ここで行動するならば、警戒が必要となるでしょう。

 

 ですが、ちょうどこの酒場にも篝火があります。

 東側の大部屋にございますので、よろしければご利用ください。

 アノール・ロンドにて棄てられていた教会を改修し、ちょっと裏技でここに持ってきたものです。

 暖炉も焚いておりますのでくつろぐこともできますよ。

 

 

 

 それから。

 ここは、個人的に経営しているお店です。

 活気が失われて久しいロードランですが、ことこの森においてはまだ人の出入りが見られます。

 とりわけシースによる封印が解かれた今、きっとこのお店は皆様にとってよい憩いの場所になると存じております。

 

 私の酒は、本来お酒を楽しむことができない方々にも愛される特別なもの。

 今回も「工夫」を凝らしたものをご用意させていただきました。

 

 

 

 よろしければ、一杯いかがでしょうか。

 

 

 

 

 この地に出店する前、私はロードランの外へ出かけました。

 新たな地で、知見を得るためでございます。

 

 この度訪れたのは「イェルマニア」と呼ばれる地。

 その地方においてはとても豊かな地とされていて、実際に市を訪ねれば祭りのような賑わいに揉まれてしまいました。

 いやぁ楽しい旅でした。

 

 

 

 そんなイェルマニアですが、その国ではビールが特に有名です。

 古代から続く歴史ある酒だそうで、何やらビールの品質に関する法律・条令が細かく公布されている様子。

 それだけビール造りについては一家言を持つ国でございます。

 

 

 さて。

 ビールとは、麦を用いたお酒でございます。

 程よい苦味と炭酸の清涼感を味わえる、多くの方に愛されるお酒です。

 

 私見ですが古代にさかのぼれば炭酸がなくまろやかな味わいになり、一方で未来に赴けばキレのある炭酸を楽しめる特徴を有するようです。

 今回私が訪ねて味わったビールはその中間……といった具合ですね。

 

 

 ですが、やはり民衆に愛されるだけはあるお酒です。

 ぜひとも、当店でも提供したいと思うだけの魅力がございました。

 

 

 

 一方で、この地では危険は厄介な隣人でございます。

 どうせなら、それに合わせたものを出すのが酒場としての嗜み。

 そんな一品をご用意いたしました。

 

 

 

 「エストビール」です。

 

 エストの力を込めたビールですので、お持ち帰りにも向くと存じます。

 旅にも強い品ですので、是非ご検討ください。

 

 

 

 

 この辺りについて、ですか?

 

 

 ここは黒い森。

 「黒い森の庭」の最奥に位置する地です。

 

 本来であれば「黒い森の庭」からこの地に入ることはできません。

 この地はシースが隠していた、封印の地でございます。

 

 この地の封印はシースの命……あるいは原始結晶と何らかの形で紐づけられていたようで、形ばかりの番人である「月光蝶」を排するだけでは解放されることはありませんでした。

 しかし、何者かによりシースの命は絶たれた。

 あるいは……今私の目の前にいるお客様が、そうであったりするかもしれませんね。

 

 

 

 おっと失礼、余談が過ぎました。

 呪いとは厄介なものですね。

 

 

 

 経緯はどうであれ、この地は新たな冒険の舞台として出現しました。

 先にも申した通り、森の狩猟者の影響故かこの辺りは未だ人の出入りが激しい場所。

 

 そこに私は商機を見出し、この度出店する運びとなりました。

 

 

 

 他方で、この先に進むならばより警戒が必要となります。

 シースが封印していた地というだけあり、この辺りにはクリスタルゴレムや六目が徘徊しております。

 結晶の力に冒された結晶亡者も姿を見受けられます。

 封印が為されて尚も、シースによる管理が続けられていた証拠です。

 

 それだけのものが、この地の奥に隠されています。

 

 

 

 それは、かつてのシースの友「岩の黒竜ギーラ」。

 その書庫塔でございます。

 

 

 

 

 岩の黒竜ギーラは、シースと同様「ウロコのない」竜でございました。

 しかし、後天的にウロコを手に入れることができたといいます。

 

 そのウロコは「岩のような」と称されるものだったそうです。

 故に「岩の黒竜ギーラ」と呼ばれていたのでしょう。

 

 

 

 しかし、後年になりギーラとシースは敵対してしまいました。

 争いの結果、ギーラはシースに敗れてこの先の書庫塔に封印される末路を辿りました。

 

 それだけでなく……シースは、ギーラの操る岩の力を奪ったようです。

 そしてその力の一端が、この先の地で待ち構えているのです。

 

 

 

 「ストーンゴレム」。

 ギーラの力によって造られ、シースに管理されている怪物。

 それが、ギーラの書庫塔を護る番人として今も稼働している。

 

 岩の特性故か、魔術に対して強い耐性を持ち、他方で神々の力である雷には弱いようです。

 それでも並外れた防御力は、驚異の一言です。

 

 

 

 いうまでもなく、近づくのは危険です。

 しかし、そのような地にこそ宝は眠っているもの。

 

 ともすれば、お客様の使命に役立つ何かが書庫塔には眠っているかもしれませんよ。

 

 

 





・エストビール

 黒い森で酒場を経営する、名もなき神族による酒。
 緑色の瓶に満たされた、持ち帰り用の品。

 HPを全回復する。

 麦を発酵させたものに、店主の「工夫」でエストの力を込めたもの。
 辛口だが、だからこそ店主の料理に合う。



・ストーンゴレムのソウル

 黒い森の道を阻んだ不可思議な生物
 ストーンゴレムのソウル。

 シースの被造物にも似たこの生物は、シースの古い友であり、グウィンの敵対者であった岩の黒竜ギーラの手によるもの。
 与えられた役目はギーラの書庫塔の守護であり、後年はシースによって管理されていた。


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