いらっしゃいませ。
不死のお客様。
仮面の大樹を斃したのですね。
おめでとうございます。
仮面の大樹は、ニトを裏切りその力を奪った三人羽織の成れの果て。
もともとはある種の錬成炉だった大樹に、その身を捧げた末路。
故にこそ、ニトの加護と使命を帯びるお客様にとって斃すべき目標の一つでした。
以前にもお伝えした通りです。
お客様が仮面の大樹を斃したことで、ニトの敵……その誅伐は終わりました。
しかし、まだニトによるその使命は終わっていません。
今回の三人羽織がニトの力を奪ったのには、理由があります。
それは、とある騎士に乞われてのことであったとか。
であるならば、その騎士と動機もまたニトが誅するべき対象となります。
では、その理由とは何なのか。
この地に蔓延る「虫の病」こそが、今回の要点です。
この病の源泉は、墓地街の城壁……その内側にございます。
そこが、お客様が目指す当面の目標となることでしょう。
よろしければ、是非そのお手伝いをさせてください。
本来私とニトは関係の深い間柄というわけではないのですが、個人的な縁があります。
それは単なる私の勘違いだったのですが、それをきっかけにこの地との縁に恵まれました。
それを祝うため、一品ごちそうさせてください。
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ピエロギという食べ物をご存知でしょうか。
もちもちとした小麦粉の生地で、ジャガイモやチーズやタマネギ、あるいは肉・キノコといった具材を包んだものです。
具材を包んだものをたっぷりのお湯で、浮いてくるほどまで茹でるのです。
茹で上げた後は水を切り、バターで揚げたり焼いたりします。
そうして、溶かしたバターやサワークリームと一緒に楽しむのです。
ブートカでは、このピエロギは日常的に食される国民食です。
時にはピエロギをテーマとした祭りが開催されることもあり、文化的にも親しまれる特別な食べ物なのです。
あの祭りはよいものでした。
在りし日のブートカの都市を訪れた時、偶然広場にてたくさんのピエロギが並ぶ景色に恵まれました。
石畳みの道を行き交う食べ歩きは、それはもう楽しいものでございました。
一口にピエロギといっても、実はその種類は意外と多岐にわたります。
その中でも、より美味しいと感じたものを再現しました。
「ピエロギ」です。
以前にもお話した通り、ブートカはウォッカの国です。
その国の国民食であることもあり、ピエロギはウォッカとの相性も抜群です。
今回はカクテルではなく、純粋に強くて冷たい味のウォッカを用意いたしました。
是非合わせてお楽しみください。
◆
さて。
お客様がさらなる探索を求め、あえてニトの導きに従うのであれば。
これからは城塞の内側を目指すこととなりましょう。
ここ墓守街は、城壁の外側。
城壁を超えて内側に入るには、少し厄介な道を経由する必要があります。
その道は物理的な壺の押し売り野郎どもの集落を超えた先の、廃教会から入れます。
……物理的な壺の押し売りってなんだよ。呪いとは厄介なものですね。
ともあれ。
廃教会から至れるその道は「涙の道」と呼ばれています。
涙の道は、城壁の内から外へ遺体が運ばれる際に用いられる道です。
かつては多くの葬式に用いられ、墓守達にとっても馴染み深い職場であり、そして文化的な聖域でした。
しかし、その伝統は失われました。
この地に蔓延る虫の病により文明の営みは崩壊し、呪いによりロードランへ流れ着く末路を辿ったのです。
故に涙の道もまた、亡者が行き交う魔境と化している。
とりわけ厄介なのが、やはり虫の病による毒や猛毒でしょう。
涙の道にて徘徊する鴉や犬には、大量の虫が纏わりついています。
その虫由来の毒が、涙の道に入る者への障害となります。
私の料理には、毒や猛毒に対して強い耐性を得るための「工夫」を凝らしています。
改めて、お持ち帰りのご検討をお願い申し上げます。
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半ば水没した涙の道は、蟹みてぇなバケモンとかの巣窟。
そういうのに限って変な虫のタマゴがびっしりなんだからたまったもんじゃねぇよ。
……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。
しかし、もともとは墓守達によって整備された道です。
水没した区画を避けて廃墟の方を探索すれば、墓守だった亡者と会うこともありましょう。
その場合、魔術に対する警戒が必要となります。
ブートカの墓守達は、ヴィンハイムの魔術を修めています。
それはもともと、墓守の古老を慕った者達が多くを占めていたからだそうです。
その墓守の古老の名前は、トマシュ。
今でこそ亡者と化していますが、もともとはヴィンハイムの生まれであり、あのビッグハットをも超える理力の持ち主であったと言います。
彼の魔術は、シースの知識なしで結晶に至るほどのもの。
ただ結晶を飛ばすだけに留まらず、上空から結晶の雨を降り注いだり、あるいは結晶を起点とした分身を生み出したりするものだとか。
それほどの傑物が、如何なる縁で墓守に転じたのか。
その詳細はわかりかねます。
しかし、その実力は本物です。
どうか、お気をつけて。
・ピエロギ
墓地街で酒場を経営する、名もなき神族による料理。
ポテトやチーズやタマネギ、肉やキノコといった具材を小麦粉の生地で包んだ持ち帰り用の品。
セットとしてウォッカも付いている。
一時的に筋力を高め、毒と猛毒に対して強い耐性を得る。
これは店主がかつて訪ねた国の一つで振る舞われていた、国民食。
それを墓地街の環境に合わせて「工夫」した逸品だ。
・墓守の古老トマシュのソウル
涙の道で彷徨い歩いていた
墓守の古老トマシュのソウル。
もともとヴィンハイムの生まれであり、ローガンをも超える才覚の持ち主だった。
だが双子の兄弟が虫の病に蝕まれ、その死を涙の聖女モルガンに看取られたことを機に墓守となった。
いまや彼もまた虫の病に蝕まれ、死ねずに苦しんでいた。
ニトの加護がその命を絶ったのは、あるいは慈悲故なのだろうか。