いらっしゃませ。
不死のお客様。
岩のバイバルを斃したのですね。
おめでとうございます。
従来のバイバル……「五足のバイバル」は、単体ならばそこまで恐ろしい怪物ではありません。
数の暴力に巻き込まれたらその限りではありませんが……適切な武器と立ち回りの心得さえあれば、まだ御しやすい。
しかし此度の個体である岩のバイバルは、ギーラの力に適応し異常成長したもの。
その脅威性は、単体であろうと大きなものでございます。
如何に今回のギーラの力が厄介であるか……それは、実際にバイバルと相対したお客様の方がご存知でしょう。
岩の黒竜ギーラの力は、かつての古竜にも縁のあるもの。
あるいは、だからこそ竜の体に馴染みウロコとしたのでしょう。
その性質は、前々からお伝えした通り魔術に強く雷に弱いもの。
ギーラはシースと敵対して敗北した過去を持ちますが、その敵対を見越した性質だったのか、それとも偶然か……今となっては判然としません。
その力はもう、シースのものとなりました故。
他方で。
ギーラの岩の力を手にしたシースは、しかしそれを己のウロコとすることはなかったようです。
六目や牙猪のように、ただ使役するだけ。
あるいはそこに、あえてギーラを生かした意図があるやもしれません。
◆
時に、お客様は牙猪をご存知でしょうか。
金属鎧を身に纏った猪でございます。
……って、今更と言えば今更ですか。
呪いとは厄介なものですね。
とりわけ、シースやその勢力はこの牙猪を好んで用いていたようです。
その脅威性は推して知るべし。
ですが。
牙猪の肉には、従来の豚にはない栄養が詰まっています。
本来なら食用には適しにくい食材ですが、そこはこちらの方で「工夫」させていただきました。
かねてよりお話しているロードランの外の国「イェルマニア」では、ソーセージが親しまれております。
ソーセージとは、動物の腸に調味した挽肉を詰めた肉料理です。
その性質上、腸詰めなどとも呼ばれます。
イェルマニアでは、ビールと共にソーセージも有名でございます。
あの地の美しい湖と森を見渡しながら食べるソーセージは、それはもう絶品でしたとも。
景色とそのソーセージを肴とするビールは、本当に美味しいものでした。
どうにもあの国は、作物が育ちにくい痩せた土地が多い地だったようです。
そのような場所では畜産が発展します。
一口に畜産と言っても、羊や牛などいくつか種類がございます。
が、イェルマニアの場合は豚が好まれたようです。
豚は牛などと異なり成長が早く、手っ取り早く肉として加工できるのが特徴です。
そして肉とは、できるだけ長期保存できるよう仕上げるのが現地の知恵。
その完成形が、ソーセージだったようなのです。
ソーセージは肉のうまみを逃がさず凝縮する食べ物です。
そのケーシングに「工夫」した牙猪の肉を詰めれば、きっとよい酒の肴になるでしょう。
というわけで、この度開発いたしました。
「牙猪のソーセージ」です。
焦げ目がつくほどに加熱してありますので、熱いうちにお召し上がりください。
◆
岩の黒竜ギーラは、かつてシースに敗れ書庫塔に封印されました。
生きたまま、閉じ込められていたようです。
しかし今日の書庫塔に、ギーラの姿はないようです。
小さいストーンゴレムや岩のバイバルが蔓延っていても、それらの源泉たる者はその地にいない。
というのも、どうやら書庫塔の地下から謎の大樹が現れているようです。
その大樹は書庫塔の床を貫き、そして内部はうつろとなり地下深くへ続いています。
病み村のものとは別の「大樹のうつろ」です。
そこから、ギーラは書庫塔の外へ脱出したようです。
ロードランは、外の常識が通用しない魔境です。
ですがその中でも「大樹のうつろ」は、型破りな空間となっています。
内部は、呪いの息を吐くバジリスクやキノコのような化け物の巣窟となっています。
ましてや今回の「大樹のうつろ」は、ギーラの岩の力に侵食されています。
ストーンゴレムのような、岩の力を帯びた怪物が隠れ潜んでいても不思議ではありません。
その地のバジリスクやキノコ人を攻略するなら、従来とは異なる対処が必要になるかも。
そして何より、地形が地形故に落下死のリスクが伴います。
どうやらシースの手によりある程度は梯子などで道が確保されているようですが、常より危険な場所であることには変わりありません。
むしろ、その「大樹のうつろ」に入り込むシースの勢力にも気をつけなければならないでしょう。
◆
シースが使役する牙猪は、その実この地にも確認されているようです。
当店にご来店くださるお客様の一部は、書庫塔の中で牙猪の姿を見たと証言しています。
その牙猪は、ただの牙猪ではないようです。
それは、牙猪騎士のものとのこと。
牙猪騎士。
シースが使役する、牙猪に駆る戦士です。
本来は牙猪にまたがったまま、敵へ魔術や槍の一撃を繰り出す兵。
その機動力と技量は、彼の四騎士にも匹敵するものであったとか。
他方で、牙猪から降りてもその技量に陰りはありません。
大樹のうつろのような場所では、むしろ徒歩の方がより本領を発揮できることでしょう。
ましてや今回書庫塔を訪れ、大樹のうつろへ潜っていったという「牙猪騎士アレフ」は、シースからの信頼が厚い忠臣であると言います。
故にこそ、大樹のうつろの奥へ消え去ったギーラの捜索を任されたのでしょう。
そして。
牙猪騎士アレフには、余人からギーラを護ることも命じられているといいます。
実際の大樹のうつろで遭遇すれば、戦闘は避けられません。
今は亡きシースの意図がどうであれ、この牙猪騎士アレフは恐ろしい脅威でしかありません。
大樹のうつろを潜るのなら、牙猪騎士アレフへの備えも要することでしょう。
・牙猪のソーセージ
黒い森で酒場を経営する、名もなき神族による肉料理。
粗挽き肉を皮に詰めて焼き上げた、持ち帰り用の品。
一時的に筋力を高め、少しずつHPを回復する。
牙猪を育てる牧場は途絶えて久しいが、店主はロードランの外にある最後の牧場を管理している。
故に、従来の肉にはない栄養が詰まっている。
・牙猪騎士アレフのソウル
大樹のうつろにて、ギーラ捜索の任についていた
牙猪騎士アレフのソウル。
本来は牙猪に駆る騎士だが、牙猪から降りた状態でもその槍と魔術は脅威となる。
とりわけこの牙猪騎士は、シースから離反したジャンに勝るとも劣らない実力者だ。