初夏の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
アノール・ロンドとローデイルにて酒場を経営しておりました「店主」です。
このたび奇縁が重なり「ヤーナム」に出店する運びとなりました。
今回は新たに「四品」ご用意させていただきましたので、引き続きご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
……あれ、「初夏の候」って六月の挨拶だったような。呪いとは厄介なものですね。
一品目「プラムの蒸留酒」
おや、異邦の狩人ですか。
……おっと失礼、呪いとは厄介なものですね。
いらっしゃいませ。
ここはヤーナムの酒場。
お察しの通り、悪夢の中のお店です。
この辺りもまた獣の病の影響は色濃く、とても物騒です。
大通りは血に酔う狩人が獲物を探し、路地には火に怯える獣が潜んでいます。
ここで行動するならば、警戒が必要となります。
ですが、ちょうどこの酒場には灯りがあります。
東側の大部屋にございますので、よろしければご利用ください。
棄てられた教会を改修したものですが、暖炉も焚いておりますのでくつろぐこともできますよ。
それから。
ここは、個人的に経営しているお店です。
悪夢の中に建てた酒場ですが、それだけに狩人の方々からお引き立てを賜っています。
おかげで、酒には自信があります。
私の酒は、狩人の方々の舌にも合う特別なもの。
今回も、特別な「工夫」を凝らしたお酒をご用意させていただきました。
よろしければ、一杯いかがでしょうか。
◆
プラムをご存知でしょうか。
この辺りではよく見かける果物です。
所謂スモモでして、皮ごと美味しくいただけます。
ちょっと酸味がありますが、果肉は甘く案外美味しいものですよ。
悪夢の中のヤーナムでは中々縁がありませんが、外ではプラムを育てる畑が一面に広がっております。
旬を迎える夏では、地平線まで緑色に染めるプラム畑の景色を気持ちよく楽しめます。
あの牧歌的な景色は、何度見ても目の保養になります。
他方で、畑で育てられたプラムは蒸留酒として楽しむことができます。
こういった蒸留酒はツイカとも呼ぶそうで、私が見聞きした限りでは秋から冬にかけて作るようです。
酒造りは、大きな味のある樽にプラムを詰め込み、数週間かけて発酵させるところから始まります。
伝統的に銅製の蒸留器を用いるのが特徴です。
木材や木炭を用いて蒸留するためか、他にはない味が酒に宿るのです。
こうして作られた蒸留酒は、フルーティな香りと喉が熱くなる強い味を楽しむことができます。
場所によっては家ごとに自家製のものが作られるそうで、一口にツイカといっても様々な味があるのです。
私がはじめて飲んだのは、小高い丘に建つ大きくも暖かい木の家にお邪魔した時です。
故あって数日程厄介になったのですが、その時に食前酒として勧められて飲んだのです。
あの時の感動を、皆様にも提供したい。
そう考え、あの味を再現いたしました。
「プラムの蒸留酒」です。
ぜひご堪能あれ。
◆
この辺りについて、ですか?
ここは「狩人の墓場」です。
血に酔った狩人が囚われる悪夢の一つとなります。
御覧の通りヤーナムの景色をもとに形成された場所でして、とりわけ「旧市街」や「隠し街ヤハグル」とも呼ばれていた場所が源のようです。
ですが「狩人の悪夢」と変わらず、狩人達が永遠に彷徨い獣を狩り続ける景色がずっと続いています。
彼らの大半は正気を失い、獣と人の区別がつかない。
結局は、獣狩りの夜に相応しい場所となっています。
また炎に焼かれた区画をもとにしているだけあって、ここに潜む獣どもは火を恐れます。
松明のひとつでもあれば、少しは安全に探索できる筈です。
一度お試しあれ。
とはいえ、中には強い力を持つ獣も混じっています。
奥の教会に近づけば燃え盛り血に渇いた獣「赤ずきん」が、無差別に狩人や獣を狩り殺す姿が見えるでしょう。
またここ最近になって「黒獣」が迷い込んできたようで、この辺りの脅威となっています。
まぁ「赤ずきん」はともかく「黒獣」程度なら、この辺りではよくある脅威です。
店を閉めるほど、とはいきませんね。
ここでは獣避けのお香も焚いておりますので、万が一の時はまたお立ち寄りください。
◆
もしここ「狩人の墓場」の探索を続けるのなら、「再誕の王子」には気を付けてください。
「再誕の王子」は、「黒獣」が陣取る広場を抜けた先……「隠し街ヤハグル」の 奥地に潜む怪物です。
どうやら狩人の躯を用いて作られたもののようです。
その最大の特徴は、鴉の羽を思わせる部位を有すること。
そして今回の個体は特殊な血を持つ狩人がもとになっているようで、常に燃え爛れています。
獣ではないようですが、「黒獣」を超える脅威となるでしょう。
一方で。
噂によると「再誕の王子」は、「鴉刃の魔物」と呼ばれる上位者の"作品"であるそうです。
というのも、この「狩人の墓場」はその「鴉刃の魔物」によって形成された場所だそうです。
血に酔い悪夢に溶けつつある狩人をこの空間に呼び込み、捕らえて"作品"へ仕上げる……そういった生態を持つようです。
もととなった文化を思うと、とても酷い冒涜です。
その目的は……やはり"作品"を通じて、赤子を抱くことにあるのでしょう。
彼らは赤子を失っておりますから。
ですが、悪夢の中にこそ狩りに役立つ宝があるかもしれません。
十分な装備があるのならば、あえて「再誕の王子」や「鴉刃の魔物」に挑むのも手です。
・プラムの蒸留酒
悪夢のヤーナムで酒場を経営する、名もなき店主による酒。
旅に強い瓶に納めた、持ち帰り用の品。
より大きなHPを回復する。
赤く熟れたプラムを用いた蒸留酒であり、フルーティな香りが楽しめる。
だがこれは店主の「工夫」が用いられた特別製であり「匂いたつ血の酒」を知る者にも好まれる。
輸血液を知る狩人ならば、より効果的に楽しめるだろう。
・銃剣
工房の異端「火薬庫」の手になる「仕掛け武器」。
担い手もろとも「再誕の王子」に取り込まれていた、失われた武器。
簡易な銃と、重い大剣を組み合わせた試作品。
失われたカインハーストの武器を見真似たものと言われているが、その精度は「銃槍」より高い。
西の国の技術を用いているようだ。
この武器を持つ狩人は、狩人の墓場に囚われた。
墓場に囚われた狩人は「王子」に再誕させられるとされ、その名を忘れ去られる。
それは人にとって、ただの冒涜だ。