陽春の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
アノール・ロンドにて酒場を経営しておりました「店主」です。
このたび奇縁が重なり「ローデイル」にて営業再開する運びとなりました。
今回は新たに「三品」ご用意させていただきましたので、引き続きご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
……あれ、三月の挨拶って"陽春"じゃなくて"早春"だった気が。呪いとは厄介なものですね。
一品目「聖杯の蜂蜜酒」
おや、褪せ人ですか。
……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。
いらっしゃいませ。
ここは王都ローデイルの酒場です。
……といっても、つい先ほど営業再開したばかりです。
誰かが黄金樹を焼いたことで、この辺りの水の封印が解かれました。
それを受けて、改めて開店した次第です。
かつて黄金樹が水の封印を施しただけあって、この辺りも物騒です。
大通りは狂い火に爛れた樹霊が我が物顔で徘徊し、路地にも罹患したローデイル兵が潜んでいます。
ここで行動するならば、警戒が必要となります。
ですが、ちょうどこの酒場には祝福があります。
東側の大部屋にございますので、よろしければゆっくりしていってください。
棄てられた教会を改修したものですが、暖炉も焚いておりますので快適にお過ごしいただけます。
それから。
ここは、個人的に経営しているお店です。
立地こそ地下に隠れ潜むようなものですが、かつて王都ローデイルを行き交う商人達に愛されてきました。
おかげで、酒には自信があります。
私の酒は、本来お酒を楽しむことができない方々にも愛される特別なもの。
今回も、特別な「工夫」を凝らしたお酒をご用意させていただきました。
よろしければ、一杯いかがでしょうか。
◆
ここは狭間の地。
偉大な黄金樹が聳え立つ、祝福の世界。
今でこそ律は壊れ、黄金樹もまた燃え盛る始末ですが、かつては恵みの雫を齎したのです。
雫を受領する聖杯は、いつしかそれを模した瓶となり褪せ人達の宝となりました。
それが、お客様がお持ちになっている聖杯瓶なのです。
その聖杯瓶の力は確かなもの。
たとえただ死んでいくのみの運命に囚われていたとしても、その瓶一つで覆すことができるのです。
実に、素晴らしいものでしょう?
その聖杯は、人を癒すに足る福音です。
そこで、その聖杯にちなんだお酒を提供できないかと思いつきました。
かつて聖杯にて受領したという恵みの雫は、転じてローデイルに緑を齎しました。
その緑から蜜や花粉を集めることで、蜂蜜が作られます。
その蜂蜜を水で薄め、発酵させることで蜂蜜酒ができる。
さらに、ある種の蜂蜜酒はハーブを漬け込むことでさらに美味しく出来上がります。
ここローデイルは調香の街であり、薬草の類も豊富にございます。
実に「工夫」のし甲斐があって、楽しい試行錯誤ができました。
その試行錯誤の末に出来上がったのがこちら。
「聖杯の蜂蜜酒」です。
つまみとして、店の裏手で育てていたナッツもお付けします。
ぜひ楽しんでいってください。
◆
この辺りについてですか?
ここはローデイル北部に広がる、宿場街です。
かつては正門が開かれ、多くの商人が行き交った商店街なのです。
東には「倉庫街」が広がり、西には「市場」があります。
それらに挟まれたこの宿場街は、ローデイルに滞在する旅人や商人の拠点であったのです。
ですが、ある時この宿場街にて「狂い火」が見出されました。
もともとはとある"画家"が描いたものだったそうです。
一枚の絵画はいつしか病を齎し、その病は倉庫街や市場を巻き込んで宿場街を汚染した。
当時の黄金樹はその画家を劫罰に処することで事態の鎮静化を図ったようですが、時すでに遅し。
画家をローデイルに招き入れた大商隊を地下に葬ってなお病は広がり続け、いつしか黄金樹を蝕むほどに燃え広がった。
その末に、黄金樹はこの宿場街を水に沈めたのです。
倉庫街も市場も巻き込んで、すべてをなかったことにした。
当時の私は偶然ローデイルを離れて旅していたため、事なきを得ました。
おかげで、黄金樹炎上による宿場街復活を受けて店を開店することができたのです。
しかし。
宿場街の封印が解かれたということは、そこで見出された狂い火を解き放つことでもある。
何らかの処置が必要になるでしょう。
◆
宿場街の復活を受けて動き出したのは、私だけではありません。
狂い火に魅入られた、画家の関係者もまた動き出しているようです。
この宿場街は、大通りの広場から直接東西へ行き来できるようになっています。
しかし先の騒動にて広場の道は塞がってしまい、ここからそれぞれの区画へ至るためには、かつての正門があった北門広場に向かうしかありません。
その北門広場を、ある大狼が陣取っています。
「メリエムの大狼、エルマス」。
かの大狼は、かつては狂い火を描いた画家の相棒だったそうです。
そして今では、画家の娘「メリエム」の番犬として北門広場を護っています。
奴を斃さぬ限り、東の倉庫街は勿論、「メリエム」が潜む市場にもたどり着けません。
褪せ人のお客様。
もし貴方がエルデの王に至るというのであれば、どうか「メリエム」を誅しては頂けないでしょうか?
たとえお客様がシャブリリに義理立てするのだとしても……否、シャブリリに義理立てするならばこそ、半端に狂い火へ惹かれる「メリエム」は煙たい害悪となりましょう。
これを予め排除することは、きっとお客様にとっても悪い話ではないと思います。
勿論、お礼もご用意します。
酒場の店主らしく、美味しい料理を振舞って見せますとも。
・聖杯の蜂蜜酒
ローデイル宿場街で酒場を経営する、名もなき店主による酒。
聖杯を模した瓶に満たされ、そしてつまみのナッツも付いた持ち帰り用の品。
HPを完全に回復し、全ての状態異常を癒す。
まろやかな蜂蜜の甘みの中に、爽やかな風味が広がっている。
それはローデイルで育てられた薬草が齎す祝福である。
・大狼の追憶
狂い火によって黄金樹に刻まれた
メリエムの大狼、エルマスの追憶
指読みにより、主の力を得ることができる。
また、使用により莫大なルーンを得ることもできる。
牧羊犬であったエルマスは、戦により牧場を失った画家と共に、狭間の地へ至った。
その地で画家は劫罰に処され、エルマスは娘を託された。
メリエムを頼む。
それは、いつしか呪いとなった。