オラリオに寄生生物が降り立つのは間違っている   作:寝心地

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第11話

ベルが【ソーマ・ファミリア】の本拠を離れた後、リリルカはベルの言いつけを守り数分してから本拠の中に入った。

 

「え?」

 

最初に気付いたのは獣人に化けている訳でもないのに鼻を突いた濃い血の臭い、思わず手で鼻を覆いいちゃもんをつけられまいと伏せていた顔を上げるとそこには生きている人間は一人もおらず中央に血塗れになりながらグチャグチャと音を立て何かをしている人影だけだった。

 

リリルカはその人物に心当たりがあった。顔は正確に認識出来ないがその人物の纏っている服、それが何よりの目印だった。

 

「ザニス様?」

 

思わず漏れた声に反応し時が止まる。グチャグチャとした異音は消え頭部がはっきりと現れると後頭部に目が生える。

 

「リリルカ・アーデ生きている人間か?…………」

 

ゆっくりと首だけで振り返ったザニスはリリルカを見る。

 

その様子が余りにも悍ましくリリルカは逃げようと背を向けた。

 

「あれ?」

 

「体を取り替えようとしたが思いの外抵抗にあってな。仕方無く殺し食事をする事で延命していた。新しい体が来てくれて助かった」

 

リリルカの視点が自身の意思に反して90度曲がり上下が目まぐるしく変わる。リリルカが最後に見たのは首から上が無くなった自身の体とその体に覆い被さる様に移動するザニスだった頭部だった。

 

こうして、未来で幸せを掴む筈だった灰被りの少女の未来は消え似た姿の悍ましい復讐を企む生物が成り代わった。

 

翌日

 

そんな事とは露知らず、ベルは今日もリリルカとダンジョンに潜るべくリリルカが話しかけて来た広場でリリルカを待っていた。

 

「う〜ん」

 

「今日は来ないのではないか?」

 

待ち人が現れず首を傾げるベルにミギーがそう言いベルは再び周囲を見回す。

 

「ベル、こんな時に言うのも気が引けるが、仲間だ」

 

その言葉にベルはため息を吐きながら位置を尋ねる。

 

「直線距離で約100m、現在も移動し距離が縮んだり伸びたりしている」

 

「追いかけよう」

 

ベルはミギーに案内させ寄生生物の元へ向かう。道を進み路地を曲がる度に人通りが消え遂には人が居なくなる。

 

「この先だ」

 

ミギーがそう言いベルが唾を飲み込み先へ進む。そこは行き止まり以外何も無い場所、そこに立つボロボロの外套を纏ったパルゥムと思わしき人物、ベルはその背中に心当たりがあった。

 

「リリ?」

 

声をかけられたパルゥムは振り返りベルを見る。

 

「ここにいたのか…………いや、私の後をつけてきたのか?」

 

「違うベル、奴は寄生生物だ」

 

「何言ってんの、リリはリリだよ」

 

「探すのに思いの外手間取った、まぁ良い」

 

「リリ、街の外で暮らすんでしょう?ならこんな所に居ないで早く準備しなよ」

 

光に照らされるリリルカの顔に無数の線が走る。

 

「リリ?」

 

「ベル!!」

 

ドッ!!

 

とリリルカの伸ばした凶器がベルの心臓に突き刺さる。

 

「ゴボッ」

 

「ベル!!ベル!!」

 

ベルは血を吐き倒れミギーが必死にベルを揺り動かす。

 

「心臓を破壊した。お前も持って数分の命だろう。脳を奪えなかった者の寿命と思え」

 

リリルカ、否、寄生生物はそう言い残すとベルの隣を素通りし何処かへ消えた。

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